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資料17−3

平成17年3月28日
RI使用に伴い発生する廃棄物のクリアランスに係る検討状況について

社団法人日本アイソトープ協会
RI使用施設における
クリアランス検討委員会
事務局
1. RI廃棄物に含まれる核種について
   放射線障害防止法の規制下におけるRI使用事業所から発生する固体廃棄物に含まれる核種について、核種数及び核種構成を調査した(医療関係法令対象事業所を除く)。
 使用データは、平成11年度から平成15年度の5年間にRI協会が集荷した廃棄物のうち、固体廃棄物約14万パッケージ(廃棄物実本数)を対象とした。
 RI廃棄物に含まれる核種は、RI使用事業所が作成したパッケージ毎の廃棄物の内容を示す「RI廃棄物記録票」から求めた。
 RI使用事業所から発生する廃棄物に含まれる全核種数は175核種にのぼり、そのうちの大半がトリチウム炭素14ならびに短半減期核種であった(別紙1(PDF:16KB)、別紙2参照)。

2. クリアランス相当物の物量試算について
   RI使用事業所から発生する固体廃棄物について、「クリアランス相当物」の物量を試算した。
 RI廃棄物に関するデータは、上記の調査と同様のものを用い、クリアランス相当物の物量試算にあたっては、クリアランスレベル値として、IAEAの安全指針「RS-G-1.7」に示されている数値を採用した。RS-G-1.7に数値のない核種については、規制免除レベルの値を用いた。規制免除レベルにも数値がない核種を含む廃棄物は、クリアランス相当の廃棄物から除外した。除外した廃棄物量は全体の0.05パーセントであった。
 本試算はパッケージ毎に行い、RI廃棄物に含まれる核種毎の放射能濃度とクリアランスレベル値との比の合計が1以下の場合について、クリアランスの要件を満たしていると判断した。
上記の方法で試算した結果、固体廃棄物の年間集荷量353トンの内、169トンがクリアランス相当物であった(別紙3参照)。

3. RI廃棄物とRI廃棄物発生事業所の特徴
  (1)RI廃棄物の特徴
  1 紙やプラスチックからコンクリート・金属まで種々雑多な廃棄物が発生する。
  2 廃棄物の汚染形態は、表面汚染で、汚染が偏在している。
  3 廃棄物の発生量が少ない事業所が大部分である。
  4 廃棄物に含まれる核種は、測定しにくいトリチウム炭素14等の軟β線放出核種と短半減期核種が多い。
  5 使用形態によっては、核種毎の分別が可能である。
  6 事業所毎の許認可、RIの購入履歴等により、事業所で使用したRIの核種及び放射能の把握が可能である。

  (2) RI廃棄物発生事業所の特徴
  1 RI廃棄物発生事業所は全国約1,000にのぼる。
  2 RI廃棄物発生事業所の大半は小規模である。
  3 RI廃棄物発生事業所毎に独自の管理方法を有している。

4. クリアランスの制度化について
   本委員会においては、以上に示した実態を踏まえRI廃棄物に係るクリアランスの制度化について審議・検討が行われた。主な意見を紹介する。
  (1)RI使用事業所におけるクリアランスについて
 
  障害防止法におけるRI廃棄物発生事業所は全国約1,000にのぼり、事業所毎の管理方法が異なるため、各事業所独自でクリアランスを実施するとした場合、クリアランスの検認方法等、品質保証体制の確立が重要である。
  発生事業所の大半は小規模で、発生量も少ないことから、クリアランスに不可欠な検認・品質保証体制等に掛かるコストとRI廃棄物として措置する場合との経済合理性を考慮する必要がある。
  社会の受入れ易さからは、管理体制が整った、高い検認の技術能力を持つ、限定された事業所が廃棄物を集荷した後に、一括してクリアランスするのが現実的であると思われる。
 
  (2)RI廃棄物の検認方法について
 
  短半減期核種のみを含む廃棄物については、十分な減衰期間を確保することにより、クリアランス対象物になると考えられる。
  短半減期核種のみを含む廃棄物をクリアランスする場合は、分別が重要であり、分別に係る品質保証が求められる。
  クリアランス対象物であることを判断するための補完的なツールとして、事業所毎のRI購入履歴による核種と放射能のデータは、有効に利用できる。
  短半減期核種以外の核種を含む廃棄物については、含まれる核種のほとんどがトリチウム炭素14であること、廃棄物の組成に単一性がないこと、廃棄物に含まれる放射能に均一性がないことから、廃棄物そのままの形では、検認は困難である。
  然るべき処理を施した物については放射能濃度が均一になるが、処理後の廃棄物に含まれる放射能濃度の測定方法や測定サンプルの代表性等が検討課題である。
 
  (3)クリアランス制度化についての留意事項について
 
  「クリアランスされたものは放射性物質としての規制から外れたものとして扱われる」という観点から見れば、原子力施設における検認システムを参考にしながら、RIの使用形態の実態を踏まえてRI施設における検認システムを構築する必要がある。
  予想されるRI廃棄物のクリアランス対象物量は、原子炉施設におけるクリアランス対象物量と比較できないほど少量であることから、クリアランスの制度全体に関するコスト等、包括的な評価が必要である。
      以上

 (別紙1)RI廃棄物に含まれる核種構成(グラフ) (PDF:16KB)
 (別紙2)RI廃棄物に含まれる核種構成(一覧表)
 (別紙3)クリアランス相当数 計算結果
 (参考)RI使用施設におけるクリアランス検討委員会 要網


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