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クリアランス技術検討ワーキンググループ(第3回)議事概要

1. 日時
  平成17年11月21日(月曜日)15時〜17時

2. 場所
  経済産業省 別館 1014号会議室(10階)

3. 出席者
 
(委員) 近藤主査、大山主査代理、大越委員、反保委員、服部委員、古川委員、森本委員
(事務局)
文部科学省   下村次長・原子力安全監、小原放射線規制室長、岩田放射線検査専門官、江田専門職、里山行政調査員
(説明者) 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 三浦助教授
独立行政法人日本原子力研究開発機構バックエンド推進部門廃棄物処分技術開発グループ 木原グループリーダー

4. 議題
 
(1) 第2回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)の確認
(2) 放射化物に係るクリアランスレベル以下であることの測定・判断方法について
(3) 短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の取り扱いについて
(4) その他

5. 配付資料
 
資料3−1   第2回クリアランス技術検討ワーキンググループ 議事概要(案)
資料3−2 放射化物に係る測定・判断方法
資料3−3 放射化物に係るクリアランスレベル検認技術の今後の課題
資料3−4 短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄に係る判断基準について(案)
参考資料 クリアランス技術検討ワーキンググループ 委員名簿

6. 議事要旨
 
(1)  資料3−1に基づき、第2回クリアランス技術検討ワーキンググループの議事概要(案)の確認がなされ、原案とおり了承された。

(2)  資料3−2に基づき、説明者から、放射化のメカニズム、生成機構に影響を及ぼす因子、クリアランス対象物の特徴、放射線発生装置におけるクリアランス事前評価の留意点等について説明がなされ、次のとおり質疑応答がなされた。

  加速電子からの制動放射線が直接コンクリート構造物などに当たって放射化を起こし、ここで発生した中性子が別のところで放射化することはあるのか。(服部委員)
 
わずかであるがありうる。しかし、評価においては寄与が小さく、事前評価の必要性はあまりない。(説明者)
制動放射線が問題になるのは、高エネルギービームがターゲットに当たったときなどに、前方方向に強く発生するときである。(近藤主査)

放射性廃棄物でない廃棄物との分別方法については言及されていないが、放射線発生装置ではどのように考えれば良いのか。(近藤主査)
 
放射性廃棄物でない廃棄物は定量的な判断を示す段階ではない。きちんとした事前評価が出きることが確認された上で、次の課題となる。(事務局)

原子炉の放射化物にはない、放射線発生装置に特有の核種はあるのか。また、放射線発生装置の運転中は、中性子をモニタしているのか。(大越委員)
 
高速中性子により生成するものとして22Na(ナトリウム・22)が挙げられる。また、3H(トリチウム)については、核破砕反応による生成もあることなどが特徴といえる。しかし、原子炉と放射線発生装置の生成核種は概ね同じである。中性子については、実験で発生させている場合を除き、常時モニタはしていない。放射線管理として中性子線量を把握している施設はある。なお、中性子スペクトルの評価は、技術的困難さがあるので管理への適用は一般的ではない。(説明者)

一次粒子による放射化はどの辺りを想定しているのか。(近藤主査)
 
ビームダクト、電磁石などの放射線発生装置本体、及びその附属機器が範囲であると考えている。(説明者)

電子加速器については、100MeV(メガ電子ボルト)以上のエネルギー範囲においても核種組成は変わらないのか、また、粒子加速器については、ステンレスや鉄における放射化物の核種組成等は、どのような傾向にあると考えられるか。(事務局)
 
電子についてはEGS5のPHITSへの組み込みを進めている。制動放射線のエネルギーが10MeV(メガ電子ボルト)〜30MeV(メガ電子ボルト)においては、原子核の巨大共鳴による反応を考慮する必要があるが、100MeV(メガ電子ボルト)以上になっても中性子スペクトルは大きく変わらない。(説明者)

コンクリート中の含水量、SUSの種類などが、核種組成に与える影響はあるのか。また、原子炉施設で使用されているコンクリートと加速器施設で使用されているコンクリートでは、元素組成が異なるのではないか。(下村次長・原子力安全監)
 
今回の計算では、ステンレスの元素組成についてはNUREGの値を、コンクリートの元素組成については原子炉施設におけるクリアランスの検討の際に用いられた値と同じ値を使っている。コンクリート中には数パーセントが自由水で存在するが、加速器施設では大きな差はなかった。計算への影響はファクター1.5〜2であり、評価への影響は小さいと推測している。コンクリートの元素組成については、今回の評価はあくまでケーススタディである。実測結果から見ると、コンクリートの元素組成の違いの影響は小さかった。また、コンクリートの中性子透過率に効いてくるパラメーターは比重であり、放射線施設においては申請時に確認されている。(説明者)

