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資料16−4

施行規則第39条第1項の改正案及び改正基準各号の考え方について(案)

平成17年3月7日
文部科学省科学技術・学術政策局
原子力安全課放射線規制室

1.はじめに
   文部科学省は、放射線障害防止法の改正に伴う省令改正において、事故・故障等に関する報告基準を可能な限り、定量的、明確なものとすることとし、同法施行規則(以下「規則」という。)第39条第1項の改正を行う予定である。
 さらに、事故・故障等の発生時に事業者が迅速かつ円滑に判断できるよう、規則各号の解釈を作成し、事業者に通知することとしている。
 以下に、規則第39条第1項の各条項とともに、その解釈を示す。


2.改正基準各号の考え方について
  (1) 報告の時期、方法等について

 許可届出使用者、届出販売業者、届出賃貸業者及び許可廃棄業者又はこれらの者から運搬を委託された者は、次のいずれかに該当するときは、その旨を直ちに、その状況及びそれに対する処置を十日以内に文部科学大臣に報告しなければならない。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項】

  1. 用語の解説
1  「その旨を直ちに・・・報告」とは、件名、発生日時、事故等の状況、被害状況、原因及び当面の処置に関し、平日の勤務時間内及び勤務時間外並びに休日を問わず、電話等により、放射線規制室等に通報することをいう。
2  「その状況及びそれに対する処置を十日以内に・・・報告」とは、発生の状況、環境への影響等、原因調査状況、原因及び対策に関し、事象の発生日を含めて10日以内に文書をもって放射線規制室へ報告することをいう。
 なお、原因、対策などの事項について10日以内に結論が得られない場合は、10日以内に判明した事項を報告し、その後結論が得られ次第、追加報告を行う。

  (2) 報告事象について

一 放射性同位元素の盗取又は所在不明が生じたとき。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第1号】
     放射性同位元素の盗取又は所在不明が生じたときは、放射性同位元素の種類又は量の如何を問わずすべて報告対象となる。


   
二 気体状の放射性同位元素等を排気設備において浄化し、又は排気することによつて廃棄した場合において、第十九条第一項第二号の濃度限度又は線量限度を超えたとき。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第2号】

  1. 用語の解説
1  「放射性同位元素等」とは規則第1条第3号に定めるとおり、「放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染されたもの」であり、「排気設備」とは、施行規則第14条の11第1項第4号ロに定めるとおり、次のいずれかに該当するものである。
(1) 排気口における排気中の放射性同位元素の濃度を文部科学大臣が定める濃度限度以下とする能力を有すること
(2) 排気監視設備を設けて排気中の放射性同位元素の濃度を監視することにより、事業所等の境界の外の空気中の放射性同位元素の濃度を文部科学大臣が定める濃度限度以下とする能力を有すること
(3) 1又は2の能力を有する排気設備を設けることが著しく困難な場合にあっては、排気設備が事業所等の境界の外における線量を文部科学大臣が定める線量限度以下とする能力を有することについて、文部科学大臣の承認をうけていることに該当すること
2  「濃度限度」とは、放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(以下、「線量告示」という)第14条第1項における濃度限度をいう。また「線量限度」とは、線量告示第14条第2項における線量限度をいう。

  2. 運用上の留意点
 濃度限度又は線量限度を超える排出があった場合はすべて本号の対象となる。


   
三 液体状の放射性同位元素等を排水設備において浄化し、又は排水することによつて廃棄した場合において、第十九条第一項第五号の濃度限度又は線量限度を超えたとき。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第3号】

  1. 用語の解説
1  「放射性同位元素等」とは規則第1条第3号に定めるとおり、「放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染されたもの」であり、「排水設備」とは、施行規則第14条の11第1項第5号イに定めるとおり、次のいずれかに該当するものである。
(1) 排水口における排液中の放射性同位元素の濃度を文部科学大臣が定める濃度限度以下とする能力を有すること
(2) 排水監視設備を設けて排水中の放射性同位元素の濃度を監視することにより、事業所等の境界における排水中の放射性同位元素の濃度を文部科学大臣が定める濃度限度以下とする能力を有すること
(3) 1又は2の能力を有する排水設備を設けることが著しく困難な場合にあっては、排水設備が事業所等の境界の外における線量を文部科学大臣が定める線量限度以下とする能力を有することについて、文部科学大臣の承認をうけていること
2  「濃度限度」とは、線量告示第14条第1項における濃度限度をいう。また「線量限度」とは、線量告示第14条第2項おける線量限度をいう。

