環境放射能評価検討会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成18年12月5日(火曜日)10時~11時30分

2.場所

三菱ビルB1M1会議室三菱ビル地下1階

3.議事要旨

午前10時開会

(飯田主査) 定刻になったので、これより平成18年度第2回環境放射能評価検討会を開催する。最初に、事務局から資料の確認をお願いする。

(事務局) それでは、資料の確認をさせていただく。1枚目は「次第」である。続いて、資料1として、第1回環境放射能評価検討会の議事概要である。続いて、資料2として、「環境放射能調査研究の評価検討について(案)」である。続いて、参考資料1として、「放射能調査研究に係る評価検討報告書」である。続いて、参考資料2として、「平成14年度の放射能調査研究に係る評価検討での指摘事項に対する対応状況」である。続いて、参考資料3として、当室で所管している放射能研究についての平成18年度の資料をまとめたものある。続いて、参考資料4として、明日行われる「第48回環境放射能調査研究成果発表会の実施について」である。資料は以上であるが、今回、事務局において人事の異動があった。私どもの室長の松川が先月28日付で交代している。後任はまだ来ていないので、その間、安全課長の野家が兼任ということになっている。以上である。

(飯田主査) それでは、議事を進めたいと思う。議題の(1)前回の検討会の議事録について、事務局から報告をお願いする。

(事務局) 前回議事概要であるが、議事概要はほぼ議事録の形になっており、事前にコメント等を反映したものになっている。詳細については割愛させていただくが、さらにコメント等があったら、今週中に事務局にご連絡いただきたい。議事概要については、以上である。

(飯田主査) 先ほど言ったが、この議事概要にもう一度目を通していただいて、何かコメントがあればお願いする。それでは、次に議題(2)環境放射能調査研究の評価検討について、事務局から説明をお願いする。

(事務局) 資料2、「環境放射能調査研究の評価検討について(案)」について、今回の検討会では、先生方に環境放射能調査研究評価検討についてご議論いただくというお願いをしているが、このやり方に基づいてやっていただければと考えている。まず、環境放射能調査研究の概要としては、「文科省を中心として関係省庁、地方自治体の協力により実施されている環境放射能に関する調査研究であり、環境に存在する自然放射線レベルと、人間活動により付加される放射線レベルの調査を行うことにより、国民の放射線障害に係る安全の確保・不安の解消に資することを目的に実施されているものをいう。すなわち、行政ニーズに基づいて全国レベルで実施すべきは以下のような事業をいう。」ということであり、1.から5.まである。まず初めに、放射能水準調査として、人工放射性核種についての調査実施、天然放射性核種といたしまして、環境放射線による人の被ばくのうち大部分は自然放射線によるものであり、国民の被ばく線量を評価する観点から、自然放射線レベルの調査を行っているというものである。それから、原子力施設等の周辺における環境放射能調査ということで、原子力施設等周辺、これは原子力発電所周辺及び核燃料サイクル施設周辺、それから、米国の原子力軍艦寄港に伴う周辺の環境放射能の調査ということである。3.として、精度管理事業ということで、モニタリングデータの分析精度の維持管理、一層の向上を目的として、クロスチェック、分析手法のマニュアルの整備・強化、分析に係る技術研修を進めているということである。4.の調査研究として、各省庁の関係研究機関が、それぞれの関係分野において、適切に対応するためにモニタリングの手法開発、環境中の放射性核種の移行・蓄積メカニズムに関する研究、放射性核種の拡散予測技術・システムに関する調査研究などを進めているということである。最後に、データベース・情報公開ということで、得られた調査研究をデータベース化するとともに、インターネット等により国民に向けられた情報公開を進めているということである。次に、評価検討の方法である。ベースとなるのは、参考資料1としてお配りさせていただいている平成14年度の報告書のような形で、今回も評価検討をお願いしたいと考えている。個別事業の評価検討ということで、文科省において直接予算措置されている環境放射能調査研究事業、一般会計、特別会計において措置されている事業の範囲があり、おのおのの課題については、専門家の先生の専門分野にあわせて分担していただくことを考えている。具体的には、関係機関には以下の項目につき説明を求めるということで、事業の目的・必要性・内容、事業実施に伴う成果等、事業の今後の展開について、等である。次に、説明及び質疑応答に基づき、各事業ごとに、以下の項目について専門家から評価票により、評価検討を行うということで、施策に対する評価、今後果たしていくべき役割、施策の検討等である。それから、総合的評価検討といたしまして、下に5項目ほどあるが、放射能調査研究を巡る状況の変化と基本認識、環境放射能水準調査全般のあり方、精度管理事業のあり方、各研究機関が実施する調査研究の総合的なあり方、情報公開のあり方等々についての評価検討をしていただきたいということである。事務局からの説明は以上である。

