環境放射能評価検討会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成19年2月14日(水曜日) 10時~17時

2.場所

文部科学省非常災害対策センター(EOC)

3.議事要旨

(飯田主査) それでは、定刻になったので、これから平成18年度第3回環境放射能評価検討会を開催する。最初に、事務局からお願いする。

(事務局) それでは、資料の確認をする。まず、次第である。続いて、資料1「平成18 年度第2回環境放射能検討会の議事録」である。続いて、資料2として「今回の評価対象について」である。資料2-1として「平成19 年度環境放射能調査概要」である。資料2-2として「防災環境対策室環境放射能調査研究ヒアリング状況等一覧」である。続いて、資料3「本日のタイムスケジュール」である。続いて、資料4-1、ここからヒアリングの資料である。資料4-1として、農水省の資料である。続いて、参考資料の1として農水省の補足資料である。続いて、資料4-2として、分析センターの資料である。補足資料として分析センターのパンフである。続いて、資料4-3-1として放医研の資料である。事業名として、「ラドンの低減に関わる対策研究」である。続いて、資料4-3-2として、同じく放医研の事業の資料で、「環境試料中のTc‐99定量に関わるレニウムの影響研究」である。続きまして、資料4‐4‐3として、同じく放医研の説明資料である。事業名は、「沿岸‐外洋域における放射性核種の動態の総合的調査」である。続いて、資料4‐4として、厚生労働省の資料である。続いて、資料4‐5として、環境省の資料である。事業名は、「環境放射性物質監視測定」である。続いて、資料4‐6‐1として、食品産業技術研究機構の資料である。「家畜とその飼養環境に関する放射能調査研究」である。続いて、資料4‐6‐2として、農環研の資料である。放射性核種の農作物への吸収移行および農林生産環境における動態解明である。続いて、資料4‐7‐1として、海上保安庁の資料である。「海水及び海底土の放射能調査」。続いて、同じく海上保安庁の資料である。資料4-7‐2として、「深海の海水、海底土調査」です。続いて、同じく海上保安庁の平成16 年度の放射能調査報告書である。続いて、資料4‐8として、防衛省の資料である。「高空における放射能塵の調査研究」である。続いて、資料4‐9として、文部科学省の資料で、「環境放射能水準調査」である。配付資料については以上である。

(飯田主査) 前回、検討会の議事録の確認をお願いする。

(事務局) 資料の1としてお配りさせていただいた前回の議事録である。お配りさせていただいた議事録については、事前にコメントを反映させていただいたものをお配りさせていただいた。さらに、コメント等がございましたら事務局までお願いしたい。議事録については以上である。

(飯田主査) それでは、次に、議事の2の環境放射能調査研究のヒアリングについて、本日は各事業のヒアリングを行うことになっているので事務局から説明をお願いする。

(事務局) では、資料の2としてお配りさせていただいた、今回の評価対象についてという1枚紙である。前回の検討会においても調査対象等についてはご説明させていただいているところではあるが、今回再度またこういう資料でご説明をさせていただく。今回、検討対象としておるところを目的別に以下の4つに分けてある。海外における核実験等起因の調査研究として、海外における核実験等起因の調査研究については、核爆発実験等に伴う放射性降下物による被害を防止し、国民の健康と安全を確保することを目的とし、昭和36年10 月内閣に設置された放射能対策本部のもとに、関係機関により放射能調査研究が実施されている。こ調査研究では、外国における核実験や原子力関係事故等による放射性降下物の調査及び海洋への放射性廃棄物投棄の影響をモニタリングするための海洋環境調査が行われている。2つ目としては、モニタリングということで、環境中に存在する、天然または人工の放射性物質に起因する環境放射能レベルに関する調査および研究を行い、国民の安全な生活を確保することを目的して実施している。3つ目として、分析確認調査、モニタリングデータの分析精度の維持管理・一層の向上を目的として、クロスチェック、分析手法マニュアルの整備・強化、分析にかかる技術研究を実施している。4つ目といたしましては、原子力艦調査。原子力艦の寄港に伴う放射能測定について、環境の安全を確保するため、政府において放射能調査を実施する必要があるという昭和39 年の原子力委員会の見解に基づいて、文部省において専門家を収集し、原子力艦調査指針大綱及び原子力艦調査実施要領を制定し、これらに則って関係機関と連携しつつ調査を実施する。以上の4つのうち、最後の原子力艦調査につきましては、文部科学省の他に海上保安庁や水産庁が協力して実施しており、本調査の実施については、実施要領に基づき、調査内容は定められているとともに、通常の環境放射能調査と同列に並べて評価検討するべきではなく、見直しについては別途行うこととするので、今回の評価対象には加えないものとする。それぞれの調査は、その性質から単純なモニタリング的調査と各分野における基礎的研究に大別され、各課題についても区別を明確に評価・検討していくこととする。資料2‐1として、以下のとおりの調査研究をしているというところである。あと資料2‐2として、今回行う評価検査のヒアリング状況の一覧ということで、一覧にまとめてある。評価の状況というところで、第1回の検討会で海生研と温水協の17 年度の評価結果、これは測定結果についての評価を検討していただき、多岐にわたるご意見をちょうだいしたので、これに関しては、そのときにいただいたご意見をもとに評価をしたいと考える。ヒアリングの状況として、気象研の2課題、これは、第2回の検討会でやっているとなっているが、ここは第2回というよりは、この次に行った成果発表会で、ヒアリングの位置づけでやったということで、ほかにも何点かそのときの課題として発表されているものもあるが、その研究の一部だけの発表という課題もあったので、そこはまた本日改めてヒアリングを実施したいという整理をしている。資料2関連の説明は以上である。次に実際にこれからヒアリングを進めていくが、各事業のヒアリングについては、1事業質疑応答を含めて、一応15 分を目安に行いたいと考えている。説明等で10 分以上かかるようならば、事務局サイドからお声をかけさせていただく。質疑中でも15 分をオーバーしているようであれば、同じように事務局から声をかけさせていただく。そういうことで進めたいと考えている。各委員の先生方にはよろしくお願いしたい。こちらの判断で、適宜休憩等は入れさせていただく。分析センターのヒアリングにつきましては、9課題あり、ここは3課題終わった段階で、小質疑の時間を設けさせていただくということで進めさせていただきたい。では、最初のヒアリングから進めさせていただく。水産総合研究所さん、よろしくお願いする。

(水産総合研究センター・森田) 水産総合研究所の森田です。12 月の報告会では、水産研究所から日本周辺海域の海底土の放射能水準の調査について紹介させていただいたが、水産研究所の中心的な調査としては、海産生物の調査を行っている。パワーポイントではなくて、口頭で説明させていただく。当調査の目的は、日本周辺海域に生息する海産生物の放射能水準の推移を調査し、その漁場と水産資源の安全性を確認するということを目的としている。資料が煩雑になっており申しわけないです。最初の資料は省略させていただいて、図1と書いた調査対象魚種という資料を御覧になってください。魚の名前がいろいろ書いてある資料ですが、この日本の地図が書いてあって、周りの魚の字が書いてある図、5ページ目の資料を御覧になってください。水産総合研究所は、全国に水産研究所を展開していまして、それら水産研究所の協力を得て、その土地、土地の主要な海産生物を採取し、それらを中央水産研究所に送ってもらい、中央水産研究所で測定しているという次第である。その次の図で示してあるように、過去においては、チェルノブイリの事故時にマイワシ中からセシウム134 の検出やセシウム137 の濃度上昇を検出した経緯がある。次の資料ですが、図中の番号と資料の番号と整合していなくて申しわけないが、次の図はチェルノブイリ事故からのヨウ素131 の濃度変化を追っていった図である。図7では、日本海産のスケソウダラのセシウム137 の経年変化が示してあります。平成12 年度においては、スケソウダラの筋肉中から、高い濃度のセシウム137 が検出された。しかし、翌年からは、正常時の濃度に戻ったということから、一過性の汚染があったのではないかと考えている。その後も引き続き調査を行っている。また、次の図に示してあるようにここ数年、東シナ海産のマダコ肝膵臓からコバルト60、半減期が約5年のものだが、が検出されている。次の図9は、長崎にある研究所の協力を得て、幾つかの場所でマダコを採取し、どの地点でコバルト60 が検出されるかというのを調べたものである。その赤の点で示したところの地点で、コバルト60 が検出されている。日本の沿岸のサンプルでは、コバルト60 が検出されないことから、恐らく日本以外の国での汚染が原因でコバルト60 が検出されていると考えている。その次からの図は、12 月の放射能報告会で報告させていただいた海底土資料ですので省略させていただく。前回、平成14 年度の本ヒアリング時において、深海海産生物放射能調査に関して指摘されたコメントにあったように深海廃棄がもう既に行われないということから、その調査の必要性はないと判断して中止している。しかしながら、日本海深海域においては、旧ソ連・ロシアによる海洋投棄の影響調査を引き続き行う必要性があると考えられるので、海産生物放射能調査の中で、日本海の深海域の生物調査を引き続き行っている。成果の公表に関して、年次報告書を毎年、農水省の方から発行している。前回のヒアリング時において、論文等の公表を行うようにという指摘を踏まえ、外国の雑誌に論文を投稿し、現在、2報が受理されている現状である。以上が、簡単であるが大まかな概略の説明をさせていただいた。

(飯田主査) 質問があればお願いする。

(小佐古委員) 幾つかまとめて質問する。この一番最後のところに、異常時の有無を確認するとともにバックグラウンドデータの蓄積を行うということだが、これを見ると、図2を見ると、マイワシのところ、平成5年、7年ぐらいからもう落ち着いている。これはもういいんじゃないかと。何に特徴を持ってこういうことをやらなければいけないのかという点が1番目である。もうバックグラウンドとしては、蓄積は十分だと言われたときにどう答えるかと。2番目であるが、こういう調査はほかにもやっているわけで、海洋生物環境研究所とか。そういうのと連携しているのか、あるいはそういうのとリンクして議論、意見交換をやっているのかというのが2番目。3番目は、結論のところに、異常値と書いてあるが、異常値というのは一体何と考えられているのか。異常と言われたときに、どういうふうな流れでものを考えられるというふうな仕組みで、これをやられているのか。検出限界というのは、どんどん下げれば、どこでも見えるわけである。原子力発電所とかいろいろあるわけだから、今の検出限界で見れば、これが出たというふうに言われるが、探ればいくらでも出てくるわけである。そこら辺をどういうふうに考えているのか。4番目だが、サンプリングを幾つかやっているが、これには何かの考え方があるかということである。だから、海域ごとにわけられているのか、食生活で見ているのか、何か指標を持ってやっているのかというのが4番目。それから、例えば、ロシアの海洋投棄なども見ていて、こういう話だが、あれは非常に深いところにはまっているので、場合によれば、あそこで頑張ったって見えない。今の検出限界ですれば、見えないということだってある。その種の検討を議論してこういうことを言われているのかというのがその次である。

(水産総合研究センター・森田) 順番に回答させていただく。まず、バックグラウンドに関して、ご指摘のとおり既に濃度がすごく下がっていて、通常の分析では検出限界以下となってしまうサンプルもあるが、図の7に示したスケソウダラのように、突発的に濃度が上がってくるような例もある。我々としては、こういった濃度が急に上がっているものが、存在しないかどうかを確かめるためには、毎年検出されるかどうかわからないけれども、続けていく価値があるのではないかと考えている。

(小佐古委員) それは、スケソウダラ全体がこういうふうに上がっているんですか。サンプリングしたときに偶然に上がったんですか。

(水産総合研究センター・森田) サンプリングしたときに、偶然に上がったというわけでもなく、スケトウダラは複数の場所からサンプリングしていまして、ある特定の場所において濃度が上がったということである。

(小佐古委員) 前の年もあとの年も、同じようなレベルで濃度が上がったのか。

(水産総合研究センター・森田) 前の年は上がっていない。

(小佐古委員) 平成11 年、13 年も。

(水産総合研究センター・森田) 平成11 年も13 年も図に示した低い濃度レベルであったにもかかわらず、平成12年度にスケソウダラを採取した5カ所のうち3カ所の地点だけが濃度が上がって、あと残りの2カ所は前年度の濃度とほぼ変わらなかった。

(小佐古委員) 報告書の中では、そういうことに対して、どういうふうに論及されているか。

(水産総合研究センター・森田) はい。スケソウダラという魚種には系群といって、それぞれが交配を行わない集団が存在している。その一つの集団に汚染があったと考えている。このデータに関して、考察を行ったものを論文として投稿させていただいている。そして、ほかの研究所とかぶっている場所がないかというご質問だが。

(小佐古委員) かぶっている場所ではなくて、意見交換とか、情報の交換とか、それはやられているのか。

(水産総合研究センター・森田) 情報交換は常々行っているところである。あとサンプリング地点や調査がだぶってしまうということを恐れて、我々は他の研究所、例えば海生研に関して言えば、海生研が行っていない外洋のサンプルを中心として調査を行い、海生研の方が、原子力発電所近辺の魚を中心に行うということで、仕分けを行っている次第である。異常値という考え方であるが、これはまた同じ図でもうしわけないが、スケソウダラのようなこういった毎年経年変化を見て、前年の濃度から明らかに上がっている場合を我々は異常値と考えている。これは、一応過去の濃度から、例えば平成12 年度の濃度が過去の濃度から統計的にはずれ値として認められるかどうかということを計算して、それがはずれ値として認められた場合、我々は現在のところ、それを異常値として対処している次第である。サンプリングの考え方であるが、サンプリングに関しては、海域ごとに分けるということと、あと食性の違いを考えている。さらに、表層に生息する魚と底の方に生息する魚において、過去の我々の調査から、例えばチェルノブイリの事故などの場合、異常値が検出される時間に差が出る。そういうことも考慮して、食性と生息域、それは水平の分布と上下の分布を考慮して、サンプリングを行っている。あと魚だけではなく、軟体類等にはコバルトとか銀などが蓄積するということを考慮して軟体類を、そしてヨウ素のことも考えて、海藻をサンプリングの種として入れてあるということである。ロシアの投棄に関しては、固形廃棄物が投棄されたということなので、そこから局所的に濃度が高い放射能が放出されると、何らかの影響が出るのではないかということを懸念しているので、現在も日本海の底生生物を中心とした調査を続けているという次第である。

(久松委員) 図の10、海底土のサンプリングポイントをプロットした図を見せていただくと、非常に色がわかりにくくて見にくいが、各研究所の水域が大体決まっているという形に見られる。この調査の目的からすると、日本全国の漁場の施設周りを除いたところは水産研さんが受けもつというような形になっていると思うが、これは均等に分布しているようには見えないので、サンプリングポイントが足りないのであれば増やすべきであろう。地域別の漁獲高とかそういうものでウェートをかけてポイントを置かれているのか。どういうストラテジーのもとで、このサンプリングポイントを選ばれているのかという点をお聞きしたい。

(水産総合研究センター・森田) 北海道、茨城県などの原子力発電所に近い所で以前は調査を行っていたが、これは海生研さんの方が調査を行うということで、そのさらに離れた地点を中心に調査を行っている。それがまずサンプリングポイントを選ぶ1つの点である。そのほかは、例えば、静岡県の沿岸ですと、水深が急激に深くなっている場所があり、そういうところは放射能がたまりやすいということを考慮して、つまり海底の地形で、すり鉢状になっているような放射能がたまりやすいポイントというのを幾つか挙げて調査している。この過去の調査点というのは、図ではちょっとわかりづらいのですが、黒の点は、その時々において、例えば深海投棄が予定されていた時は、そちらの方の調査を重点的に行っていたということです。現在は、海底地形のデータもあるので、そういったものを考慮して、放射能が溜まりやすいと思われるところを中心に調査を行っている。そういうこともありサンプリング地点が均等になっていないところもある。東シナ海などは、海底が砂状になっていて、サンプリングが困難な場所もあり、そういった場所では、できるだけサンプリングができるところを探しながら、年々少しずつ場所を変えて調査を行っているという次第である。こういったことからも、サンプリング地点が均等になっていない

