放射線安全規制検討会航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討ワーキンググループ(第5回) 議事要旨

1.日時

平成17年1月25日(火曜日) 15時30分~17時30分

2.場所

経済産業省別館1014号会議室(10階)

3.議題

  1. 国内外における航空機乗務員等の疫学データ等の紹介及び産業医の視点からの見解について
  2. 宇宙線被ばくに関するISOの検討について
  3. 本ワーキンググループにおける航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する論点整理について
  4. その他

4.配付資料

  •  資料第5‐1号:第4回航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討ワーキンググループ議事要旨(案)
  •  資料第5‐2号:航空機乗務員の疫学研究(妊娠関連)
  •  資料第5‐3号:ISOにおける航空機被ばくの線量評価の検討について
  •  資料第5‐4号:航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する論点整理
  •  参考資料1:ワーキンググループ委員名簿

5.出席者

委員

小佐古主査、飛鳥田委員、日下部委員、笹本委員、杉浦委員、 津久井委員、東委員、藤高委員、米原委員

文部科学省

文部科学省 片山次長・原子力安全監、加藤原子力安全課長、小原放射線規制室長、依田放射線安全企画官 他 

オブザーバー

厚生労働省、国土交通省

6.議事要旨

 ○ 資料第5‐1号に基づき、第4回ワーキンググループの議事要旨(案)について確認が行われた。

 ○  資料第5‐2号に基づき、国内外における航空機乗務員等の妊娠に関する疫学データ等について、飛鳥田委員より説明がなされ、委員からは以下の質問及び意見等が述べられた。

《委員質問》妊娠週数を最終月経から起算しているのであれば、受精後の妊娠数週と比べて2週少なくなるが多くなり、被ばく線量の見積もりが過大であると思われるが、どちらでカウントしているのか。

【説明者応答】最終月経からである。

《委員質問》「流産した客室乗務員は、出産した客室乗務員に比べて乗務時間が長かった」と示されているが、乗務時間の差による影響はあるのか。

【説明者応答】調査結果として、流産した客室乗務員の乗務時間が長かったということなので、乗務時間の差による影響はあるが、他の職業婦人と比べて差がないことから、航空機乗務による影響よりも、むしろ立ち仕事であることによる影響の方が大きいのではないかと思われる。特に35歳以上の客室乗務員は35歳未満の客室乗務員と比較して流産の危険が有意に高く、流産率の大部分は年齢に依存している。

《委員質問》妊娠に関する調査について、他の輸送業務(鉄道会社など)と比較したデータはあるか。

【説明者応答】ない。

《委員質問》客室乗務員の早期流産対策については、どのように考えているのか。

【説明者応答】客室乗務中に流産があった場合は、機内での対処は困難なことから、妊娠を確認した時点で乗務を中止するよう国内の航空会社は自主的に運用している。いずれにせよ、航空会社内での妊娠に関する啓発が重要である。

《委員質問》妊娠24週目に客室乗務を中止した例が1例(0.2%)と紹介されたが、このように妊娠後に長期間乗務を行う例は頻繁にあるのか。

【説明者応答】妊娠24週目まで客室乗務を行う例は極めて稀であり、当該乗務員が24週目まで乗務した理由は不明である。妊娠後の乗務中止時期の平均は、妊娠6.5週である。

《委員質問》妊娠中の推定最大放射線被ばく線量については、やや過大な推定になっていないか。

【説明者応答】推定最大放射線被ばく線量は、最も被ばく線量の大きいニューヨーク路線を全員が年間1000時間乗務したと仮定して推定しているので、実際の被ばく線量は、ICRP1990年勧告の線量限度2mSvよりも十分小さいと思われる。

 ○ 資料第5‐3号に基づき、航空機乗務員の宇宙線被ばくに関するISOの検討状況について、小佐古主査より説明がなされ、藤高委員より補足の説明がなされた。

 ○ 資料第5‐4号に基づき、本ワーキンググループにおける航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する論点整理について、事務局より説明がなされ、委員からは以下の質問及び意見等が述べられた。

《委員質問》1.2.アの日本乗員組合連絡会(以下、日乗連という。)の意見にある「約6000名中、約30名が将来致死的ながんになる」という推定については、放射線影響により過剰にがんになる数という意味か。また、致死的ながんとは、固形がんを意味するものか。

【主査応答】後日、日乗連から回答していただくこととしたい。

《委員意見》1.2.アの放射線のヒトへの影響の知見としては、低線量域の確率的影響の話だけではなく、放射線影響のリスクマネジメントについても記述した方が、社会に理解されるのではないか。

《委員意見》1.2.ウの問は、「自然放射性物質(NORM)及び技術的に濃度が高められた自然起源の放射性物質(TENORM)による被ばく線量はどの程度か?」に改めるべきではないか。

《委員意見》2.1.アの実測による評価方法の知見として、「中性子スペクトル測定については、高エネルギー領域の核データがない」と示されているが、核データはいくつか存在し、また、FLUKAコードも核データをもとに計算処理しているので、誤解のない記載に改めるべきではないか。

《委員意見》2.2.アの欧州放射線防護指令について、「どの計算コードを使っても実測値と良い一致が見られる」と示されている一方で、前問では計算コードごとの精度の違いを論じていることは、やや矛盾している。実測及び計算コードの精度の要求水準をどのレベルにするのかを一定にすべきではないか。

《委員意見》3.1.アのICRPの放射線防護体系については、行為と介入のそれぞれの説明が必要ではないか。

《委員意見》3.1.イの介入レベルに関する問について、Pub.82に記載されている介入レベルは『公衆』に対して勧告されており、航空機乗務員のような『作業者』に対してではないことから、誤解のない記載に改めるべきではないか。

《委員意見》4.1.ウの前に、「航空機乗務員等の宇宙線による被ばく線量の評価はどうするのか?」という問があるべきではないか。

《委員意見》交絡要因(睡眠時間、飲酒、喫煙等)による健康影響に関する問を加えるべきではないか。

 小佐古主査によるとりまとめ

・ 次回は2月25日15時から開催すること。

・ 妊娠以外の航空機乗務員等の疫学データについて、交絡要因も含めて紹介していただくこと。

・ ラドンを含め自然放射性物質(NORM)に関する議論を行うこと。

・ 本ワーキンググループにおける論点整理については、本ワーキンググループ委員、日乗連、航空業界、国土交通省、厚生労働省の意見等を反映し、論点の取りこぼしのないように議論を続けること。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室

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