(飯田主査) 今説明していただいた評価検討の内容について、こういう方向で進めていいかどうかということについて検討をお願いする。最初の放射能水準調査が現在行われているとか、原子力施設周辺での環境放射能調査は現在進められている事業といった内容だが、先ほど説明していただいた評価検討の方法として2つ、個別事業の評価、総合評価というやり方で評価検討を行うということである。個別事業のところに書いてあるように、主査、副主査及び事務局の調整によって、専門家の専門分野にあわせて分担していただくということになっているので、実際に評価をしていただくときにはそれぞれ委員の方にお願いしたいが、よろしいか。

(宮原委員) ちょっと確認だが、例えば原子力施設の周辺における環境放射能調査ということで、「周辺における住民の安全確保・不安解消の観点から」と書いてあるが、この「周辺」というのは海域も当然入るということでよろしいか。

(事務局) そう考えている。

(宮原委員) 了解した。

(飯田主査) ほかにはよろしいか。

(吉岡委員) 参考資料1とあわせると膨大な数になる。

(飯田主査) 然り、膨大になる。

(吉岡委員) しかも、個々の審査をするというのはなかなか見えづらい。相手方がまた多彩であり、こういうのはどのようにやるのかというのがちょっと見えづらい、初めてなので。

(飯田主査) そのあたり、ちょっと簡単に説明していただきたい。

(事務局) 前回、平成14年度に行った評価検討時には個別事業は42あった。現在は平成14年度での指摘事項を反映して、課題としては21課題に減っているので、前回ほど膨大な量になるとは事務局しては考えていない。ヒアリング等についても、何回かに分けて行う予定にしているので、そこはあまりご負担にならないように考えている。

(長岡委員) 1個1個のテーマについて全部ヒアリングをやるということになるのか。

(事務局) 基本的にはそうである。

(長岡委員) 報告書がありヒアリングがあり、それでやるのか、あるいは、ヒアリングだけで評価をするのか。

(事務局) 然り。報告書とあわせてというかたちで考えている。

(長岡委員) では、明日の報告会というのはテーマに対応しているということか。

(事務局) すべての課題がテーマに対応しているわけではなく、明日発表される課題のうち7課題が評価検討になる課題である。発表者には既に評価の対象にするという旨は伝えてあるので、先生方はそういう目で見ていただいて結構かと思っている。

(吉岡委員) もう少し見えないのが、例えば、私は検討者でもあるが、原子力施設等の周辺における環境放射能調査ということになれば対象が数県にまたがることとなる。明日は例えば水準調査等も放調発表会の研究発表等に組み込まれた格好で、これは一堂に会する機会があるが、原子力発電事業のいわゆる放射線監視事業みたいなものは一堂に集まる場もないということで、事務局がまとめたもので行うということになるのではないか。

(事務局) 先生がおっしゃっているのは各自治体がということか。

(吉岡委員) そうそう、それは対象にならないのか。

(事務局) 各自治体でやっているのは対象にしていない。

(吉岡委員) 了解した。

(飯田主査) ほかにはいかがか。

(木村委員) 確認だが、事業の施策上の位置づけとか計画ということを検討するというお話があったが、前回のように海洋放射能総合評価事業の報告書自体の検討もこの会議でやっていくのか。

(事務局) 然り。それはルーチンとしてはやるということになる。

(木村委員) そうすると、放射能調査全体のどうあるかの検討とともに、出てきた事業の報告書についても全体の会議の中で検討していくということでよろしいか。

(事務局) そういうことである。

(赤羽委員) ちょっと確認したいが、研究の評価というのはいろいろな視点があるかと思うが、本評価は行政の視点からニーズにあった研究成果が出ているかどうかという評価をすべきだと思う。このテーマは既に行政のニーズに従ったテーマであって、それを研究的な視点から評価すればよろしいと考えてよろしいか。