(久松委員) ちょっとわかりにくいが、参考資料1枚目にあるように、放射能がかかわる食の安全確認・確保というのが大目的であるのだとすれば、砂のところはやらなくてもいいのではないか。もっと漁獲高の高い海域を中心に行われていると、この図に合うのではないかと思うが。

(水産総合研究センター・森田) その目的に合致しているのは、三陸の沖、北海道周辺と日本海であり、そこらでは漁獲量が多いですし、カニなどの甲殻類が採れるので、同じ場所で海底土も取って、その濃度を海産生物中の放射能濃度と比較を行っている。砂地の方のサンプリングを全部やめてしまえばいいという話だが、やめてしまうとなぜやらないのかという質問がでる。できるだけ少しずつだけでも継続していくことが重要ではないかと考え、サンプリングが難しいところも漁業があることですし、そういうことも踏まえて継続している。

(久松委員) 調査を止めるではなくて、例えば、日本海の海洋投棄の話があるのであれば、もう少し日本海で可能性のあるところは濃くやる。私も、素人なのでよくわからないが、日本海と北海道海域の間、秋田沖辺が抜けているような気がする。

(水産総合研究センター・森田) その場所は、水深が急激に浅くなっているところなので、その両端の水深の深いところをサンプリングしている。詳しく言うと、日本海から浅くなって、北海道の小樽沖のところに深部がある。この両側をサンプリングしているが、その真ん中は確かに抜けているというところである。

(事務局) ほかにもご意見があると思うが、とりあえず最初の議題については、ここで終了する。それでは、続いて、分析センターお願いする。

(長岡委員) 1点確認する。今のお話はどちらかと言うと長期にわたる調査研究のレビューみたいな話を伺ったが、今回の評価というのは、全体の期間にわたる話を評価するということか。それとも16 年度と17 年度にわたっての調査についての評価ということか、どちらか。対象期間はどうなのか。

(事務局) 対象期間は、前回平成15 年度に調査検討を行っているので、それ以降今年度までという期間で考えていただければと思う。

(日本分析センター・池内) 日本分析センターの池内である。よろしくお願いする。初めにお話があったように、3つずつご説明する。資料の中に日本分析センターのパンフレットを入れてあるので、パンフレットの方でご説明させていただきたいと思う。パンフレットを開けて4ページから、最初の原資力艦の方は今回の対象としておらないということで、4ページから説明させていただく。4ページの2.ということで、放射能分析確認調査というのがあるが、この調査であるが、(1)の放射性核種分析ということで、全国の47 都道府県に環境放射能の調査をする研究機関があるが、ここと日本分析センターとで、分析確認調査、総合比較分析を行っている。この放射性核種分析の中に、調査の方法として、下の図があるが、試料分割法ということで、各都道府県さんのお取りになった資料を分割して、県と分析センターではかって結果が合うかどうかを確認する。あと横にある標準試料法であるが、これは日本アイソトープ協会の協力を得て、放射性核種を添加したものを各都道府県と分析センターではかって、添加した値に合っているかどうかを確認する方法である。それから、その下に積算線量測定とあるが、これは原子力施設のある県と分析センターでやっているが、積算線量に、そのまま積算線量の測定しているところに分析センターのものを置く、あるいは分析センターが照射する、県が照射する、その値について比較してある。(3)連続モニターによるモニタリングポストであるが、これは各県に分析センターがモニタリングポストを持っていき、横に置かせていただき、値が同じになるか。また、X線発生装置も持っていきまして、これで同じような値が出るかというのを確認する。これらの調査を行うことにより、各都道府県の分析維持向上に努めるとともに、昨年の10 月9日にございました北朝鮮のようなものに、迅速に対応できて、信頼あるデータを文部科学省の方に報告することができると考える。次の5ページ、3.環境試料の放射能分析ということで、こちらの方は47都道府県にそこに書いてある環境試料を採取してもらい、各県の方で、前処理をされて、ゲルマニウム半導体検出器でγ線をはかっておられるので、その後、分析センターにお送りいただいて、その下の図が書いてあるが、各都道府県から送ってこられたもので、分析センターの方で、ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウムの放射化学分析を行っている。これとは別に、トリチウムの分析とか、トリウムやウランなどの自然放射性核種、炭素14 とか、テクネチウム99、ヨウ素129 などを再処理関連核種の分析もやっている。今までの調査結果の例であるが、一番下の図、横軸に年、縦軸に放射能濃度であるが、セシウム137 の降下物の例で、1980 年までは中国が大気圏核実験をやっておったということ高い値になっている。1986 年のピークのように見えるのは、チェルノブイリの影響で、セシウムのピークになっている。それから、3つ目の調査で、ラドン濃度測定調査であるが、こちらの方は、平成4年から10年まで、全国で調査して、大体全国のレベルがわかったということで、平成15 年からは先ほども話があったが、平成10 年9月に文科省の方で、「放射能調査研究にかかる評価検討報告書」というのが出ていて、この報告書に基づいて、ラドン濃度が高いところを調査するということで、平成16、17 年度は、花崗岩地帯を中心に、中国、四国地方をやっている。その結果が、その棒グラフである。最大値は400Bq/?ぐらいに近い値がでておると。この結果は、集まり次第、放射線審議会の方でご検討いただけると聞いている。以上である。

(事務局) ここで、いったん質問を受ける。

(飯田主査) 最初の放射性核種分析の確認調査のところ、都道府県と分析センターということでずっとやられていて、経年的になかなか一定にならない。人が変わるという問題がどうしてもあって、そのあたりは、事業の問題ではないかもしれないけれども、どのように担保していったらいいか。県でも人事異動、分析センターでも人事異動が当然あり、そのときのつなぎのところ、何か手順書みたいなものをつくれないか。

(日本分析センター・池内) それにつきましては、分析確認、分析の精度管理、信頼性であるが、ここは今3つ説明した中には、あとに出てくるが、分析センターの方で研修事業もいただいている。実際に、来ていただいて、分析センターで実習をするとか、あとは文部科学省の測定法シリーズの原案をつくらせていただき、その研修の中では、その原案の測定法シリーズの解説とかをつくって、その3つでよりよいものにしていっているわけである。

(事務局) ほかに何かあるか。

(小佐古委員) ここでやられているお仕事は、委託があってやられているお仕事であるが、だから、さっきの飯田主査の話とも絡むが、分析確認だけではなくて、環境放射能の分析とか、あるいはラドンの方の調査そのほかが、委託のお金が切れれば終わってしまう。そこら辺の、環境の事業というのは、結構、何て言うか、継続性、技術水準の維持というのは大事になるかと思うが、若干本日の評価とは、ズレるところがあるかもしれないが、分析センターとしては、そこら辺の技術水準の維持とか、そういうような点についてはどういうふうな工夫をしているか。もちろんずっと長く文科省がお金を出してくださいというお願いをするというのも1つの方法かもしれないが。

(日本分析センター・池内) 所内では、オン・ザ・ジョブトレーニングということで、上級者と新しい人で、2人で現場で分析していて、技術の伝承を行っている。また分析センター自身のデータの質がどうかということについては、パンフレットの13 ページにはIAEAが2年に1回ぐらいであるが、放射能濃度がわからないものを世界の各研究機関に配って、その結果を求めてくるのがある。こういった国際相互比較分析プロジェクトに私どもは参加して、データが合っていることを確認するとともに、手前味噌だが、ISO9001と17025も取得して、日本分析センターの分析の質の保証に努めておるというところである。

(事務局) ほかにないようなら、次の課題を。

(日本分析センター・池内) 続いて、4つ目、7ページ。5.の中性子線量率水準調査ということで、これはJCO事故のときに中性子が出たということで、環境の中性子をはかる技術を確立しようということでやった。平成12 年から17 年にかけて全国調査を行って、その結果がその日本地図である。太陽活動の影響を受けて変動するため、北の方が高く、南の方が低い。さらに、その下の図で、分析センターにおいて、中性子定数率の変動を見ておるということである。それから、次のページであるが、6.の食品試料の放射能調査と、これは1986 年、昭和61 年のチェルノブイリの事故の後、日本では当然海外から輸入される食品が多いということで、調査を続けてきている。その結果については、文部科学省の「日本の環境放射能と放射線」で、公開されていて、広く一般の方に、ご利用いただけるようになっている。今までは、チェルノブイリを対象にしておったが、徐々に、レベルも減ってきているということで、近いうちに中国の方では、原子力発電所が次々建設されるということもあるので、そちらに軸足を移してもいいのかなと考えている。次のページ、7.の大気中放射性希ガス濃度の全国調査である。この中身は、クリプトンの調査であり、イギリス、フランスで再処理が行われていることに伴い、また日本でも大型再処理が稼動し始めるということに備えて、クリプトンのバックグラウンドを把握するということである。この調査について気象研究所さんの方で長年やっておられ、分析法を確立されたということで、それを今年度から引継ぎ、分析センターで、今、北海道の札幌と東北の秋田、さらに日本分析センターの千葉の3カ所で1週間ずっとそのクリプトンの値を求めてバックグラウンドの影響を見ている。ちょっと余談であるが、このクリプトンとキセノンはよく似ているので、この捕集の方法は、北朝鮮で問題になったキセノンもこの捕集については全く同じにできる。分析の工程があるが、ここを少し変えれば、キセノンも測れる可能性があるということである。以上である。

(事務局) ご質問をお受けする。

(長岡委員) クリプトンのバックグラウンドというのは、地上のγ線線量率であれば、そんなにレベルが変わるわけではないので、バックグラウンドというイメージはわかるが、クリプトンのバックグラウンドというのはどういうふうに考えたらいいか。今までかかったものはここからここまでの範囲であったということにあるのか。それとも何らかの指標か何かと比べてということか。その辺のご意見は。

(日本分析センター・池内) 私どもは、今年度からなので、長年はかっておられた気象研さんのデータを見せていただくと、やはりイギリス、フランスで再処理が動き始めてから徐々に上がってきている。さらに、今、青森では再処理アクティブ試験をしているので、そのときに千葉の分析センターの方でもその影響は見られる。今現在のバックグラウンドは、1.5Bq/?だが、風向きにもよるが、青森県で再処理のアクティブ試験をしたときの影響があったと思われるときには、バックグラウンドの3倍ぐらいの値になっておる。そういう変動も見られるということである。

(長岡委員) 空気中の濃度なので、風向きだとかいろいろなことにかなり大きく左右され、そうするとあるバックグラウンドだということを提案したとしても、それが本当に指標なのかというと、実際に異常があったかどうかの判断基準に直接なりにくい。そこら辺はどうなのか。

(日本分析センター・池内) それはあくまでも、日本におけるバックグラウンドを調べるものであり、原子力施設に異常があったかどうかということについては、青森県さんとか、事業所である日本原燃さんが調査をしているので、その調査と区別してやっておるということである。

(津旨委員) 6番の食品試料の放射能調査のところであるが、魚介類ということで、ひと括りで書いてあるが、これはどういうものを対象にしてこういう値を出しているのか。魚介類の中で、魚とかカニ、甲殻類とかではかなり違ってくるとは思うが、日本か海外か、その辺の情報を教えてほしい。

(日本分析センター・池内) 魚介類は、これは摂取量の多いものから取っている。マグロとかサバとか、そういったものである。ここはちょっと代表的なものにしているので、もっと詳しいのもある。中身については、「日本の環境放射能と放射線」ですべて見られるようになっている。

(津旨委員) 日本の一般のスーパーマーケット等で買えるものを網羅するという、そういう方向性は。

(日本分析センター・池内) 輸入量の多いものからという形で、今おっしゃったようにスーパーで売っているものと一緒になる。

(長岡委員) 中性子、これは緯度と高度で整理すれば、きれいな相関が出るはずであるが、データとしてあるのか。

(日本分析センター・池内) はい。その図もあるので、またお見せしたい。

(木村委員) クリプトンの調査で確認したいが、先ほどもお話があったように、地球規模でのバックグラウンドの把握ができるということと、やはり気象条件によっては、六ヶ所再処理工場の影響も見られるという、両方の調査結果が出てくると思うが、非常に低いレベルでの測定なので、今まで一般の測定では見られないような施設の影響が把握できるが、その辺をどんなふうに評価していくのか、評価の仕方によっては住民が不安になることもあろうかと思うが、その辺の評価の仕方についてお考えをお聞かせ願いたい。

(日本分析センター・池内) 私どもは、この放射能の濃度をはかるところがメインであるので、今おっしゃいましたように線量評価までやるかどうかということで、ただ今申しましたように、1.5 Bq/?が4.5 Bq/?になっても、線量評価したところは我々には影響のある量ではないというのは明らかであるが、その辺、今ご質問に対する、私どもは報告書をやらないといけないので、その評価のところについては、また文部科学省とご相談させていただきたいと思う。

(飯田主査) クリプトンのことで、測定値の質はどのように保証されているのか。

(日本分析センター・池内) これは、毎週月曜日に、値のわかったものがあり、それを毎週はかって、それをチェックしているというのが1つである。あと気象研さんもやっていたが、クリプトンとかキセノンもはかれるドイツの国の研究機関があり、こちらの方と相互比較分析をやっている。この間やったところ、非常によく一致していた。

(久松委員) 食品中の放射能濃度を網羅的に測定し、整理されていて、非常にありがたいデータである。ちょっと気になったのは、内ばくの線量が、これまで言われておるような0.3 とか0.4 から一気に0.9 幾つに上がっている。この原因として、ポロニウムが上がっていることであることはわかるが、今までのデータがなぜ低かったのか。今回分析センターがやっているデータが正しいとすると、この違いの原因は何か。

(日本分析センター・池内) そこについては、魚の中に、青い魚のサバとか、イワシとかの、あの血合いという茶色いところがあるが、これが結構ポロニウムの濃度が高い。それを食べたからといって、どうということはないが、このポロニウムの分析というのは、非常に難しくて、過去にはあまりやられてこなかった。最近、私どもでは、こういうポロニウムの分析をやって、そのポロニウムのデータが蓄積したことで内部被ばくの計算をしたところ、今、委員がおっしゃったように食による内ばくが0.3、0.4 ではなくて、0.9 ぐらいあるということがわかった。ただ、それは、急に増えたというわけではなく、昔の人も同じように、サバとかイワシは食べていたわけだから、ポロニウムの分析をしていなかったので、たまたま低めの値になっていたということで、実際に昔から本当は0.9 ぐらいだったのではないか。ただ、それは、急に増えたというわけではなく、昔の人も同じように、サバとかイワシは食べていたわけだから、ポロニウムの分析をしていなかったので、たまたま低めの値になっていたということで、実際に昔から本当は0.9 ぐらいだったのではないか。

(事務局) ほかにはないか。では、最後のところをお願いする。

(日本分析センター・池内) では、10 ページの環境放射線データ収集・公開ということで、先ほどの食のところでも少し触れたが、「日本の環境放射能と放射線」というところに、日本分析センターのデータだけではなく、文科省とか関係省庁、47 都道府県のデータすべてがここに入っている。この収集と公開を私どもやらせていただいている。このデータにつきましては、都道府県にご利用いただき、皆さんのテータのまとめとかによく使っていただいているということである。それから、次の11 ページであるが、その写真の中に、文部科学省の測定法シリーズというのがあって、その下に今全部で32 冊、ほとんどの分析法のマニュアルがあるが、これに対する原案を日本分析センターの方でつくらせていただいている。それから、12 ページであるが、11.として環境放射能分析研修事業ということで、分析センターの方では、各都道府県の分析担当者に来ていただき、実習に重きを置いてやらせていただいている。一番最初にご説明した分析確認調査と前のページのマニュアル、それからこの研修のこの3つで、分析精度の管理をやっている。こういうことによって、各都道府県さんの平常時のデータの信頼性が維持向上できる。さらに、北朝鮮のような突発的な放射能調査に全国レベルで信頼あるデータを提供できるということになろうかと考える。以上である。

