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放射性同位元素等の保管管理の徹底に関する通知に基づく点検結果及び今後の対応について

平成16年11月29日
文部科学省科学技術・学術政策局
原子力安全課放射線規制室




放射性同位元素等の保管管理の徹底に関する通知の発出について

背景

平成15年度以降、平成16年7月まで、管理区域外に放置されていた放射性同位元素等が発見されるという事例が6件と相次いだ。
管理下にない放射性同位元素等は、無用の被ばくを与える結果となるだけでなく、米国同時多発テロ以降、テロ攻撃の手段として放射性物質を使用する懸念があるため、国際的にも放射線源の安全管理の一層の必要性が求められている。

このため、
 約2,600事業所(届出事業所を除く全事業所)に対し、「放射性同位元素等に関する保管管理の徹底について」の通知(平成16年7月20日付け)を行い、以下について、本年8月末までに点検するよう依頼した。

点検の内容

放射性同位元素等が適正に保管されているか改めて確認
管理区域外の居室、実験室、倉庫等において長年放置されている放射性同位元素等がないかどうか


通知に基づく点検結果について

7月20日付けの通知による点検に基づく、事業者からの報告の状況は以下のとおり。

報告件数:11事業者から13件
(内訳)
管理区域外で放射性同位元素等が発見されたもの:5件
事業所外で放射性同位元素等が発見されたもの:5件
管理区域内で未登録の放射性同位元素等が発見されたもの:3件
発見場所等での汚染検査の結果、汚染は認められなかった
発見時の状況等から、放射線障害の生じるおそれはなかった
発見された放射性同位元素等については、安全が確保されている
  参考)上記以外の最近の放射性同位元素の発見等の事例
  二村化学工業
  甲南大学
  東京大学
  理化学研究所


放射性同位元素の発見の事例の経緯について

1 放射線障害防止法施行前(昭和32年)から所持していた物で、放射性同位元素との認識がなかった
[金沢大学、山形大学]
2 機器に校正用線源として装備されていたものを見落としていた
[松戸市立病院、北海道大学]
3 研究者が組織内の手続等を守らずに持込み、持出しを行った
[帝京大学、筑波大学、琉球大学、農業生物資源研究所]
4 放射性同位元素の受入・払出、放射性同位元素によって汚染された物の管理等、事業者における安全管理が不適切であった
[大阪市立大学、富山医科薬科大学、筑波大学、静岡大学]


放射性同位元素が発見されるに至った原因について

1 過去からある物品に対する注意、管理が不十分であったこと
2 管理下にある機器類について点検、確認が不十分であったこと
3 事業者による放射線業務従事者等への教育訓練が不徹底であったこと
4 事業者の安全管理体制に不十分な点があったこと

報告された事例は、発生原因が10年以上前に生じているものが大部分。
 現在では、放射性同位元素の購入・受入を放射線取扱主任者に一元化する、一定期間毎に保管状況の確認を行う等、管理状況は改善されてきている。
 特に、平成4年度以降は、年に1回、管理状況報告書の提出を求めており、事業者は各年度末における放射性同位元素の保管状況を確認し、報告する義務があり、平成4年度以降の安全管理等に起因する事例ほとんどない。


今後の対応について

 今回得られた教訓から、今後、管理されていない放射性同位元素等が生じることのないようにするためには、
  各事業所において、安全管理体制を確立するとともに、
  個々人の管理に対する意識を高め、管理に係るルールを遵守する精神を涵養することが必要
  国としても、それらの実現のために必要な仕組みを整備することが必要
  このため、
  1  文部科学省においては、通知対象事業所に対し、文書にて今回得られた管理体制に関する教訓を周知した。
  2  更に、全ての事業者に対して、講習会等の様々な機会を捉えて注意喚起を促していく。
  3  今般の放射線障害防止法の改正において、定期確認制度の創設、放射線取扱主任者の定期講習制度を創設し、事業者の安全管理体制の確認や、放射線取扱主任者の資質の向上を図る。


