1. |
報告徴収の規定の適用について |
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(1) |
報告徴収の規定について
放射線障害防止法第42条第1項に基づく報告については、同法施行規則(以下「規則」という。)第39条第1項の規定において、次のいずれかに該当するときは、使用者等はその旨を直ちに、その状況及びそれに対する処置を10日以内に文部科学大臣に報告しなければならないとされている。
さらに、事故・故障等の発生時に事業者が迅速かつ円滑に判断できるよう、規則各号の解釈を作成し、事業者に通知することとしている。
以下に、規則第39条第1項の各条項とともに、その解釈を示す。
一 |
放射性同位元素の盗取又は所在不明が生じたとき。 |
二 |
放射性同位元素等が異常に漏えいしたとき。 |
三 |
放射線業務従事者について実効線量限度又は等価線量限度を超え、又は超えるおそれのある被ばくがあつたとき。 |
四 |
前三号のほか、放射線障害が発生し、又は発生するおそれのあるとき。 |
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(2) |
管理下にない放射性同位元素が発見された場合のこれまでの対応
管理区域外において、定義数量を超える放射性同位元素が管理されていない状態で発見された場合については、放射線業務従事者以外の者に対しても無用の被ばくを与える可能性を考慮し、第4号の「放射線障害が発生するおそれのあるとき」に該当するとの運用により、報告を求めてきたところである。 |
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2. |
管理下にない放射性同位元素の発見を巡る最近の状況 |
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管理下にない放射性同位元素は、放射線業務従事者以外の者に対しても無用の被ばくを与えるおそれのあること、テロ等の懸念から国際的にも放射線源の安全管理の一層の必要性が求められていることから、平成16年7月に放射線規制室長通知により、放置されている放射性同位元素がないかどうか、約2,600事業所(届出事業所を除く)に対し、点検を依頼した。この結果、11事業所から13件の報告があった。
これらの事例の多くは、低エネルギーβ線核種であるトリチウムや炭素14のバイアルが冷蔵庫や冷凍庫から発見されたものや、不要になった放射性同位元素(校正用線源が装備された測定器、ラジウム治療針など)が法律に基づく適切な措置が取られず、普段人の立ち入らない場所に放置されていたものが多く、いずれも放射線障害が発生したものではなかった。しかしながら、こうした事例の中には、組織管理体制の不備や、使用の基準に照らして適切な管理がなされていないなど、事業者の安全管理体制に問題が内在しているものもみられた。
これらを踏まえ、平成17年2月24日にすべての事業所(約4,800)に対し、年度末の放射線管理状況報告書の作成の機会を捉えて、組織全体にわたる主体性のある安全管理の向上させることを意図して、管理下にない放射性同位元素がないか点検し、結果を報告するよう依頼したところである。
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3. |
管理下にない放射性同位元素が発見された場合の今後の対応 |
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以上のように、ここ1年の間に、管理下にない放射性同位元素が発見された事例に関しては、安全管理上留意すべき点について知見も蓄積され、文部科学省としては、こうした知見を講習会や立入検査等の場を通じて、事業者に対し、周知徹底を図ってきたところである。また、上記依頼の中でも、同知見を踏まえた点検の留意点を示したところ。
今般、さらに規制当局自らも、こうした貴重な事例の積み重ねを踏まえて、規制活動を合理的なものとする。
具体的には、管理区域外において、定義数量を超える放射性同位元素が管理されていない状態で発見された場合、放射線障害が発生するおそれがないことが明らかな場合がほとんどであったため、一律に規則第39条第1項第4号に基づき報告を求めていたものを、次の 及び に該当する場合に報告を求めることとした。なお、この報告徴収の考え方については、規則改正を行い基準の明確化を図ることを予定しており、この規則改正と整合するものである。
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規則第14条の6第1項第3号の線量限度(人が常時立ち入る場所において1ミリシーベルト 週、事業所境界において250マイクロシーベルト 3月等)を超え又は超えるおそれがあるとき。 |
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放射性同位元素等の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱いにおける計画外の被ばくがあったときであって、当該被ばくに係る実効線量が放射線業務従事者にあっては5ミリシーベルト、放射線業務従事者以外の者にあつては0.5ミリシーベルトを超え、又は超えるおそれがあるとき。 |
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また、組織管理体制の不備や、使用の基準等の違反等の安全管理体制に不備がみられた場合には、事業者に規則第39条第4項に基づき報告徴収を求めるなどして、引き続き厳格に指導していくこととする。 |