(廣瀬委員) 今、放射能関係では、大学等で教育水準が落ちてというか、少なくなっているという現状があるので、特に、分析センターで研修内容について、今後充実を図っていかないと、日本全体の水準が落ちてしまう。先ほどご紹介があったように、ISO とか、いろいろな形で、水準を高めるように努力されているが、その辺も加えてよろしくお願いする。

(日本分析センター・池内) 了解した。

(木村委員) 先ほどの分析確認調査にもあるが、我々は、地方自治体で人がどんどん変わって、うまく行かなくなっていくことがある。普通に今までどおりのマニュアルでやっていても、なぜかデータがおかしいということがあり、そのときに分析センターの技術支援という制度が非常に役に立っており、実際にその場に来てもらって、何が悪かったのかということを一緒に考えてもらい、そのときに技術指導までしていただける。このような制度を非常にありがたいと思っておるので、今後も充実させていただきたいというふうに思っている。

(日本分析センター・池内) 了解した。4ページの一番下に書いてあって、説明はしなかったが、ぜひ今後も続けさせていただきたいと思う。よろしくお願いする。

(事務局) ほかにはあるか。

(木村委員) 測定法シリーズのところで、これは文部科学省さんにもお願いをしてきたところであるが、本当に必要なもの、もちろん今までも全然必要なものをつくってきていただいているが、だんだん整理が文部科学省さん、分析センターさんの方では整理を始められているということは聞いている。ただ、これからこんなふうな分析方法が必要であるとか、あるいは分析法とどまらず、その結果をどう評価したらいいのかという、我々モニタリングする人間が必要なマニュアルについての必要性の検討がなかなかきちんとした形ではなされていないように思う。個別に分析センターさんの方にお願いをして、それを立ち上げていただくようなことが今までのやり方だったが、それをできれば定期的にきちんと行えるような体制をとれればなと思うが、その辺はいかがか。

(日本分析センター・池内) 私の方からでよろしければ、確かに、ここにある測定法シリーズは、分析法のことだけが書いてあって、そのデータの評価云々については、私の知る限りでは、原子力安全委員会の方から出ているモニタリング指針というのがあって、その中で、平常幅、変動幅はこんなんだといろいろあるが、それは指針なので方向性しか書いてないので、そこを一歩踏み込んで、より具体的な評価、データの評価を記載した測定法シリーズをつくるというのが1つではないかなと思っている。それはまた検討する必要があると思っている。

(事務局) 事務局からであるが、そういう具体的にご要望があれば、実際自治体等の集まり、そういう場でもきちんと要望していただき、こちらもそれを検討して、必要なものはマニュアルを整備していくということでやっていきたいと思うので、引き続きご意見があればよろしくお願いしたい。

(久松委員) 食品試料の放射能調査の今後であるが、資料を見せていただくと、中国からの輸入食品に特化されるという形で、国内のものはもう調査されないと理解してよいか。

(日本分析センター・池内) 主に、中国からの輸入食品を対象にしてはどうかと考える。国内は、必要があればそれはやらせていただきたい。

(久松委員) その点で1つお願いがある。実は、再処理周りというのは、非常にトリチウムのレベルが上がると目されている。中国というのは大陸性の気候であるので、トリチウム濃度が比較的高い。トリチウムの分析をぜひ加えていただけると、バックグラウンドデータとして非常に役に立つと思うが、ご検討いただければ幸いである。

(日本分析センター・池内) 細かい話で申しわけないが、来年度からは分析センターで再処理に係るトリチウムはやらせていただくことに今の予定ではなっている。今、委員がおっしゃったように、もっと海水とかいろいろなものをやらせていただければと。

(久松委員) いや、そっちではなくて、食品の話である。青森では恐らく食品中にトリチウムが検出される事態に遅かれ早かれなると思う。そのときに、比較データとして、中国の大陸からの輸入食品のデータが、そもそも日本の4、5倍の濃度があるので、対象データとして使えるために、トリチウムの分析をということである。

(日本分析センター・池内) 了解した。魚の中のOBTとかそういったもの。今も、ちょっと若干委員会から委託をいただきやっている。分析技術はできておるので、またその辺は文科省の方にお願いしたい。

(防災環境対策室・木野室長) トリチウムの半減期はどのくらいか。

(廣瀬委員) 12 年。

(防災環境対策室・木野室長) 再処理周りとか、国民の関心の高いところなので、可能な限りやっていただきたい。

(事務局) ほかにはあるか。

(飯田主査) 学術会議で報告書でもらったが、その中であげたのが、トリチウムと炭素14、それからヨウ素の129 とクリプトン85 ということですので、炭素の14 も検討対象に加えて欲しい。

(日本分析センター・池内) 了解した。炭素も質量比構成とか、分析センターが確立してございますので、やれる方向でお願いしたいと思う。

(廣瀬委員) 食品ですけれども、中国をターゲットに置いているとみられる。確かに輸入量も多いし、しかも今後多分原子力発電とか、かなり大規模になるのではないかと。それで、中国の環境放射能のデータがはっきりしていないという情報もあるので、ぜひその点は注目して進めていっていただきたい。

(日本分析センター・池内) 了解した。

(事務局) ほかにはあるか。なければ、分析センターの質疑についてはこれで終了させていただく。続いて、放射線医学総合研究所の方からお願いをする。

(放射線医学総合研究所・床次) 資料の配付とパーポイントの設定がある。

(事務局) 20 分まで休憩とさせていただく。

(休 憩)

(事務局) それでは、20 分になったので、放射線医学総合研究所さん、お願いする。

(放射線医学総合研究所・床次) 放射線医学総合研究所、床次。よろしくお願いする。座って説明させていただく。放医研の放射能調査研究の一環としまして、私はラドンの低減に関わる対策研究ということで、説明させていただく。まず、この事業の背景について簡単にご説明させていただく。これまでの放射能調査研究に対する見直しが平成14 年から15 年にかけて行われた。そこで、ここにおいては国民の安全を確保し、安心感を醸成する調査研究として、自然放射能に対する取組みの重要性が示されている。参考資料でいただいている放射能調査研究にかかる評価検討報告書の中にもそのような記載があった。一方で、国際的な状況を申し上げると、国際放射線防護委員会、ICRPによる勧告がある。これにつきましては、ICRPのPubl.65 は「家庭と職場におけるラドンに対する防護」というものが1993年に敢行されている。最近ですと、新勧告というものが今まさに世の中に出ようという状況であり、この中でもラドンの線量影響値というものが記載されているところである。欧米では、ラドンの対策レベル、ICRPの勧告ですと200 から600 Bq/?というものが既に導入されている。こちらの200 から600 というのは家屋内のものである。最近であると、世界保健機関、WHOによる国際ラドンプロジェクトというものが進行しておりまして、このプロジェクトは、ヨーロッパや北米での疫学調査の結果で、対策レベル以下のラドン濃度でも肺がんの発生に優位性を見い出している。これは、2004 年、2005 年の論文が出ておるところである。このプロジェクトの中でラドンは、地球規模の疾病負荷、GlobalBurden of Disease ということで、そういう位置づけにしまして、世界的な規模でラドンの低減にかかる取組みがなされているところである。2005 年1月に第1回目の会合が開かれ、今年12 月に最終的な報告書がまとまるということになっている。3月には第3回目の会合が開かれる予定である。この事業の目的だが、ラドンによる被ばくというものは、公衆が受ける自然放射線源による被ばく線量で、かなりの部分をしめるということは世界共通の認識である。一方で、我が国では、平成15 年6月にラドン調査等専門家会合において、ラドン調査等の今後の進め方についてという報告書がまとめられた。その中で、従来のラドン濃度の水準及び線量把握する調査の段階から、ICRPの勧告を踏まえたラドン対策のための基礎調査に移行することが妥当であるというふうにそこでは記載されている。本資料では、我が国の今後のラドン調査の基本方針、計画の1つである「わが国の建屋の特性を踏まえた低減化の方策及びその効果を明確化するための調査」と位置づけて、わが国の住宅構造に適した効果的な屋内ラドンによる被ばくの低減法を確立することを目的としている。本事業の概要だが、高ラドン濃度が見い出された家屋を含む地域について、住居内の高ラドン濃度化の要因分析。こちらでは、ラドン散逸率の調査。続いて、被ばく形態の把握ということで、こちらは、実際のラドンそのものは被ばくの原因とはならず、その壊変して生成された既存核種の評価を行うということである。それらを踏まえ、低減化方策を適用し、効果を検証するということになる。さらに加え、これらの測定値の品質保証ということで、海外の機関での校正実験の実施をしているところである。

(事務局) まず、「輸入食品中の放射性核種に関する調査研究」、厚生労働省さん、お願いする。

(厚生労働省・寺田) 国立保健医療科学院の寺田であるが、よろしくお願いする。まずは、こちらの説明の前に、前回のヒアリングのときに、データ、報告書等を形にまとめた方がよろしいとのご指摘があったかと思うが、それを受けてというわけではないが、こういった形で、諸外国産輸入食品の放射能濃度、2000 年から2003 年ということで、論文に提出したのでまずご紹介する。今回の輸入食品中の放射性核種に関する調査研究についてご説明申し上げる。特に、パワーポイント等を用意していないので、お手元の資料の4-4に従って説明させていただく。目的だが、平常時における食品中の放射性核種のモニタリングを行い、食品の放射線安全を確認するとともに、放射線緊急時における国民の食品に対する安全・安心の確保のための健康危機管理体制の整備に資することを目的とした。前回も、輸入食品の放射能濃度という調査をやっているが、今回は特に健康危機管理体制ということを念頭に置いて、研究を行うこととした。必要性だが、JCO臨界事故以降、国、地方自治体等は原子力防災の仕組みを見直し、法令や放射線緊急時への対応を整備するとともに、防災対応の施設・設備の整備や訓練・研修の充実などを進めてきている。具体的には、原子力安全委員会の方で、放射線緊急時における食品、あるいは飲料水の基準値というものを定めている。他方、近年の国際情勢により、近隣諸国の原子力関連施設における緊急事象等、さらには核・放射線テロ等の発生が憂慮されている。例えば、昨年北朝鮮によって、地下核実験等があり、あるいは中国では今後20 年間で、原発を、具体的な数字は忘れましたが、原発を多数建設すると言われているので、そういったことに対応できる体制を整えたい。わが国は、カロリーベースで、国民総食料需要量の約60%を輸入食品に依存しており、国別の輸入重量で近隣諸国の占める割合は少なくない。これらのことを踏まえ、輸入食品、特に近隣諸国産を中心に、その放射能濃度と分布特性を把握し、摂取に伴う被ばく線量の推定・評価を行うことは、放射線緊急時への対応の上で重要であると考える。実施の経過及び成果の概要だが、今年度からスタートすることで、こちらでお見せできるデータがないが、とりあえず経過の方についてご説明したい。本調査研究では、対象食品を輸入食品監視統計、これは厚生労働省で行っているものだが、こちらで近隣諸国からの輸入が多いものとして、農作物、畜産物、海産物等について、ガンマ線スペクトロメトリ、並びにウランの分析をICP-MS法により実施、さらに、必要に応じて放射性ストロンチウムを公的分析機関に依頼して、総合的に食品の安全性についてリスク評価を試みる。皆さんのお手元にあるかどうかわからないが、平成18 年の輸入食品放射能調査研究計画というリストを作成したが、お手持ちにないので、口頭で説明する。品目としては、キノコ類、アサリ、ウニ、シジミ、カニ類、カツオ、マグロ、サバ類。野菜漬物、麦類の粉、あとその他という分類で、対象国としては、キノコ類であれば、中華人民共和国、カナダ、大韓民国となっている。対象品目については、先ほど申し上げたように輸入統計等をもとにして、輸入実績上位の3カ国で、各品目について、5検体、実施した。上位2カ国については、2検体。3番については、1検体というような形にした。先ほど出た近隣諸国の説明だが、具体的には中国、韓国、台湾、ロシアとなる。先ほど申し上げたように、平成18 年度からの実施ということで、実際にヒアリングを行ったのは、平成17 年度となるが、このときは北朝鮮というのも考えていたが、しかしながら、皆さんご存じのように、北朝鮮産の輸入食品は今輸入されていないので、先ほど申し上げた4カ国での調査とした。平成19 年度以降は、対象食品として、近年摂取量が増加する一方、健康被害の事例もある、いわゆる健康食品も調査対象として加えた。いわゆる健康食品とは何かということだが、食品の中に、健康増進するのに効果があるとされている食品があり、それを厚生労働省の方で、保健機能食品として認定する制度があるが、それ以外に、例えば売り手であったり、業者の方が勝手にといったら語弊があるかもしれないが、健康にいいと言って、売っている商品がある。そういったものも健康食品とここでは言うことにした。この健康食品で、何が問題になるかということで、先ほどの健康被害というものもあるし、あとは個人輸入が結構多いということもあり、そうすると検疫所を介さないでダイレクトに消費者に入ってしまうということもあり、実際の安全性について、そういったデータがないというのが実際である。また、健康食品の性質上、毎日、ある一定量を摂取し続けるということになるので、そういった観点からも健康食品について、放射能についてもその濃度実態を把握する必要があると考える。これらの結果を健康管理対応のための基礎資料としたいと考えている。今後の予定だが、平成18 年、19 年度のデータを検討後、対象食品等を見直しして、さらに調査研究を継続・実施する。本調査研究は、平成21年度までとする。以上簡単ですが、説明とする。

(事務局) それでは、ご質問等ございましたらお願いする。

(長岡委員) 18 年度についてはまだ測定もしてないということか。

(厚生労働省・寺田) なかなか資料の入手について、厚生労働省の検疫所業務管理室というのがあり、そこを介してということを考えていたが、調整等に手間取り、入手がようやく始まったような状況である。

(長岡委員) 最後に、健康食品の話があったが、一般的に健康食品はそんなにお腹にたまるほど食べないが、つまり非常に微量なので、そこまでやるのが本当に適正かどうかという議論はきちんとされた方がいいかと思う。

(厚生労働省・寺田) その辺も踏まえて検討したい。

(小佐古委員) これは、何をやりたいのかがよくわからない。今おっしゃったように、研究所はいろいろなものを抜き取りしてはかったりいろいろしているが、こういう健康危機管理体制の整備に資するとか、放射能の安全を確認するとかと書いてあるが、一体、何がビジョンなのかがよくはっきりわからない。だから、適当に測って、これで成果というならば、あえてお金を使ってやる必要もないし、そういうデータはいろいろなところにある。この事業の計画の中に、今、説明していただいた検疫所とどういう関係になって、どういうデータのやり取りがあって、管理体制の整備に資すると書いてあるが、どういう管理体制を目指して何をやるのかがわからない。もちろん、今年からスタートということだが、我々の感覚からすると、1,000万円もお金をもらっていて、何もないというのは、どうなのかというふうに思う。

(厚生労働省・寺田) ご指摘のあった検疫との関係ということからご説明したいと思うが、こちらも恐縮だが、チェルノブイリ原発事故があり、それから検疫所の方も輸入食品の放射能をはかることになったが、あくまでも欧州産の輸入食品が対象だった。前回の輸入食品の調査研究というのもそうだったが、検疫所と違って、ヨーロッパ産に限らず、諸外国産の輸入食品についてはかるというのがまず目的にあり、あと今回はご指摘にあったもの、それに加えて、健康危機管理体制の整備ということで、特に近隣諸国等で原子力関連施設で、事象等が発生するのかとか、あと先ほど言った北朝鮮の核実験、そういったこともあったので、とりあえず平常時における値というのはどうなのかと、それを把握したいというのがあり、今回の研究をした。

