平成17年2月25日(金曜日)15時~17時
経済産業省別館1020号会議室(10階)
小佐古主査、飛鳥田委員、日下部委員、杉浦委員、 津久井委員、東委員、藤高委員、米原委員
文部科学省 片山次長・原子力安全監、加藤原子力安全課長、依田放射線安全企画官 他
厚生労働省、国土交通省、日本乗員組合連絡会議 鎌倉氏
○ 資料第6‐1号に基づき、第5回ワーキンググループの議事要旨(案)について確認が行われた。
○ 資料第6‐2号に基づき、国内外における航空機乗務員の疫学研究について、飛鳥田委員より説明がなされ、委員からは以下の質問及び意見が述べられた。
《委員質問》何故、航空機乗務員は日光浴をする機会が多いと述べられているのか。
【説明者応答】航空機乗務員は乗務に伴い南方へ行く機会が多いので、日光浴をする機会が一般人よりも多くなると述べられている。特に1980年代など、以前のヨーロッパ諸国の富裕層においては、南方で日光浴をすることが流行しており、乗務員もその階層に属するので、そのことも日光浴の回数増加に影響していると考えられている。
《委員質問》女性客室乗務員のメタアナリシスでは、喫煙や産科的要因などの交絡因子は解析されているのか。
【説明者応答】交絡因子の解析まではなされていない。
《委員質問》航空機乗務員のヘルシーワーカーズエフェクトについて、欧米人と日本人との間に差はあるのか。
【説明者応答】欧米人と日本人との間の差についての研究は知らないが、しかしながら、我が国の健康管理は厳しいので、日本人乗務員のヘルシーワーカーズエフェクトは強調されていると思う。
《委員質問》職業上のストレスも、健康を害する大きな問題であると思われるがいかがか。
【説明者応答】天候不順による運航スケジュールの変更などが、乗務員にとっては大きなストレスの要因になると聞いている。
【主査意見】年間1mSv程度の低線量被ばくの健康影響を疫学研究で求めるためには、数億人規模の膨大な調査対象者数が必要であり、実際に調査することは不可能である。低線量被ばくの健康影響については、広島・長崎原爆被爆者の長期追跡データなど既存の知見を参考にして検討を行うことが重要である。また、他に国内では原子力発電所の作業者(約20万人)を対象にした疫学研究が行われているので、今後の会合においてご紹介し、議論を深めたい。
○ 資料第6‐3号に基づき、自然放射性物質(以下、NORMという。)の規制について、米原委員より説明がなされ、委員からは以下の質問及び意見が述べられた。
《委員意見》NORMについては、もともと放射性物質と認識して使われていないという事情がある。このため、NORMからの放射線被ばくについては、加工による放射能濃度の上昇や実際の被ばく線量を考慮し、それぞれのNORMの特性に沿った方法で対応する必要があるのではないか。
《委員質問》結果的にNORMを含んでしまうような建材については、放射線レベルを事前に確認する仕組みはあるのか。
【説明者応答】我が国においては、建材の放射線レベルを事前に確認する仕組みや使用の基準はない。ヨーロッパ諸国においては、発砲コンクリート等のNORMを多く含む建材について、使用の規制を行っている国がある。中国においても、建材のNORM規制はある。
○ 資料第6‐4号に基づき、本ワーキンググループにおける航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する論点整理について、事務局より委員の意見を反映した修正箇所の説明がなされた。これら修正箇所については、委員全員の了解が得られた。
○ 資料第6‐5号に基づき、本ワーキンググループにおける航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する論点整理に対する意見について、日本乗員組合連絡会議の鎌倉氏より説明がなされ、小佐古主査からは以下の意見が述べられた。
・ 航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する論点については、取りこぼしのないように意見交換を行いながら議論を重ねていく。
・ 大規模なソーラーフレア時の被ばく線量については、もう少し関連情報を収集して、どのような意味があるかなどの議論を行う。
・ 広島・長崎原爆被爆者の疫学データや事実関係については、データを収集し、直接疫学調査に関係している人に説明していただくなりして、議論したい。また、あわせて、国内の原子力発電所の作業者を対象にした疫学データについても、特に被ばく線量の高い人について示したい。
・ 放射線障害からの生体の修復・回復機能についての議論を行う。
・ NORMによる放射線影響ついては、高バックグラウンド地域の人々の疫学データとその解釈に関する情報を収集して議論を行う。
・ 日本発着の国際線に関する我が国の特殊事情については、航空事業者から情報を収集する。
・ 航空機乗務員等の宇宙線被ばくは、法律上の定義は別として、職業上の理由で放射線にさらされているという意味では、職業被ばくと言えよう。本ワーキンググループでは、科学的知見や、外国で行われていることをベースに考え方をまとめたく、そこから先の法令等により規制するかどうかなどは、関係行政機関が判断する問題である。
・ 航空機乗務員等の宇宙線被ばくの管理については、今後検討すべき重要な部分であるので、関係者が納得できるものとなるように議論を重ねていく。
担当:宮本、宮内
電話番号:03‐6734‐4045
ファクシミリ番号:03‐6734‐4048