ここからサイトの主なメニューです

資料第9-4号:放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルの設定係る基本方針(案)

資料第9-4号
(第28回放射線安全規制検討会資料第28-5号より引用)

放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルの設定に係る基本方針(案)

平成21年7月30日
放射線規制室

1.設定方針

 放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルについては、第18回放射線安全規制検討会の資料第18-4-1 号によると、平成18年度中間報告書までは、原子力安全委員会における検討結果を踏まえて、原子炉等規制法、BSS(*1)に示された値との整合性等を考慮しながら検討することとしていた。
 今回のクリアランス制度導入に向けた検討においては、文部科学省において、関係機関の協力を得て新たに計算を行うこととし、その計算結果に基づき放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルの設定を行うこととする。計算から設定までの手順は、2.のとおりである。
 この基本方針について、放射線安全規制検討会の議論を得て、クリアランスレベルの具体的な検討をクリアランスWGにおいて行うこととする。その後、クリアランスWGにおける検討状況を随時確認しながら放射線安全規制検討会において本年12月頃を目標としてまず試算値をとりまとめ、さらに平成22年11月頃までに省令・告示等の整備に資するためのとりまとめを行いたいと考えている。

2.クリアランスレベルの設定手順

 放射線障害防止法におけるクリアランスレベルは、先行してクリアランス制度を導入している原子炉施設等におけるクリアランスレベルを原子力安全委員会において検討したときの手順(*2)を参考にし、BSS やRS-G-1.7(*3)その他文献(*4)等に示された考え方も適宜取り入れて設定することとする。
 具体的には、放射線発生装置の解体等や放射性同位元素の使用等に伴って発生するRI汚染物に対するクリアランスレベルを下記(1)~(5)に従ってそれぞれ計算し、その後、(6)に従って放射線障害防止法において導入すべきクリアランスレベルを設定する。


(1)対象物の設定
(2)評価経路及び計算モデルの設定
(3)評価パラメ-タの整備
(4)核種毎のクリアランスレベル計算
(5)クリアランスレベルの妥当性評価
(6)放射線障害防止法に規定すべきクリアランスレベルの設定

(1)~(6)の各手順の概要は、以下のとおりである。

(1)対象物の設定

 廃棄業者、放射線発生装置や放射性同位元素の使用者等からの情報及び関係する文献等を参考にして、発生するRI汚染物、含まれる核種及び放射能量を調査した後、クリアランスレベル計算における包絡性や必要性を検討して対象とするRI汚染物とその種類毎の物量、クリアランスレベルを計算する核種を設定する。
 なお、放射線障害防止法におけるクリアランス制度では、固体のRI汚染物の種類について制限は設けない方針であり、発生するRI汚染物を調査する際には、使用・解体等の多様な状況で発生するものを網羅的に含めることとし、現状では実際にクリアランス判断が困難であることが予想される短半減期核種以外の核種を含むものや原子炉施設での計算時に対象としていない可燃物や難燃物等も考慮する。また、医療関係法令によって規制された施設におけるRI汚染物も考慮する。

(2)評価経路及び計算モデルの設定

 対象とするRI 汚染物に起因して、現実に起こり得る再生利用・再使用・処分に関する経路を抽出する。評価経路の抽出にあたっては、各事業所単位で個別クリアランスする場合と廃棄業者が集荷して一括クリアランスする場合などRI汚染物の実態を踏まえ、小量から大量までの物量による多様な評価経路を網羅的に含めることとし、原子炉施設での計算時に含めていない焼却処理も考慮する。
 抽出した経路のなかで、他の経路と比較して線量が十分小さいと判断される経路の整理を行ったうえで評価経路を選定し、評価対象者に対する被ばく計算モデルを設定する。

(3)評価パラメ-タの整備

 被ばく計算モデルに用いられる評価パラメ-タ(社会・日常生活の態様に係るもの、自然条件等に係るもの)について、関係する文献等を参考にして現実的と考えられる値を整備する。
(a)社会・日常生活の態様に係る評価パラメ-タ
 ・被ばく形態(作業時間等)・食生活(農作物摂取量等)・使用条件(製品重量等)に係るもの
(b)自然条件等に係る評価パラメ-タ
 ・自然現象(浸透水量等)・使用条件(処分場の大きさ等)に係るもの
 ・ 元素・核種に依存するもの(濃縮及び移行係数等)

(4)核種毎のクリアランスレベル計算

 適切な計算コ-ド等を使用し、各核種について評価経路毎の基準線量相当濃度(線量評価10マイクロシーベルト/年に相当する放射性核種濃度)の導出を行う。その後、評価経路毎の基準線量相当濃度を比較して、最小濃度となる経路を決定経路とし、その濃度を対象とするRI 汚染物のクリアランスレベルとする。

(5)クリアランスレベルの妥当性評価

 クリアランスレベル評価において重要と考えられる核種及び評価経路を抽出し、評価経路の蓋然性評価や評価パラメ-タのばらつき評価を行い、計算したRI汚染物のクリアランスレベルの妥当性を評価する。

(6)放射線障害防止法に規定すべきクリアランスレベルの設定

 原子炉等規制法との整合性や国際的動向(RS-G-1.7、BSS、諸外国の基準等)、さらに医療法等の関係法令によって規制されたRI汚染物の状況を踏まえたうえで、放射線発生装置の解体や放射性同位元素の使用等に伴って発生するRI汚染物について(1)~(5)に従ってそれぞれ導出したクリアランスレベルを比較検討し、放射線障害防止法において規定すべきクリアランスレベルを設定する。なお、対象物(コンクリ-ト、金属、可燃物(焼却灰)等)によって有意な差が生じ、クリアランス判断時に実効性のある分類・判断が可能と考えられる場合、対象物の種類に応じてクリアランスレベルを設定することを必要に応じて考慮する。
 RI 汚染物の実態を踏まえると、このクリアランスレベルの設定では、物量や評価経路等に基づいた多様な選択肢による幅広い比較検討が必要になると考えられる。したがって、(1)~(5)の検討では、(6)におけるクリアランスレベル設定の選択肢を狭めないよう多様な計算を幅広く行うこととする。

