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資料10−4

放射線安全規制検討会中間報告書(案)に寄せられた意見

<意見募集結果>
126件
(1) 国際免除レベルに関すること(総論)   2件

(2) 密封線源の規制に関すること   26件

(3) 非密封線源の規制に関すること   5件

(4) 放射線取扱主任者に関すること   28件

(5) 放射線障害防止法に基づく検査に関すること   9件

(6) 国以外の機関が実施する業務に関すること   4件

(7) 移動使用の規制に関すること   3件

(8) 医療分野における規制に関すること   12件

(9) 二重規制に関すること(医療分野を除く)   9件

(10) 放射線発生装置の新たな管理のあり方に関すること   4件

(11) 放射性固体廃棄物の埋設処分に関すること(クリアランス含む)   7件

(12) 新規制の遡及と国民への広報に関すること   13件

(13) その他安全規制に関すること   4件



国際免除レベルに関すること(総論)(2件)
所属 氏名 意見
日本保健物理学会ICRP等対応委員会放射線審議会基本部会審議内容対応WG 名古屋大学大学院工学系研究科
主査   飯田孝夫
第1章1(1)「国際免除レベルの概要」について
学会員より、当WGに中間報告書に関する以下の意見が届きました。
・規制免除の値の妥当性については柔軟に対応されたい。今回の免除レベルはBSSの値を使用しているが、通常時の実効線量年間10μSvは、自然の変動幅に比べても非常に低い値であり、この値にこだわる必要は小さいと考えられる。
当WGでは、この意見に関する議論の結果、中間報告書の内容を支持させていただきます。すなわち
・日本としては、IAEA加盟国として、国際合意事項にしたがうことが第一に重要であること
・国際免除レベルに「年間10μSv」以外の数値を日本独自に使用した場合、一般公衆にその説明をすることは困難で、主に公衆を中心とする社会的な合意を得ることはかなり難しいと考えられること等を鑑みて、中間報告書にあるとおりの国際免除レベルの導入は現時点で合理的と考えます。ただし、その現場適用と運用にあたっては、会員意見にあるとおり、放射線防護上はそのレベルの線量がたとえ一桁程度変動しても何も問題は生じないことを認識し、無用な追加的な規制や、社会的誤解、混乱が生じないよう、十分に配慮いただきたく思います。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
[1]総論
平成14年9月に行われた「放射線安全規制のあり方についての意見、要望等」の募集において、日本放射線安全管理学会は、我国の放射線安全管理の状況を分析し、20項目の意見と要望を行った。その中で、放射線安全管理の現場において長年の間大きな問題であった医師等の放射線取扱主任者の特例を廃止すること、あるいは主任者の資質の維持、向上を計るための再教育の実施、その他の提案を行った。しかしながら、放射線取扱主任者の特例の廃止等は、既得権を有する立場の者からの強い抵抗が予想され、実現には困難を伴い、長期間を要するものと予想された。
中間報告書(案)は、国際免除レベルの法令への取り入れに当っての基本的な考え方を述べると共に関連する事項についても検討を加えている。
国際免除レベルの法令への取り入れに関する事項は、検討会の所期の目的に沿って当然行うべきものであって、職務を粛粛と遂行したものと言えよう。
一方、関連する事項においては、国際免除レベル法令への取り入れの検討に併せて、放射線取扱主任者の特例の廃止あるいは主任者の教育の充実、医療における二重規制の改善等の困難な問題に真正面から取り組み、建設的な結論を出している。我国の放射線管理の長い歴史の中でも画期的な改革に繋がると言えよう。中間報告書が、我国における放射線安全管理上の長年の大きな問題に果敢に挑戦している姿勢は高く評価出来る。これらの提言が実現をされることを望むものである。
しかしながら、本学会は、先に述べた意見と要望において、主任者の資質の維持、向上を計るための教育は、行政担当者の資質の向上のための教育及び変更申請等の事務処理の迅速化と一体化して実施すべきであると提案した。中間報告は、行政側に係るこれらの問題に全く触れていない。放射線安全管理は、放射線の利用によって社会不安を生じさせたり、放射線使用への社会の信用を失墜するような事態を招くことなく、教育、研究、産業、医療における放射線利用を推進させるためにある。そのためには、放射線取扱主任者と行政とが車の両輪となって我国の放射線安全管理を推進しなければならない。このような観点から、中間報告書は見直されるべきであろう。

第1章   国際免除レベルの法令への取り入れ
1.   国際免除レベルの法令への取り入れ の基本方針
国際基本安全基準(BSS)の295核種を基準として、英国放射線防護庁(NRPB)の765核種について、放射能と放射能濃度に基づいて、免除レベルを法令へ取り入れる目的と必要性は妥当である。
放射線以外の多様な分野においても、グローバルスタンダードの確立の必要性が叫ばれている今日、国際的なハーモナイゼイション、非関税障壁の問題等を視野に入れて国際基準と国内基準の整合性をはかることは、必然的な流れである。
ICRPに始まる国際免除レベルの検討の過程において、レベル導出に本質的な役割を果たしている実効線量10μSv等の数値設定及び被ばく計算に必要とされる被ばくシナリオの設計という基本概念の確立と評価にBSSあるいはNRPBは多大な経費と研究者を投入しているはずである。今回の国際免除レベル取り入れに当って、我国は、単にBSSおよびNRPBの数値確認作業に終始したとの印象を受けることは、極めて残念である。放射線防護基準の輸入一辺倒から脱却し、我国の放射線防護研究の水準を向上させ国際貢献を果たすためにも検討会においては、中間報告書に我国の放射線防護研究の振興策についても盛り込むことを検討されたい。


密封線源の規制に関すること(26件)
所属 氏名 意見
理化学研究所
神戸研究所
研究推進部
飯塚   裕久 密封RIに関して、線源のID付与を取り入れる事により、線源の回収や管理が確実にできる。また、線源の紛失、違法廃棄等の予防にも役立つと考えられることから、RI協会等の販売業者に密封線源のID付与を義務づける等の措置ができないか?
東亜非破壊検査(株) 橘高   忠信 校正用線源について(第2章   1.(4)2)
・現状保有している「校正用線源」の扱いはどうなるのか。現状それらの線源による重大な事故は発生していないため、過度な管理は必要なく、確実な実態把握が出来るための簡便な届出とするべきと考える。
方法としては、メーカー各社による過去にさかのぼった設計承認申請とし、メーカー各社より販売先への届出方法等の連絡をさせる。
・「放射能が比較的少量」とはどの程度を考えているのか。校正用線源は最大3.7MBqで製作されており、この数値を採用するべきと考える。
神鋼メックス株式会社   システムエンジニアリング部 吉岡   良浩 弊社では、主に鉄鋼向けに252Cf線源の3.7MBq以下を使用した中性子水分計を製造販売しています。
別紙6の表において、弊社の水分計は水分密度計の分類に入ると仮定すると、「設計承認」または「新届出」となると推定されますが、P6(新届出)の項の<対象の可能性のあるものの例>に水分密度計が記載されており、このことから「新届出」となる可能性が高いと推察します。
P9に「新届出対象の線源は、貯蔵能力加算し、複数の届出対象線源の貯蔵能力の合計が免除レベルの1000倍を超えるときは許可が必要となる。」とありますが、弊社の水分計において以下の問題があります。
1 これまで放射性同位元素装備機器を使用していないユーザーの場合
・弊社製中性子水分計を2台までは届出で導入可能
3.7MBq×2=7.4MBq<10MBq(10KBq(BSS免除値)×1000倍)
・ 3台以上となると許可扱いとなる。
3.7MBq×3=11.1MBq>10MBq
上記のように、届出扱いで導入可能な台数が限られてしまいます。

