平成22年9月10日
放射線規制室
「原子力施設等の事故・故障等に係る事象の国際原子力事象評価尺度(International
Nuclear Event Scale : INES)」ユーザーズマニュアルは、国際原子力機関(IAEA)及び経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)において1992年に策定され、2006年には放射線源や輸送に係る事象のINES評価に関する追加ガイダンスが策定されてきた。文部科学省におけるINES評価は、2004年1月から原子力施設に係る事象について、2008年4月からは放射性同位元素の使用施設等に係るINES評価として、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」の適用を受ける施設及び放射性同位元素等の輸送の事故・故障等について運用してきた。
今般、IAEAにおいては、INESユーザーズマニュアル(2001年版)及び追加ガイダンス(2006年版)を統合し、「国際原子力・放射線事象評価尺度(International
Nuclear and Radiological Event Scale : INES)」として、「INESユーザーズマニュアル(2008年版)」が2009年に策定されたことから、当省における「放射性同位元素の使用施設等に係るINES評価」においても、当該マニュアルに基づく運用を開始することとする。
INESユーザーズマニュアルの継続的な使用の観点から、2001年版及び2006年版を統合し、それに伴う評価基準体系の見直しが図られたものであり、基本的には従前のINESの運用の対象範囲から変更はない。
(1)原子力施設、放射性同位元素、輸送の各分野における用語の統一
(2)基準等の明確化
(3)事例の追加
INESの運用は、放射線障害防止法の規制を受ける施設(放射性同位元素又は放射線発生装置の使用施設、放射性同位元素を貯蔵する施設等)及び放射性同位元素等の陸上輸送に関する事故・故障等について、放射線障害防止法に基づき報告された事象(以下「法令報告事象」という。)に適用する。
放射線規制室が法令報告事象について暫定的に評価したINESレベル(以下、「INES暫定値」という。)の妥当性について検討を行う。放射線規制室は、放射性同位元素の使用施設等に係るINES評価ワーキンググループの検討結果を参考にし、INESレベルの正式な値(以下「INES正式値」という。)を確定するものとする。
(a)事業者により第一報を受けた放射線規制室は、速やかにINES暫定値の検討を行い、その結果を法令報告事象のプレス発表文に含めて公表する。
(b)INES正式値を確定した際には文部科学省のホームページにて公表する。
(a)INES暫定値がレベル2以上に分類された事象又は国際的に公衆の関心が高い事象については、当該INES暫定値をIAEAに報告する。
(b)INES正式値の確定後、当該INES正式値をIAEAに報告する。
2010年4月1日以降に発生した事象から適用し、評価を実施する。なお、2010年3月31日までに発生した事象については、旧マニュアルに基づく評価を実施する。
項目 |
変更前 |
変更後 |
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「評価の分類について、発電用原子炉主体の分類から、輸送及び放射線源事象を含む分類への変更 |
(2001年版) (2006年版) |
・人と環境への影響 |
「評価尺度の体系」について、発電用原子炉主体の分類から、輸送及び放射線源事象を含む分類への変更 |
【INESレベル】 【所外への影響】 |
【INESレベル】 【人と環境への影響:レベル2】
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項目 |
変更前 |
変更後 |
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「深層防護への影響評価」における対象事象の明確化 |
原子力施設(2001年版) 輸送及び放射線源(2006年版) |
出力運転中の発電用原子炉の事象 特定の施設(*)での事象 輸送及び放射線源事象 (*)核燃料サイクル施設、研究炉、加速器、放射性核種の製造及び販売等を対象。
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「人と環境への影響評価」における被ばく人数の定義 |
数人 数十人 |
「数人」は3を超える数 「数十人」は30を超える数 |
「人と環境への影響評価」における被ばく人数の考慮 |
輸送及び放射線源事象に対して考慮 |
原子力施設、輸送及び放射線源事象に対して考慮 |
「施設における放射線バリアと管理への影響評価」における施設の汚染に関する線量当量算定時の換算係数の追加 |
(2001年版) (2006年版) |
22核種
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項目 |
変更前 |
変更後 |
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マニュアルの使用法を説明するための実事例の追加 |
(2001年版) (2006年版) |
55事例 |
* 国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ資料 INES10-2より引用
科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室