クリアランス技術検討ワーキンググループ(第4回) 議事要旨

1.日時

平成18年3月3日(金曜日)10時~12時10分

2.場所

経済産業省 別館 1014号会議室(10階)

3.議題

  1. 第3回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)の確認
  2. 放射化物に係るクリアランスレベル以下であることの測定・判断方法について
  3. 短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の取り扱いについて
  4. その他

4.配付資料

  • 資料4-1 第3回クリアランス技術検討ワーキンググループ 議事概要(案)
  • 資料4-2 放射線発生装置使用施設の放射化物に係るクリアランス判断の事前評価について(実施設を用いたケーススタディ)
  • 資料4-3 放射化物に係るクリアランスレベル検認技術の検討について
  • 資料4-4 短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄に係る判断基準について
  • 資料4-5 短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄に係る規制の考え方について(案)
  • 参考資料 クリアランス技術検討ワーキンググループ 委員名簿

5.出席者

委員

近藤主査、大山主査代理、大越委員、反保委員、服部委員、古川委員、森本委員

文部科学省

文部科学省 梶田放射線規制室長、桐生放射線安全企画官、岩田放射線検査専門官、江田専門職、里山行政調査員

オブザーバー

大学共同利用機関法人、高エネルギー加速器研究機構 三浦助教授、(独)日本原子力研究開発機構 バックエンド推進部門 廃棄物処分技術開発グループ 木原グループリーダー

6.議事趣旨

(1) 資料4-1に基づき、第3回クリアランス技術検討ワーキンググループの議事概要(案)の確認がなされ、原案とおり了承された。

(2) 資料4-2に基づき、説明者から、放射線発生装置使用施設の放射化物に係るクリアランス判断の事前評価について、実施設によるケーススタディの実施と結果、事前評価方法の考え方等の説明がなされ、次のとおり質疑応答がなされた。

・ KEKの相対重要度評価結果で、p15の放射化計算のグラフでは85cmの深さまでしか示されていないが、p16の相対重要度評価ではコンクリート表面から100cmの深さで評価しているが、何か理由はあるのか。(古川委員)
→ プロットの仕方の問題であるが、放射化計算は0-20cm、20cm-40cmと20cmごとに放射化計算をしており、100cmというのは80cm~100cmの放射化計算の結果であり、その間の平均値である。(説明者)

・ p20の放射化計算と測定値との比率の計算で、KEKはNa-22で比率を算出しているが、他はCo‐60で算出している。Co‐60は(n,γ)反応と思われるが、Na‐22はエネルギーの高い領域での(n,2n)反応か。例えば、Co‐60で比率を出すとどうなるか。(近藤主査)
→ Na‐22は(n,2n)反応がメインで、その他にAlやMgからもできる。Co‐60でも比率を出したが、それほど大きな差はない。(説明者)

・ 測定値と放射化計算の違いは、照射履歴についての情報の不足か。(近藤主査)
→ 照射履歴についての情報の不足のほかに、KEKの場合は、ビームロスがビームの途中で起こるので、ビームロスの見積もりが大きな原因となる。(説明者)

・ 低出力の放射線発生装置の事前評価は簡素化できるということだが、p7の表のどれに該当するのか。(反保委員)
→ 医療やX線検査用の電子直線加速器、PET用のサイクロトロン、コッククロフト・ワルトン型やファン・デ・グラーフ型のようなビームロスが無い加速器については、それぞれ単一化できるのではないかと考えている。これら3つについて、さらに単一化できるかどうかは今度の課題と考えている。(説明者)

・ p7の放射線発生装置の分類で、放射化の有無のイメージとあるが、電子を加速するものについては主な一次反応の(γ、n)反応は6MeV以下では起こらず放射化はしない。また、イオンを加速するものについては、重陽子などの特殊な粒子を除いて2.5MeV以下では放射化はない。このような電子と陽子などの加速粒子による放射化のメカニズムの違い、放射化がないエネルギーの考え方、一次ビームに曝されるところの扱い、研究用加速器のように様々な粒子やターゲットを使用するものの扱いなど、クリアランスという視点から見て放射線発生装置を分類する上で何か考えはあるのか。(近藤主査)
→ 一次ビームに曝されるところも、PHITSにより一次ビームの入射から一次反応による放射化までを計算することによって加速器本体の放射化の結果は得られるので、評価は可能ではないかと考えている。ただし、研究用加速器のように様々な粒子やターゲットを使用するものは、入力するデータが多くなると考えられる。ターゲットはクリアランス対象とは考えていない。(説明者)