2 これまで既に別の放射性同位元素装備機器を使用しており、その合計が現行法の届出または許可扱いとなっているユーザーの場合(鉄鋼メーカーが多い)新届出の場合、貯蔵能力へ加算されるとのことですので、3.7MBq以下の小さな線源を追加するだけで、煩雑な変更届が必要となります。また、もともと許認可対象の241AmBeを使用した中性子水分計を使用しており、老朽化の更新と許認可不要のメリットから弊社中性子水分計を4台に置き換えていただいているユーザーもあり、新法施行後、突然許可扱いとなれば、ユーザーが困惑します。
上記の理由により「新届出対象線源は貯蔵能力に加算しない」か中性子水分計を「設計承認」扱いにしていただくことを強く希望します。設計承認となる条件のひとつに、P7「国は、設計承認においては、通常の使用状態で使用者の被ばく線量が裕度を持って1mSv/年を超えない設計となっていることを確認する。」とあります。平成12年12月19日、アイソトープ協会での説明会の席上、「通常の使用状態で使用者の被曝が裕度を持って1mSv/年を超えない設計」について質問したところ、文部科学省のご担当者からの回答は、「通常の使用状態とは定量的な基準はなく、例えば、普段人が近寄らない、通常は無人の設備に設置され使用されている場合、殆ど被曝しない状態なので、1mSv/年を超えない設計と判断される。」とのことでした。前述したように弊社製中性子水分計のユーザーの殆どが鉄鋼メーカ等の設備産業で、通常は無人の設備に設置されています。1回/2〜3ヶ月程度、設備のメンテナンス等で、人が立ち寄ることはあると思いますが、1mSv/年を超えることはありません。よって設計承認とすることが可能であると判断します。また、今後、中性子水分計の原理を応用し、構造物の欠陥診断への用途を考えています。これは、移動使用するものですので、設備に取り付ける構造である従来の機器と構造が異なります。また、使用者が複数台を所有することは考えにくいため、この場合は「新届出」対象が適切であると考えます。要するに、中性子水分計という同一種類の中でも、使用場所、使用方法によって「新届出」と「設計承認」とに分類することを希望いたします。
日本原子力研究所
保健物理部 内部被ばく防護研究室
野口   宏 既に所有している密封線源であって、購入時の放射能レベルの表示が免除レベルを超えていた場合でも、減衰により法令施行時点で免除レベルを下回っている線源については遡及の適用を除外するようにしていただきたい。
日本原子力研究所
保健物理部 内部被ばく防護研究室
野口   宏 核種あるいは放射能が不明の密封線源が出てきたときの対処法を示していただきたい。
日本原子力研究所
保健物理部 内部被ばく防護研究室
野口   宏 使用中に免除レベル以下に減衰した密封線源は再届出により規制から除外できるようにしていただきたい。
日本原子力研究所
保健物理部 内部被ばく防護研究室
野口   宏 個々の密封線源における放射能濃度の算出法及びその濃度をどのように規制免除レベルに適用するのかを明確にしていただきたい。
(株)オプトランス 露崎   典平 加算の考え方について
1   国際免除レベル以下の線源は、貯蔵能力に加算しない。何個使用しても届け出又は許可は不要とする(ただし、製造者が集合体として線源を一か所にまとめて貯蔵する場合は、その合計値又は許可の対象になり得る)。と規定されていますが、“使用者及び販売者が一か所にまとめて貯蔵する場合は、届出又は許可の対象にならない”事を明確に文書化して下さるようお願いします。
当方は、α線源を使用してランダムパルス発生器の開発を進めています。α線源は自然崩壊でα粒子を放出するAm,-241,Pb-210‐Po-210放射平衡線源、およびPo-210等を予定しています。線源強度は使用目的によって、現状では100Bq‐約4000Bq程度を使用する予定です。既に試作が完成している確率発生器は100Bqから300Bqの密封Am-241α線源を使用しています。形状は、4.2mmΦ、0.3mmtで、Al板に蒸着した構造、又はイオン式煙感知器に使用されている線源と同じ金及び金のサンドイッチ構造であります。
確率発生器の製造に使用するため、この密封線源を一か所にまとめて保管する必要があります。この場合は、線源の製造業者ではありませんので、届け出の対象にならないと考えていますが、現状のように準用される考えを適用されると、免除レベル以下の線源を購入する場合に届出の写しが無いと購入できなくなる可能性があります。
このような不都合を明確に防止するためにも、明文化をお願いいたします。
(株)オプトランス 露崎   典平 型式承認について
1   国が製造者に対する型式承認の対象となし得る一般消費装備機器を定める。と記載されていますが、現在使用されている機器については、この規定でよいと考えますが、今後新たに開発される製品あるいは現在試作中の製品についても型式承認できるよう文書化していただきたい。
当方は、α線源を使用してランダムパルス発生器の開発を進めています。α線源は自然崩壊でα粒子を放出するAm,-241,Pb-210‐Po-210放射平衡線源、およびPo-210等を予定しています。線源強度は使用目的によって、現状では100Bq‐約4000Bq程度を使用する予定ですが、客先の要求により10KBqを超える事も予想できます。既に試作が完成している確率発生器は100Bqから300Bqの密封Am-241α線源を使用しています。形状は、4.2mmΦ、0.3mmtで、Al板に蒸着した構造、又はイオン式煙感知器に使用されている線源と同じ金及び金のサンドイッチ構造であります。密封Am-241α線源は、半導体を封止するキャンの内側に取り付けいます。さらにキャンと半導体取付部のステムとを溶接あるいは圧着して完全な密封構造にしています。この構造は、イオン式煙感知機のようにAm-241密封線源が直接空気に触れる構造と全く異なり、密封線源はさらに完全な密封容器の中に配置されています。これをパルス発生素子としています。自然崩壊で放出するα粒子を半導体で直接計測して得られるランダムパルスは、完全なランダム事象であり、これを基に乱数および確率が作成できます。このパルス発生素子を使用した確率発生器は、パルス発生素子で計測されるパルスの時間間隔が確率論で表されることを利用しています。この自然現象を利用した確率作成回路は全て電子回路で構成できます。この方式は外部から破壊しない限り、パルスの発生間隔は何人たりとも変更する事が出来ないので、確率も変更する事が出来ません。これまでのパチンコ機では、プログラムで確率を作成していました。よって、不正が容易でありました。このパルス発生素子を使用した確率発生器を使用することにより、プログラムを使用する故に原理的に不正を防止する事が出来ない方式から完全に脱却することが出来ます。
アースニクス株式会社 宮下   恭一 加算について、
中間報告においては、「新届出」では加算、「設計承認」では非加算となっている。しかし、「新届出」事業所が「設計承認」機器を追加するときのことが明示されていない。また、これらの機器が移動使用を前提にしているときは両事業所がどういう関係になるのか、も判らない。
アースニクス株式会社 宮下   恭一 設計承認制度は安全を確保しながら使用者の負担を少なくする意味で大変良い制度だと思うが、次のような懸念が残る。
設計承認を受けた装置でも、何らかの意味で管理区域がある限り、使用者の側では被爆量の如何にかかわらずそこに立ち入る放射線業務従事者の指名が必要となり、さらには健康診断も必要になる−−といった一連の手続きが必要となる。つまり従来の3.7MBq以下と様相は全く異なることになる。したがって、設計承認に際しては、時間制限の保証方法など管理区域の設定が不要となるような基準をあらかじめ明示的に示してほしい。メーカーの立場では、設計承認でやれるか新届出になるかがあらかじめ判っていないと商談(客先の予算措置などを含む)を進めることはできない。
日本原子力発電(株)発電管理室 山川   英昭 P8(5)その他の事項(加算の考え方)に関連する事項について
「加算の考え方」に関し、「許可事業者が届出対象線源を使用する場合」の考え方が明確ではありません。報告書P5「国際免除レベル取入れ後の基本的枠組み」に記載されている「放射線の影響の可能性も小さいものは施設規制又は行為規制を適宜合理化する」に従い、規制の合理化に関する一貫性・整合性等の観点から下記を提案致します。
1提案
・ 許可事業者が届出対象線源を使用する場合、量に係わらず届出で使用可能なものとする。
2理由
・ 線源の加算性については、線源対象の規制に加え事業所に対する規制の必要性の観点から検討された結果と想定される。
・ 許可事業者が届出対象線源を使用する場合、既に許可対象事業者になっていることから、使用線源の規制のみで充分である。
・ 許可事業者に対し、届出対象線源も許可対象とすると手続き上合理性を欠くものとなる。
・ 報告書P5「国際免除レベル取入れ後の基本的枠組み」に記載されてる「放射線の影響の可能性も小さいものは施設規制又は行為規制を適宜合理化する」に従い、規制の合理化に一貫性・整合性等を図る必要がある。
日本原子力発電(株)発電管理室 山川   英昭 放射性同位元素の減衰補正の法令取入れについて
現在の規制においては、許可・届出時に登録した放射能量について減衰(崩壊)に伴う数量の見直しが認められていません。今回の国際免除レベルは、実効線量をもとに算出された放射能量であることから、法令化に際しては、この実効線量に相当する実在の放射能量を規制対象にすることが適切と考えます。また、報告書P5「国際免除レベル取入れ後の基本的枠組み」に記載されている「放射線の影響の可能性も小さいものは施設規制又は行為規制を適宜合理化する」に従い、規制の合理化に関する一貫性・整合性等の観点から医療分野以外についても減衰補正を法令に取入れるべく下記を提案致します。
1提案
・ 減衰(崩壊)による放射能量見直しを可能とする。
2理由
・ 今回の法令取入れに伴い、これまで規制対象外の放射性同位元素が規制対象となるものがある。
・ この際、購入時等初期の放射能量を対象にすると許可・届出等が必要なものでも、減衰補正による実在の放射能量を対象にすれば手続きが省略できる場合がある。
・ H13年度法令改正における管理区域に係る線量引下げに関し、実在する放射能量を用いて管理区域境界線量を計算すると法令値以下になるが、許可・届出時に登録した放射能量で計算するため法令値を超過することになり、使用時間の変更等の手続きを要した実例がある。
・ 許可・届出の放射能量を減少するには、減衰(崩壊)による減少であっても当該放射性同位元素を廃棄し、新たに購入する必要がある。(許可・届出手続きも必要)
・減衰(崩壊)に伴う数量減少は物理的変化によるもので人為的な操作等は入らない。
・ 国際免除レベルの法令取入れは、実効線量をもとに算出した放射能量であることから、この実効線量に相当する実在の放射能量を対象にすることが適切である。