(野家課長) 私から補足させていただく。この検討会では、今までは海洋環境放射能調査について、毎年の事業の結果についても見ていただいたわけであるけれども、今回の検討会ではそれに加えて、我が国で、特に文科省が行っている環境放射能のための施策というか、事業そのものについて大きな立場から評価していただくということが、新しい仕事として動かしたいということが一つある。環境放射能以外の全体については、個々の毎年の事業について個々の論文等についての研究評価を行うことを考えているわけではなくて、国として行う施策としては、そういう事業が今までにどのような成果をあげ、これから引き続き行っていくべきなのかどうか、あるいは、ニーズが減少したからこういった事業は縮小したり統合したらいいのではないかとか、そういった議論をお願いできればと思っている次第である。よって、個々の論文の研究評価ということでは考えていないということが一つある。その評価の仕方については、先ほどの(案)にも書いてあるように、基本的には「関係機関に以下の項目につき説明を求め」ということであるので、こちらからフォーマットを指定して、それぞれの実施機関に対して、施策の意義づけとか、今までの成果とか、国民の生活、あるいは、安全といったことに今までどのように役立ててきたのか、そういった事柄について記入してもらい、それについてヒアリングをし、質疑を踏まえて、事業としてどうなのかということをまとめていただく、そういうようなやり方を考えている。基本的には平成14年度に行った報告書、それから、それに基づいて行政側で措置をした状況というものを、参考資料1、2という形でつけているけれども、仕上がりの姿としてはこういう形を想定している。平成14年度の報告書を見ていただいても、厳密な成果評価ということよりも、国民のニーズ等に対応してどういう点を重点にやっていくべきかといったことをまとめていただいているので、そういうようなものを期待しているということである。

(飯田主査) ほかに何かご意見はないか。

(皆川委員) 平成14年度の事業の見直しでやったことに基づいて、現在、各関係機関が事業をやっているということか。その事業が14年に基づいた評価にきちっと合っているのかどうかということと、情勢もいろいろ変わっているので、情勢に基づいて行政ニーズに合った調査研究が行われているかどうかというところを評価するということでよろしいか。

(事務局) 然り、そのように考えている。

(飯田主査) ほかにはよろしいか、資料2の評価検討については。方向性、どのように行っていくか。

(成田委員) 大分数が減ったという話だが、それでも結構たくさんある。個々のテーマについての評価は比較的やりやすいのではないかと思う。都道府県のやっているのは結果で全体が見えるんだけれども、ここに書いてあるような全体像というか、どういう項目をどう受け持って、結果としてどうなったとか、総合的なものというのはどこでやるのか、お役所の方でやるのか、それともこっちに振ってくるというか、この委員会で全体像もチェックするのか。個々のよりそっちの方が難しいという感じがする。これはどうか。

(事務局) そこもやはり各先生からご意見は頂戴したいと思っている。いただいたものについては、私どもで、どういう形になるかわからないが、取りまとめて、再度、検討会で検討していただきたいと、そういう考えである。

(成田委員) 実は裏があるというか、例えば環境放射能の低レベルのところのデータはあまり使い道がない。唯一、使い道があるのはUNSCEARの報告書に反映するのが一番理想的な使い道かなと思うが。そうすると、例えば施設の周辺のモニタリングでは検出されないとか変化がないとか、NDとか、それで十分に目的は達するわけである。ところが、もう1つの使い道までいこうと思うと、多少面倒くさくはなっても、有意な値を出さないと次のステップに使えないというものもあるので、全体を構成した後、そのデータを最終的にどう使うのか。モニタリングだけというのであれば、ともかく決められた水準、安全な水準を担保できる濃度のところまで測れて、それ以下であればもういいということになると思うけれども、そういうものあって、全体のデータの使い道まで含めて、どういうふうにこの計画が組まれていて、現在までどういう結果になっていて、今後どうしようと。そういうのは委員に振られても、まずまとめていただかないと、なかなかそこまで出てこないと思うので。そんな意味もあり、そこいらの使い道もどう考えていくという構成を考えてないと、単にデータが蓄積したというだけに終わってしまうのかなと、そんなことを考えていたので。

