資料第12-3号:放射線発生装置の使用等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)に係るクリアランスレベルの試算について(案)

平成21年10月21日
放射線規制室

1.はじめに

 放射線発生装置の使用等に伴って発生するRI汚染物(放射化物)(以下、「放射化物」という。)に係るクリアランスレベルを算出するために、これまで、第8回~第10回のクリアランス技術検討ワ-キンググル-プ(以下、「クリアランスWG」という。)において、

  • 放射化物のうちクリアランス対象物の物量
  • クリアランスレベルを算出する対象核種の選定
  • クリアランスレベルに係る埋設処分の評価経路、被ばく線量評価式
  • クリアランスレベルに係る再利用・再使用の評価経路、被ばく線量評価式 等

について検討を行ってきた。

 今回、上記検討の結果を踏まえ、放射化物(金属、コンクリ-ト)の埋設処分及び再利用・再使用の評価経路に係るクリアランスレベルについて試算を行った。

2.クリアランスレベルの算出に用いる被ばく線量評価式について

 今回のクリアランスレベルの試算においては、資料第12-3号添付資料1及び添付資料2に示す被ばく線量評価式(以下、「線量評価式」という。)を用いた。
 なお、資料第12-3号添付資料2に示す再利用・再使用に用いる線量評価式については、第10回のクリアランスWGの資料第10-2添付資料9で示した線量評価式から一部見直しを行っている。(見直し箇所については、添付資料9を参照)

3.クリアランスレベルの算出のための評価パラメ-タについて

 クリアランスレベルの算出のための各種評価パラメ-タとしては、

  • 埋設処分の評価経路に関連する核種に依存しない評価パラメ-タ(資料第12-3号添付資料3)
  • 再利用・再使用の評価経路に関連する核種に依存しない評価パラメ-タ(資料第12-4号添付資料4)
  • 元素依存の評価パラメ-タ(資料第12-5添付資料5)
  • 核種依存の評価パラメ-タ(資料第12-6添付資料6)

があり、それぞれの評価パラメ-タの選定値根拠をそれぞれの資料に示す。

 また、今回の評価パラメ-タの選定は、基本的には、原子力安全委員会がとりまとめたクリアランスレベルに係る報告書、各種文献・資料を参考に行われており、クリアランスレベルの試算のために平均的な値または代表値を採用した。また、クリアランス対象物の物量に起因する評価パラメ-タ(例えば、混合率、積込み年間作業時間等)については、国内の放射線発生装置使用施設の仕様等に基づいた評価パラメ-タを採用した。
 なお、今回のクリアランスレベルの試算のために採用した評価パラメ-タについては、最終的なクリアランスレベルの設定に向けて、評価パラメ-タのばらつきがクリアランスレベルの算出結果に与える影響について確率論的解析により評価・確認するとともに、評価パラメ-タが、適切かつ保守的に選定されるよう最新の知見を考慮した十分な検討を行う必要がある。

4.放射化物に係るクリアランスレベルの試算の結果について

 上述の線量評価式及び評価パラメ-タを用いて、埋設処分に関しては、

  • 直接線による外部被ばく、粉塵吸入及び農畜産物摂取に伴う内部被ばく:27 評価経路
  • RI 汚染物の直接経口摂取に伴う内部被ばく:4 評価経路
  • 皮膚被ばく:3 評価経路

についてクリアランスレベルの試算を行った。
 また、再利用・再使用については、

  • 直接線による外部被ばく、粉塵吸入及び農畜産物摂取に伴う内部被ばく:28 評価経路
  • RI 汚染物の直接経口摂取に伴う内部被ばく:6 評価経路
  • 皮膚被ばく:6 評価経路

についてクリアランスレベルの試算を行った。

 上記試算の結果の中から、大規模及び小規模の放射線発生装置使用施設で発生する放射化物の埋設処分の評価経路、金属の再利用・再使用の評価経路及びコンクリ-トの再利用・再使用の評価経路に係る34 核種のクリアランスレベルを資料第12-3号添付資料7及び添付資料8 にとりまとめた。ただし、小規模の放射線発生装置使用施設では、Ti-44及びAu-195を含んだ放射化物が発生しないことから、これらの核種についての試算結果を含めないこととした。
 今後は、さらに被ばく線量評価式の妥当性及び評価パラメ-タの適切性、保守性の検証を行い、選定した34核種それぞれのクリアランスレベルの算出及びその妥当性の評価を行い、さらに、国際的に定められているクリアランスレベルとの比較検討を行ったうえで、放射性同位元素による放射線障害の防止に関する法律に規定するクリアランスレベルの設定を行う。

以上

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