3.BSS とRS-G-1.7 における免除レベル(クリアランスレベル)の比較

 放射線障害防止法におけるクリアランスレベルの設定では、原子炉施設を対象とした場合との相違点として、小規模な事業所で発生するRI汚染物を個別にクリアランスする場合等を想定したときの小さい物量に基づく計算も行うことが挙げられる。
 そこで、設定物量の大小の相違による導出事例として、BSS とRS-G-1.7における免除レベル(クリアランスレベル)の比較を下表に示す。また、免除とクリアランスの概念整理を別添に示す。

*1 国際原子力機関(IAEA)安全シリ-ズNo.115「電離放射線に対する防護と放射線源の安全のための国際基本安全基準」(1996 年)
*2 主な原子炉施設におけるクリアランスレベルについて(平成11 年3 月原子力安全委員会放射性廃棄物安全基準専門部会)
*3 IAEA RS-G-1.7 「Application of the Concepts of Exclusion, Exemption and Clearance」(2004)
*4 IAEA SRS No.44 「Derivation of Activity Concentration Values for Exclusion, Exemption and Clearance」(2005)、「原子炉施設及び核燃料使用施設の解体等に伴って発生するもののうち放射性物質として取り扱う必要のないものの放射能濃度について」 (平成16 年12 月原子力安全委員会放射性廃棄物・廃止措置専門部会) 等

 

BSS

RS-G-1.7

適用範囲

中位(多くても1トン)の量への適用に限定した免除レベル

大量のものを想定した免除レベルであり、クリアランスレベルとしても適用可能

示された値

放射能量(Bq)、放射能濃度(Bq/g)

放射能濃度(Bq/g)

評価シナリオの前提条件

小量の放射性物質の産業利用及び教育、研究並びに病院などの施設での小規模使用

放射性物質を含む大量の物品の使用、処分等

評価経路

・通常使用及び事故時の作業者被ばく
・処分場での公衆被ばく

・処分場、鋳物工場などの施設における作業者被ばく、並びにこれらの施設周辺の居住者被ばく
・汚染材料で建設した家の居住者被ばく及び建設した施設周辺の居住被ばく

計算モデルにおける線量基準

通常時:10マイクロシーベルト/年
事故時:1ミリシーベルト/年
(事故発生確率:0.01)

現実的なパラメ-タ値の場合:10マイクロシーベルト/年
保守的なパラメ-タ値の場合:1ミリシーベルト/年

導出値の例
(Co-60)

放射能濃度:10Bq/g
放射能量 :1.0E+05Bq

放射能濃度:0.1Bq/g

別添 免除及びクリアランスの概念の整理(*1)

1.免除とクリアランス

 RS-G-1.7 によれば、免除、クリアランス及び除外は、次のように定義されている。

・免除(exemption)
 線源又は行為に起因する被ばく(潜在被ばくを含む)が非常に小さく、規制機関による管理事項の一部又は全部を適用することが正当とは見なされないということを根拠に、その線源又は行為は、そのような管理事項に従う必要がないと規制機関が決定すること。

・クリアランス(clearance)
 法的に許されている行為の中で扱われている放射性物質又は放射性の物体を、その時点以降、規制機関による一切の管理から外すこと。

・除外(exclusion)
 ある特定の種類の被ばくを、規制機関による管理の仕組みを使った管理によっては律することができないと考えられるという理由で、その管理の仕組みの適用範囲から意図的に除外すること。なお、これらの定義の中で使われている線源及び放射性物質のIAEA による定義は以下のとおりである。

・線源(source)
 放射線被ばくをもたらす可能性のあるあらゆるもので、防護と安全の目的で一体の物(a single entity)と見なせるもの

・放射性物質(radioactive material)
 その放射能のため、国の法令又は規制機関によって、規制機関による管理に従うべきものと指定されたもの

2.免除レベルとクリアランスレベル

 免除レベルは、法的な規制を適用しない範囲をあらかじめ設定するための数値基準であるのに対して、クリアランスレベルは、法的な規制の適用を既に受けているものを、その適用から外すための数値基準である。
 BSS では、免除レベルとクリアランスレベルとの関係について、次のように記載されている。

*1 平成18 年度中間報告書4-2 より引用。

 クリアランスレベルは、(BSS の)付則1に示されている免除規準(線量基準)を斟酌したものでなければならず、また、規制当局により別途承認されない限り、付則1に示された免除レベル又は付則Ⅰに示されている(線量)規準に基づいて規制当局が定める免除レベルよりも高いものであってはならない。(2.19 節)

 即ち、免除レベルもクリアランスレベルも、その適用を受けたものに起因する放射線のリスクや影響が管理を必要としないほど十分小さいという根拠に基づいて導出されるものである。そして、導出されたクリアランスレベルの数値(濃度)は、免除レベルの数値を超えてはならないとしている。
 これは、仮にクリアランスレベルが免除レベルより高いものであるとすると、クリアランスレベルに適合して規制対象から一旦外れた物(クリアランスされた物)が、その物に含まれる放射性同位元素の濃度が免除レベルより高いという理由で、再び規制対象になってしまう、という矛盾が生じるからである。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)

-- 登録:平成22年07月 --