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資料第2−2号

航空機乗務員等の宇宙線被ばくについて


2004年9月14日
日本乗員組合連絡会議
客室乗務員連絡会

 私達は、ICRP1990年勧告に沿って航空機乗務員の宇宙線被ばくを「職業被ばく」と位置付け、その上で適切な被ばく防護策を実施するよう求めた要請を、1996年3月および2004年6月、文部科学省(96年当時は科学技術庁)など関係当局に行ないました。
 宇宙線については、近年、様々な機関で調査や研究が行なわれ、実態が解明されつつあります。そして、それらを元に、既に対策が実施されている国もあります。一方、我が国では、このワーキンググループの開催によって、やっと本格的な検討が始まったばかりです。
 このような状況を踏まえ、宇宙線についての私達の不安や考えについて、ここに説明します。

解明されつつある乗務員の宇宙線被ばくの実態は・・・

乗務員の多くが、原発労働者の平均より遥かに多くの放射線を浴びている可能性がある。
生涯の総被ばく量が百数十ミリシーベルトとなる可能性もある。(原発労働者年平均の百年分)
一回のフライトでレントゲン百回分の放射線(30ミリシーベルト?)を浴びる「太陽宇宙線嵐」がある。

宇宙線被ばくによる健康被害は・・・

幾つかの研究は、乗務員の宇宙線被ばくと癌の発症の関連性を示唆している。
胎児への影響が大きいと言われる妊娠初期に、多量の宇宙線を浴びる状況も懸念される。
運航乗務員(機長、副操縦士等)6000名中三十数名が宇宙線で致死的な癌になると推論できる。

宇宙線被ばくに対する防護策が必要な理由は・・・

専門家は「被ばく実態調査の結果が既にその必要性を証明している」と指摘している。
被ばく防護が実施されている職業(原発等)よりも多くの放射線を浴びていると考えられる。
(「乗務員は最も多く放射線を浴びる職業集団」とも指摘されている)
現在の被ばく防護の前提「LNT仮説」から推測すると、癌などの健康被害が考えられる。
宇宙線は放射線である。当然、被ばく防護の原則「ALARA」に則って対処されるべきである。

私達が求めていることは・・・

宇宙線の実態解明と、適切な測定や算定方法などについての更なる調査研究。
宇宙線の実態、被ばくのリスクや防護策についての乗務員への適切な教育。
乗務員個々人の宇宙線被ばく量の把握とその記録。
宇宙線に関する被ばく低減策の実施。
(無用な被ばくの回避策、宇宙線嵐への対策、被ばくが特定個人に集中しない対策等々)
職業被ばくを意識した健康管理の実施。
乗務員の疫学データ等を踏まえ、宇宙線による長期低線量被ばくの影響についての調査研究。

 宇宙線被ばくは、私達乗務員の命と健康の問題であると同時に、乗客にも関わる重要な問題であると私達は捉えています。
 関係当局には、これらを踏まえ、慎重かつ十分なご検討をいただき、早急に対策を講じていただきますよう、要請いたします。

以上



(参考1)   航空機乗務員の宇宙線被曝防護に関する再度の要請
(参考2)   NOAA Space Weather Scales(PDF:38KB)
(参考3)   航空機乗務員の宇宙線に起因する放射線被曝の問題(PDF:152KB)
(参考4)   追加資料 日乗連・客乗連



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