・ また、この減衰補正の必要性ついては、報告書P21〜22「5.医療分野における規制」(現状)(今後の方針)に明記されており、医療分野以外についても減衰補正を取込むことは、P5(国際免除レベル取入れ後の基本的枠組み)に記載されている「放射線の影響の可能性も小さいものは施設規制又は行為規制を適宜合理化する」に従い、規制の合理化の一貫性・整合性等を図る観点から必要なことである。
(社)日本画像医療システム工業会   法規・経済部会   部会長早川登志雄 (社)日本画像医療システム工業会   事務局(担当・梅田尚志) 8P <型式承認・対象の可能性のあるものの例>の項
具体的な規制内容の項の2において、製造業者、販売業者等にその販売先などの一覧を国に届出る義務を付けるとされているが、これらの機器を使用する者には、届出義務を課さないとされている。使用先からの譲渡や譲受について、トレースできない可能性が生じると考えられるため、製造業者、販売業者だけが販売先一覧届出を義務化されるのは、不合理と考える。廃止の際の要件の担保を製造者のみに求めるのは、上述のように不備が生じるため、使用者に対し届出の義務は免除しても、廃止の際の要件を義務化することが適当と考える。
株式会社   チュートク 小竹   敏弘 弊社はRI水分密度計の製造販売及び賃貸を略20年継続しており全国の官公庁、行政機関、道路公団等による土木工事の現場で、盛土の状態調査にご利用頂いております。
さて首題件につきまして、次の通り連絡致しますのでよろしくお取り計らいお願い申し上げます。
BSS免除レベルの取り入れにより、現場での混乱を避けスムーズな移行を図るためには、
1)まず水分密度計の国内使用台数は年間1,700台程度が実態と考えられ新届出だと、使用事業所で第3種の資格が必要となり混乱が生じるので、簡単な使用予定届出だけで使用できるようにすべきと考えます。
2)また移行期間については、十分時間をとり法改正後の猶予期間を最低でも3年間から4年間とする必要あると考えます。
3)現行法では、3,7メガベクレル以下で届出も許可も資格も必要なく誰でも扱える水分密度計が、法改正後はメーカーは線源の使用許可、販売許可、賃貸許可が条件となり且つ夫々の許可に第2種以上の資格を有する放射線取扱主任者が必要となります。   
これはあまりにも極端な変更ですので、メーカーは届出でのみで資格なしでも従来の販売、賃貸の営業活動ができるようにすべきと考えます。
4)新届出と設計承認では、その格差が大きすぎますので設計承認をメーカーが取りやすくするように国が指導することが極めて重要と考えます。
尚、今後検討会から審議会へ移行され法案の具体化に伴い、弊社としてもその内容を一刻も早く知りたく、問い合わせを文部科学省のどの部門にすればよいのかご教授いただければ幸甚です。
製薬放射線コンファレンス 川上   猛雄 【設計承認対象について(その1)】
案によると設計承認対象は届出が原則となるが、現状の運用に照らすと許可事業所においては、変更申請の必要となってしまう。
したがって法改正により申請者側の費用と申請にかかる時間の増加に加えて、許可証の交換が頻繁になるなど煩雑な管理になることが予想される。これらについては別途の届出としたほうが申請者と審査側双方にとって有益であると思われるが如何か。
または、このような安全性の高い密封小線源については、その許可(或いは届出)に合算せず、管理状況報告書において、年一回行政への申告を行うやり方で、十分ではなかろうか。
製薬放射線コンファレンス 川上   猛雄 【設計承認対象について(その2)】
設計承認対象が届出となるのであれば事前届けではなく、事後届けとしていただきたい。設計承認対象(例えば,液体シンチレーションカウンター)の購入においては、変更申請を余儀なくされる許可事業所の場合、その手続きによる時間の経過(3〜6ヶ月)により購入時に当初予定していたものと、異なる機器の購入を余儀なくされることも大いに考えられる。
その場合、購入予定が変更されるたびに変更申請をすることは非常に不合理であり、規制室審査官の労力も無駄となる可能性が高いのではないか。
ソイルアンドロックエンジニアリング株式会社 熊原   義文 我が社で製造及び使用している物は、新届出或は設計承認に該当する密度計或は水分計です。
新届出と設計承認では対応が相当変わってきます。その線引き基準が現状ではまだまだ曖昧です。通常の使用状況で使用者の被爆線量が裕度を持って1mSv/年を超えない、の通常や裕度は具体的にされるのでしょうか、それとも解釈に委ねるのでしょうか。
ソイルアンドロックエンジニアリング株式会社 熊原   義文 我が社で製造及び使用している物は、新届出或は設計承認に該当する密度計或は水分計です。
販売やレンタルの代理店の扱い。事務処理上でしか現れないケースも多い。リース会社の扱い。この場合は完璧に事務処理上でしか現れない。OEM供給の場合には。レンタル使用の場合には。
このようなケースにはどのように考えたらよいのでしょうか。
現状の規制内ですでに解決済みでしょうか。
日本原燃(株)安全技術室
伊藤   敦夫 設計承認について
設計承認に関し、校正用線源のうち、放射能が比較的少量のものについて、使用方法や保管方法に対して放射線管理上の適切な条件を付すことにより、設計承認の対象として取り扱い、貯蔵能力に加算しないなどの対応をとることを検討することが適当である(中間報告書(案)p.7)との考えに賛成します。サーベイメータなどの動作確認などに用いられている機器に装備されていない線源(いわゆるチェックソース等)について設計承認対象とし、貯蔵能力に加算しないなどの対応を実現していただけるよう、ぜひ検討願います。
日本原燃(株)安全技術室
伊藤   敦夫 p.9(5)その他の事項(加算の考え方)について
「加算の考え方」に関し、国際免除レベル取り入れ後は、「3   新届出対象の線源は、貯蔵能力に加算する。」とし、「複数の届出対象線源の貯蔵能力の合計が免除レベルの1,000倍を超えるときは許可が必要となる。」とあります。この場合、許可事業者が届出対象線源を使用する場合、それが免除レベルの1,000倍を下回る場合であっても使用の(変更の)許可が必要となり、中間報告書(案)p.5「国際免除レベル取入れ後の基本的枠組み」に記載されている「相対的に放射線の影響の可能性も小さいものについては、施設規制又は行為規制を適宜合理化することができる」との基本的考え方にそぐわないと考えます。したがって、許可事業者が届出対象線源を使用する場合、例えば、
○   届出対象線源の貯蔵能力の合計が免除レベルの1,000倍を超えない範囲については、(軽微な変更の)届出で使用可能なものとする
など、施設規制又は行為規制を合理化すべきと考えます。
(株)日本RI実験支援機構 長浜   知佐子 【合算・許可などの重複について】
「新届出密封線源」等について、既に許可あるいは届出使用事業所にあっては、これらの安全性の高い密封小線源については、その許可(或いは届出)に合算しなくて良い。但し、管理状況報告書において、年一回は行政への申告は行う。
このやり方で、十分ではなかろうか。少なくとも、「液体シンチレーション・カウンター」を更新するごとに、変更許可申請が必要であるといった馬鹿げた無駄なことは防げる。
弘前大学アイソトープ総合実験室 佐山   洋 【密封線源に関して】
(意見)
密封線源に関する設計承認が得られる装備機器について放射性同位元素の管理から外すことに関しての設計承認は、過去に生産された装備機器の線源に関しても適用すべきである。
(理由)
密封線源に関する設計承認が得られた装備機器に関しては、適切な条件を付して、貯蔵能力等に加算しない等の方針になっている。この場合の設計承認は今後メーカーの申請によって行われることとなろうが、過去に生産された装備機器の線源に関しても設計が同様であれば適用すべきである。もし、過去に生産された装備機器の線源にたいして設計承認がなされないようであれば、今後相当数のわき出し線源が生じ、混乱が生じることが予想され、無用の混乱は避けるべきと考える。遡及適用を行う場合でも、密封線源が装備された機器についてはメーカー等を通じて機器が廃棄される際、適切な措置が講じられるよう指導がなされれば問題ないと考えられる。
日本放射線安全管理学会 会長
西澤邦秀
1.   国際免除レベル取り入れ後の密封線源の規制
基本的な枠組みにおいて、「濃度、数量ともに大きく、放射線の影響の可能性も大きい線源については、施設規制、行為規制及び廃止等規制をともに厳格に適用することが必要であり、濃度、数量ともに小さく、相対的に放射線の影響の可能性も小さいものについては、施設規制または行為規制を適宜合理化することができると考えられる。」としているが、濃度、数量ともに小さい場合における廃止等規制に言及していない。(3)許可の規制及び(4)届出の規制の項では、廃棄についても触れているが、濃度、数量ともに小さい線源に対しても適用されるとは明記されていない。これは、濃度、数量ともに小さい線源は使用済みとなった場合は、廃棄には特別な制限が加わらない、すなわちクリアランスレベルが自動的に設定されることになると理解される。
濃度、数量ともに小さい線源の廃棄に関する考え方を明記されたい。
日本航空(株) 整備本部 安全衛生部 関   哲(代表) 2002.10.17放射線審議会基本部会報告書「規制免除について」の中の付録9「国際的な免除レベルの取り入れ及び検討状況」の中に示された、10Ci(370GBq)以下のH-3を含む航空機用自発光安全装置(製造者が製造国の設計/製造承認を得て製造した非常用脱出出口等を示す為の装置)を日本国内で運航している航空機に多数使用しており、その届出や取扱について当局との調整を進めているところです。
欧米では、規制対象外となっていることから、米国製、EU製の航空機に取付けられ、そのまま輸入し使用しているのが現状です。定期航空3社以外にも、同様の航空機運航会社はたくさんあると推測できます。現国内法に照らすと、その数量の多さから管理の方法について苦慮しているのが現状です。
米国等の一般認可と同様に規制の免除を盛り込んでいただければ幸いです。
なお、この要望については下記2名との連名とさせていただいております。
全日本空輸(株)整備本部品質保証部
長谷川豊
(株)日本エアシステム
整備本部企画管理部   南隆文
アースニクス株式会社 宮下   恭一 教育訓練・健康診断について質問
本文には記述はないが、別紙8「国際免除レベルをとりいれたときの密封線源に対する規制内容(素案)」によれば「行為規制として必要と考えられるもの」の項に「教育訓練、健康診断」が許可レベルにおいては記載されているが、届出レベルにはない。これは本文において、第2章(2)「国際免除レベル取り入れ後の基本的枠組み」のなかで、「10mSv/年はICRPにおいて、長期被曝を考慮して規制当局の介入が正当化されるレベル」としていることと関連している、つまり、10mSv/年以下である届出レベルでは教育訓練、健康診断は要らないということでしょうか。