  2. 運用上の留意点
1  濃度限度又は線量限度を超える排出があった場合はすべて本号の対象となる。
2  使用施設等の故障又は操作ミス等により、液体状の放射性廃棄物が排水設備に流入した場合であっても、あらかじめ許可された排水浄化槽において濃度調整する等の措置を講じたことにより、適切な放出管理が行われた場合は該当しない。


   
四 放射性同位元素等が管理区域外で漏えいしたとき。(第一五条第二項の規定により、密封されていない放射性同位元素を使用した場合を除く。)
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第4号】

  1. 用語の解説
 「漏えい」とは、配管、容器、弁等の機器から放射性同位元素等が系外に漏れ出ることをいう。

  2. 運用上の留意点
1  気体状、液体状の放射性同位元素等が廃棄される場合には、排気設備又は排水設備を通じ廃棄する措置が講じられることとなっており、排気設備又は排水設備以外の場所から漏えいすること自体異状な現象である。そのため、排気設備又は排水設備以外の場所において漏えいがあった場合は、明らかに線量告示第14条に定める排気又は排水に係る放射性同位元素の濃度限度を下回る場合を除いて対象となる。
2  本号は、管理区域外に設置された配管、ダクト等から管理区域外に漏えいが生じた場合を対象としており、管理区域内において漏えいが生じ、線量告示第14条に定める排気又は排水に係る放射性同位元素の濃度限度を超えて、漏えいした物が管理区域外に広がった場合には、第5号に該当する。
3  管理区域の外にある密封されていない放射性同位元素の総量が下限数量以下となるときは、施行規則第15条第2項の規定により、管理区域の外において一日につき下限数量を超えない範囲内で使用することができ、排気設備及び排水設備を設けることを必要としないことから、この場合を除くものである。

  3. 事例
3-1 .報告対象の事例
 管理区域外の排水管が損傷し、管理区域外に液体状の放射性同位元素によって汚染された物が漏えいし、排水に係る放射性同位元素の濃度限度をこえた場合。
3-2 .報告対象でない事例
 管理区域外の排水管が損傷し、管理区域外に液体状の放射性同位元素によって汚染された物が漏えいしたが、極微量であって、明らかに排水に係る放射性同位元素の濃度限度を超えない場合。
 管理区域外の排気管に亀裂が発見されたが、排風機の上流側の亀裂であったため、排気が正常で負圧が維持されている場合。
 排水管の交換時に内部の放射性同位元素等を含む排水が配管の外に漏れた場合等、あらかじめ漏えいを想定して、漏えいした際の措置が講じられている場合。


   
五 放射性同位元素等が管理区域内で漏えいしたとき。ただし、次のいずれかに該当するとき(漏えいした物が管理区域外に広がつたときを除く。)を除く。
 イ 漏えいした液体状の放射性同位元素等が当該漏えいに係る設備の周辺部に設置された漏えいの拡大を防止するための堰の外に拡大しなかつたとき。
 ロ  気体状の放射性同位元素等が漏えいした場合において、第一条第一二号の空気中濃度限度を超えないとき。
【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第8号】

  1. 用語の解説
1  漏えいした物が管理区域外に広がった場合、明らかに線量告示第14条に定める排気又は排水に係る濃度限度を下回る場合を除いて、すべて対象となる。
2  「漏えいの拡大を防止するための堰」とは、放射性同位元素等の漏えいの拡大を防止するためにあらかじめ設置された容器、設備又は区画等をいう。
3  「空気中濃度限度」とは、線量告示第7条における濃度限度をいう。

  2. 運用上の留意点
 使用に支障のない漏えいであって、限られた場所の中で漏えいが留まっている場合(漏えいしたものが排水設備で回収されている場合を含む。)は本号に該当しない。

  3. 事例
3-1 .報告対象でない事例
 排水設備の配管フランジ部から漏えいが発生したが、漏えいした範囲が堰構造内に留まった場合。
管理区域内の極微量の空気中の放射性同位元素等が管理区域外に漏えいしたが、漏えい量が極微量であって、明らかに線量告示第14条に定める排気に係る濃度限度を超えない場合。


   
六 第一四条の7第一項第三号の線量限度を超え又は超えるおそれがあるとき。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第6号】

  1. 用語の解説
1  放射線施設には、外部放射線による線量が、施行規則第14条の6第1項第3号の線量限度以下とするために必要なしゃへい壁その他のしゃへい物を設けることとされている。
2  「線量限度」とは、線量告示第10条における線量限度をいう。
3  「超えるおそれがあるとき」とは、機器の故障やしゃへい壁等の喪失により外部放射線量が増加した場合であって、測定時点では線量限度を超えていないが、早急に復旧することが困難であるため、線量限度を超えるおそれがあるとき等をいう。