(小佐古委員) そういうふうにいろいろ口にされるのはいいんですが、もう既に長い経験があって、平常時にはどういうふうに出てくると。どういうふうに汚染するとしたらこうなる。非常時のときにもこうなるというようなさまざまな情報は持っているわけだから、もう少し具体的に、こういうときにこうなるとこういうふうにやると。場合によると、ここでは書いておられるけれども、そんな感度は持ってないと。サンプリングを今の100 倍ぐらいをやらなければわからないということだってある。既に、机上の計画の段階でわかるかもしれないと思う。そこら辺はどうなのか。何か何となくはかってみましたという計画にしか見えないと言われたときにどう答えるか。

(厚生労働省・寺田) 具体的に、核種で言うと、ガンマ線核種につきましては、人工で出るとすれば、セシウムだが、これで大体輸入食品では、キログラム当たり、0.1 ベクレル以下の範囲に収まっている。

(小佐古委員) 例えば、セシウム137 が、通常は、この種の食品のこういうところにあり得るから、こういうものにターゲットを絞って、何かをやるとか。キノコが高いというのはみんな知っているから、キノコ、キノコと言うのはいいが、そのほかのところが全然計画のビジョンが見えないというように思える。

(厚生労働省・寺田) ご指摘のことを踏まえ、もう一度チェックをする。

(久松委員) 分析センターでも似たような説明を聞いており、それとの違いを明確にする必要があると思う。それから、そこに比較する対象としてウランが入っているが、なぜウランなのか。

(厚生労働省・寺田) これは、原子力関連施設の緊急事象等というのを念頭に置いていましたので、ウランが放出されるであろうと考えた。

(久松委員) そういう説明だと、ウランはつらいと思う。

(廣瀬委員) 先ほどお話が出ましたように、私、目的がはっきりしなくて、厚生労働省さんの立場として、どういうのを目指すのかということがちょっと欠けている。いろいろ書いてあるけれども、核種放射線だというのなら、この間あったように、ポロニウムが使われたとすると、ポロニウムは簡単には分析できない。そうすると、一体どこを目指すのか、過去のチェルノブイリだけではなくてというところでもう少し考えていただきたいと思う。それから、いわゆる健康食品となると、ひょっとして天然の放射性物質が高濃度で含まれている可能性があり、そうすると一体どういうふうに幅広にしていくのか、最初の目的を達成するためには、そのあたりちょっとクリアにして、どういうターゲットで今回はやるということをしていかないと、チェルノブイリはまだ残っているが、将来を見据えて、どういうターゲットにしていくか考える必要がある。

(厚生労働省・寺田) 先ほどのウランをどうしてという説明だが、原子力安全委員会緊急時における食品と飲料水の摂取制限について、核種としてプルトニウムとウランというのが盛り込まれている、そういった意味合いがあってウランを今回はかるということである。

(飯田主査) 今、私が聞いていて目的が曖昧であるということと、あと21 年度まで予定されているのは、当然目的のところで何年になりますというのを出されるのが本当は適切ではないかと思う。19年度以降は、対象食品を増やしてみてはどうか。

(厚生労働省・寺田) 一応、輸入食品中の放射性核種に関する調査研究全体計画ということで、資料を用意したつもりだったんですが、皆さんのお手持ちになくて失礼した。こちらで平成18年については、近隣諸国、年間35 試料、ほかの国について15 試料。平成19 年度以降については、近隣諸国を35試料、ほかの国の15試料に加えて、健康食品、年間60 試料と考えている。先ほど皆様方からのいろいろなご指摘等もありましたし、こちらで手持ちのデータが出てから、一応見直す点も出てくるでしょうから、平成20年以降についてはまたそれを踏まえ、対象食品としたり、対象食品の数等も検討していきたいと考える。

(事務局) いろいろご意見が出たので、その意見を踏まえ、平成19 年度の調査研究を進めていっていただきたいと思う。それでは、続いて、環境省さん、環境放射性物質監視測定、よろしくお願いする。

(環境省・金山) 環境省の金山、よろしくお願いする。お手持ちの資料でお話する。事業につきましては、この裏の方に地図を入れたが、全国12カ所にある測定所、ちょっと先になるが、12 年度から始めているわけだが、この12カ所については、私どもの測定所があるが、そこの建物を使ってやっている。そこで自動観測装置で、放射性物質を日々観測しているということとあと大気浮遊塵、あと降下物、雨、陸水、土壌、これで核種分析を行っている。それで、核種分析については、※2に書いておきましたが、ストロンチウム90、セシウム137 の放射化学分析とガンマ線スペクトロメトリを行っている。大気浮遊塵につきましては、全測定所で行っている。これはろ紙についたもので測定している。あと雨水については、利尻、佐渡、隠岐、五島。陸水、土壌については、3グループに分けまして、4カ所でローテーションでやっている。根拠については、環境省設置法の第4条第22 号チに、放射性物質に係る環境の状況の把握のための監視及び測定に基づき、この連続測定装置によるモニタリングと先ほど来申し上げておる核種分析を行っている。事業開始年度は12 年度だが、これは、省庁改編の年から始めている。環境省になったときから始めている。ちょうど7年間継続した。その法律に基づき、放射性物質の濃度の変化を監視するということが必要性の1番。もう1つは、国内外で、原子力災害が発生したとき、影響を把握するということで、その情報を実行するためにやっている。緊急性については、そのような実施理由であるので、特段急ぐということをする項目を増やすといったようなことを行っており、直近では、北朝鮮の問題があった。今年度、システムを一部改良しており、今、測定結果を送られてくるデータについては、24 時間分、まとめて送られてくるようになっているが、より緊急性に対応しようということで、この4月を目処に今年度中にシステムの改良を終えて、4月から1時間に1回、データが送られてくるような改良を今進めている。効果については、そこに書いてあるように、自動測定データや環境試料の核種分析結果から、各測定所における平常時の放射能レベルやその変動パターンを把握することができる。事業内容と結果の公表について、測定データについては、昨年10 月からホームページで公開を始めたところである。こちらについては、1日遅れになっているが、その遅れている部分は、データのチェックを入れている部分である。先ほどから、システム開発の話をさせていただいているが、その中で、もう1つ、私どもで年2回、有識者の方にお集まりいただき、データの検討会を開いている。その検討会の終了を受け、確定値としている。ホームページに出ているのは、速報値ということで、1週間分、ところてん式に消えていっているわけだが、一番新しいのは前日で、1週間前まで。7日分のデータが常時出ているわけだが、確定行為をその検討会で行い、そういったものをインターネット上でも公表するという準備を今進めている。これもこの4月から公開する予定にしている。以上である。

(事務局) それでは、ご質問等お願いする。

(長岡委員) どういうモニタリングをやっているかと、気象観測データはお取りになっているのか。

(環境省・金山) 気象データも観測しており、ホームページ上で公開している。

(飯田主査) 必要性のところで、国内外で原子力災害が発生したとき、その影響を速やかに把握すると書かれているが、12 件でもよろしいのか、もう少し増やして、安心を強めるという主張はされないのか。

(環境省・金山) さっきちょっと言い忘れたが、7年間、やっているということで、測定器もそろそろリプレースの時期に来ている。それで、今、先生がおっしゃったように、確かに12 地点だと寂しいというのが、ある意味、私の心の中には個人的にはあるが、今、これのランニングコストが、年間1億円ぐらいある。それで、増やせば、それだけ当然お金がかかるわけで、まずリプレースの問題も頭にあり、答えになってないかもしれないが、ちょっと悩ましい話で、そういう意味で、予算がなかなか取れない中で、憂慮していかなければいけないという状況である。地図をごらんになっていただければおわかりになると思うが、主に大陸の方に向けて、日本の西側の方に置いてあるところであるが、そんな状況である。

(木村委員) この調査は、文科省さんが所管している放射能水準調査と似たような部分があるかと思うが、その分析測定方法で、その辺の整合とかというのは図られているか。

(環境省・金山) 文科省の、正確には覚えてないが、測定方法の、それに基づいてやるようにやっている。

(廣瀬委員) 今、水準調査の話があったが、ただ単に水準調査であれば、環境省さんだけではなく、各省庁サイドに、いろいろある。そうすると、日本を総合的に見るという観点で、その一端を担ってというか、ある程度ネットワークみたいな形で見るという方向性は考えているのか。それとも環境省さんはある程度独自で調査して、それを独自で公開するのか。

(環境省・金山) これを公開したのが、昨年の10 月からというのがあるが、インターネットの特質でリンクというのが、先生方ご承知だと思うんですが、そういったもので今は環境省の専門のホームページから分析センターさんがつくっているリンクのページに飛ばして、そこでまとめて見られるようなので、とりあえずは手当をしているところだが、文科省さんの方の水準調査の方のこととは直接お話ししたことないので、そういったことができればよりいいのかなと思う。

(久松委員) 当然、全部一括して、どこかで解釈しているのだと思う。文科省さんに全部データが集まって、公開していると思っていたが、違うのか。

(環境省・金山) 失礼した。先ほど1時間に1回とか、24 時間分まとめてというお話をしたが、昨年の前半まで随意契約で、日本分析センターでやっていた。それで、昨今の随契問題に絡みまして、昨年後期からは入札でやりまして、引き続き日本分析センターがバックアップしてやっている。ですから、データは、19 年度のデータの集約も当然あるわけだが、近々に入札公募になる予定である。従って、どこに、頼むかはわからない。

(久松委員) そういうことではなくて、水準調査のデータとほかのデータとを全部まとめて、文科省さんが一括して、どこかできちんと評価をされているかという。そのためのハードウェアは、揃っているのか。

(廣瀬委員) その種のものをどうするかというのは、15,6年前に議論があって、日本分析センターの方に総合化データベースというものがつくられている。公開されたケースがないから、オンラインのものを比べるということは、評価済みの結果を比べると。全部でたしか270 万件ぐらいのデータが、公開されているものはすべて入っている。それで、システムも整備されていて、グラフ化とか、核種を選んで地域を選ぶとか、それをやれば全部出てくるということで、多分そことのリンクとか、そういうことがうまくいけば、今のご質問はそのシステムで解決する。

(木村委員) 今のことに関して、測定値は確かに小佐古先生がおっしゃるとおり、統合的なデータベースを分析センターが管理しているが、その結果についての評価という意味では、各々バラバラと私は認識している。施設の監視は、各自治体が持っている検討会であり、水準調査は、たしか久松先生も入っていらっしゃいましたが、水準調査の検討会があり、今の環境省さんのものは、環境省さんで検討会をつくっているわけです。ですから、総合的に放射性物質の何かイベントがあったときに、どんなふうに影響があったかというのを総合的に見るというのが、もしかしたらこの場ではないのかなという気がするが。

(防災環境対策室・猪狩) イメージとしては、今木村委員が言われている部分がそのとおりだが、実際に国外において、緊急事態が発生した場合、あとは国内において異常値が発生した場合とちょっとシステムが違う。国外の場合は、内閣官房の方が、庶務を司って行われる放射能対策連絡会議、これの所管のもとに、データの収集、あるいは評価検討が進められる形になる。国内においては、ここから先は今、木村委員がおっしゃったとおり、近い形になるが、今、現状としては、それぞれの機関が、それぞれの委員会に基づいて、結果について評価検討しているというのが現状である。当検討会においては、その結果についてできるだけ集約して、効率的に、あるいは今後の事業の孤立化のために有効に発表していければという意味合いもあり、当検討会を設置して運営しているという、そこの部分もある。ただし、例えば、交付金のような渡した先、事業実施者が主体となって運用せざるを得ないものについては、今後どうするか、そこはちょっと検討事項という形になっている。

(長岡委員) 環境省さんの方は、これは自動分析であるか。サンプリングもすべて。

(環境省・金山) サンプリングの方は、例えば、土壌とか、雨水とかは、例えば雨水だったら、たらいに入ったやつを20 リットルのタンクに入れて。

(長岡委員) それは、常駐しているのか。

(環境省・金山) いや、常駐ではない。

(長岡委員) ということは、緊急時には。

(環境省・金山) 緊急時、この間の北朝鮮のときには、たまたま環境省は核種分析の方では対応しなかったんですが、対応しようと思っていたところ、もう収束に向かったのでやらなかったが、そのときには行ってとってこようと思っていた。通常は、自動というか、特に人がいるわけではない。

(長岡委員) 異常値が出たときはどうするのか。

(環境省・金山) 普段自動モニタリング機で異常値が出たときには、雨水で、雨で値が高くなるというのが一般的だが、いずれにしても分析センターが常時データを見ているので、すぐに電話なりで連絡が来る体制を組んでいる。

(長岡委員) 即時性はないということか。

(環境省・金山) ええ、そこが24 時間分をまとめてくるので、それでは遅いので、1時間に1度、4月から1時間に1回データが来るようになるので、即時性はそういう意味では、早いものについては24 倍になるということになる。

(長岡委員) 核種分析は。

(環境省・金山) 核種分析の方は、まだである。

(長岡委員) あくまでガンマ線だけか。

(環境省・金山) アルファ線、ベータ線もである。

(事務局) それでは、環境省さん、ありがとうございました。続いて、農業・食品産業技術総合研究機構さん、よろしくお願いする。

(農業・食品産業技術総合研究機構・西村) 畜産草地研究所から参りました西村である。また、同行の宮本である。この2人で説明をさせていただく。どうかよろしくお願いする。