非密封線源の規制に関すること(5件)
所属 氏名 意見
ファイザー製薬株式会社
中央研究所環境安全課
宮本   公隆 免除レベル以下は、規制の対象にしないという基本原則が、施設の基準(貯蔵、使用、廃棄)や使用の基準などに取り入れられていないと受け止められます。日本における現在の規制は確かに公共の安全を確保することに意義がありますが、同じ国際基準の取り入れにおいて、現場の使用状況に至ると、欧米とまったく違ってしまっています。つまり、日本においては厳しすぎており、日本の産業育成、国際競争力の足かせになってはいないか、という思いです。国際免除レベルの取り入れは、欧米の現場での取り扱い方法に習い、使用と廃棄に関し次のような取り入れを提言します

監視区域という定義を設けます。
監視区域とは、免除レベル以下の線源を使用できる限定された部屋(場所)であり、関係者以外無断立ち入りを禁止にする区域を言う。監視区域では免除レベルを最大に使用しても、空気中濃度、排気中濃度、排水濃度が現行別表を満足することを事前評価で証明する。毎月使用場所の汚染状況を測定する。監視区域内作業者は個人被ばく測定具で被ばくを管理し、また放射線に関する健康診断を実施する。使用、廃棄の記録は現行同様記帳する。排水は、施設全体の排水と混合されるが、貯留槽を設け、排水の都度測定を行い、万一に備えた希釈設備を有する。使用に至らなかった線源は、その日の内に貯蔵施設に戻す。
1貯蔵施設は従来どおりで、免除レベル以上を貯蔵施設から監視区域へ持ち出してはならない。免除レベル以上を使用する場合は、管理区域内の使用施設に限る。
21日最大使用数量が、施設全体で免除レベル以下である場合、監視区域内での使用を認める。免除レベル以上が出庫できない線源の管理を行う。
製薬放射線コンファレンス 川上   猛雄 【定義数量以下の非密封線源の取り扱いについて(監視区域の設定)】
今回の国際免除レベル取り入れに伴い、非密封線源では安全性の高い線源についてはその定義数量、いわゆる免除レベルが大幅に引き上げられ、法律的には規制対象から除外される範囲が大きくなるものもある。しかし、実際の運用では総量規制又は入手方法の制限等により現行法の定義数量以下の線源でさえ、許可された管理区域内以外での取り扱いは事実上不可能な状態におかれている。しかも中間報告書案では「“非密封線源”については現行規制方法に変更の必要はない」とあり、これは前述の定義数量以下の規制にも係るものなのであろうかと疑問視される。定義数量以下の極微量の線源でさえ、一般の実験室等での使用を許可しない理由に、セキュリティ上の問題を行政は挙げているが、国際免除レベルは集団線量が通常および事故時においても安全が担保される量であり、原則としてこれは密封でも非密封でも変わりはないはずである。この法令内容と不整合な管理をせざるを得ない現在の運用状況を是正するためにも、改正法の条文内に管理区域の他に、“監視区域”というものを設け、新たに以下に関する基準を設定することを提案したい。
1.総量規制の定義を明確にする
使用が定義数量以下でも、貯蔵等で線源が集合体となり各核種の免除レベルに対する和の合計が1以上となるならば、貯蔵施設や廃棄施設(保管廃棄設備)を管理区域として管理する。
2.定義数量以下の管理区域外での使用についても、安全を証明するための監視を行う。線源の使用廃棄の管理、表面汚染の監視である。
これらを条文に盛り込むことにより国際免除レベル以下のものとそれを超えるものを、明確に分けた運用体制が十分可能ではなかろうか。あえて条文に規定することで、行政の管理の基でも国際レベルのRIの利用環境までもっていくことはできるものと考える。
弘前大学アイソトープ総合実験室 佐山   洋 【非密封線源に関して】
(意見)
非密封の放射性同位元素で定義数量以下となる少量の標識化合物が通常の試薬扱いとして流通することは避けるべきである。
(理由)
使用するすべての核種の数量の割合の和を加算して割合の和が1を超える場合に規制対象とするということであるが、低エネルギーβ線核種を中心に定義数量以下で流通する物が出ることが想定される。このような非密封放射性同位元素は使用許可を持っていない事業所は自由に購入及び使用が出来ると考えられる。また、個人輸入等アイソトープ協会を経由しないものが出回ることも想定される。そのようなものが、非密封放射性同位元素許可使用事業所内に持ち込まれた場合はRIとして対応する必要があると考えられるが、購入する者は放射線業務従事者としての知識のない場合が多いと思われる。そのような場合は管理されない放射性同位元素が存在することとなるが、非密封放射性同位元素許可使用事業所の責任の所在はどのようになるのか。そのような場合は当然廃棄物の適切な処理も困難となる。また、輸送する際、アイソトープを送り出すまではRIとして管理し、輸送中は一般輸送物となり、目的地の管理区域にはいるとまたRIとなるということが考えられる。
以上の問題を抱えている以上、低エネルギーβ線核種に関しては通常流通している単位の物が定義数量以上となるように定義数量を設定すべきである。
(株)日本RI実験支援機構 長浜   知佐子 【国際免除レベルの非密封線源適用について】
国際免除レベルは、非密封線源に適用する場合、貯蔵、使用、廃棄をそれぞれ別々に適用すべきである。国際免除レベルは集団線量が通常および事故時においても、安全が担保される量を意味し、放射能(Bq)、放射能濃度(Bq/g)からなる。したがって、両者ともに免除レベル以下が達成できる状況であれば、規制対象外でよい。貯蔵室では核種ごとの免除レベルに対する和(以下単に「和」と言う。)の合計が1以上なら、当然規制をし、管理区域で貯蔵する。事業所における使用において、総量の和が1未満になる場合、規制は必要ないので、貯蔵施設から持ち出し、一般実験室で使用を許可すべき。但しその場合、十分な監視が行えることを条件にする。既に規制対象外ではあるが、安全を証明するための監視を行う。それは表面汚染の監視と、排水中の濃度の測定である。廃棄においては、保管廃棄が蓄積し、和が1以上になる場合、管理区域に保管廃棄する。但し、規制対象外で使用した際生じる廃棄物を、使用後に規制する必要性はない。何も処理せず、事業所内に廃棄物を蓄積し、和が1以上になる場合は規制する。勉強会ではセキュリティーに心配がある、と言っていましたが、すでに安全が担保された数量で、何の問題があるのでしょう。一般実験室に持ち出したH-3やC-14を全量飲んで、死ぬのですか?それより、毒物保管庫から持ち出されたアジ化ナトリウム25gが使用時に実験室に置かれる状況の方が、よほど危険です。セキュリティ問題は、放射性規制室が責任をとる(法律で規制する)必要はなく、企業の管理責任です。
日本放射線安全管理学会 会長
西澤邦秀
2.   国際免除レベル取り入れ後の非密封線源の規制
1の最初の文において「数量、濃度ともに国際免除レベルを導入するが、非密封線源に対する上述の現行の規制の仕組みは、現在までの40年近くに至る実績に照らし、基本的には変更する必要はないと考えられる。」としている。続く第2文を読むと、その意図が理解されるが、最初の文は、前半と後半とでは、矛盾して理解されかねない。後半では、「現行の規制の仕組みは、現在までの40年近くに至る実績に照らし、基本的には変更する必要はない」と現状を肯定している。しかしながら、現行の規制の仕組みとは、すなわち、数量を四群に分ける方式である。濃度と数量を基本に規制することは同じであるが、核種別に濃度と数量を適用することは、現状の仕組みを変更することである。
群別規制を廃止すると明記すべきである。


