平成17年11月1日(火曜日) 13時~14時50分
経済産業省別館 944号会議室(9階)
小佐古主査、飛鳥田委員、日下部委員、笹本委員、杉浦委員、津久井委員、東委員、藤高委員、米原委員
植木原子力安全課長、小原放射線規制室長、依田放射線安全企画官 他
(関係省庁) 厚生労働省、国土交通省
《委員意見》
1.アの宇宙線の発生の源及びその成分において、「大気圏(高度100キロメートル以下)」と記載されているが、高度100キロメートルに宇宙と大気圏の境界があるかのように読めるので、「大気圏(高度約100キロメートル以下)」と記載した方が良い。
【主査応答】
指摘のとおりに修文する。
《委員意見》
2.ア.3)放射線影響のリスクマネジメントの第2段落における「(10万人規模)」および「(40万人規模)」は、同行の「疫学調査」の直後に記載した方が良い。
【主査応答】
指摘のとおりに修文する。
《委員意見》
4.交絡因子による健康影響において、交絡因子の説明部分は「暴露要因(ここでは宇宙線被ばく)と結果(ここでは発がんなどの健康影響)の双方」と記載した方が適切である。
【主査応答】
指摘のとおりに修文する。
《主査意見》
2.ア.2)確率的影響において、日乗連から、LNT仮説を用いて将来の発がん人数などを推計することは正しい用い方ではない旨の文章は、根拠がないので削除して欲しいとのコメントを頂いているが、この点はICRP等でも議論されており、LNT仮説を集団線量に適用することは誤りであるということは有識者の常識であるので、当該文章は原案のとおりに残す。また、航空機乗務員は一般の健康診断よりも厳しい基準をクリアしているので、4.交絡因子による健康影響の項に、健康労働者効果について記載して欲しいとのコメントも頂いているが、記載の是非についてはどうか。
《委員意見》
ヒトの疾患には、健康労働者効果が現れるものとそうでないものとがあり、健康労働者効果は全ての健康リスクに係わるものではない。
《委員意見》
健康労働者効果について記載することは、その用語の解釈を記載することになる。また、健康労働者効果は、その目的によってプラスにもマイナスにも作用することから、本文に記載することは適切ではない。
【主査応答】
他分野の調査研究において、健康労働者効果を交絡因子として議論したということは聞いていないことに加えて、主ではない事項を詳細に取り上げることは、報告書としてのバランスも欠くので、指摘のとおりに健康労働者効果については記載しないこととする。
《委員意見》
2.アの諸外国における、航空機乗務員等の宇宙線被ばくに対する取り組みにおけるEURADOS報告書の引用文章は、「どの計算コードの不確実さ(95パーセントの信頼レベルにおいてプラスマイナス42パーセント)も、ICRPが放射線防護に関して許容している範囲にある」と記載した方がより正確である。
【主査応答】
指摘のとおり修正する。
《委員意見》
2.イの日本人宇宙飛行士の宇宙線被ばく管理において、航空機乗務員の個人線量計装着の是非についても記載すべきではないか。
【主査応答】
2.イは宇宙飛行士に関する情報の紹介であるので、航空機乗務員の個人線量計装着の是非については、4章に記載すべきである。
《委員意見》
2.ウの米国宇宙航空局における、宇宙線の測定・評価に関する発表のただし書きについては、専門家以外にも理解できるように、「ただし、スペクトルに線量換算係数を乗じてエネルギー積分し得られる線量での比較では、スペクトルの差による計算結果に大差が生じないことは、経験的に知られており、両コードの精度の差は実用上問題はないことなど」に修正した方が良い。
【主査応答】
指摘のとおりに修正する。
《委員意見》
1のICRP勧告における航空機被ばくの取扱いにおいて、「(以下、「ICRP」という。)」と記載されているが、かぎ括弧は不要ではないか。また、本文中の「1ミリシーベルトを越える」という記載は誤りであり、を「1ミリシーベルトを超える」に修正すべきである。
【主査応答】
かぎ括弧の用い方については、他の部分との整合もあるので、事務局と相談したい。「1ミリシーベルトを越える」については指摘のとおりに修正する。
《委員意見》
3の我が国におけるNORMの規制の考え方の第3段落1行目については、一般消費財は行為の対象としているので、「既に規制対象となっている特殊なものなどを除き」と記載した方が適当である。
【主査応答】
指摘のとおりに修正する。
《委員意見》
2.エの航空機乗務員の宇宙線による被ばく線量の閲覧、記録及び保存における「より適切な自主管理」とは、本報告書では日常における健康管理や妊娠時の自己申告のことを意味しているが、定期運航協会からは、乗務員本人の裁量で運航スケジュールを管理するように読めるというコメントが出されているので、「航空機乗務員自らが被ばく線量を把握することは、教育によって得られた知識を踏まえて、被ばくに関する意識を高めるために、被ばく線量の閲覧、記録、保存は重要である。」に修正した方が適切である。
【主査応答】
指摘のとおりに修正する。
《委員意見》
2.イの航空機乗務員の宇宙線による被ばく線量の評価において、「放射線業務従事者並の被ばく管理は必要ない」は「放射線業務従事者並の被ばく管理は必ずしも必要ない」と修正した方が適切ではないか。
【主査応答】
指摘のとおりに修正する。なお、個人被ばく線量の評価については、定期航空協会から、事実上被ばく線量の実測は不可能であるというコメントを頂いているが、ISOにおいても実測の方法等がまとめられており、それに従って実測を行えば十分精度は確保できる。また、実測を外部に委託することも一法であり、実測が不可能であるとはいえないので、原案どおりの記載にしたい。
《委員意見》
個人線量の評価については、通常は計算で評価し、評価頻度は少なくとも実測で評価することに留意することが重要であろう。
《主査意見》
前回ワーキンググループにおける、定期航空協会からの被ばく管理目標値を明示して欲しい旨の発言に関しては、我が国の法令では、放射線障害防止法や電離則放射線障害防止規則等で5ミリシーベルトが頻繁に使われており、航空機乗務員の宇宙線による被ばく線量も5ミリシーベルトまでに収まるので、関係省庁とも相談した結果、管理目標値を5ミリシーベルトとした。
【委員応答】
医療の現場においては、PET診断の普及に伴い、1人当たりの年間被ばく線量が5ミリシーベルト前後になる事例が増加しており、また、電離則放射線障害防止規則における労働者の健康診断の要否の判断基準が5ミリシーベルトであるので、航空機乗務員の管理目標値を年間5ミリシーベルトに設定することは納得できる。また、本ワーキンググループと直接関係するものではないが、介入という用語は放射線分野と医療分野とでは意味が異なり、混乱を招くので、将来的には別の用語への変更を議論する必要があると思う。
《委員意見》
交絡因子の解説は、「調べようとする危険因子(ここでは放射線)の有無と関連し、疾病の出現頻度に影響を与えるものを交絡因子という。例えば、喫煙は、放射線被ばくと肺がんの関連を評価する際の交絡因子となりうると考えられている」と記載した方が適切である。
【主査応答】
指摘のとおりに修正する。
科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室