今後の対応の具体策について

1 文部科学省においては、通知対象事業所に対し、文書にて今回得られた管理体制に関する教訓を周知した。

平成16年9月9日付け、文書により、今回得られた教訓を含め、通知の対象とした約2,600の事業所に、以下の事項を周知、徹底した。
放射性同位元素の受入・払出体制の一元的な管理、手続の明確化
管理区域内外における未登録の放射性同位元素の定期的な確認
事業者内部における責任ある組織による監視体制の整備

2 更に、全ての事業者に対して、講習会等の様々な機会を捉えて注意喚起を促していく。

講習会等の実施(予定)14回、約2,500名参加(平成16年8月から平成17年2月、平成16年10月20日現在)

放射性同位元素の受入・払出等の安全管理体制、管理区域内外での未登録の放射性同位元素等の定期的な確認等について、措置すべき内容について提示するなど、各事業所において定めている放射線障害予防規定に具体的に記載させるよう事業者の指導

講習会等の実施(予定)について

講習会等 参加人数 場所 実施(予定)日
平成16年度大学等における放射線安全管理研修会 約250名 東京都 16年8月27日
放射線取扱主任者第12回中国・四国支部主任者研修会 約50名 広島県 16年10月15日
第25回国立大学法人等研究協力部課長会議 約200名 三重県 16年10月28日
平成16年度主任者部会年次大会 約400名 岩手県 16年11月4日
放射線安全管理講習会 約1,500名
   
 第193回   宮城県 16年11月28日
 第194回   北海道 16年11月30日
 第195回   東京都 16年12月3日
 第196回   福岡県 16年12月10日
 第197回   広島県 16年12月11日
 第198回   愛知県 16年12月14日
 第199回   大阪府 16年12月15日
 第200回   東京都
16年12月21日
日本アイソトープ協会主任者部会中部支部研修会 約70名 愛知県 17年1月28日
中部原子力懇談会第40回RI・放射線利用促進セミナー 約80名 愛知県 17年2月18日
計14回 計約2,550名    

3 今般の放射線障害防止法の改正において、定期確認制度の創設、放射線取扱主任者の定期講習制度を創設し、事業者の安全管理体制の確認や、放射線取扱主任者の資質の向上を図る。

定期確認制度の創設
施設面よりも、安全管理面に起因した事故の割合が高いことから、これまでの施設面に着目した施設検査に加え、被ばく管理、教育訓練の実施状況等の安全管理面を定期的に確認注する定期確認制度を創設した。
  対象: 一定以上の貯蔵能力を持つ使用者、放射線発生装置使用者、許可廃棄業者
  頻度: 3年〜5年に1回

注:  安全管理面の確認は、国が実施する立入検査において不定期に実施してきたところであるが、定型的に確認できる部分を、外部の登録機関を活用し、定期的に確認することとした。
 国の立入検査は、事故が発生した事業所等、問題のある事業所に対して重点的に実施する予定。

放射線取扱主任者の定期講習制度

 これまで放射線取扱主任者について、定期的な講習の義務はなく、技術的能力の維持は自発的な研修のみ。事故等から得られた教訓に関する課目を含む定期的な講習を義務づける定期講習制度を創設した。

  対象: 事業所に選任された放射線取扱主任者
  頻度: 3年に1回(検討中)

4 その他(立入検査の実施)
従来より、事故等の発生の有無と関わりなく、事業者の安全管理状況を確認するため、随時、立入検査を実施してきている。

平成16年9月以降、99事業所に対し、立入検査を実施し、事業者の安全管理状況を確認してきている。また、今後も、毎月30事業所程度、立入検査を実施し、事業者の安全管理状況を確認していく予定。

さらに、通知に基づく点検の結果、放射性同位元素等が発見された11事業所に対しても、上記に加えて9月中に立入検査を実施し、事業者の現在の安全管理状況について問題のないことを確認した。





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