(農業・食品産業技術総合研究機構・塩野) 動物衛生研究所の塩野である。今回、家畜の骨についての成果を説明する。

(農業・食品産業技術総合研究機構・西村) 私ども研究所が所属いたします農林水産省の独立行政法人、農業・食品産業技術総合研究機構では、文部科学省から予算をいただきまして、家畜とその飼養環境に関する放射能調査研究を実施している。牛乳や飼料中のストロンチウム90 とセシウム137の調査研究については、畜産草地研究所、北海道農業研究センター、それに九州沖縄農業研究センターの3研究所が共同して実施している。また、牛及び馬の骨の中のストロンチウム90 集積に関する調査研究は、動物衛生研究所が実施している。まず、事業説明書の1の事業の内容ということだが、この研究では、核実験や原子力施設の事故による、降下性放射性物質が、家畜とその飼養環境でどのように残留し、またそれが減衰しているかを把握して、それらの物質が飼料を介して、牛乳や家畜の体内へどのように移行、蓄積しているかを調査研究している。また、私どもの3研究所共同研究グループでは、核実験や同じく原子力施設事故等の緊急事態において、セシウム137 等の放射性物質の牛乳および飼料中の動態を迅速に調査して、牛乳等の安全性確保のための基礎資料を提供している。どういう基準でやっているかということは添付資料にある基準等々で調査している。それから、いつからと予算の交付の時期と仕事が始まった時期ということで違うかもしれないが、私どもは昭和36 年から仕事をしており、平成15年に組み換え新規課題となり、現在に至っている。必要性等々ということになるが、そのことについて、細かく次のところでご説明していきたいと思う。今、申しましたこの資料の中で、1つは、私ども牛乳グループの仕事である。そして、その他に骨の仕事もある。牛乳と飼料中の放射性核種の濃度の相互の関係を解析するということがこの調査研究の一番の目的である。そのために、牛乳及び飼料中の2つの放射性物質(ストロンチウム-90、セシウム-137)の濃度の実態を把握している。そして、これをもとにして、今申しました、あってほしくないこういう核実験や事故等の緊急事態への調査、これらの解析の結果が生かされるということになる。細かくお話し申し上げていくが、私どもの中の牛乳グループでは、こういう大きいテーマの中で、牛乳の中の放射性核種に関する調査研究ということをしており、先ほども申しましたように、牛乳と飼料の放射性核種の濃度の解析をするということで、乳牛に給与をしている牧草やサイレージ等の飼料と牛乳中の放射能の関係を調べている。そして、これについて、北海道から、これはつい最近だが、文部科学省のご指示に基づいて、沖縄も調査地点に加え、北から南まで、全国をカバーできるような形で、定点調査を実施している。平常時は牛乳および飼料の放射性核種の濃度の解析。これはセシウム137 について調査している。そのような調査の結果、牧草とかサイレージという草類の飼料作物のセシウム137 の濃度と牛乳の間で、非常に高い相関が得られた。また、今、この部分に相当するところのデータを盛んに今集めているところである。そして、緊急時において、直ちに測定をするということで、このことについても後で細かく説明する。牛乳中の放射性核種に関する研究だが、牛乳が食品として重要なものであるということで、食品の安全、安心を確保するために仕事をしている。仕事の内容は、平成12 年の評価のヒアリングのときに、えさといってもいろいろな種類があるではないか、飼料についてもしっかり調査していくべきだというご指示をいただき、飼料についても調査対象とし、いろいろな飼料、実際に牛に給与している飼料を集めて、それぞれの放射能を調べている。セシウム137 については、今結果を若干お見せしたが、このようなことで調査をしている。また、ストロンチウム90 につきましては、昨年度より一部測定を開始している。今後、測定データの蓄積を行い、解析する。このように口から入りましたものについて、今度は牛乳として、どのように出ていくのかということを調べるということです。先ほど見ていただいたものの拡大図であるが、この辺のことについてしっかりと調べていきたい。そして、実際はどのような調査をしているかということでのご説明だが、平常時では、牛乳を濃縮し、灰化したものをケースに入れて、そしてゲルマニウム半導体検出器で測定する。また、飼料につきましては、乾燥したものを細切・粉砕し、専用容器に入れ、これも同じくゲルマニウム半導体検出器で測定する。それから、ストロンチウム90については、放射化学分析により、低バックグラウンドガスフローカウンターで測定している。今の濃度はということで、先のヒアリングでも指摘を受けたところだが、チェルノブイリ事故の後、セシウム137、そして核実験の後のストロンチウムについてはこのような減少傾向にあるということである。次に、緊急時はどうなのかということであるが、牛乳と飼料について、そのまま、あるいは前処理を施し、専用容器(2~3.5L)入れて、これをゲルマニウム検出器で測定している。γ線の放射能の濃度を調べている。そして、緊急時には、どのような体制で試料が運ばれるかということだが、試料は当日、今申しました測定地点があるが、北海道の札幌、九州の熊本、そして沖縄県畜産研究センターから航空便で畜産草地研究所に運んでもらうシステムとなっている。そして、これは農林水産省に報告したものだが、去年の10月、北朝鮮の核実験において、早速、先ほどごらんいただいたシステムを使って試料を集め、このような牛乳、それから飼料の中のセシウム137等について測定して、平常時と同レベルであったことを報告をしている。そのようなことで仕事を進めている。

(農業・食品産業技術総合研究機構・塩野) 続いて、家畜骨格内の放射能調査について説明する。この課題は、大気圏の核実験が頻繁に行われておりました時期から開始され、我が国への放射性物質への飛来とそれによる環境、生態系への影響、特に人を含む哺乳類への放射性物質の蓄積状況を推測するということで、代替動物として家畜を対象として継続調査されてきたものである。我が国は、北海道地域への家畜への蓄積が高いと、したがいまして、これをモニターすることによって、我が国の人、あるいは動物の汚染状況をモニターできる。家畜の中でも、馬の骨への蓄積量が非常に高いということで、哺乳類への蓄積をモニターするには、馬を継続調査する必要がある。さらに、家畜の加齢、それと放射性物質の蓄積量との関係を明らかにして、現在に至っている。これらの成績は約50年間にわたり、我が国における人を含む哺乳動物への蓄積の状況をモニターする重要な基礎資料となっている。現在では、核実験やあるいは事故による被ばくというのは低下している。しかしながら、わずかながら低下し続けているが、まだまだチェルノブイリ前の バックグラウンドの値まで到達したとは言えないと考えている。また、他の調査においても、これだけ長年にわたる同様の調査というものが実施されていないということで、先ほども申したが、我が国における哺乳類への影響をモニターするという意味では、課題の継続は重要であるというふうに考えている。以上である。

(事務局) ご質問等、お願いする。

(小佐古委員) 前半の家畜の方、あと後半の方も、どういう目的でやられるのかをはっきりさせていった方がいいかと思う。昭和30何年からやっているというのは、それは結構だが、例えば、さっきの言い方の中にも、バックグラウンドのレベルに到達していないと考えるというご発言があったが、じゃ、どこまで行ったら到達するのかということである。もう最近、核実験はやめて長い、地下核実験も、CTBTはやらない。昭和30 年からというので誇られるのも結構だが、もう目的は達成しているのではないかと思う。例えば、牛の中のいろいろな核種のパフォーマンスにしても、大体みんな掌握しているから、ここで新たに何がわかったのか、何を得ようとしているのか。今も茨城県の東海村のところでも議論になっているが、東海村の最後の畜産農家は、ひたちなかでやっているが、1軒ある。そこもお聞きすると、周りの牧草など食べていない。アルゼンチンとかいろいろなところから入ってきた飼料、そういうことになると、どういう目的で、何をおやりになろうとしているのかをもう一度原点に立ち戻って、そういう点について極めたいと、あるいはこういう点について調査すべきだということを、そこに立ち戻って説明していただかないと、なかなか納得はできない。

(農業・食品産業技術総合研究機構・宮本) 私ども、農水省の研究機関で、独法になったが、牛乳を生産する立場から安全な畜産食品を提供するということから出発している。そのために、長期間にわたり、放射能調査研究を実施してきており、濃度もごく低いところまできている。ただし、これは長い間、各道県と協力関係の下に、調査を継続し平常時レベルを測定しつつ、緊急時の測定に対応している。私は、チェルノブイリ事故のときに、たまたま北海道農業試験場におり緊急時の調査を担当したが、5月だったので、牛が放牧されていて青草を食べる。ということで、牛乳レベルが上がった。この時は、牛乳と飼料について長期間(1.5 ヶ月)にわたり測定した。それから、西村から話があったが、緊急時、いざというときに、チェルノブイリ事故時の、放射線濃度が高いときの関係は明瞭に出ている。ただし、現在のように、ごく低いレベルのときに牛乳と飼料の放射能レベルの関連はどうなっているか、移行ファクターとか、いろいろの指数があるが、現在どういう状態になっているか、きちんと把握して、こういう低レベル時代の両者の関連について集中的にやっていく。これもずっと未来永劫やるわけではなく、一部、17 年度から始めているが、18、19、20 年度、その辺のところで集中的に調べ、まとめて現在牛乳と飼料の関係はこういう関係になっており、牛乳レベルの推測は可能ですという方向で調査していきたいと考えている。

(小佐古委員) 今、影響があるというお話をされているが、ここら辺のレベルで影響があるということは、誰も認めていることではない。やはり研究の目的に合わせて、どのレベルなら影響があらわれると思っているから、どのレベルのところまでこうしようと思っているんだというところがないと、放射能というのは世の中にありとあらゆるところにあって、影響があるなら、もう60億人いるから、いろいろなところに影響が出ているはずである。緊急時と言われるが、緊急時のために、こんなに長いこと大きなマンパワーとお金をかけてやるんですかと。いろいろな組織があるから、緊急時のときには、どこかに、例えば原子力機構とか、分析センターとか、そういうところに頼めば済む話ではないかというのも後ろに構えている。コストパフォーマンスや、リスクマネジメントレベルから考えると、ものすごい低いところで、あんなにお金をかけてやっているというのは、あまりにもよろしくないのではないか。あるいは、緊急時と言われるならば、我々はもう既に何十年にわたっていろいろなデータを持っているわけで、緊急時のときに例えば、いろいろなことが起こる。そのときにはどのレベルのものが起これば、どれぐらいのことが起こって、そのときに何をはかれば、どれぐらいの感度を持って答えが出るということをやれば、みんな知っている状態になっている。だから、安全、安心のためにゼロを並べて、政治的にはそれでいいが、学問的に言えば、なぜわかっていることをそんな政治ショーみたいなことをやるのかということになるわけで、ぜひその辺のところも考慮に入れていただけるとありがたい。

(農業・食品産業技術総合研究機構・宮本) 今の先生のアドバイスは大変ありがたく了解する。放射能調査研究には、2つ目標があると考える。1つは学問的背景をもつ研究であり、もう1つは、食品の安全性確保の面からの調査である。この2つの目標は相反するものではなく、相互補完的なものと考えている。実際には、この2つの目標のバランスをどうとるかということと考える。この辺に関しては、いろいろアドバイスいただいたので、帰りまして、私どもの機関、または農水省とも相談して、方向性を見い出したいと考える。

(廣瀬委員) 今の小佐古先生から、長いこと測ればいいという問題ではないということで、同じような指摘を我々受けているが、やはり時期、時期によって、単にバックグラウンドだけではなく、目的を変えて、この時期にはこういう目的で、現在のレベルでは、こういう新たにわかっていないことに対して適用できるなどデータの見方を変えて研究していかないと、非常に苦しい。説明が困難になってくるのではないかと思う。ご検討願う。

(農業・食品産業技術総合研究機構・宮本) 了解した。

(飯田主査) 私も同じ意見で、長期にわたって、全国区と定点観測と言われているが、分析センターでも、環境試料の47 都道府県ではかっているわけです。その中に、牛乳も入っているわけで、それぞれの整合性をつけてもらいたい。

(農業・食品産業技術総合研究機構・宮本) 分析センターとは、いろいろの機会に担当の方とお話ししたことがある。センターでは牛乳のみで、飼料については畜草研以外では測定していない。牛乳の供給源は、牛が現に食べている飼料である。それが国産か輸入物か問わず、私たちの方針としては、現に食べている飼料を集め、両者の関連について解析を進めたい。センターからは牛乳と飼料の測定点数が十分確保できれば両者の関連について有益な情報が得られるのではないかとのアドバイスをいただいた。私どもの立場としては、単なる調査ではなく、西村も申しましたように、牛乳と飼料の関連の解析にここ数年は集中的にかかって、まとめて、データをとって、その後の調査研究に役立てていきたいと考えている。特に、飼料はいろいろな状況で、成分が変わってくる。そういうところから、私たちは解析して、牛乳のレベルは、これからどうなっていくのかというときの予測に、役立てられればと考えている。

(久松委員) それをやられる際には、ぜひ考えていただきたいのは、飼料から牛乳へは直接的に直結しているわけではなく、牛という1つのボックスがあり、その中に、いったん摂取されたものが出てくるわけで、今お伺いした研究計画だけですと、スタティックなものとしてとらえているようにしか見えない。実際には、ダイナミックな動きをしているわけで、ここに書かれていることだけでは、とてもダイナミックなところへは行くようには見えない。その辺もご検討されたい。

(農業・食品産業技術総合研究機構・宮本) 実は、今までただ長いことやっていたわけではなく、途中の段階では、どうやったら牛乳の中の放射能を減らせるかという研究もやっており、今お話があったセシウムでは、えさを通じて体内に入ってきた場合、私どもの今までのいろいろなまとめたものでは、3日ぐらいたつと、牧草の汚れたセシウムが牛乳に移行してくる。このプロセスにおいて特定の物質を飼料に添加すると牛乳中のセシウム137 レベルが低下する。そういう関係もある程度把握しており、その中で、牛の体の中では、どこが多いかを調べるために、牛を数頭殺さないといけないということで、大変なことになるが、過去のデータも踏まえ、ダイナミック的なところも今後取り入れ、どういう仕組みで、えさの濃度が牛乳に反映されるかについて取り組んでいきたいと考える。

(事務局) それでは、いろいろご意見があったので、ご意見を反映した形で、今後進めていっていただきたい。もうひと課題、今度は、農業環境技術研究所さん、お願いする。

(農業環境技術研究所・木方) 農業環境技術研究所の木方。パワーポイントの方で説明させていただく。まず、ちょっと最初だけ読み上げさせていただく。表題はこれであり、事業の概要としては、消費者が安心できる食料を確保するため、日本の主要作物である米、麦及びその生育土壌を全国21 カ所の独立行政法人及び公立の農業試験研究機関に設置した放射能基準ほ場から採取し、セシウム137 及びカリウム40 等の天然放射線核種を分析することにより、現在の放射線レベル及びこれらの濃度変動要因を明らかにする。また、不測の事態に備え、セシウム137、セシウム134、ヨウ素131、ヨウ素129 等の緊急時モニタリング体制を整備するとともに、これら環境の通常時バックグラウンドレベルの把握と農業環境試料の動態を予測するための調査研究を行うということである。土壌、農作物中の放射性、核種バックグラウンドレベルの監視を1番目の調査主体の、 一応この課題を分けるとすれば、土壌、農作物中の放射性、核種バックグラウンドレベルの監視を1番目の調査主体の、課題と考える。そして、2番目は農業生産環境中における放射性核種の濃度変動要因と動態の過程。これはどちらかというと、研究主体のものであり、1のデータからどういうふうな動きをして、将来どのような値になるか、将来予測に結びつけるような形で2が実施されている。そして、2の方から言うと、そのような動態が解明されて、その結果として、1の値になったという、その1が2の説明の根拠であるというような形で、1、2と調査したいものと研究したいものと課題を分けて考えている。その1の土壌・農作物中の放射性核種のバックグラウンドレベルの監視というところを2つに分け、1つは、放射性核種の土壌中残留実態と農作物による吸収。そして、2が、緊急時に対応するための野菜等の農作物及び土壌の放射能調査。この1の1については、先般の放射能調査の発表会の方で、山口の方でその一部を発表した。2について、農林水産環境中における濃度変動要因と動態の解明を2つの課題に分けた。2の1が土壌から農作物への移行を支配する要因と放射性核種の存在形態の解明。これは農業生産環境系内の内部要因としてどうなるかという研究を進めていく立場である。2の2が農業環境中における水移動に伴う放射性核種の動態特性の解明。これは、どちらかと言うと、農業からのものがどう環境に影響、全体的な放射能核種の動態に影響するか。というもので、分けている。この21についても、放射能調査発表会の方で発表させていただいた部分である。1の1について、この部分は、発表してあるが、18年度、19年度考えているのは、このセシウム、ストロンチウムに関し、大気圏中からの降下、いわゆる核爆発、核実験その他の直接的影響というものではないが、土壌からの影響ということが、1つの変動要因になっているということで、19年度、日本海側に、新潟、鳥取、太平洋側、東日本ではつくば、これを代表ポイントとして、そういう降下物を採取するということを考えている。そして、この辺の核種は継続的にやるが、ポロニウム210については、今年度、アルファ核種の分析装置を入れていただいたので、ここら辺ちょっと注目されているところであり、特に、鉛210とポロニウム210との関係、あるいは土壌と作物との関係というところのデータがないので、それらについて19年度にかけてやっていきたいと考える。緊急時、これについては、チェルノブイリ等の事故があったということで、放射能専用ほ場というものを設け、これらの核種分析を、平常時レベルとして行っているところである。そして、特にヨウ素129 だが、平常時いつも分析する必要はないということで、緊急時に対応できる分析体制を維持する。ICP-MAS、これによって、ヨウ素127 と129 の比率で、10のマイナス7乗から8乗レベルが分析できる方法というのを私どもで開発していて、それでモニタリングしたいと考えている。この事例だか、実際、葉菜類は、平常時ですと、NDであり、ここら辺が1つ問題であるということで、今年度から、特にホウレンソウ、来年度は白米を考えているが、このNDをできるだけ、NDでは変動がわからないということで、通常10キロ程度をとってはかっているが、これを150キロほどとり、容器に詰めて測定するというのを今年度行った。測定時間30万秒というようなレベルで、はっきりNDなのか、NDではなさそうだが、まだ確実な値が出たというところまでは出ていない。そのような量を増やす、あるいは抽出して、濃度変動の特性を解明したいと考えている。今年度、モニタリングについては、北朝鮮の核実験の問題があり、県からの問合せがあったので、当方で自主的に測定した値がNDになった。変動要因の解析、濃度特性を解明して、ここの部分については、畑のストロンチウムについては、土壌の残量実態と非常に関係が高いというところを解析した結果を発表会で申し上げた。セシウムは、ストロンチウムとは違うところはわかったが、有機物に着目して、土壌から農作物への移行、その部分がどのような影響をしているかというところに着目する。これは、ストロンチウムとセシウムでは、ストロンチウムの方が移行しやすく、セシウムの方が移行しづらい。これはよく知られたことであるが、これを各種土壌について、うちの方でデータを収集しているので、これがなぜこうなのかというところを解析していくというふうに考えている。あと水移動に伴うというところで、ストロンチウム、あるいはセシウム、これについての水系での動き、淡水中にどれだけあるかというのは、ここのところは私どもでも今までやっていなかった。、農業系、これは土壌中になるが、ここでの動きというところで、水濃縮のための装置を今年度導入して、まだ結果は出ていないが、サンプルも採取して、それで濃度変動の要因のための基礎データの収集を行っているところである。ヨウ素については、これはモデル化して考えるということで、それを精密化するということを考えた。これがたん水期間とそれからヨウ素の濃度の、たん水期間から割り出した予測がこれで、これがヨウ素、実測値というところで、こういうような狭いところのモデルを、広域を対象としたモデルに適用したい。これは気象モデルで、東海村からのデータについて、2000年を対象にしている。これがインプットされ、これが平常時で、緊急時の場合もモデル化する。その中でどう動いていくか、形態ごとの分類を行うこととしている。これに、ストロンチウム90 とか、セシウム137 の移行特性を調査することとする。これは19 年度ではないが20 年度にはやりたい。