  2. 運用上の留意点
1  本号は、放射線施設の設備の故障や機器の誤操作、しゃへい壁その他のしゃへい物の喪失などに伴って、放射線の量が想定外に増加し、放射線業務従事者及び一般公衆への放射線障害のおそれがある場合を想定している。
2  放射線の人体へ与える影響等のように被ばくの観点からの報告は、第7号及び8号の対象となる。

  3. 事例
3-1 .報告対象の事例
 施行規則第20条第1項第4号に基づき、使用施設の人が常時立ち入る場所において放射線の量を測定したところ、外部放射線による線量が線量限度を超えることが明らかになった場合。
3-2 .報告対象でない事例
 作業員の誤操作やしゃへい板の落下等により、一時的に放射線の量が増加したが、しゃへい板を直ぐにもとに戻す等の措置により、線量限度を超えることがなかった場合。


   
七 放射性同位元素等の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱いにおける計画外の被ばくがあつたときであつて、当該被ばくに係る実効線量が放射線業務従事者(第一九条第三項第二号の廃棄に従事する者を含む。以下、本号及び次号において同じ。)にあつては五ミリシーベルト、放射線業務従事者以外の者にあつては0.5ミリシーベルトを超え、又は超えるおそれがあるとき。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第7号】

  1. 用語の解説
1  「放射性同位元素等の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱い」とは、放射性同位元素の使用、保管、廃棄、運搬、その他の取扱い、放射線発生装置の使用及び放射性同位元素によって汚染された物の廃棄その他の取扱い等、放射線障害防止法に基づく放射性同位元素等の取扱いすべてを含む。
2  「計画外の被ばくがあつたとき」とは、機器の故障、設定ミス、作業員の誤操作等により通常想定している放射性同位元素等の取扱いとは異なったことにより、計画外の被ばくがあったときをいう。
3  「当該被ばくに係る実効線量が放射線業務従事者(第19条第3項第2号の廃棄に従事する者を含む。以下、本号及び次号において同じ。)にあっては5ミリシーベルト、放射線業務従事者以外の者にあっては0.5ミリシーベルトを超え、又は超えるおそれのあるとき」は、計画外の被ばくがあったことによって管理区域内にいる人が本号に定める線量を超える被ばくをした場合には、放射線障害のおそれのある場合として、報告を求める判断指標を示しているものである。
 管理区域内にいる人は大きく放射線業務従事者とそれ以外の者に区分されるが、被ばく低減化の観点から前者は線量告示第5条第1項第2号の1年間の線量限度の十分の一である5ミリシーベルトとするものである。後者は放射線業務従事者の指示に従って行動し、立入制限区域に立ち入ることも、放射線作業を行うこともない。そのため、後者が計画外に被ばくした場合には通常想定しない施設の故障等が発生していることが考えられることから、前者の5ミリシーベルトに対して後者は、放射線業務従事者の限度の十分の一の0.5ミリシーベルトと定めたものである。
4  「超えるおそれのあるとき」とは、例えば、アルファ核種の吸入摂取による内部被ばくの場合のようにバイオアッセイ法で評価するために時間を要する場合等において、被ばく時の状況から求められた被ばく線量を安全側に算出し、その結果、本号に定める線量を超えるとき等をいう。

  2. 運用上の留意点
1  本号は、放射線施設の設備の故障や誤操作などに伴って被ばくが発生した場合を対象とするものであり、放射線施設の故障等に係る復旧作業等において管理された状態のもとで本号の基準を超えた場合は該当しない。

  3. 事例
3-1 .報告対象の事例
 放射性同位元素が装備された照射装置による照射を行った後、開閉部分が故障していたため、適切なしゃへいがなされなかった。それに気づかずに近くで作業を行っていた放射線業務従事者に5ミリシーベルトを超える被ばくが発生した場合。
3-2 .報告対象でない事例
 放射線業務従事者が、機器の分解点検作業を行うため、作業計画を作成し実施した結果、5ミリシーベルトを超えて被ばくした場合。


   
八 放射線業務従事者について第一条第十号の実効線量限度及び第十一号の等価線量限度を超え、又は超えるおそれのある被ばくがあつたとき。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第8号】

