放射線安全規制検討会航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討ワーキンググループ(第1回) 議事要旨

1.日時

平成16年6月23日(水曜日) 14時~16時

2.場所

経済産業省別館1111号会議室(11階)

3.議題

  1. 航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討ワーキンググループの開催について
  2. 航空機乗務員等の宇宙線被ばくの現状について
  3. ICRP勧告における航空機乗務員の被ばくについて
  4. その他

4.出席者

委員

小佐古主査、飛鳥田委員、杉浦委員、津久井委員、東委員、藤高委員、米原委員 

文部科学省

文部科学省 青山原子力安全課長、石田放射線規制室長、依田放射線安全企画官 他 

オブザーバー

厚生労働省、国土交通省

5.議事要旨

○ 委員の互選により、小佐古委員が本ワーキンググループの主査に選任された。

○ 資料第1‐1号に基づき、本ワーキンググループの概要等について事務局より説明がなされ、その内容について確認がなされた。

○ 資料第1‐2号に基づき、航空機と宇宙線のあらましについて藤高委員より説明がなされ、資料第1‐3号に基づき、ICRP勧告における自然放射線源による職業被ばくについて杉浦委員より説明がなされた。委員からは以下の意見等が述べられた。

  • 乗客を乗せるような大型のジェット機に搭乗する場合、妊娠中の女子運航乗員の搭乗は許可されておらず、自家用の飛行機等に搭乗する場合も、妊娠15週までと28週を過ぎてからは禁止されている(航空法施行規則等)。つまり、欧米と比較して我が国では、女子運航乗員の搭乗を規制してきた方であると思う。なお、女子客室乗務員において、一般の統計と比較して異常分娩率に優位な差はないという報告がある。
  • フィンランドやカナダ等において航空機乗務員に対する疫学調査が千人程度の規模で実施されているが、あまり有意な統計結果は得られていない。数mSv程度の低線量放射線によるヒトへの影響を疫学統計で明確に解明するためには、タバコや生活習慣などの交絡因子を除外する必要があり、調査対象として莫大な人数(一説には50億人規模)が必要となる。
  • ICRPにおいては、(宇宙線を物理的に制御する手段がないため)管理区域を設ける必要はないとし、(また、現在ある就労規定等により被ばくが制御されることもあり)一般の労働者と同様に働けばよいという議論をしてきた(勤務実態に近い年間1,000時間搭乗した場合、5ないし6mSv程度の被ばくになる)。しかし、明らかに地上の労働者よりも宇宙線を受けているため、被ばくの事実を航空機乗務員に対して十分に説明する必要がある。妊婦の胎児については、年間5ないし6mSv ではICRP90年勧告で要求している線量限度(妊婦の腹部表面で2mSv)を超えるため、その場合は何らかの手当てが必要であると考える。頻繁に飛行機を利用する乗客(旅行添乗員等)については、受ける宇宙線量が航空機乗務員を超えるケースは稀である。
  • 始めに航空機乗務員の宇宙線被ばくに関する実態を把握することが、本ワーキンググループの目的であると考える。その実態から航空機乗務員が年間数mSv被ばくするということであれば、昨年の放射線審議会基本部会における自然放射性物質に関する議論も考慮に入れ、規制や管理等を検討する必要があると考える。
  • 放射線のヒトへの影響やリスクマネジメントに関する基本的知識、ICRPにおける放射線防護体系の基本的な考え方、航空機乗務員又は一般の労働者に対するガイドライン、法規制等についても、本ワーキンググループで説明が必要と考える。また、次回以降、航空機の運航実態や航空機乗務員の勤務実態等の説明を伺いたい。

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