放射線取扱主任者に関すること(28件)
所属 氏名 意見
理化学研究所
神戸研究所
研究推進部
飯塚   裕久 放射線取扱主任者の技術的能力の維持ということに対して、定期的な講習による再教育を義務づけ、責任と罰則の明確化をする事としているが、放射線取扱主任者が1雇用者であることを考えると、同様に事業主又は事業所長についても責任と罰則を強化する必要があると思う。
東亜非破壊検査(株) 橘高   忠信 放射線取扱主任者制度について(第3章   1.(2)2
・「規模の大きい密封線源」とはどの程度を考えているのか。現状、施設検査の対象となっている、37TBq以上の事業所について、「第1種」が必要と考える。

国立埼玉病院放射線科 小林   一三 第3章   国際免除レベル取り入れに関連する事項
1.放射線取扱主任者制度
(4)新たな放射線主任者制度の概要
表   新たな放射線取扱主任者制度(案)
放射線取扱主任者に選任できる者        
新区分 第1種    第2種    第3種    第1種(医療用)
       
非密封線源、施設検査・定期検査を
必要とするような密封線源又は放射線
発生装置を使用する事業所
       
(以下略)

表記のようになっていますが、本文から推察すると、第1種(医療用)にも該当するのではないでしょうか。
医療機関における放射線取扱主任者の制度を改正したい、というのが趣旨であると思います。
本田クリニック 医師 本田   嘉秀 医師、歯科医師、薬剤師の選任主任者について
現行法では、診療目的に限り医師または歯科医師を、また医薬品などの製造所では薬剤師を放射線取扱主任者免状を持っていなくても放射線取扱主任者として選任できることになっているが、この制度は廃止したらよい。
その理由は、
1)放射線取扱主任者は、業務ライン上にあるのではなく、そのラインから離れてラインに沿って行われる放射線業務における防護と安全を確保する立場であるからライン上の職業資格者である必要はない。
2)現在では医師、歯科医師、薬剤師、その他を含めて、必要な放射線取扱主任者免状の所有者を確保するのに困難はない。
日本原子力研究所
保健物理部 内部被ばく防護研究室
野口   宏 放射線取扱主任者の責任と罰則を強化する場合、同時にその地位向上を図る方策も講じていただきたい。
日本原子力研究所
保健物理部 内部被ばく防護研究室
野口   宏 第3種放射線取扱主任者は講習が義務付けられているが、一般に講習の受験料は高額であり、この制度を普及させるには試験だけでも資格が与えられる制度も併用できないか。例えば、学生にとっては試験の方が取得しやすい可能性が高いと考えられるためである。
(社)日本放射線技術学会   会長 藤田   透 1.医療機関における放射線取扱主任者の選任の取扱いについて
修正・追記を求める内容
「今回の放射線障害防止法改正の際に、上述の医師等を無条件に放射線取扱主任者に選任できる制度を廃止し、医師等を選任する場合にも放射線取扱主任者免状所有者から選任させることを検討することが必要である。」との放射線安全規制検討会中間報告書(案)に賛成いたします。わが国での速やかな国際免除レベルの取り入れが望まれる一方、その取り入れにより、規制対象の範囲が大幅に変わることから、医療分野においても混乱が起こることが予想されます。このため、改正法令への円滑な移行のためには、放射線管理業務に経験のある、第1種放射線取扱主任者免状を有した診療放射線技師の活用を要望いたします。また本学会では、診療放射線技師の会員に対し、第1種放射線取扱主任者免状の取得を促し、さらにスーパーテクノロジスト認定制度を検討しており、将来的には「医療放射線安全管理主任者」(仮称)の認定も視野に入れた活動を行っています。
その理由・根拠
医師・歯科医師等は、放射線障害防止法に規定する放射線管理業務の実務にはほとんど携わっていない現状にあるため、法令や放射線安全管理に関する科目について試験や講習を行っても、医療分野における放射線管理の質の向上にはつながらないと考えます。また一方、医療現場における放射線関係の国家資格である診療放射線技師の第1種放射線取扱主任者試験合格者は、医療機関の許可事業所数のおよそ1.5倍になると中間報告書(案)では指摘しています。
事実、医療機関での、放射線障害防止法に規定する放射線管理業務はすべて第1種放射線取扱主任者資格をもつ診療放射線技師が実務を担当している現状にあります。このため、このような経過措置を講じなくても医療機関での放射線管理に混乱をきたすことはありません。従って、新たに第1種放射線取扱主任者免状(医療用に限定)を交付するのではなく、医師、歯科医師及び薬剤師を放射線取扱主任者として選任する場合にあっても、放射線取扱主任者免状所有者から選任されることとするのが適当であると考えます。
(社)日本放射線技師会   会長 熊谷   和正 1.放射線取扱主任者の選任について
中間報告(案)では医師・歯科医師及び薬剤師の放射線取扱主任者への選任について、主任者免状を有しない者に対して法令や放射線管理に関する科目を限定して義務付け、合格後、第1種放射線取扱免状を交付(医療用に限定)することを検討するとあるが、医師・歯科医師及び薬剤師は放射線や放射能について人体への影響から放射線管理まで系統的な教育は受けていないのが実状である。放射線取扱主任者免状を有する放射線技師が医療現場に多数おり、また経過措置期間を設けることにより、医療機関に混乱を生じることはない。放射線取扱主任者の選任については医療用と限定しても、職種による特例を認めるべきではない。
(社)日本放射線技師会   会長 熊谷   和正 2.放射線取扱主任者の技術的能力の維持
放射線取扱主任者の有資格者に対する一定期間ごとの定期的な講習などによる再教育を義務付けることには原則的に賛成であるが、そのために放射線主任者の責任と罰則の強化ばかりでなく、放射線主任者の権限と身分保障も明確にすべきである。