(野家課長) 今のお話についてまた少し補足させていただきたい。この評価については平成14年度にやったということで、ちょうど4年ぐらいたったからということがあるが、もう1つ、政府全体における放射能影響調査に対する目が割と厳しくなってきているということがある。調査をこれから先いつまでも続けるのかという意見もある。それでも、この間の北朝鮮の核実験とか、その後の原子力潜水艦などからコバルトが検出されたということになると大騒ぎになるけれども、あの2つの事件で多少、財政当局の目も少し変わったようである。性格的には放射能調査というのは地味な仕事であるだけに、政策的な意味がややもすると忘れられがちになるということがある。そういう調査を継続して行っていくということについてもそうなのだが、さらに放射能の調査分析のための研究についても、もう既に測り方などはわかっているのではないかということでなかなか厳しいところがある。そこで、国全体にとっての政策的な意義づけについて、ちょうど4年もたったことなので、この評価検討会で事業評価、政策評価をやって、それを梃にまた戦っていこうというような狙いも事務局にはある。事業については、先ほどの進め方のところにもあったように、担当を分けて見ていただいて、その結果を踏まえて事務局で総合的な評価の素案みたいなものをまとめて、そこでご議論いただくと。その議論の中で、今ご指摘ありましたような国内向けの使い方だけではなくて、外に打って出るような使い方もあるのではないかということがあれば、そういうことも議論の中でご指摘いただければと思う。縮小というよりは、拡大均衡に持っていくような評価を最終的にはまとめていただければなというのが我々事務局のお願いである。

(廣瀬委員) よろしいか。

(飯田主査) はい、お願いする。

(廣瀬委員) 今、課長から適切なお話をいただき、大変うれしく思う。放射能調査の場合には、毎年何かあるわけではなくて、ときどきあって、それに適切に対応できないとひどく叱られるということになるわけで、そのためには技術的な資産を常に持っていて、しかも実測していないと対応できないということになるので、そういう点も含めてどういうあり方がいいのか検討する必要があるのではないか。確かにデータが何も出ないのは無駄だという話もあるけれども、そうではなくて、いざというときにどういうふうに対応できるのかということも踏まえた上で放射能調査全体を評価していかないといけないのではないかと思う、この問題の場合、短期的なことで調査が終わるという問題ではないということである。昨今、調査研究について評価が厳しい折ですが、本来の目的を踏まえた評価は適切なことだと思う。質問としては、こういう評価を毎年続けるのか、それとも、ある期間毎でやっていくのか、そのあたりはいかがか。

(事務局) 今回お願いしている評価についてということであるか。

(廣瀬委員) 然り。

(事務局) 平成14年度にやって、頃合い的にという面もあって行うものである。毎年評価というのも考えていないので、今年度はお願いするということにしているが、これを毎年やるということは考えていない。

(宮原委員) 評価自身は単年度でやるということだが、調査研究はずっと続けてやっていただけるものなのか。この研究そのものは単年度限りということなのか。19年度以降はどうなるのかという意味で聞いているのだが、継続されるのか。

(事務局) 基本的には継続である。

(宮原委員) なぜそういうことを言うかというと、我々の世界で、青森県の六ヶ所村の話が、隣県の岩手県では、今、大型クラゲが日本全体に来ているのだが、その大型クラゲに乗って岩手県に放射能をということを言っている某学者もいるわけで、不安がかなり煽られているわけであり、科学的にちゃんとした評価をしていただけるものが継続していないと、原子力施設に対する不信感というのは逆プロパガンダされてしまう可能性があるので、それを払拭させるためにもこれをちゃんと継続してほしいというのが私どものお願いである。

(野家課長) 海洋環境に関する調査につきましては、従来と同じく毎年この検討会で、事業の経過についての評価をしていただこうと思っている。ただ、こういう形ですべての事業についての政策評価みたいなものは毎年ということではなくて、何年かおきに定期的にということである。先ほどの六ヶ所に絡む岩手の海域調査については引き続き、毎年評価をやっていただこうと思っている。先ほど先生からご指摘のあった今回のコバルトの話は、長岡先生に主査を務めていただいた専門家会合で評価していただいて、影響なしということが出たわけであるけれども、その話を自治体等にすると、文科省でやっている環境放射能調査がこんなに高水準のものだと初めて知ったという話がたくさんある。また、アメリカに説明しても、日本の放射能排出の管理と測定については世界一ではないかということで、それだけ厳しい目で放射能調査をやっていることは今まで知らなかった、今回からはそういう厳しい目で見られていることを意識して行動するということを言っていたので、そういう部分も含めて非常に重要な仕事なのだと思う。そういう話があったので、それだけ厳しい放射能調査をやっていることが世間に知られたということであるので、PRも含めてこういう事業の評価とその結果のPRをぜひやっていきたいと思っている。

