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(参考1−3)

ICRP勧告(抜粋)


 ICRP勧告Pub.60及びPub.75において,以下のように報告されている。

Pub.60】1990年勧告
5.1.1 職業被ばく
(136)  いくつかの実際的指針を与えるために,委員会は,以下の場合にのみ,自然放射線源による被ばくを職業被ばくの一部として含める必要性があるべきであると,勧告する:
(a) 規制機関が,ラドンに注意が必要であると言明し,該当する作業場所であると認定した場所における操業。
(b) 通常は放射性とみなされていないが,微量の自然放射性核種を有意に含み,それが規制機関によって認定されている物質を扱う操業及びその物質の貯蔵。
(c) ジェット機の運航。
(d) 宇宙飛行。
    ケース(a)および(b)に関する量的な明細な定義は,地方的状況に依存するであろう。しかし,非常に一般的な指針として,温泉,露天掘りを含めたほとんどのウラン鉱山,その他多くの地下鉱山と洞穴,および,ある種の他の地下作業場所における操業が,ケース(a)の例となりそうである。ケース(c)は主に航空機乗務員に関係する項目であろうが,他の乗客よりも頻繁に飛行する添乗員といったグループにも注意を払うべきである。ケース(d)はきわめて少数の個人に関係するものなので,ここではこれ以上の議論はしない。

Pub.75】作業者の放射線防護に対する一般原則
5.1.3 ジェット機中の宇宙線
(163)  航空機乗務員の被ばく調査にある情報(EURADOS,1996)によれば,中緯度の高度8kmにおける典型的な実効線量率は3マイクロシーベルト毎時に達する。長距離飛行で典型的な高度12kmでは,この数値の約2倍となるであろう。従って,通常のジェット機に年間約200時間仕事で乗る乗客は年間約1ミリシーベルトの実効線量を受けそうである。委員会は仕事のために乗る乗客の被ばくを職業被ばくとして扱う必要があるとは考えていない。高められたレベルの宇宙線に被ばくする主な職業グループは,航空機乗務員である。
(164)  ジェット機乗務員の被ばくは職業被ばくとして扱うべきである。年間の実効線量は飛行時間と,該当する航空路の典型的な実効線量率とから導かれるべきである。他に実際的な制御手段がないため,指定区域の使用を考慮する必要はない。航空機乗務員の飛行時間について現在ある制限により被ばくが十分制御されることもありそうである。航空機乗務員のうち妊娠しているメンバーは,妊娠の終了より十分前もって搭乗任務を解かれるのが普通である。委員会は,3.3.6節に与えた目標がこの慣行によって十分達成できるであろうと信じており,またそれ故,受胎産物に対してさらなる防護手段を行使する理由を見出さない。


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