研究炉等安全規制検討会耐震検討ワーキンググループ(第3回) 議事要旨

1.日時

平成18年10月25日(水曜日)10時~12時30分

2.場所

三菱ビル 地下1階 M8会議室
東京都千代田区丸の内2‐5‐2

3.議題

  1. 耐震重要度分類について
  2. バックチェックについて
  3. その他

4.配付資料

  • 資料3‐1 耐震検討ワーキンググループ(第2回)議事概要(案)
  • 資料3‐2‐1 耐震クラスSとなる炉及び設備・機器等の選定に関する基準値の考え方について(案)
  • 資料3‐2‐2 耐震評価の進め方について(案)
  • 資料3‐2‐3 原子力機構原子力科学研究所の主要な試験研究炉に対する耐震バックチェックの予備的検討(石島委員資料)
  • 資料3‐2‐4 東京大学原子炉「弥生」の地震時の安全性について(越塚委員資料)
  • 資料3‐3‐1 基準地震動の策定及び地震随伴事象に対する考慮について(案)
  • 資料3‐3‐2 基準地震動の策定に必要な活断層調査について(案)
  • 資料3‐3‐3 バックチェックが必要となる耐震クラスについて(案)
  • 資料3‐4 現地調査報告について
  • 参考資料3‐1 「耐震設計審査指針」の改訂を機に実施を要望する既設の発電用原子炉施設等に関する耐震安全性の確認について