・ 評価対象核種の選定において、原子力安全委員会が平成13年7月にとりまとめた原子炉施設におけるクリアランスレベル検認のあり方では、評価対象核種は全体の90%以上になるように選定するという考え方があり、また、欧州委員会のレポートでは10%ルールという考え方がある。今回の放射化物に係る評価対象核種の選定では、D/Cの最重要核種から2桁までという前提があり、それを放射化計算の誤差を見込んで幅を広げる、例えばKEKでは4桁まで広げるという提案である。放射化物は核種間に組成比があるのでこの方法でも良いと思われるが、今後の検討対象となるRIによって汚染された物を考えた場合、核種間に組成比はないのでこの方法は適用できないと思われる。これらの整合をどう考えるか。(服部委員)
→ 実際のクリアランス判断では、先行している原子炉施設と同じ考え方が適用されると思われるが、この資料では、原子炉施設の事前評価の方法が適用できるか、補うためにはどのような方法があるかという観点で作成している。今後は、この方法に90%ルールを加味することになる。(説明者)
→ 放射化物の一番の特徴は、部位や照射履歴等によって放射化の程度にバラつきがあるということ。クリアランスの判定のポイントは、クリアランスレベル以下であることが確実であることで、今回は、放射化計算と測定値に差があるので、この程度の核種を評価対象核種として選定すれば問題ないであろうという提案であると理解している。クリアランス制度設計をどうするかは今後の議論と考えている。(小原室長)

・ 評価対象核種を決め、さらにその核種の中から測定可能な核種の測定値をもってクリアランスの判定をするという流れになると思われるが、測定値そのもののバラつきが大きいとするならば、クリアランスの判定をする際のD/Cの判定にも何らかの保守的な考え方を入れる必要があるのではないか。(小原室長)
→ 評価対象核種の選定では、放射化計算結果と測定結果とを比較して行うこととしているが、実際のクリアランスレベル以下であるかどうかの判断は、放射能の実際の測定結果によって行うという提案であるので、非常に厳しい制度ではないかと考えている。(説明者)

・ 複雑な位置構造やビーム損失が放射化計算にうまく反映できていないとするならば、それは最重要核種に限ったことでなく他の核種にも同じことであるので、D/Cで議論している以上はあえて評価対象核種を広げる必要はないのでは。(大越委員)
→ p20にあるように核種によって比率が違うので、安全側に考えると1桁から2桁くらいは広げる必要があると考える。(説明者)

・ 放射能濃度の測定結果が放射化計算結果と異なる原因は、分析の誤差や親元素の組成の問題等色々な要素が加味されていると思われるので、その原因を詰める必要がある。(大越委員)
→ 現在、原因をつめているところであり、放射化計算や分析の精度を上げる努力をしている。(説明者)

・ p23のKEKの核種組成比で、最重要核種はNa‐22であるが、核種組成比はCo‐60を1としているが、その理由は。また、H‐3が8.58×103となっているが、p19のグラフを見るとそこまでの差はないと思われるが。(大越委員)
→ 相対重要度の観点ではなく、測定のし易さの観点からキー核種を選定するため、最も測定し易いCo‐60を選定した。また、H‐3は桁数の誤記と思われる。(説明者)

・ 今回は、それぞれの加速器について、たまたま放射能の測定データがあった部分について事前評価を行ったものであり、これがそれぞれの加速器を代表するサンプルではない。そのような意味で、これは事前評価の可能性を議論したという理解で良いか。また、p25でCo‐60等を測定して放射能濃度を決定すると記載されているが、今回のデータではそこまで言えるものではないと思われるが、そのような理解で良いか。(近藤主査)
→ そのとおりである。(説明者)

(3) 資料4-3に基づき、事務局から、放射化物に係るクリアランスレベル検認技術の今後の検討課題について説明がなされ、次のとおり質疑応答がなされた。

・ 3-3については、制度設計に必要な内容のほかに、実際に各事業者がクリアランスするまでに用意すべき内容も含まれているように思われるが、法制化までに必要なことと実際の検認に必要なことにわけて議論した方がよい。(大越委員)
→ 放射化計算に必要なデータの収集については、個別のデータを集めるのではなく、どのような考え方でどのようにデータを収集するのかという大枠について議論することを考えている。(事務局)
→ 年度内に中間報告書として取り纏め放射線規制検討会へ報告する予定であり、その意味で現時点までにわかった内容と今後クリアにしていかなければならない内容を整理したものである。そのような観点で資料を見て頂き、コメントを頂ければ幸いである。(小原室長)

・ これまでに議論されたことを中心に取り纏めるということか。(近藤主査)
→ これまでに議論してわかった内容と、今後検討が必要な課題を中間報告書として取り纏める予定であり、この報告書は、今後、放射線安全規制検討会において制度化の検討が進められる際のデータとなる。なお、中間報告書をもって本ワーキンググループが終了するのではなく、引き続き、技術的課題について本ワーキンググループで検討を行う。(事務局)