(長岡委員) 私もひとこと言わせていただく。こういうたぐいの調査は、NDとか0であっても、それは立派なデータになる。これが一点。それから、今、野家課長がおっしゃったように、必要以上に精度の高いこともできるわけである。それがこの前のホノルルのようにいろいろな情報をもたらしている面もあるということで、それをどういうふうにバランスをとったらいいのかというところは大事な点ではないかなと思う。やたらに濃縮して測ればいいと、CTBTみたいに力づくで濃縮して測れば何でもいいかというと、そういうわけではないと思っている。

(木村委員) 今、野家課長からお話があったけれども、一つの例として、宮城県でヨウ素131が出ている。原子力施設からではないという結論なのだが、いまだに11月のサンプルからも出ているということがある。全体の評価は確かに毎年やることではないけれども、海洋放射能総合評価の事業のような報告書の評価はずっとやっていかれるということでそこはよろしいと思うが、調査の狭間になっているような、特に今の例はまさしくそのとおりだと思う。原子力施設のモニタリングでは引っかかってはくるけれども、本質的な情報がないから評価ができない。では、それが異常なのかどうかということについて、モニタリングをやっている我々はそこまでなかなか踏み込むことができない。現実にその海域の海藻からヨウ素131という半減期が短い、今まさに放出されたばかりというものが検出されているということの原因を何とか説明しないと、住民が不安になると思う。そういうボーダーレスのところもこの委員会の中で取り上げていただくということはできないだろうか。

(飯田主査) どうであるか。

(事務局) 今のお話は私どもも承知はしている。ただ、それについて当検討会で評価云々という話になると、今のところ「すぐにやりましょう」というお答えをできる状態にはなくて、私どもは基本的にはその県の方でというスタンスでいるので、結論めいたものはそちらで出していただければということで考えているが。

(木村委員) 体制ができてないことは私も承知しているので、今ここで取り上げてすぐ結論を出してくれということではなくて、今申し上げたように自治体でやっているモニタリングの限界ということもあるので、日本全体としての放射能、放射線の影響を評価する委員会であれば、今のような事例も含めて今後検討対象にしていく姿勢が重要ではないかなと思うが。

(事務局) 検討させていただく。

(飯田主査) ほかにご意見はないか。よろしいか。それでは、評価検討については事務局から説明していただいた方向、手順で、皆さんにご負担がかかると思うけれども、進めさせていただきたいということでお願いする。

(事務局) この案でご了承いただければ、もう既に先生の皆さんにはご連絡させていただいているように、明日、放調発表会があるが、明日の放調発表会では、評価対象にしている課題のうち7課題について発表がある。したがって、明日の7課題についてはヒアリングという位置づけでごらんいただきたいと考えている。残りの課題につきまして、1月中にヒアリングを実施したいと考えております。その後、主査の飯田先生と副主査の小佐古先生、事務局等で調整をして、評価をいただく事業について分担させていただきたいと考えている。その後、先生方からいただいた評価表に基づいて、事務局で報告書の案というか、たたき台のようなものをつくり、第3回目の検討会を開かせていただきたいと考えている。そして、全体的な検討会において、さらにご検討いただき、そこでのご意見等を反映し、最終的に取りまとめをさせていただきたいと考えている。以上である。

(飯田主査) 今のような進め方で評価検討会の開催、それから、内容について、どういうふうに評価していくという説明をしていただいたが、何かご意見等はあるか。

(長岡委員) 明日の7課題というのは具体的にはどれになるのか。

(事務局) 参考資料4の2枚目にプログラムがあって、最初の課題、「海洋環境における人工放射性核種の長期挙動」と、次の「日本周辺海域海底土の放射能調査」、1つ飛んで、「平成17年度核燃料サイクル施設沖合海域の海洋放射能調査」については、前回の第1回の検討会で既にサイクル沖と原子力施設沖については終了しているが、サイクル沖については明日もう一度発表がある。それから、午後の部に入って、最初の「大気圏粒子状放射性核種の長期的動態に関する研究」、次の「大気中の放射性気体の実態把握に関する研究」、その次の「畑作土からの交換態90Srの損失速度と土壌理化学性の関係」。次のページにまいって、2番目の「ラドン濃度測定調査」、その次の「環境における中性子線量率の全国調査」。以上である。

(長岡委員) 8つでよいか。

(事務局) 然り。

(津旨委員) 対象にするしないというのはどういった基準か。もともとの話に戻るが。

(事務局) 明日行う放射能調査研究発表会は私どもが予算措置をしている事業すべてにおいての発表があるわけではない。今申した8課題については予算措置をしている事業ということで評価対象ということである。