5.出席者

委員

代谷主査、瓜生主査代理、石島委員、釜江委員、越塚委員、本間委員、山中委員、和田委員 

文部科学省

袴着次長/原子力安全監、小原原子力規制室長、中矢保安管理企画官、他

6.議事要旨

(1) 耐震検討ワーキンググループ(第2回)の議事概要の確認
資料3‐1に基づき事務局より説明後、文言を3ヶ所修正し了承された。

(2) 耐震重要度分類について
資料3‐2‐1に基づき事務局より説明後、次の通り委員からの意見及び質疑応答があった。

  • 基準値としての5mSvについては、実用炉との関連もあると思われ、議論が必要ではないか。(本間委員)
    → 実用炉では、重要度分類を実態的に影響が5mSvを超えるおそれのあるものは従来からA及びAsクラスとして担保してきたというのが実態です。
  • 停止機能、冷却機能及び閉じ込め機能の全てが失われた状態を想定するのであれば250mSvに該当するという考えもあるのではないか。(瓜生主査代理)
    → ここでの基準値を250mSvにすると何も余裕がないことになります。耐震指針では、地震を大きな事故の誘因とさせないというのが設計思想であるので、各種事故の基準が判断のための基準として相応しいと考えます。
  • 発電用原子炉と研究用原子炉の大きな違いは、停止に対する考え方である。これに伴って、外部に放散される可能性のあるものであるかどうかという判断基準が変わってくる。それを同じ条件の下で検討すると非常に難しい議論になる。(代谷主査)
    → 停止ができることを担保するためには、本当に停止できることの確認が必要になると考えます。
  • ここで言っているのは、例えば停止できなくても冷却機能があれば5mSvを超えない、あるいは停止できなくて冷却機能が無くなっても閉じ込め機能があれば5mSvを超えない、ことが確認できればよいということではないのか。そして、これらは炉ごとに評価するという枠組みを作っておくということではないのか。(釜江委員)
    → ご指摘のとおり、枠組みとして最低限満足すべき考え方を示しておき、同等以上の論理構成や評価ができるものは包含できるようにすることを意図しています。
  • 形としては5mSvと言っているが、5mSvから250mSvの間のグレーゾーンを残した書き方ではないか。(代谷主査)
    → 5mSvを基準とする方向で検討していただきたいが、将来において確率論的な評価ができるようになった際には、その評価方法も選択できるように、将来の重要度分類の選択肢として記載しています。
  • これは残余のリスクの議論である。例えば耐震クラスの話は決定論的な計算をしてSsで大丈夫であり、残余のリスクに対してはPSAをやって安全目標を満たせばよいということになる。(越塚委員)
  • 現時点ではSsの決め方が具体的にどういう頻度の、どのくらいの確率のものまでとろうとしているのかがよく見えてこないので話が核心に行きつかない。越塚委員がおっしゃったようにSsを決めるときに安全目標というのを念頭に置いて決めることができれば非常に整合性のあるストーリーになる。(石島委員)
  • 資料3‐2‐1の最初に「潜在的危険性は実用発電炉に比べて概して小さい」と記述されているが、ここでいう潜在的危険性とは内蔵する放射性物質の量そのものではなく、外部に放散される可能性のあるものがどの位あるのかということであると思われ、用語の使い方がよくない。(代谷主査)
    → ここでは、外部放散の現実的な可能性を考慮して評価するということをいっています。用語を見直します。
  • 放散される可能性があるものか否かを判定した上で評価したときに、5mSvを超えるか超えないかで評価するということで、判断基準としては5mSvを選定するということでよろしいでしょうか。(代谷主査)
    → 5mSvというのは分かりやすいし、それ以外にするのは理屈が難しい。(石島委員)
    その後、資料3‐2‐2に基づき事務局より説明があり、引き続き資料3‐2‐3に基づき石島委員から、資料3‐2‐4に基づき越塚委員からの説明の後、次の通り委員からの意見及び質疑応答があった。
  • 実際にこのフロー図をやってみて、下からやって上に行ったほうが分かりやすいと感じた。(石島委員)
  • このフロー図では、停止に失敗して冷却機能も失われて、かつ放射性物質の全量放出を仮定するのか。(越塚委員)
    → 停止機能喪失時の影響を評価し、燃料破損が想定される時は燃料状態に応じて放出量を設定します。燃料破損がなければ放出量を設定する必要はありません。ここでは、評価に当たって最低限満たすべき考え方を示したものであって、技術的に否定できるものまで硬直的に実施すべきものとは考えていません。実際に想定される影響を評価した上で、その状況に応じて行えばよいと思います。
  • 燃料の状態に応じてというのは、溶けるか溶けないかというところに重きを置いているのか。全量放出を考えるのか、中途半端な炉は厄介である。(山中委員)
    → 実際上、燃料溶融が考えられる場合は、全量放出を仮定することになるものと思う。(代谷主査)
  • スクリーニングを行う際の想定を閉じ込め・冷却・停止が全て無くなるとしている。技術的見地からは起こるとは考えられないとされている仮想事故をはるかに超えた想定あり、これを250mSvより厳しくすると仮想事故との整合性を失うことにならないか。(代谷主査)
    → 耐震はあくまでも自然現象に起因する事態を考えており、仮想事故は 機械のトラブルやヒューマンエラーに起因する事故が対象です。耐震設計指針でSクラスの意味は仮想事故のような事故評価シナリオにおいて自然現象に起因する事故シナリオを排除できるようにすることにあると考えます。もし、耐震設計でも自然現象起因の事故が否定できない場合が残っていると、事故や仮想事故のシナリオに自然現象を取り入れなければならなくなり、シナリオが複雑になってしまうと思われます。
  • 基準値を5mSvとし、このフロー図に従い評価することでよろしいでしょうか。(代谷主査)
    → 評価をすることになるが、フロー図の下の方から考えると分かりやすいといったことがある。(石島委員)
    → フローを実施する順番などについて説明等を書き加えます。

(3) バックチェックについて
資料3‐3‐1、3‐3‐2、3‐3‐3に基づき事務局より説明後、次の通り委員からの意見及び質疑応答があった。

  • 活断層調査のところの、ただし書きの意味がよく判らない。(釜江委員)
    → 既設炉の場合は、ある程度の活断層調査は終わっており、基準地震動Ssがその2倍、3倍になるとは考えにくい。一方、実際の施設がそれよりもはるかに高い実耐力を持っていれば改めて調査する必要はない、という意味です。表現を工夫します
  • 地震が起きるたびに工学は進歩している。昔のものは3倍の地震力に対して設計していたとしても、強度はあるが粘りのある設計になっていないものもあると思われる。これは見直すとなった時に何を見るのかということに関係するのでコメントしておく。(和田委員)
    → ご注意、ありがとうございました。(代谷主査)

(4) その他

  • 資料3‐4に基づき事務局より現地調査報告があった。
  • 今回の討議内容について未だ議論がある場合には、事務局にメールを送り、やり取りを行うことにより内容を確定することになった。
  • 次回の日程は後日連絡の予定。 原子力安全規制等懇談会の下で、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく試験研究用原子炉施設等に対する安全規制について専門家による検討を行うことを目的に、平成14年7月より活動してきているところです。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

担当:内山、菊川
電話番号:03‐6734‐4035(直通)

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)