(事務局) それでは、ご質問があれば。

(飯田主査) ヨウ素の129 は、これがどのくらいのレベルまで上がるか。試料、例えば土とか、試料を持ってきたときに、1グラム当たり何ナノグラムぐらいまでのものが測れることになるのか。

(農業環境技術研究所・木方) 大体100 グラム程度の土壌を用いる必要があるということで、それの10 のマイナス7乗レベルだから、ヨウ素が10ppm として、1ミリグラムの10 のマイナス7乗だから、0.1 ナノグラムパー100 グラム、それぐらいになると思う。1ナノグラムパーキログラムぐらいの濃度レベルではないかと思うが。

(飯田主査) ポロニウムが、今までこういう自然起源のものははかってこられなかったのか。ストロンチウムとセシウムだけだったのか。

(農業環境技術研究所・木方) アルファ線は、今年度初めて機械を要求したので、測っていない。ガンマ線については、天然放射性核種が、セシウム、ストロンチウムに比して土の中において大きいという結果は出ている。

(長岡委員) ヨウ素について、私も質問したいが、ヨウ素129 というのは、環境中のレベルで測れたか。

(農業環境技術研究所・木方) 東海村や、東海村の近くで採取した土壌レベルで測れる。そのレベルについては、10 のマイナス13 乗とか、そういうレベルは測れないので、モニタリング用の分析法と考えている。

(長岡委員) あとこの資料には、ヨウ素の129 を緊急時に分析できる体制を維持と書いてあるが、これは129 なのか、131 とか134 ではないのか。

(農業環境技術研究所・木方) 131 については、やはりそれもセシウム137 等と同様にガンマ線スペクトロメーターで測ることを考えているが、ヨウ素129 については、ガンマ線ではすぐには測れないので、ICP-MSで測る。

(長岡委員) 緊急時に、なぜヨウ素129 を追いかけるのか。

(農業環境技術研究所・木方) 異常運転ということがあった場合も、緊急時だと考えるが、少ないレベルである程度の期間、放出し続けると仮定して、緊急時としている。ですから重大な事故というよりは、重大と言えば重大だが、異常運転が続いたという、それの場合にあり得るのではないかと考える。

(長岡委員) ほかのものを追いかけた方がいいのではないか。

(農業環境技術研究所・木方) 核燃料再処理工場から放出されるのはヨウ素129 と考えている。

(久松委員) ホウレンソウの話が先ほど出てきて、セシウム137 の濃度を測定されたということだったが、そこまでやる必要性を、少し説得力をもって書かれないと、なぜそこまでやらないといけないかがわからない。

(農業環境技術研究所・木方) NDだと、要するに傾向が見れないというところがある。本当に増えているのか、減っているのかというところで、一応そのデータを取れるものなら取っていきたい。それでも出ないという、例えば作物があるかもしれないが、それはそれでもしようがないと思っている。傾向が増えるということなのか、横ばいなのかというところを出すのは、21 カ所ある全ほ場でやるというのは考えていないが、1カ所ぐらいデータを取っておきたいというところだ。

(久松委員) そういう土壌中で、形態変化が起きていて、それを追いかけたいということだったらわかる。ただ、フォールアウトだから、もう既に落ちてから数十年たってしまっているわけで、そこのわずかな形態変化を追いかけるためにやるということだと、少し難しいかなという気もする。そこは理由を考え直された方がいい。

(小佐古委員) 今のとその前とも絡むが、せっかくいいお仕事をやっているわけだから、もうちょっと実際に使われる状況がうまく組み込まれてお仕事が進み、説明がされるといいと思う。例えば、緊急時と口にされているが、緊急時のイメージというのはかなり今のままでは貧弱で、ちょっと違うのではないかという話も混じっているように思う。やられているお仕事自身はいいが、どういうふうに組み合わせていくのか、あるいは全体を受け取る側からしてみれば、緊急時の対策とも絡めて、お話が展開すれば、例えば根菜類は、こういうときにこういうふうにすればこうであるとか、あるいは通常の場合にも、普通はNDでもう関心の外側にあるところを頑張ってやられるが、そこのところも土壌の性質とか、そういうところも含め、どういうモデルを設定して、どこら辺のものをどこら辺まで追及するのか、全体としてのバランスがいいのかというところで、少し周り人の意見を広げることができる。仕事自身は随分一生懸命やられていると、立派な仕事だと思う。そこの結果がどういうふうに展開するのかというあたりで、もうひと味ほしい。

(農業環境技術研究所・木方) 了解した。今回の北朝鮮の問題で、県から直接、うちに問合せがあったりしたので、それに対する明解な答えを準備できる体制が必要なのではないかと考えている。ND以外の数値も必要ではないかと考えている。

(小佐古委員) とても大事なことなので、ポロニウムの事件が起きて、ポロニウムにフォーカスをしているとか、北朝鮮でああいうことが起こるから、フォーカスを当てるとか、もちろん政治的な意味合いとか、国民の安心という意味合いではそれは正しいと思うが、片方で、やはり研究者とか技術者というのは真実を知っているわけだから、そこの視点はやはりぶらしてはいけないと思う。北朝鮮で地下側に入っているものは、あれだけやって、日本である程度騒いで測って、出てこない。それはモデルをつくって計算すれば出てこない。感度を最初から持ってない。表現されるときに、真実を知っている研究者としてのきちんとしたいいスタンスを失わないように上手に表現していただけるとありがたい。

(農業環境技術研究所・木方) 了解した。

(事務局) それでは、3時10 分まで休憩をする。

(休 憩)

それでは、時間になりましたので、続いて、海上保安庁さんの海水及び海底土の放射能調査からよろしくお願いする。

(海上保安庁・峯) 海上保安庁の海洋情報部、峯である。

(海上保安庁・山谷) 山谷である。

(海上保安庁・峯) 私ども、2件の事業があり、その最初の方は、海水及び海底土の放射能調査ということをご説明する。この事業は、ちょっと古いが、昭和36 年度から放射能調査事業が設けられた閣議決定に基づき事業としては開始した。ご存じのとおり、初期の目的は、大気核実験によるコバルトを測ることであった。現在は、国内外の原子力施設の影響や事故時の必要なバックグラウンドデータの蓄積を図ることを目的としてこれまで継続している。配付している資料は、4-7-1が海水及び海底土の放射能調査として実施している事業である。別冊の方で、「放射能調査報告書、平成16 年調査結果」というのを机上に事務局から配られていると思う。これは、フルページではなく、その中で事務局が選んでいただいたもの一部を抜粋したコピーを配付している。フルページは別途あるので、ご連絡いただければ送付する。説明資料の4-7-1に沿って説明させていただく。この図-1、測点図とあるのは、平成19 年度、来年度の海水及び海底土の試料の採取を行う調査地点を示したものである。日本周辺の白丸は10 カ所あるが、主に国外、先ほどから出ているが、アジア、中国、台湾、朝鮮半島と原子力施設が増加しつつあるということで、国外からの影響を把握するために日本周辺海域、あるいは太平洋との比較ということで、日本周辺に10 カ所ほどの、表面の海水を採取して放射能のレベルを把握しようというものである。黒丸の点は、居住地域付近ということで、10 カ所で海水及び海底土を採取して、放射能レベルを把握していこうという計画である。調査方法は、海上保安庁(本庁)所属の測量船による調査のほか固有業務に併せて、表面海水を採取する。あるいは地方に管区海上保安本部という出先があるが、そこの所属の測量船及び巡視船で採取する。表面海水は採水バケツで採取している。また、海底土については、グラブ式の採泥器を用いて、表面から2センチを採取している。採取した試料は、本庁へ送付し、海上保安庁海洋情報部で化学分析を行っている。1ページ目の右側の図面であるが、図-2は、日本近海の海水中のセシウム137 の年平均濃度の経年変化図である。もう皆さんよくご存じで、専門家の先生方ばかりだが、日本周辺海域における海水中のセシウム137 の濃度レベルは減少傾向で続いているところ、1986 年のチェルノブイリの事故の影響が、私どもの調査結果では、日本海側がやや高めに推移したが全体では、日本周辺の海水については減少の一途をたどっている。図-3、日本近海の海底土のセシウム137 の年平均濃度の経年変化図である。これも多少バラつきはあるが、ほぼ海水と同様に減少傾向で推移している。非常に簡単だが、日本周辺の海水及び海底土の説明を終わる。

(事務局) それでは、ご質問等あればお願いする。

(小佐古委員) 海水及び海底土の放射能調査ということでおやりになっているが、この種の調査というのは、例えば海生研のさまざまな生物絡みの調査、あるいは水産庁のあたりでおやりの調査とさまざまな形で、いろいろなところがあると思うが、後でも報告書でもまとめているところだが、そういうような点について意見交換をされたり、さまざまな形での連携を図るということはやっているのか。

(海上保安庁・峯) 私どもは、政府の役割の中で、海水と海底土を担当している。その先、ではどうするのかというのがちょっと抜けており、その点、生物を対象として実施されておる海生研とは役割を異にしている。今、おっしゃる連携の部分は、必ずしも十分な連携を今は取っていない状態である。

(小佐古委員) 1点だけ補足するが、データについては、私どもはデータベースをつくっており、学会等に発表している。国全体としてどのように海洋データを扱うかということはちょっとご検討していただきたい。

(海上保安庁・峯) まったくご指摘のことは、今、小佐古先生から言われましたように、国として全体の海洋の環境値をどう取り扱うかというのはおっしゃるとおりだと思っている。文科省とも調整して相談させていただこうと思う。

(事務局) 補足説明させていただくが、今のところの大きなすみ分けとしては、水産庁、水研センターは、漁場の安全を確認するという観点から、各漁場、日本近海の日本海、太平洋、東シナ海やオホーツク海において海産生物の調査を行う。これは、主たるところで言うとである。海上保安庁さんの方は、日本沿岸、あるいは日本を巡る海域において定点観測を行う。それと海生研については発電所沖合い、あるいは核燃サイクル施設沖合いの海水、海底土を分析調査。こういうような形の大きなすみ分けという形になっている。

(廣瀬委員) 今のお話は、多分、小佐古さんのおっしゃったのは逆の意味で、分担はわかっているが、こうやって採ったデータを一体どうやって有機的に使うのかが重要な点である。例えば、海産生物にどう移行するかというのを見ようと思うと、海水の濃度もそのときの海底土の濃度も欲しいということで、海上保安庁さん、最後に出たので、割を食うが、そういうのを一緒にはかっている場合もある。こういうデータを各々独立にとっていたのでは、むらになる場合もある。場所が違うと言えば、それまでのことだが。そういうデータをもう少し有機的に使えれば、同じ海産生物を分担して採っても、データとして単に放射能濃度がどうでしたという以上のものに使えるのではないかと考えられる。そういう意味なので、役割分担がどうでという話ではないと思う。

(事務局) 失礼した。まさしく今回の、当検討会の意義はそこにあるということだと思うので、それを踏まえて今後の検討材料にしていきたいと思っている。

(小佐古委員) この手の話は、食の安全を厚生労働省が行っているのと同様に、その手の話しと多分同じだと思う。いろいろあるわけだが、ぜひ今のご発言があったように、そういう機会のときに意見交換をさせていただく、そういう機会のときに思い出していただく。あるいは、放調発表会をやられているが、まだあまり関係者間だけにとどまっているふうに見える。そういうところを広く構えていただいて、関係省庁、関係者だけではなく、広く一般の方と意見交換させていただくと、自然と有効に活用できる道が開けてくると思う。今は、ちょうどいいタイミングになっていて、とられたデータを交換するとか、有効活用してくださいということが強調される時代なので、ぜひこういうところとかで発表するのも一つの方法である。

(事務局) それでは、もう1つの深海の海水、海底土調査、お願いする。

(海上保安庁・峯) それでは、事業名に「放射能」というところが抜けているが、深海の海水、海底土調査について説明する。ご存じのとおり、平成5年に、ロシアが日本海のウラジオストック海域付近に放射性廃棄物を投棄したと情報があった。このことを受けて、政府全体において放射能対策本部、あるいは幹事会が設けられ、緊急に放射能調査が実施され、その年の4月、6月には、国内の関係機関として私どもも加わり、調査をした。それと2回の国際共同調査も行われた。これらの調査結果が、放射能対策本部の方の幹事会で検討され、今後も調査を行うことが有効であろうという提言がされた。私どもは、それを受け、平成6年から、この事業を開始している。調査方法としては、海上保安庁の測量船を使っている。日本海とオホーツク海、これは日本海のウラジオストック付近とオホーツク海にも投棄したということであるので、その両海域で、約10 測点を固定点として、表層から底層までの海水の採取及び海底土の採取を行って、核種毎の化学分析により放射能レベルの調査を継続して実施している。お手元の資料の4-7-2であるが、これは左側のものは、平成19 年度に行おうとしているもので、従来から実施している測点に変わりはない。それから、右側の図は、これまで約10 年実施してきた、深海流の調査点の測点図である。次の3ページには、これまでの私どもの調査の結果の一部をグラフにしたものである。これには、3カ年分の記述をしており、ひし形印は1994(平成6年)、それから白丸印は1999 年(平成11 年)。それから、四角印は2004年(平成16 年)の調査結果を表している。これは先ほどの測点図で測点番号の8というところの場所について、ストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム239、240 という核種の鉛直経年変化分を図6,7,8に示したものである。この中では、先生方もご存じのように、一番右のプルトニウムはさほど経年変化というのは認められないが、セシウム137 は、調査の開始の当初の鉛直分から一番新しい四角印のところでは、表層値につきましては大きく減少している。そして、ストロンチウムも若干そのような傾向を示している。測点8は、比較的わかりやすい経過です。ほかの測点についても、多少の変化の度合いは違うが、ほぼ同様の傾向を示している。4ページ目であるが、これは先ほど示した測点図に示した測点で得られた深海の流れ(流向、流速)の平均した流れを矢符であらわしている。図-9が、海底上50 メートル、海底の底から上、50 メートルのところの流れを、単純にベクトル平均した結果をここにあらわしている。右側の図-10 は、それよりも50 メートル上、海底から言いますと、100メートル上のところの流れの平均を矢符であらわしたものである。これは、留意事項だが、海底から50 メートル、100 メートルだから、海面から同じ高さではない。要するに、海底を基準にして、同じ高さを図にしているのは誤解を招きやすいが、海面からの深さの層は違うということである。今まで私どもが測定した結果の概略をご報告する。最も流れが速い部分は、津軽海峡の西側付近に5.4cm/sec、ノットであらわすと約0.1 ノット、1時間に180、190 メートルぐらいを移動する結果である。これは、平均値で、最大流速ではない。最大流速では、0.5、0.6 ノットも検出している。日本海では、潮汐や潮流は非常に弱い。深海の流れは、潮流とか潮汐がほとんど検出されておらず、規則性がある流れは、地球の自転の19 時間の周期を持っているものを検出している。また、私ども、約10 年にわたってこのような調査をしてきたが、まだまだ平面的にも不十分なものということである。もう1つは、季節的な変化が少し見えかかっている。もうちょっと季節的なものを追いかけようではないかということで、来年度も調査を継続したいと考えている。以上である。