中間報告に対する本会の意見を述べさせて頂いたが、医療機関の放射線管理の実務を担っているのは診療放射線技師であり、第1種放射線取扱主任者の有資格者も1230人にのぼっている。さらに、(社)日本放射線技師会では放射線診療の安全と放射線管理、被ばく管理、放射線汚染を伴う災害や緊急事態に対応するために、放射線機器管理士と放射線管理士を認定している。この認定には1週間におよぶ講習と認定試験(合格率40〜70%)を課している。現在それぞれ約300人の認定者が出て第一線で活躍している。今年度は1000人程度の認定者が予想され、放射線管理を担う人材が育っている。この中から、日本放射線講習安全学会や日本放射線カウンセリング学会が設立され、国民の放射線安全と放射線管理の研究が始まっている。このような人材を日本の放射線や放射能の管理に大いに活用されることを要望する。
埼玉県立がんセンター
放射線技術部
諸澄   邦彦 1.医療機関における放射線取扱主任者の選任の取扱いについて
「今回の放射線障害防止法改正の際に、上述の医師等を無条件に放射線取扱主任者に選任できる制度を廃止し、医師等を選任する場合にも放射線取扱主任者免状所有者から選任させること検討することが必要である。」との放射線安全規制検討会中間報告書(案)に賛成いたします。しかしながら、中間報告書(案)で述べている、「今後は、放射線取扱主任者免状を有していない医師、歯科医師及び薬剤師並びに診療放射線技師を放射線取扱主任者として選任する場合には、第1種放射線取扱主任者免状の試験や講習のうち、法令や放射線管理に関する科目を限定して義務づけ、合格後、第1種放射線取扱主任者免状(医療用に限定)を交付することを検討することが必要である。」の箇所の削除を要望いたします。
医師、歯科医師等に法令や放射線管理に関する科目について試験や講習を行っても、記録・記帳・測定、汚染除去等の現場実務を伴わない放射線管理は、医療分野における事故の割合が相対的に高い現状を解決することにはならないと考えます。また一方、医療現場における放射線関係の国家資格である診療放射線技師の第1種放射線取扱主任者試験合格者は、医療機関の許可事業所数のおよそ1.5倍になると中間報告書(案)では指摘しており、この人材を有効活用するためにも第1種放射線取扱主任者資格を有する診療放射線技師の選任を推進するなどの指導が必要と思います。また、医師、歯科医師及び薬剤師を放射線取扱主任者として選任する場合にあっても、放射線取扱主任者免状所有者から選任させることが望ましいと考えます。
また、診療放射線技師の職能団体であります(社)日本放射線技師会では、医療機関における放射線管理の専門技術者として「放射線管理士」の認定制度を平成11年度より開始しております。医療機関においては、第1種放射線取扱主任者に替わる資格として、診療放射線技師の国家資格を有した上で、「放射線管理士」の認定資格者の活用も可能ではないかと考えます。
(社)日本非破壊検査工業会
放射線安全管理委員会   委員長
鈴木   力雄
日本工業検査(株)
4.   放射線取扱主任者制度(第3章   1.)
「(5)放射線取扱主任者の技術的能力の維持」の項の最終部分に「主任者の責任と罰則の明確化」とあるが、主任者の権限についての保証文言はないのでしょうか。また、主任者の権限は誰が保証してくれるのでしょうか。
日本原子力発電(株)発電管理室 谷口   和史 第3章1.放射線取扱主任者制度
(5)放射線取扱主任者の技術的能力の維持
放射線取扱主任者としての技術的能力維持のため、放射線取扱主任者としての選任の際及び選任後の教育について提案されていますが、実情に即した規制となるよう以下を提案致します。
○提   案
放射線取扱主任者として選任する際には、以下の条件を義務づける。
・放射線取扱主任者は、放射線取扱主任者免状取得者の中から選任し、選任後は速やかに指定された講習を受けること
・放射線取扱主任者に選任後は、一定期間ごとに定期的な講習による再教育を受けること。また、指定講習は、十分な頻度、場所で開催すること。
○理   由
・免許取得後ある程度の期間が経過しているとしても、放射線取扱主任者免状取得者は、基本的に放射線に関する知識を十分に保有している者である。従って、放射線取扱主任者に選任後に(再教育を含め)適切に教育を受講させることで技術的能力は十分に維持できる。
・主任者試験を学生時代に受験し資格取得する人も多い。また、放射性同位元素取扱事業所では、専門知識を効率的、体系的に獲得させる目的で資格取得を励行している。「主任者として選任する際は免許取得後一定期間内であること」は、学生の向学意欲を阻害するだけでなく、事業所においても放射線取扱に関する体系的な専門知識を有する者を減少させ、免許取得者を極めて限定してしまうことになる。
・「事業所において主任者として選任する際には、指定された講習の受講後、一定期間内であること」とあるが、事業所においては、人の異動は避けられず、「指定された講習の受講後」に選任することは現実問題として非常に困難であり、「選任後、速やかに講習を受ける」ことが最も現実的である。
(社)日本アイソトープ協会   放射線取扱主任者部会   部会長 大崎   進 (1) 放射線取扱主任者の職務と権限、責任と罰則について
放射線取扱主任者の職務は法34条に、放射線障害の防止について監督をおこなう、とある。また法36条に1.放射線取扱主任者は誠実にその職務を遂行しなければならない、2.放射線施設等に立ち入る者は、この法等の実施を確保するためにする指示にしたがわなければならない、3.使用者等は放射線障害の防止に関し、放射線取扱主任者の意見を尊重しなければならない、と規定されており、放射線障害防止についての監督が職務であり、権限は立入者に対する指示と使用者等への意見である。放射線取扱主任者の職務および権限が上記のように法令で非常に簡単に書かれていることから、放射線(放射能)取扱いに関するすべてが放射線取扱主任者の職務であり、責任であると誤解されてしまうところがある、「使用者」等、「放射線取扱主任者」、「放射線管理実務者」の職務と権限を明白にすべきである。その上でその責任と罰則を明確化すべきである。一部に放射線取扱主任者が放射線管理実務を兼務しているという現状からきた考え方であり、兼務することは構わないが、職務は明白に分離すべきである。
(社)日本アイソトープ協会   放射線取扱主任者部会   部会長 大崎   進 (2)放射線取扱主任者等の名称について
取扱主任者からくる一般的に通用する意味は法令の意味するものとは少し異なっている。広辞苑によると、取扱主任者の意味は主としてその取扱を担当する人、またはその中での上席者であり、三省堂国語辞典では主となってその任務を受け持つ人である。一方監督は広辞苑では目を配って指示したり、取り締まったりする事(人)であり、三省堂国語辞典では上にたって指図し、取り締まる事(人)である。電離則にはエックス線作業主任者などの主任者が規定されているが、いずれも職務がきちんと定義されており、どちらかといえば、辞典どおりの、主となってその任務を受け持つ人に近く、作業中は必ず現場にいなければならない。高圧ガス保安法の取扱主任者は特定高圧ガスの消費のみに係る保安に関する業務を管理するのが業務である。放射線取扱主任者は監督のみか、現場の実務もする人間なのか、多くの放射線取扱主任者は混乱に陥るのは、この名前と職務が一致していないところからきていると思われる。放射線取扱主任者は放射線障害防止法から言えば放射線取扱の安全を監督する人であり、正確にいえば、放射線安全監督者となる。放射線取扱主任者の名称をわかりやすい名称に変更することを要望する。
(社)日本アイソトープ協会   放射線取扱主任者部会   部会長 大崎   進 (3)第1種(医療用)放射線取扱主任者制度について
医師、歯科医師、薬剤師及び診療放射線技師にある程度の放射線障害防止の知識があることは確かなことであるし、また人命にかかわるようなことであり、放射線取扱主任者がいないことにより、検査や治療の開始が遅れたりすることは避けるべきである。しかし放射線取扱主任者に必要な知識は習得しなければならない。そこで第1種(医療用)放射線取扱主任者は3年程度の限定免許とし、その間に普通の第1種または第2種放射線取扱主任者免状を取得するか、免状を持った人を採用して取扱主任者に任命することを提案する。第1種取扱主任者に必要な知識のすべてが、上記職業とするすべての人に必要な知識とはとうてい考えられない。たとえ講習(試験)を行うにしても、自動的に放射線取扱主任者に選任できるのであれば、上記職業教育のカリキュラムにそれらを入れることが必要に成り、そのような限定は本来の教育から好ましくない。放射線安全管理の責任者になる人が得なければならない知識は放射線安全管理を担う人が得ればよいことも多くある。そのために法令や放射線管理についての試験や講習を義務づけることになっているが、受講者はその教育に大きな差があり、全て行うには多くの時間を要し、試験のみのほうがはるかに能率がよい。よって第1種(医療用)放射線取扱主任者資格はある期間以内(前述では具体的に3年としたが)の暫定的な処置とし、医師、歯科医師、薬剤師、及び診療放射線技師はその期間内に通常の第1種または第2種の放射線取扱主任者免状を取得するか、免状を持った人を採用して取扱主任者に任命するものとする。
(医療用に放射線(放射能)を用いることは、公共の安全を目的とする放射線障害防止法の精神とは異なるところがあり、本来放射線障害防止法から除くのが適切である。廃棄物の処理、医療関係者への放射線障害防止は必要であるが、それらも含めて一貫して医療法で行うべきである。)
(社)日本アイソトープ協会   放射線取扱主任者部会   部会長 大崎   進 (4)第3種放射線取扱主任者について
放射線取扱主任者の職務と権限を考えると、比較的安全な密封線源の届出と紛失防止を業務とするこの職を、放射線取扱主任者に加える必要はなく「新届出密封線源保管管理者」で十分管理できると考えられる。現在承認を受けた表示付放射性同位元素装備機器は放射線取扱主任者の選任と測定および教育訓練が免除されているが、同様の取扱いが適当と考えられる。
(社)日本画像医療システム工業会   法規・経済部会   部会長早川登志雄 (社)日本画像医療システム工業会   事務局(担当・梅田尚志) 13P、14P 医療機関における放射線取扱主任者の選任の取扱い放射線管理の充実の観点からも本内容は積極的に推進していただきたい。また、技術的能力の維持内容についても必要と考える。
製薬放射線コンファレンス 川上   猛雄 【放射線取扱主任者制度について】
案には「放射線取扱主任者の責任と罰則の明確化について検討すべき」とあるが、それを行う前に主任者の権限を条文で明記すべきではないだろうか。
まずは権限を、そして事業所内における役割の明文化と法的な地位の保障を謳うべきである。放射線取扱主任者に安全管理の中心的な役割を担わすのであれば、必要不可欠なことである。また一方では使用者等(使用事業者、廃棄事業者などをいう)の責任を明確にするためにも、条文では「使用者」ではなく、「使用事業者」とする方が、一般的にも理解しやすいのではないか。
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (1)「第3種放射線取扱主任者の新設について」
1.修正を求める箇所
第3章の1   放射線取扱主任者制度
(2)国際免除レベル取り入れに伴う新たな放射線取扱主任者の選任のあり方
(4)新届出対象の密封線源を使用する事業所の第3種放射線取扱主任者の新設について
2.修正・追記を求める内容
新届出対象の密封線源を使用する事業者は、新たに第3種放射線取扱主任者の有資格者から選任するとあります。また、第3種放射線取扱主任者とは、密封線源の取扱いに関する所定の講習を受けた者に与えられるものとあります。この新届出対象の密封線源のみ使用する事業所においては、新たに第3種放射線取扱主任者を設けるよりも、放射線障害を防止するほどの事業所でないため、放射線障害を防止する監督する放射線取扱主任者の選任義務を必要としない事業所と修正することを要望します。