(皆川委員) 私は、明日発表するのだけれども、事業内容としては、うちの生産総合研究センターは広範囲に及んでいるので、15分か20分の発表ですべてを語れるものではない。その分は例えば例年の報告書とか何らかの形の成果報告書を参考にしていただけるものと思っている。それから、内容は、参考資料4の内容のところにあるように、放射能調査研究等についての成果を発表し、専門的な討議を行う場ということで解釈していいる。よって、例えば研究機関が行うものについては別に異常値は見られなかったということでは終わらない内容になる。加えて、得られたデータに基づいて学際的な内容も入ってきているし、専門的な内容も入ってくると思う。そういう中で議論をして、皆さんで深めていくということになっている。よって、そういうことを十分ご考慮いただければと思う。先ほどお話があったように、発表会は発表を募集してそれにエントリーするという形になっていて、発表する各機関は日本で非常に積極的に環境放射能調査研究を前衛になって取り組んでいる機関であるというふうに理解していただければ、発表する方も熱のこもった発表をされるのではないかと思う。各機関がやっている部分のトピック的なものであるということで、もっと裾野の広い調査研究をやっているということをご理解いただければと思うので、その点、よろしくお願いする。

(飯田主査) ほかに何かご意見はあるか。

(宮原委員) 参考資料2で14年度の研究で指摘事項があって、それに基づいて是正するということだと思うけれども、1.の(2)の競争的資金を用いて実施すべきというところで、海洋放射能調査関連については一般競争入札を進めることと。なぜ海洋放射能調査だけ一般競争入札になったのか、その辺を教えていただきたい。

(事務局) 海洋放射能調査につきましては、政策的なものというか、予算的なものが大きく働いて。海洋調査物だけが一般競争入札になったというわけではなくて、例えば文科省所管外の法人がやっておられる事業についてはほとんど一般競争入札化という形で動いている。それに加えて、もちろん議論、調整がなされたけれども、文科省所管の事業についても一般競争入札という形で動いている。海洋放射能調査だけピックアップして一般競争入札としたというわけではなくて、横断的な措置、調整の中で、海洋放射能調査について一般競争入札化されたという形である。

(飯田主査) よろしいか。ほかに、先ほど説明していただいた参考資料4以外にも資料があるが、コメントあったら、お願いする。

(野家課長) ちょっと事務局から。今、参考資料2の話が出たので。これは、今回、評価をお願いしているが、それのご参考にしていただいていいような資料かと当方では考えている。この参考資料2は、平成14年度のときに相当詳細な評価をやっていたただいたが、行政としてはそういう報告書をまとめていただいただけで終りにしているわけではなくて、そこで出された提言のうちやれるものについては行政としてやっているということをお示ししようということでつけたものである。よって、今回評価いただいたものについても、さらに何年かかけてそこでの提言内容を予算等に反映させていくというようなものとしてもこの報告書を扱おうということである。

(飯田主査) ほかにはよろしいか。

(木村委員) 蛇足になってしまうが、資料を読ませていただくと非常にいいことが書かれていると思う、この会の最終的な到達点としては、いろいろな部署がいろいろな事業をやって、国全体をちゃんとカバーするようにしてきているけれども、重なっていてちょっと無駄なところがあったり、時代遅れになってしまったものがあったり、逆にぽっかり空白があいている部分があったりすることを抽出して、我が国全体として放射線、放射能に関する問題が起きたときにどこかがきちんと対応できるような形にするというような、非常に理想的な到達点であるが、そんなことを思いながら考えていってよろしいか。

(野家課長) それはそのとおりである。

(木村委員) 了解した。

(成田委員) 明日のアブストラクトというか、そういうものはいただけるのか。

(事務局) お配りする予定にしている。よって、すぐにはお帰りにはならないでいただけるとありがたい。

(成田委員) 予習するのに見せていただきたい。

(事務局) その評価表みたいなのは明日現地でお配りさせていただく。

(飯田主査) きょうの全体の検討会の内容について今まで検討をしていただいたけれども、特に追加のご意見がなければ、きょうの検討会を終了したいと思う。何か追加でお願いはあるか。

(事務局) 第3回目、次回ヒアリング以降の日程については調整させていただく。以上

である。

(飯田主査) では、きょうはこれで終りにしたい。

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担当:高橋、猪狩(いがり)
電話番号:03‐6734‐4040(直通)
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(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)