(事務局) それでは、ご質問をお願いしたい。

(久松委員) これは大変おもしろい結果になっているが、発表はしているのか。

(海上保安庁・峯) 私どもは、主に化学分析をする担当でありまして、現場に行って流速計を設置してとってきましたデータを、私ども流れの解析の担当している、海洋研究室で現在発表する予定で進めている。

(久松委員) 先ほどの話ではないが、学問的にもおもしろい結果が多々得られていると思う。これだけの長い調査期間をお持ちのわけだから、発表をきちんとできれば非常におもしろいと思う。ぜひ発表していただきたい。それから、何度も何度も言われているが、ほかのところの調査地点とのかぶりがないかどうかということ。それから目的としては、日本海に投棄してあるソ連の廃棄物からの影響ということで、非常にはっきりしていると思うので、ぜひ続けていただきたいと思う。アウトプットを出していただけるともっとよろしいと思う。

(海上保安庁・峯) 今のご指摘、流れの調査結果につきましては3月に、開催される、海洋学会では発表する。そのほか海上保安庁海洋情報部で発行しているいろいろなレポート類に投稿している。それから、日本海の調査は、この報告書もそうだが、海上保安庁海洋情報部インターネットホームページで公表している。だから、どなたでも、調査結果を見ることができる。

(津旨委員) 濃度の測定と流動の測定というものはどのように結びつけて考えられるのか。

(海上保安庁・峯) まさに今、流れの部分でやっと整備できた。これは整備できたと言っても、必ずしも十分な整備の仕方ではない。理想は、同時期に流速計を多数設置してやればいいが、約10 年間かかってやっと全測点で流れのデータが揃ったということである。それから、鉛直分布は結果として見て、核種の放射能レベルと流れの両方の混合したものの解析が必要である。これから流れの解析を先に行い、すなわち私どもが今、流速計を設置してはかっているのは、主に深海、深層の流れである。なぜ、深層をはかっているかと言うと、海盆の深さが約3,000 メートルある。一般的に言えば、投棄された放射性廃棄物から放射性物質が拡散した場合、等圧面上というか、水平面上に広がることが予想されるので、この深層の流れを測定している。日本海の流れの状況については、九州大学が詳しいが、私どものデータも活用していただいているが、日本海盆では反時計回りに巡回している。そして、私どもの調査結果からも、対馬海盆とか、大和海盆もやはり小さな海盆の中でも反時計回りの結果が現れておりと矛盾したものではない。この流れの、ただし放射性核種の深層における濃度分布は今のところフォールアウトの沈降したものを若干検出している程度で、私どもが流れの観測をやっておるのは、もし、放射性廃棄物から放射性物質の溶質等が起こった場合に、どこに先着するだろうかと。もし反時計回りの循環で核酸が起こったりするのであれば、それは投棄場所から直線距離的に近い方ではなくて、むしろ日本海の南西部から拡散が起こるだろうとか。そこら辺が、これから流れの解析を進めて、ご指摘のありました、放射性核種の濃度分布との結合した検討をしていきたいと思っている。

(津旨委員) そういう形でやられているんでしたら納得した。もともとどこから出てくるかということで、流動も絡めて、そういうものが出でこないということを確認したい。九州大学の名前が出たが、そこではかなり詳細にやっているので、今後モデルの検討も行い、モデルと組合せて検討を行ってほしい。

(海上保安庁・峯) これは私どもが調査やった結果でして、今後、今は指導もいただいているし、それらか、いろいろ発表も大学側はなされている。学問的にはどうしても私どもは追いつかないから、それらを逆にいただくというか、知恵をいただくと、そして私どもの放射能の調査に活用させていただくということだと思っている。

(事務局) ほかにはないか。それでは、続いて、防衛省さんの「高空における放射能塵の調査研究」である。

(防衛省・清水) 防衛省の清水である。高空の大気浮遊塵の採取・測定についてご説明する。まず、経緯であるが、昭和36 年以来、放射能による環境汚染調査の一環として、放射能対策本部に協力し、放射能調査を実施している。調査方法は、2種類あり、定期調査、これは毎月1回、集塵器を搭載した航空自衛隊の航空機によって、我が国上空、三沢、百里、築城の3空域の高度3キロ及び10 キロによって大気浮遊塵を採取する。採取した資料を技術研究本部先進技術推進センターにおいて分析する。2番目として、特別調査というのがある。これは、放射能対策会議によるモニタリング強化の要請等、必要な場合において、特別調査を実施する。空自機で採取した試料を技本または日本分析センターに輸送し分析する。つぎに、集塵飛行に使用する航空機、上の航空機、これが中等練習機。右下が、T-4に搭載状態の集塵器を示している。大体、長さが2メートル程度で、重量が約91 キロである。さらに詳しく説明したものが、次のページである。集塵器の概要ということで、このT-4のお腹の部分についているものが集塵器Ⅱ型で、これを拡大したものが下の図である。空気が進行方向から入ってくるが、採取領域に到達すると、この電動アクチュエータ付空気弁を開き、約30 分間、集塵する。この後ろの方のディジタル式流量積算計で、採取した大気の容積を測定する。集塵器に装着するろ紙の仕組みだが、ろ紙は平成6年度から平成9年度における技本の所内研究の成果を反映させたものである。集塵器Ⅱ型を展開したものが左の図である。この下のろ紙の断面図だが、左側が上流側、右側が下流側となっている。まず、一番上流側にエレクトレットフィルターがあり、これは一段目。その後に、活性炭布、ここにはヨウ素を化学吸着するために、トリエチレンジアミンを添着している。一番裏側に上流側と同じエレクトレットフィルターを、それは圧力調整のために付けている。浮遊塵の採取空域だが、それを図にするとこのようになる。黄色が定期調査の採取空域で、北部が三沢で採取する。同じく、中部空域が百里で、それから、西部空域が築城で採取する。ピンクの部分、これは日本海、北部空域で、これは昨年度の北朝鮮による地下核実験を受けて行った特別調査で新たに追加した採取空域である。技術研究本部における測定装置について、集塵フィルター、いわゆるろ紙だが、さっきご説明したエレクトレットフィルターの部分は、二分して、含有核種の測定、それから右側の全ベータ放射能濃度の測定に使用する。一方、活性炭の部分というのはすべて含有核種の測定に使用する。含有核種の測定として、エレクトレットフィルター及び活性炭の部分について圧縮成形処理をして、その後、高精度のゲルマニウム半導体検出器で、ガンマ線エネルギーを測定する。一方、右側の方だが、全ベータ放射濃度の測定をする。この場合、17 時間の灰化処理をして、その後、低バックグラウンド検出器でベータ線の測定を行う。近年における特別調査の実績だが、防衛省において、1964 年の中国の核実験のときから既にやっていて、最近では、ここに示す原子炉事故及び地下核実験等において、事態発生後速やかに特別調査として集塵飛行するとともに、技術研究本部において放射能濃度の分析を行い、環境放射能の把握に貢献してきた。チェルノブイリ原発事故の調査実績、昭和61 年4月26 日、ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故の際、放射能対策本部からの要請を受け、4月30 日から6月4日までの間に、3空域、当時は高度は10 キロで、合計84 回空自の航空機で集塵飛行を実施し、技術研究所本部で分析した。その結果、全ベータ放射能濃度の最大値は通常の濃度を大きく上回り、ガンマ線核種分析からは、チェルノブイリ事故にかかわる核種として、ルテニウム103、ヨウ素131、ヨウ素132、テクネチウム132、セシウム134、セシウム137 、バリウム140、ランタン140 の人工放射性核種を確認した。これらの結果は、放射能対策本部を通じて公表され、国民生活の安全・安心に貢献した。北朝鮮地下核実験に関連した特別調査だが、昨年北朝鮮の核実験があったが、特別調査期間中の我が国上空における放射能塵について、ガンマ線核種分析を行った。また、全ベータ放射能濃度についても分析を行った。これは日本分析センターと協力して行った。それから、これらの分析結果は、技術研究本部において蓄積した過去46年間のデータの蓄積と比較することにより、今回の核実験が環境放射能に及ぼす影響がないことを確認した。調査結果例として、特別調査での全ベータ放射濃度。それから、ガンマ線分析例、それから、対流圏での全ベータ放射濃度長期的推移を示してある。放射能特別調査での全ベータ放射能濃度グラフを示した。横軸に特別調査の期間、縦軸に全ベータ放射能濃度を、これは0.13 から1.0mBq/m3 ということがわかった。平均値は、0.44mBq/m3 ということで、放射能濃度は通常調査時と同様の放射能レベルであった。特別調査でのガンマ線核種分析だが、大体400keV のI131、それから700keVのセシウム137 の存在が予想される。もし、フォールアウト等が確認された場合は、予想されるが、それが確認されなかったということで、検出限界以上のセシウム137 や放射性ガス等の人工放射性核種は検出されなかった。対流圏での全ベータ放射能濃度長期的推移だが、これは中国の大気圏内の核実験が行われていた1973 年あたりから最近までのベータ線の放射能濃度の推移を示したものである。中国の核実験が行われた時期では、大体10 の2乗から3乗mBq/m3 の濃度があった。最近では、約1mBq/m3 程度のバックグラウンドレベルで推移しているということがわかった。防衛省の放射能調査の意義だが、防衛省においては、昭和36 年以来、過去46 年にわたり、自衛隊において運用する航空機を活用して、高空の大気浮遊塵を採取するとともに、技術研究本部において分析を実施し、バックグラウンドデータを蓄積していったところである。こうしたデータの蓄積をもとに、チェルノブイリ原発事故や今般の北朝鮮地下核実験の影響を判断することができたこと等、防衛省が実施する放射能調査は、国民生活の安全・安心に大いに貢献して来たものと考えている。今後も核実験や原子力事故の影響をいち早く検知することができる高空の大気浮遊塵の採取・測定に防衛省として協力してまいりたいと考えている。以上で報告を終わる。

(事務局) 何かご質問はあるか。

(廣瀬委員) やはり大気上層は、今のところ飛行機を利用した大気浮遊塵の採取ということで、防衛省の得意のところだと思うが、この高度の決定の考え方、多分、10kmだと、これは核実験を想定したものと思われるが、そのほかの点はいかがか。例えば、地上のチェルノブイリみたいなものだと、1,000 メートルというか、もうすこしやや低いところに浮遊しているような話もあり、どのような考え方で決まったか。

(防衛省・清水) 中国が大気圏核実験をしていた時代にはフォールアウトというのは、上層の気流に乗って運ばれるということで決定している。チェルノブイリの事故のときに、非常に低空ということがわかり、そのとき航空自衛隊とうちの技本とで協力して、一応低空でもやったが、ただ飛行高度の限界というのがあり、あまり低空で飛行すると危険だということで、3kmということで行った。

(久松委員) 私もこの採取場所の設定がどういうことでされているのか。いわばこのあたりのところだと、フォールアウトなどは太平洋側から風に乗ってやってくるというよりはむしろ日本海側からやってくると考えるのが自然だと思うが、それにしては、石川の日本海沖辺りには観測点がない。この辺の場所の決定はどうされたのか。もう1点は、ガンマ線の分析ではなくて、全ベータ分析を表に出している点である。全ベータ分析には緊急時に短時間で測れるという、それなりのメリットがあることはわからないでもないが、次の放射能水準調査にも全べータが入っており、いつまでやるんだろうと、常々、疑問に思っている。この全ベータ分析でこのまま走られるのか。分析法の変更があるのか。

(防衛省・清水) 場所の選定について、これは採取開始年、昭和36 年からだが、この時点からこの空域で飛んでいたが、私はその当時、日本を三等分した地点であると聞いた。中国等の核実験の観測点として適した地点でもあるし、日本国内の原子力施設の環境放射能に及ぼす影響を監視するためでもあり、もともとの事情があって、こういうふうになったのではないかと聞いたことはある。

(防衛省・上田) ちょっと補足させていただく。空域の設定の変遷があり、制約条件として航空自衛隊の航空機を使っているので、運用基盤があるところの近辺というか、そういう地点である。先生が、おっしゃるように、石川県小松に基地があり、そこでやっていた時期も過去にはあったが、実はここで使っている、機体が変更になって現在は集塵器を取り付けられないということがあり、今度は百里の機体に移ってきたということがある。一応、理屈づけするとすれば、太平洋側に、訓練空域、民間航路とかの関係を考慮してというのもある。また、日本全体を見たときに、緯度的に同じような緯度にならないよう、さらに、緯度で切ったときに、偏西風等を勘案して決めたと聞いたことがある。まさに、北の方から、あるいは西の方から来るのではないかというご懸念もあり、このピンク色の図があるが、今般日本海地域でもぜひやってくれという政府からの要望があり、今の現在の基盤の制約条件の中では、このピンクの部分なら追加してできるということで、追加した。そうした経緯がある。

(防衛省・清水) もう1点だか、まず、ガンマ線、核種分析の方だが、これは核実験等が行われたときに、人工放射性核種を検出するためということで、これは必ずやっている。それから、全ベータ放射能濃度の方は、これについては、普段からバックグラウンドデータを蓄積しておいて、ピーク時における放射能の影響を評価するという意味では、非常に重要な意味があると思う。チェルノブイリの事故のときも、通常浮遊塵のガンマ線核種分析ではわからないが、全ベータ放射能濃度を測定していると、通常に比べ最大で約25倍の濃度が観測されたという例もある。中国の大気圏内核実験のときも、通常に比べ大体100 倍から1000 倍ぐらいの濃度が観測されたこともあり、非常に有意義なデータがとられていると認識している。