3.その理由・根拠
   放射線取扱主任者は、各放射線施設における放射性同位元素等の取扱いによる放射線障害の発生を防止するための監督者として、国家試験に合格した者です。また、放射線障害の発生のリスクの違いを考慮して、放射線施設規模に応じて現在、第1種と第2種(一般)があります。なお、以前に、ガスクロマトグラフ用ECDの密封線源Ni-63(740MBq以下)を使用する場合は、第3種放射線取扱主任者資格取得同様に講習会により、第2種(放射性同位元素装備機器   名)の放射線取扱主任者がありました。
しかし、平成7年9月30日の法令改正により、規制の合理化を考慮して放射線障害の発生をおよぼすことがない高い安全性を有するために、承認を受けた表示付放射性同位元素装備機器は、放射線取扱主任者の選任と測定および教育訓練の義務が免除されました。なお、ガスクロマトグラフ用ECDの密封線源Ni-63(740MBq以下)のみの事業所の放射線安全管理としては、紛失の防止と危険時の措置などについて事業所の責任で行っています。
今回の新届出対象の密封線源を使用している事業所では、既に数万台以上が密封線源(3.7MBq以下)を使用しており、国際免除レベルの1000倍以下の線源として、最悪のシナリオでも10mSv/年以下の機器であり、放射線障害のおそれの無い放射性同位元素使用施設として明確化することが合理的です。また、既に高い安全性を有している放射性同位元素使用施設として実績があります。そのため、密封線源の届出と紛失防止および廃棄などを事業所側の義務のみで、放射線取扱主任者を選任する必要性はないと考えます。また、放射線取扱主任者として監督する業務も実質的には殆どないため放射線取扱主任者の形骸化が懸念されます。さらに、国民に対しては、我が国における放射線利用は、放射線障害防止法などの放射線安全規制で厳しく管理されており、これまでその安全規制の対象でない多くの事業所に対して、必要以上の規制を設け新たに放射線障害の防止を監督する放射線取扱主任者を選任する義務を設けることは、国民に不要な不安を与えかねません。
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (2)「医療機関における放射線取扱主任者の選任の取り扱い」
1.修正を求める箇所
(1)現行法制度の状況と問題点
さらに、最近の医療機関では医師が放射線管理に専念できず、その意義が失われている。
2.修正・追記を求める内容
本文中に「しかし、医師等は放射線の人体への影響などの知識を持つが、必ずしも放射線管理そのものに関する専門的知識が十分でない場合があり、さらに、最近の医療機関では医師が放射線管理に専念できず、その意義が失われている。」と状況と問題点を説明しています。この問題点の説明において、「さらに、最近の医療機関では医師が放射線管理に専念できず、その意義が失われている。」は削除を要望します。
3.その理由・根拠
医療機関においては、1957年に放射線障害防止法が公布される以前から、同法に規制される放射性同位元素および発生装置を診療の目的で、多くの医療機関で使用されていました。なお、1958年に第1回放射線取扱主任者試験が行われると同時に、既に放射性同位元素等を使用している放射線施設に対しては、特例で認定により放射線取扱主任者制度の移行装置として講じられ1960年に認定免状の交付は廃止されています。医療機関に対しては、医師等を放射線取扱主任者として選任できるなど放射線診療の継続に支障を来さないように必要な措置が講じられています。しかし、医療機関における医師等の放射線取扱主任者選任の特例は、医療における放射線管理の特殊性を鑑み、かつ、医療現場に混乱をもたらさないようにするために講じられたものです。したがって、「最近の医療機関では医師が放射線管理に専念できず、その意義が失われている」との問題の指摘は、特例の趣旨から誤解を与え、放射線取扱主任者の選任を受けた医師は監督者の職務を遂行する者であって、放射線管理に専念する義務は当初からないと考えますので、削除を要望します。また、医療分野での事故が相対的に高いのは事実ですが、医療機関における放射線取扱主任者の資質よりも、医療分野における密封線源の利用の特殊性と放射線管理体制の不備が原因として考えられるため、医療機関の特性に応じた管理の規制を設けることが必要です。
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (3)「医療機関における放射線取扱主任者の選任の取り扱い」
1.修正を求める箇所
第3章の1.(3)
(2)改正の検討
   今後は、・・・
2.修正・追記を求める内容
医師等を無条件に放射線取扱主任者に選任できる制度を廃止し、放射線取扱主任者免状所有者から選任することを検討することは賛成します。しかし、「今後は、放射線取扱主任者免除を有していない医師・・・第1種放射線取扱主任者免状(医療用に限定)を交付することを検討することが必要である。」は削除を要望します。
3.その理由・根拠
医療施設における放射線取扱主任者の選任については、先般の当協議会からの意見にもありますとおり、放射線取扱主任者は、放射線取扱主任者免状所有者から放射線障害の防止について監督者として選任し、放射線障害防止法の要として重要な職務を遂行する必要があります。そのため、医療機関の放射線取扱主任者の特例を廃止して、放射線取扱主任者免状所有者から選任するように要望しています。一方、現状の医師資格など無条件に選任できる特例措置を廃止する場合には、国民にとって有益な放射線診療に支障を起こさないように配慮することが必要であり、医療用限定の放射線取扱主任者免状を検討することは一つの選択しうる方法だと思われます。しかし、認定放射線取扱主任者制度の廃止に伴い、放射線取扱主任者試験が行われてから、既に45年間経過しており、医療機関においても放射線取扱主任者免状所有者が多くいる状況にあります。したがって、医療用に限定された放射線取扱主任者資格を検討するよりは、医師等の特例廃止の移行期間を5年間程度設ける方がより現実的な対応であると思われます。また、医療分野における放射線診療は日進月歩であり、当協議会では医療放射線管理講習会を定期的に開催し、今後は放射線取扱主任者免状所有者の経験と研鑽などから、医療施設の専門放射線取扱主任者を認定し、放射線取扱主任者が放射線安全管理の監督者であるための質を高めるために検討しています。なお、放射線取扱主任者の名称は、職務の内容が理解され易い「放射線安全管理責任者」と変更することを要望します。
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (4)「放射線取扱主任者の責任と罰則」
1.修正を求める箇所
第3章1.(5)放射線取扱主任者の技術的能力の維持
(2) 放射線取扱主任者の責任と罰則の明確化
2.修正・追記を求める内容
放射線取扱主任者の技術能力の維持のために、自発的な研修に加えて一定期間ごとの定期的な講習を義務づけることは賛成です。しかし、技術的能力を維持するため、放射線取扱主任者の責任と罰則の明確化について検討することの必要性に加えて、放射線取扱主任者の責任を果たすためには、職務を遂行する権限を明確する必要があります。また、罰則は放射線取扱主任者に科すよりも、職務に対して充分な活動を提供しない事業責任者に対して罰則を科すことが適当であると考えます。
3.   その理由・根拠
放射線取扱主任者の技術能力の維持のために、一定期間ごとの定期的な講習による再教育の義務づけは、放射線取扱主任者の生涯教育として有効です。なお、当協議会では、定期的に医療放射線管理講習会を開催し、医療機関における放射線安全管理者の質の向上に努めています。また、放射線取扱主任者は個々の放射線施設および利用状況を把握して、適切な指導・監督を行う責任者として、事業責任者の協力を得て放射線安全利用を介して、事業および社会の健全な発展の一翼をになう者です。そのため、諸外国の規制では放射線防護責任者に、管理実務者の任命権や放射線安全を確実に実施する義務と責任を果たすために、必要な職務を遂行するための権限を有しています。そして、事業責任者はその放射線安全管理業務が、充分活動できるように必要な情報と便宜を与える義務と責任があります。そのため、医療機関では最近、医療安全管理推進者や医療安全管理室を設けて、安全管理は事業責任者および病院長の責任と罰則が強化されています。
弘前大学アイソトープ総合実験室 佐山   洋 【主任者制度に関して】
(意見)
医師や薬剤師の免状により放射線取扱主任者に選任するということを廃止するということについては賛成である。しかし、第1種(医療用)については制度を作るべきではないと考える。また、どうしても作らざるを得ない場合でも時限付きとし、ある一定期間経過後に廃止すべきである。この資格は今回の法改正に対してのあくまでの緊急避難措置とすべきである。
(理由)
医療施設でしかも第1種の放射線取扱主任者を置かなければならない場合は放射線照射用密封大線源や放射線発生装置を設置している施設が大半であると考えられる。このような病院は放射線治療を行っているその地域の基幹病院に当たるある程度の規模をもった病院と思われる。そのような施設には現在であればほぼ確実に第1種放射線取扱主任者免状を持った職員が存在していると考えられる。専門知識を持った放射線取扱主任者が管理を行うことにより、医療施設においての放射線管理の重要性を再認識する意味でも第1種放射線取扱主任者免状所有者による管理が必要である。もし第1種放射線取扱主任者免状所有者が現在いない場合でも何年かの経過措置をもうけることにより対応できると思われる。
上記の一例として、国立大蔵病院での放射性発生装置による被ばく事故の場合、新しい制度であると、試運転の前に予防規定の制定と主任者の選定を行わなければならないが、試運転は医療ではないため第1種(医療用)の資格は使えなくなる。そのような矛盾を内包するような制度は作るべきではない。
医療用の放射線照射用密封大線源や放射線発生装置は核種の測定データ等をとり各種論文として発表されている場合があるが、医療と研究利用との境界がはっきりしていない部分が多い。
(株)日本RI実験支援機構 長浜   知佐子 【放射線取扱主任者の職務と権限、責任と罰則の明確化と用語について】
放射線取扱主任者の責任・罰則は強化されるようであるが、このことでは、根本的な放射線安全確保にはなり得ない。少なくとも権限が明確ではない。事業所内における役割の明確と法的な地位の保障を謳うべきである。その為、放射線取扱主任者は、放射線管理監督者(選任主任者の名称)と主免状を有するものとの区別し役割の明確化する。
一方、使用者等(使用事業者、廃棄事業者などをいう)の責任をきちんと明示し罰則を強化すべきである。そのためにも使用者ではなく、使用者などの「者」を使用事業所のように「事業者」とする方が、明確になるのではないか。
日本保健物理学会ICRP等対応委員会放射線審議会基本部会審議内容対応WG 名古屋大学大学院工学系研究科
主査   飯田孝夫
第3章1(3)「医療機関における放射線取扱主任者の選任の取扱い」について
複数の学会員より、当WGに中間報告書に関する以下のような異なる意見が届きました。
(1)診療放射線技師について、第1種放射線取扱主任者免状の試験や講習のうち、法令や放射線管理に関する科目を限定して義務づけ、合格後、第1種放射線取扱主任者免状医療用)を交付する対象から除外すべきである。
(2)医療機関のみを特別扱いすることはせず、第1種放射線取扱主任者免状(医療用)の設定自体を削除すべきである。
当WGでは、これらの意見に関する議論の結果、以下の通り提案させていただきます。
・医療機関での放射線事故が多く、管理体制に充実が求められていること
・現施設においては、既に相当数の医師・歯科医師・薬剤師(主任者免状を持たない医師等)が主任者として選任されていること。また、小規模な医療機関ではそのような主任者が実質的な管理業務を行っている可能性があること
・現施設において、既に相当数の診療放射線技師が第1種/第2種放射線取扱主任者の資格を有し、実務的な管理業務に携わっており、放射線管理にかかる専門家としての地位を確立しつつあること等を鑑みて、直ちに(2)のような措置をとると一部の小規模な医療機関に混乱をきたす可能性があるため、(1)のように対応していただくことを提案いたします。ただし(2)の意見は医療関係機関に所属する会員2名より提案されておりますので、意見として重く受け止める必要があり、実際に医療限定の主任者制度を完全撤廃した場合の影響の範囲を、早期に調査する必要があると考えます。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
第3章   国際免除レベル取り入れに関する事項
   1.   放射線取扱主任者制度
   放射線取扱主任者制度の歴史的な経緯と現状認識は的確になされており、医療機関における放射線取扱主任者の選任について、新たな提案がなされている。
   [2]総論において述べたように医師、歯科医師、薬剤師の放射線取扱主任者の特例の廃止に踏み込んだ姿勢は評価に値する。しかしながら新たに第1種(医療用)を設けるのは、適切ではない。文面からは、医師、歯科医師、薬剤師、診療放射線技師に対しては、人体影響の試験課目を免除して、この試験合格者を第1種(医療用)とすることが読み取れる。医師、歯科医師、薬剤師、診療放射線技師は、放射線が人体に対して与える影響に対する十分な知識を有しているとの前提があると推察される。全ての医師、歯科医師、薬剤師、診療放射線技師が、放射線が人体に対して与える影響に対する十分な知識を有しているとは考えられない。仮に、医師、歯科医師、薬剤師、診療放射線技師が当該事項に対して十分な知識有しているのであれば、容易に当該事項の試験に合格出来るはずである。曖昧な推論で例外を作るべきではない。第1種放射線取扱主任者は一本化すべきでり、第1種(医療用)の制度は設けるべきではない。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
第3種放射線取扱主任者は、移動使用における安全を確保しつつ利用を促進する上で、必要な資格であると思われる。また、過度に高度な試験を課すこと無く、講習を受講することによって資格を取得することとしたことも適切な判断である。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
放射線取扱主任者の技術的能力の維持を目的とする、放射線取扱主任者の再講習・再教育は、本学会の主張したところであり、賛意を表する。放射線取扱主任者の再講習・再教育に関しては、使用者の責任叉は義務を同時に明確にしておく必要がある。
但し、[1]総論で述べたように、規制担当行政官の資質の維持、向上を計るための教育を同時に実施することが、必要不可欠である。平成12年度に行われた放射線障害防止法の改正に係る申請業務が、期限の平成14年度末においても消化されずに、平成15年6月の現時点においても残存している。このことは、我国の放射線安全管理と放射線利用の促進に大きな影響を与えている。規制当局の資質の問題が顕在化していることを示している。検討委員会においては、このような現状を厳しく認識し、報告書において言及すべきである。
なお「放射線取扱主任者の責任と罰則の明確化についても検討することが必要である。」との記述は、これまでの「主任者は誠実に職務を遂行すべきである」というような精神論から脱却する観点からも重要な意味を持っている。是非検討を進めるべきである。同時に使用者及び行政の責任も明確化すべきである。