  1. 用語の解説
1  「実効線量限度」及び「等価線量限度」とは、それぞれ線量告示第5条及び第6条の線量限度をいう。
2  「超えるおそれのある被ばくがあったとき」とは、機器の故障等により想定外の被ばくがあったときで、放射線測定器による外部被ばく線量の測定結果の算出に時間がかかる場合に、計算により求めた被ばく線量を安全側に算出し、その結果、本号に定める線量限度を超えるとき、あるいは、内部被ばくの場合のようにバイオアッセイ法で正確な被ばく評価を行うのに時間を要する場合等において、被ばく時の状況から被ばく線量を安全側に算出し、その結果、本号に定める線量限度を超えるとき等をいう。

  2. 運用上の留意点
1  本号は、放射線業務従事者が線量限度を超えて被ばくした場合を対象とするものであり、理由の如何を問わず線量限度を超えた場合は対象となる。
2  本号は、放射線業務従事者が被ばくした線量をもとに運用するものであり、放射線測定器が破損したなどの理由で放射線測定器による被ばく評価ができない場合であっても、被ばくの状況から安全側に評価して線量限度を超えない場合には対象ではない。

  3. 事例
3-1 .報告対象の事例
 女子の放射線業務従事者が機器の故障などにより、想定外の被ばくをした際、放射線測定器の測定値が6ミリシーベルトであり、一定期間内における線量限度、3ヶ月間につき5ミリシーベルトを超えた場合。
 放射線業務従事者が機器の分解点検を実施した際に、内部被ばくのおそれがあり、作業の状況等から線量限度を超える可能性がある場合。


   
九 第一四条の一二第一号の線量限度を超え又は超えるおそれのあるとき。
 【改正放射線障害防止法施行規則(案)第39条第1項第9号】

  1. 運用上の留意点
本号は、廃棄物埋設地の管理期間中に、
1  廃棄事業所の境界や廃棄事業所内の人が居住する区域における線量が、線量限度を超えるおそれが生じたとき
2  管理期間終了後その跡地の利用を想定した場合等に、管理期間中における地下水中の放射能濃度の測定等により廃棄物埋設地に埋設した放射性同位元素等から人が受けるおそれのある線量が線量限度を超えるおそれのあることが判明したとき に報告を求めるもの。

  廃棄物埋設については、現在具体的な事業者は想定されていない。今後、線量限度を含め具体的な基準等は廃棄物埋設が具体化した段階で策定する予定。




資放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(案)
(抜粋)

第六章 雑則

  (報告の徴収)
    第三十九条  許可届出使用者、表示付認証機器届出使用者、届出販売業者、届出賃貸業者、許可廃棄業者又はこれらの者から運搬を委託された者は、次のいずれかに該当するときは、その旨を直ちに、その状況及びそれに対する処置を十日以内に文部科学大臣に報告しなければならない。

     放射性同位元素の盗取又は所在不明が生じたとき。

     気体状の放射性同位元素等を排気設備において浄化し、又は排気することによつて廃棄した場合において、第十九条第一項第二号の濃度限度又は線量限度を超えたとき。

     液体状の放射性同位元素等を排水設備において浄化し、又は排水することによつて廃棄した場合において、第十九条第一項第二号の濃度限度又は線量限度を超えたとき。

     放射性同位元素等が管理区域外で漏えいしたとき。(第十五条第二項の規定により、密封されていない放射性同位元素を使用した場合を除く。)

     放射性同位元素等が管理区域内で漏えいしたとき。ただし、次のいずれかに該当するとき(漏えいした物が管理区域外に広がつたときを除く。)を除く。
 漏えいした液体状の放射性同位元素等が当該漏えいに係る設備の周辺部に設置された漏えいの拡大を防止するための堰の外に拡大しなかつたとき。
 気体状の放射性同位元素等が漏えいした場合において、第一条第十二号の空気中濃度限度を超え又は超えるおそれがないとき。

     第十四条の七第一項第三号の線量限度を超え又は超えるおそれがあるとき。

     放射性同位元素等の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱いにおける計画外の被ばくがあつたときであつて、当該被ばくに係る実効線量が放射線業務従事者(第十九条第三項第二号の廃棄に従事する者を含む。以下本号及び次号において同じ。)にあつては五ミリシーベルト、放射線業務従事者以外の者にあつては〇・五ミリシーベルトを超え、又は超えるおそれがあるとき。

     放射線業務従事者について第一条第十号の実効線量限度及び第十一号の等価線量限度を超え、又は超えるおそれのある被ばくがあつたとき。

     第十四条の十二第一号の線量限度を超えるおそれがあるとき。

  2〜4 (略)


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