(小佐古委員) 昭和36 年から制約条件の中でやっているということで、よろしいが、やはりそのときに応じた目的に合うような、大局的な体制を組まれる方がいいのではないか。中国の大気圏核実験のときには人工放射性核種を検出したと、いくら自慢されても、中国はもう既に大気圏核実験は間違いなくやりません。前の経験というのは、それは勲章かもしれないけれども、役に立たないということになる。それで、新しい地域で新しいことが起これば、新しいものに対応したものが必要になる。今も出てきたが、そういう核実験にある程度対応したいということであれば、浮遊塵というよりは、もうちょっと一生懸命、空気を圧縮して持ってきて、成分分析はあまり専門じゃないが、そういうことも可能かもしれない。あるいは昔と違った、今は大気圏の流線も細かく書けるわけだから、もしも防衛庁さんが防衛省さんになられたからというわけでもないが、いろいろなことを想定して、いろいろな設備やいろいろなものを配備されたり、計画されているでしょうから、例えば例題として、ここでこれが起これば、こういう流線分布になり、この辺をはかれば、一番感度よくはかれる。今は、基地はないけれども、そういうときには小松にそれを移動して、そこをはかれば一番感度が高い、というようなことをある程度我々は知っている。やはり以前からやっておられたということではなく、目的とかそういうものを新装開店で、庁が省になられてということもあり、ここでぜひ新しい目的に対応したものをもう一度どこかで見ていただいて、それに対して、最高の感度を持っているところに最小の費用で、一番有効なものがとれる、それを国民に還元していただけると、私は大学の成績では優をつけてさしあげたい。

(防衛省・上田) 実は、まさに先生がおっしゃったように、今回の北朝鮮の地下核実験対応の教訓、反省を我々の中でも立ち上げまして、今飛行機がないところのものを別に基地に動かしてやるとか、今までの高度にとらわれず、もうちょっと低いところですとか、柔軟に運用できないかと、これからはそういった教訓、反省を生かして柔軟なことができないかということを検討していく。

(廣瀬委員) 今、ちょっとお話があったが、防衛省さんはほかの省庁と性格が異なるので、例えば北朝鮮が本当に出したのか出さなかったのか。それは非常に重要な情報なので、そういう別の見方もあるのではないか。

(成田委員) 今までの発表の中で違うのは、高いところのデータを常時取れるのはここだけだと思うので、もともとの目的が異常なときに対するということで、異常ありませんでしたというのはそれも立派なデータだけれども、それにプラスアルファで存在価値を、異常がないというのを確認するだけではなく、さらに付加価値をつけるとか、例えば、3キロなり、10 キロなりの浮遊塵を常時はかる。あるいはそこの鉱物を分析すると、日本の本土から上がった空気から来ているものではなく、大陸だとか、そういうデータがつかめる場合がある。午前中にラドンの話があったが、ラドンをいくらはかったって、室内の方が線量が高い。実効線量的には低いが、それがどこから来るか興味深い。そういうデータを供給できる可能性もあるということを、せっかくこういうところのデータが取れるという強みを、ほかとのデータの協力をお考えになると、常時役に立っているというデータが出るのではないかという感じがする。これは、少し工夫すると、かなりよくなるのではないかと思う。目的は、異常の察知だから、それは十分存在意義があると思う。

(防衛省・清水) 十分に検討させていただく。

(久松委員) 先ほど、小佐古先生もおっしゃったように、そのとき、そのときに応じたメソッドを使うべきだと思う。さっきの全ベータにこだわるが、全ベータというのは、ほかに測定手段が、核種分析の手法がないときの簡便的な方法で、これをいつまでやるのかということに関しては、どこかで区切りをつけないといけないと思う。恐らく防衛省さんの問題ではなくて、文科省さんの方の問題とも思うが、ぜひどこか、適当なところで、区切りをつけられるべきではないかと思う。

(事務局) それでは、最後、文科省が行っておる水準調査について。

(文科省・高橋) 資料の4-9、概要としては47 都道府県において、環境放射能の水準を把握するため、以下のとおりの調査を行っている。加えて、緊急時においては、これらの調査の強化を行うということになっている。次のページに、別紙1として、どんな調査をやっているかということで、定時降水、農作物、海産物、陸土、海底土等の調査をしている。また、次のページには、調査項目として、空間放射線量率については、47都道府県に実施をお願いしている。また、全ベータ放射能調査については、46 都道府県及び分析センターで実施している。あと核種分析については、ゲルマニウム半導体検出器を用いた核種分析について、47 都道府県及び日本分析センター、あと牛乳中のヨウ素131 の調査としては16 道府県で実施している。ストロンチウム90、セシウム137 の調査については、分析センターで実施している。核種環境資料の採取、ストロンチウム90 の放射化学分析及びセシウム137のゲルマニウム半導体検出器等による測定については、北海道で実施している。ウラン調査については、4県で実施している。プルトニウム調査については、47 都道府県及び日本分析センターで実施している。最後に、福島県の例で、福島県でこのような調査を実施している。最初のページに戻っていただき、必要性等については、平常時における各都道府県の環境放射能水準を把握することで、万が一異常値を検出した場合における原因の特定及び測定結果の正確な評価に資することに加え、緊急事態に至った場合において、当該施設等から広範囲地域における放射能の影響に係る評価に資するために実施する。緊急性として、平時より継続的に各都道府県における放射能水準を把握することにより、万が一異常値が検出した際の放射能影響を迅速に評価できるようにするため、常に原子力緊急時に対応可能な放射能調査体制の整備をすることが必要である。得られた効果については、国内における平常時の放射能の水準を把握することにより万一、原子力事故等が生じた場合、放射線被ばくによる国民への影響を把握することができる。また、平時及び緊急時において、測定結果を公表することにより、放射能影響等について国民の理解に資する。測定結果等については、インターネット上で公開を行っている。あとは、毎年文科省が主催する環境放射能調査研究成果発表会において、抄録集として取りまとめ、配付している。ということで、内容については以上である。

(成田委員) 文科省さんは多分いろいろな調査結果について、例えばそれをまとめてどうされるのかという、その結果がこうなったというのを出していただくのが文部省の役割かなと思う。これはどうされるというか、きょう聞いた限りでは、どうも私のところはデータを出したという答えしか出てなかったように思う。

(防災環境対策室・佐々木) この件に関して、確かに今までそういう評価という部分は行われてきてなかったということは確かである。一般に対して、データを公開するという部分に関しては、インターネットの方でデータベースとして、皆さん、どちらかと言うと専門家の方々に、使いやすいような形で提供させていただいている。また、年に一回、12 月に、環境放射能調査研究成果発表会というものを学会形式で開き、こちらの方で、各県さんも含めて、放射能調査の状況をご説明していただき、また成果は論文抄録集として、それを提出するという形で出してきているわけだが、先生がおっしゃられるとおり、そういった意味では、データを出すだけで、それをどう評価するかというところまでは踏み込んできていない。実は、この環境検討会を立ち上げたというのも、そういう検討を今後国としても考えていきたいということがあり、この環境検討会を立ち上げた。ちょっと今後、どう評価していくかの方法について、我々の方でも考えさせていただき、この環境検討会の場をもちまして、いろいろとご審議いただければと考えている。

(長岡委員) それについては、私も、確かにそういういろいろなデータをまとめて、1つのかたまりに見やすい形にするのは大事だと思う。ただ、行政庁の中心部でそれをやるということは、恐らく非常に難しい話であって、非常に技術的な話がいっぱい出てくると思う。これはもう例えば分析センターに任せてやってもらうとか、そういう技術的な集団にある程度、働いてもらうというようなことを考えた方が私は現実的ではないかと思う。意見である。

(小佐古委員) この辺になると多様の意見が出てきて、その水準調査というのは、いわゆる立地県、いわゆる原子力発電所が立地しているところでないところをやって、それで文科省さん、防災環境対策室で動いて、やはりそこら辺に私は大きな特徴があるのではないか思う。例えば、大きな事故、いろいろなことが起こると、そのたびに世間が揺れ動く。専門家は、何を世間は騒いでおるのだ、バカ者と。そんなものは低くて話題にならないと思っているが、世間はそう思わない。いや、検出されたと。ものすごくわずかでも検出されたと騒ぐ。多分、この水準調査の本来のご趣旨は、そういう専門家のところではなくて、津々浦々、きちんとそういうものをはかれるような体制をつくり、そういうところにわずかではあっても、そういうところを維持できるような人たちを保持し、そういうものを組み合わせて、研究所があるところ、立地県があるところ、ではなくて、空白域のところもきちんと埋めて、行政を行いたいという趣旨だと思う。だから、今、長岡さんがおっしゃったように、専門に特化した技術的なところだけを、このところでカバーしてもらうのでは、ちょっと私は困るのではないかと思う。普通の都道府県だと、それぞれの専門家をいつも用意してやっているわけではないが、水準調査の枠の中では、ある程度のいろいろなものを有しながら、場合によれば、隣の県で何か起きたけれども、我が方はどうなったかと言われたときの受け皿になれるとか、広い意味での国民理解の受け皿になれるというところにも特徴がある。そういう専門的なところできちんとおやりになるというところも大事だが、そのほかの一般的な教育、あるいは社会に広報する、あるいは県におけるそういうような基地にもなれるような形でデータをまとめられたり、いろいろな担当をやっていただいたら非常によろしいと思う。放射能とか放射線というのは、本当はいろいろなところにもあるにもかかわらず、特別なものというのが一般の受け方なわけで、そういう空白域をつくらないということが、放射線や放射能、それを使ったような事業とか産業、あるいは医療とか、いろいろなものを中心の基礎をつくっていくのではないかなと思う。

(文科省・高橋) 了解した。頂戴した意見は反映させていく。

(廣瀬委員) 小佐古先生が結論みたいなことを言われたので、私は言いづらいが、やはりどういう人に見せるかと観点、すなわち国民一般に見せるのか、専門家に見せるのか、それぞれの窓口をはっきりさせていかないと、非常に膨大なデータを雑多な形で、見せられても困るということがあるので、そのあたり、整理されて、その上でここではどこをやるのかということをはっきりさせることが重要ではないか。

(長岡委員) 私も小佐古先生の意見には基本的には賛成である。例えば、放射線、データベースでやっているが、その中で、例えば海上保安庁のデータだとか、水産庁のデータとか、そういったものを総合的に並べたものを見せるとか、そういう仕組みをつくってはどうかという意味で、そのことだけやればいいということではない。

(久松委員) 全くそのとおりのことを言おうとしたので、データの取りまとめと、それらを全部横並びにした環境放射能的な評価ということを中央官庁で直接おやりになるというのは非常になかなか厳しいと私も思う。やはり技術的な集団のところで、ある程度の見極めというか、評価を行って、それをもとに今度は一般向けの情報公開をどうなさるかというところがまさに中央省庁の文科省がご判断されるのではないかと思うので、その前段階のところでのデータの解釈というところは、私も中央で直接おやりになることではないという気がする。

(小佐古委員) 私は、ちょっと違った考えで、これはもう既に皆さん聞かれておわかりになったと思うが、なかなか少々の障害なくしても、組織間の壁というのも高くて、本当は自発的にいろいろなものが進めば、それは一番よろしいと思うが、どこかがやはり声をかけるというか、声をかけていただくようなところがあった方がいいのではないかと思う。ただ、部分的には、分析センターでおやりのデータベースのところでは、少々の枠を超えて、セシウムの何年から何年、この区域というふうにやると、そういうのが統合的にシェアできるような仕組みのところまでは難しいと思う。ただ、それに解釈を加えて、どういうところに説明するのかというのは、これはちょっと微妙なところがあり、今もおっしゃっているように、ある程度、行政が解釈を加えるというよりは、専門家の解釈にかためて、行政がコメントを加えられるという形をとる方が、形としては良いかなと思う。

(防災環境対策室・佐々木) どうも貴重のご意見ありがとうございました。私どもも今先生方がおっしゃられたとおり、今どちらかと言うと、出てきたデータをデータベース化して、専門家の方々が利用しやすいような形の公開ということを今までずっと進めてきたような、そういうふうな方向性が強かったと思うが、今一般の方々に情報公開ということで、もう少しわかりやすくせっかく得られた情報をいかにアピールしていくかということは今後の問題になっていくと思う。そういった部分は、防災環境対策室、文部科学省だけではやり得ない話で、皆様方のご協力をいただいたり、あとは委託調査として、分析機関に出して、調査を行ってもらったりということは考えたいと思っている。今までともかくデータをためてきて、その蓄積もあるので、それをいかに活用するか、先ほど廣瀬先生がおっしゃられたように、専門的なものと一般的な方々にどういうふうにそれをわかりやすく説明できるか。その一般向けにどうアピールするかという方針を決めるというのは、やはり行政庁である文科省の仕事かと思うので、その方針を決めて、その方針に向けて、どのようにわかりやすく説明していくかというところを専門家集団にいろいろと検討していただいたらいいかと考える。

(木村委員) 放射能水準調査の枠をもうちょっと広がって、全体の評価の話になっているようだが、それはそれで私も先ほどから申し上げてきたことなので、大賛成な話である。今、ちょっと水準調査に立ち返ると、先ほど小佐古先生からもあったように、やはり自治体の立場で申し上げると、空白域をなくしていただくというのは非常に重要なことだと思う。いろいろな思いが、各自治体もあるが、やはりチェルノブイリのときが最も典型的な状況であり、それから今の北朝鮮の場合も、自分のところの環境試料、あるいは食品は大丈夫なのかというのをできるだけ出してほしいのは、もう県民の願いなので、そのためにはすべてを分析センターにお願いしていては、とてもではないが時間がかかりすぎる。ある程度の調査を自前で実施できるのが今全県にあるので、さらにネットワークでつながっているような状況なので、非常に貴重な私は体制だと思っている。ただ、その結果が出たときに、それをどんなふうに評価して、それがどこまで安全で、どんなふうに解釈、そのデータの変動の要因を解釈できるのかとなってくると、やはりその自治体によっては、あまり専門的な知見がないところもあるので、そういう意味では、総合的に国が委託調査でやっておるので、総合的な評価を国の方からしていただくというのが、自治体にそれをフィードバックするという意味でも非常に重要だと考えている。

(防災環境対策室・佐々木) まさに今回の北朝鮮の核実験の際にもそういうことがあり、まず、データは出したが、いつ結果が出てくるのかと。どういう評価で出ててくるのか、早く出して欲しいと、各県からいろいろと要望があったりした。逆に、うちの県で、こんな核種が出たがというとんでもない核種の名前を挙げて報告が上がってきて、それについて、評価をしなければ出さないような状況であると、そういうこともあった。まさに、各県レベルをある程度のレベルまで、ある程度の機械を設置するということがまさにこの目的であるので、そういった状況では、我々としても、この水準調査をこの体制を維持する形で進めていきたいと考えている。

(事務局) ほかにはないか。それでは、長時間にわたり、お疲れ様でした。お手元に作業用ということで、評価用紙というか、配らせていただいている。もう書いてしまったという先生は、そこはもう置いていっていただいて結構である。改めてメールでフォームは送らせていただくので、それに改めてご記入いただいてご返送いただければと思う。今後、一応個別事業については、事務局の方で取りまとめをさせていただき、総合評価についても、一応事務局の方で、叩き台はつくらせていただく。各分野については、そこは叩き台を私どもでつくるが、総合評価の各分野においては、主査の飯田先生と、あと小佐古先生と担当を割り振らせていただき、その先生方で、コメント、修整文等をつくっていただきたいと考える。叩き台に手が加わったものができ次第、第4回の検討会を開かせていただきたいと考える。一応、こんな形で進めさせていただきたいと思う。

(飯田主査) 説明ありましたように、事務局の説明のように、引き続きというか、評価書の作成を進めていきたいが、特に何かご意見はあるか。皆さんから最初に意見をいただき、まとめていただくという方向で。最後に、私と小佐古先生と事務局でまとめさせていただく。よろしいか。

(事務局) 本日の評価のコメント等については、できましたら今月中ぐらいまでに事務局にご返送いただければと思う。早い分には一向に構わない。

(飯田主査) 今年度中で。

(事務局) 一応、3月中には第4回はやりたいと考えている。

(飯田主査) ほかにご意見がなければ、本日の会議はこれで終了したいと思う。どうもご協力、ありがとうございました。

(事務局) ありがとうございました。

 

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

担当:高橋、猪狩(いがり)
電話番号:03‐6734‐4040(直通)
ファクシミリ番号:03‐6734‐4042

(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)