(3)  資料3−3に基づき、事務局から、放射化物に係るクリアランスレベル検認技術の検討課題について説明がなされ、次のとおり質疑応答がなされた。また、検討課題の役割分担が議論され、実際の放射線発生装置を用いた事前評価の実施とその妥当性の評価について、高エネルギー加速器研究機構の12GeV(ギガ電子ボルト)シンクロトロン及び日本原子力研究開発機構に設置されている代表的な放射線発生装置で行うこととし、これらの結果を踏まえ他施設への適用を検討することが確認された。

  実測は、放射化学分析を必須とするのか。(大山委員)
 
測定方法については他の方法を否定していない。(事務局)
55Fe(鉄・55)、3H(トリチウム)など化学処理をしないと測定困難な核種も存在する。(説明者)

最終的な相対比であれ、どの要因が結果に影響を与えるのか、データの積み上げによる不確実性の評価が課題となる。(大越委員)
 
事前評価は、どこにどのような放射化が起こるかを評価できることが重要である。(事務局)

(4)  資料3−4に基づき、事務局から、短半減期核種のみによって汚染された廃棄物について、半減期の範囲や減衰保管の期間、放射性廃棄物として扱う必要のないレベルの判断基準、短半減期核種以外の核種の混入防止方法、品質保証の考え方、国の関与等について説明がなされ、次のとおり質疑応答がなされた。

  対象核種であるが、施設により3〜5年間の保管廃棄管理が出来る場合もある。管理方法が担保されれば、半減期が30日よりも長い125I(ヨウ素・125)も対象として良いのでは。(反保委員)

対象核種の半減期の範囲は、行政の判断でもよろしいのではないか。99mTc(テクネチウム・99・エム)の子孫核種である99Tc(テクネチウム・99)は線量寄与が低く、自然界の放射能と比較しても充分低いのであれば、99mTc(テクネチウム・99・エム)も短半減期核種に含めても良いのではないか。また、「放射性廃棄物として扱う必要のないレベル」については、定義を明確にする必要があると考える。(古川委員)
 
対象核種のニーズについては、ご意見のある委員に例示して頂き、ご検討して頂きたい。用語の定義については、クリアランスの一つとして考えて良いのか判断が必要であり、このような表現としている。(事務局)

短半減期核種のみによって汚染された廃棄物に対する「放射性廃棄物として扱う必要のないレベル」としての判断基準を放射能(Bq)(ベクレル)にすると、クリアランスレベル(Bq/g)(ベクレル毎グラム)と矛盾が生じるのではないか。また、99mTc(テクネチウム・99・エム)については、子孫核種である99Tc(テクネチウム・99)の線量が低いのであれば、対象にしても良いのでは。子孫核種の半減期が問題となるものは他にあるのか。(森本委員)
 
99mTc(テクネチウム・99・エム)以外についての要望は聞いていない。(事務局)
短半減期核種のみによって汚染された廃棄物を放射線防護の規制の枠から外すことは、PET核種の減衰保管廃棄の考え方とは異なるものである。判断基準を放射能濃度(Bq/g)(ベクレル毎グラム)とすると、その濃度の確認が重要となり、短半減期核種のみによって汚染されたものは濃度を測定することが非常に難しい。よって、1つの考え方として、使用量である放射能(Bq)(ベクレル)で制限をかけるという案である。(小原室長)

放射能(Bq)(ベクレル)と半減期30日で対象を決めるという案にはあまり賛成できない。段階的制度により対応するという考え方もあるのではないか。(服部委員)

やはり、規制から外すためには個人線量10μSv/年(マイクロシーベルト毎年)というのが目安となるのでは。短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の判断基準については、TECDOC−1000が参考になると思う。まず、基本となる判断基準を明確にした上で、実用性を議論することが順番ではないか。(大越委員)
 
シンプルな形で始めて、社会に受入れられるかを見るのも考え方である。このワーキンググループは専門家の集まりである。技術的なアプローチで検討して頂くことをお願いしたい。また、制度の中に「裕度」を持たせ、時代の変化に対応できるようなことも規制に取り入れる上で必要である。(下村次長・原子力安全監)

ユーザーの希望を委員側でもう少し調査してもいいのではないか。99Tc(テクネチウム・99)はあまり問題にならないのでは。短半減期核種の専用施設などのハード面の要求は現実的なのか。(近藤主査)
 
制度が出来れば、それを利用するために施設を見直す事業所は出てくると思われる。(反保委員)

7. その他
   次回の開催については、分担した放射化物に係る検討課題の進捗、短半減期核種のみによって汚染された廃棄物の検討の方向性ができたところで、改めて日程調整することとなった。

(科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室)

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