(4) 資料4-4に基づき、古川委員及び反保委員から、短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄に係る判断基準の考え方と適用可能な事業所の割合についてのケーススタディ、子孫核種が長半減期核種であるMo‐99-Tc‐99mの取扱い等について説明がなされた。

(5) 資料4-5に基づき、事務局から、短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄に係る規制の考え方について説明がなされ、次のとおり質疑応答がなされた。

・ 廃棄物としてどのようなものを考えているのか。また、現在は、短半減期核種によって汚染された廃棄物はRI協会が回収しているのか。(森本委員)
→ 全ての固体廃棄物を想定している。ただし、フィルタ類については、様々な核種が含まれるということで、先程の資料4-4のケーススタディでは対象外としている。現在、短半減期核種によって汚染された廃棄物は、全て放射性廃棄物としてRI協会が集荷している。(古川委員)

・ 短半減期核種の使用者が使用から廃棄までを行う場合と、短半減期核種の使用者が使用に伴って発生した廃棄物を廃棄業者へ引き渡し、廃棄業者が減衰保管を行う場合の両方を考慮した制度とする必要があるとしているが、これら両方の場合でも、減衰保管期間としては1年間が適当ということか。(服部委員)
→ 廃棄業者が引き取って減衰保管廃棄する場合は、保管廃棄設備で適切に管理できるなら減衰保管期間は3年でも可能とは思われる。技術的には可能と思われるが、減衰保管期間を何年にするかは制度化にあたっての決め事と思われるので、放射線安全規制検討会での制度化の検討で議論したい。(事務局)
→ 信頼性の観点から、使用者における短半減期核種の使用量を制限することを考えているが、廃棄業者が使用者から引き渡された廃棄物を減衰保管廃棄する場合に、使用者における短半減期核種の使用量まで保証できるかというと、これは非常に難しい。使用者が減衰保管廃棄を行う場合と、廃棄業者が減衰保管廃棄を行う場合とを切り離し、それぞれ何をもって信頼性を担保できるか検討する必要があると考えている。(小原室長)

・ 短半減期核種以外の核種の混入防止措置として、ハード面での対応はかなり厳しいものであり、既設の施設では難しいと思われる。これは、短半減期核種専用に別の建物を設けて行うということか。また、そのような場合でも、経済的なメリット等から適用するような事業所は現実として考えられるか。(大山主査代理)
→ 短半減期核種以外の核種の混入を防止するためには、かなり厳しい対応をしなければならないと考えている。また、実際に適用するような事業者があるかどうかを見極めるという意味も含め、資料では、減衰保管廃棄に対する事業者のニーズや経済的なメリット等についても見極める必要があると記載している。(事務局)

・ かなり厳しい案であり、事業者のニーズや経済的メリットは少ないと考えられるが、毎年、RI廃棄物はRI協会に集荷されて増え続けていくので、合理的で、かつ安全性が担保される制度ならば、少しでも将来に貢献でき、意義があるものと思われる。(反保委員)

・ 放射化物に係るクリアランスでは金属とコンクリートが対象であったが、この減衰保管廃棄については、全ての固体廃棄物が対象であり、事業者において放射能が減衰してクリアランスレベル以下となるまで固体廃棄物を減衰保管すれば、RI協会に引き渡すことなく廃棄できるという制度であると理解してよいか。(森本委員)
→ 放射化物に係るクリアランスについては、測定によってクリアランスレベル以下であることを確認するものである。一方、減衰保管廃棄は、ある適切な期間減衰保管することによって、放射能が減衰してクリアランスレベル以下となることが担保できれば、一般の産業廃棄物として廃棄してもよいとする制度である。(事務局)

・ 別紙1で、RS‐G‐1.7を基に求めた最大使用許可数量が記載されているが、実際はこの数量以上の数量を取り扱っている事業所もあると考えられる。また、廃棄物を廃棄業者が引き取って減衰保管廃棄するということでは、RI協会の対応が非常に重要になる。制度設計においては、この点が重要であると考えられる。(近藤主査)

7.その他

・ これまでの検討結果から何が言えるか、今後何をクリアしていかなければならないかを整理して中間報告書として取りまとめ、次回以降のワーキンググループで検討を行うこととなった。また、6月を目途に放射線安全規制検討会へ報告することとなった。

・ 資料4-3及び資料4-5に対してコメントがあれば、3月10日(金曜日)までに事務局へ連絡することとなった。

・ 次回の開催については、中間報告書(案)の作成の進捗にもよるが、できれば4月中の開催を予定しており、日程は改めて調整することとなった。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室

担当:里山、日高
電話番号:03‐6734‐4044
ファクシミリ番号:03‐6734‐4048

(科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室)