放射線障害防止法に基づく検査に関すること(9件)
所属 氏名 意見
理化学研究所
神戸研究所
研究推進部
飯塚   裕久 立入検査が10年に1回程度の頻度でしか実施されないことに対して、定期検査時に行為基準に関する検査も併せて実施することとしているが、定期検査が義務づけられているのは大規模事業所のみである。事故・トラブルを起こすのはむしろ中・小規模事業所ではないかと思われるが、中・小規模事業者に対する対策が見えない。
東亜非破壊検査(株) 橘高   忠信 施設検査・定期検査について(第3章   2.(3))
・γ線照射装置のなかに、工業用非破壊検査装置は入らないと考えて良いか。
通常使用では過大な被ばくの恐れのない、「Ir-192」「Co-60」等の工業用非破壊検査のみを使用している事業者は対象外と考える。
中国電力(株)
電源事業本部
熊谷   哲之 国際免除レベル取り入れ後の密封線源の施設検査及び定期検査に関し、「P6の(3)許可の規制」においては、「・・・その中でも数量の大きいものについては、現行法令と同様に施設建設時及び変更時の施設検査や、定期的に施設などが健全な状況であることを確認する定期検査が必要と考えられる。」と記載し、数量で施設検査や定期検査の必要の有無を判断すると解釈できます。しかし、「P.17の(3)新たな検査対象範囲」においては、「使用する核種の安全性、放射能などを考慮し、万が一遮へいが失われた場合の人体への影響の観点で特定の機器を特定して検査の対象とすることがより合理的であると考えられる。」とし、具体的な機器として「γ線照射装置(滅菌、血液照射など)、遠隔治療装置(回転照射装置など)、ガンマナイフ等」が示されており、指定された線源、機器により施設検査や定期検査の必要の有無を判断すると解釈できます。
施設検査及び定期検査の必要の有無について疑義が生じないために、施設検査及び定期検査を実施する数値基準を明記すべきと考えます。(=検査の対象とする機器の特定とともに使用する核種、放射能に応じた数値基準も設けるべきだと考えます。)
なお、非密封線源については施設検査及び定期検査を実施する数値基準として国際免除レベルの10万倍と明記されています。
(社)日本放射線技師会   会長 熊谷   和正 4.放射線障害防止法に基づく検査
立入検査及び定期検査に施設基準検査と行為基準検査を行うことには賛成であるが、この事により実施事業所の負担増にならないような配慮が必要であり、検査対象事業所の増加が予想され、指定されている(財)原子力安全技術センターのみでなく、放射線技師会など専門団体による民間活力を用いるべきである。
(社)日本非破壊検査工業会
放射線安全管理委員会   委員長
鈴木   力雄
日本工業検査(株)
3.   放射線障害防止法に基づく検査(施設検査、定期検査:第3章   2.)
現在の37TBq、111TBqが「免除レベル(3.7MBq)」への倍数からの算出であったとしても、この倍数が危険度の評価ではなく、37TBq、111TBqという量が危険度を表す数量であると考えられ、「免除レベル」が下がったから危険数量も低下する、ということではないと考える。従って、「新免除レベル」に従来の倍数を利用することは、適切な処置ではないと考える。非破壊検査で多用しているIrの場合(370GBq)、新免除レベルに従来の倍率を採用すると、免除レベル(10KBq)の1000万倍で100GBqとなり、1台の非破壊検査装置の所有で施設が施設検査、定期検査の対象となる。施設検査・定期検査の目的が中間報告書にあるように、「万が一遮へいが失われた場合の人体への影響の観点で機器を特定して検査の対象とすることがより合理的であると考えられる。」とするならば、現在の37TBq、111TBqを踏襲することを強く要望する。また、対象を使用目的と装置名称で設定するように聴き及んでいるが、装置を固定すると、将来に目的を異にする同等線量の装置が考案された場合には新たな対処が必要となる。従って、広範な利用目的と線量規制の組み合わせが必要であると考える。
関西電力株式会社   原子力事業本部   保安管理グループ 野依   哲生 放射線障害防止法に基づく検査については、許可内容によって一律に検査を実施するのではなく、事業者の管理状況等の実態を勘案した上で、適正な管理を実施している優良事業者に対しては、検査内容の省略、頻度の軽減等の優遇措置が与えられるようなしくみを盛り込んでいただきたい。
(説明)
報告書案「2.放射線障害防止法に基づく検査」において、新たな検査のあり方として、「定期検査に行為基準に関する検査を追加することが適当であると考えられる」とされています。これは、事業者による安全管理・保安管理がしっかりなされているかを見るプロセスの検査が重要視されてきているものと思われます。したがって、上記のような事業者の管理状況がしっかりしていることを確認することが事故防止の観点から重要であり、管理が不適切な事業者に対しては重点的に検査を行い是正していく必要があると考えられます。逆に、しっかりした管理をしていることが確認できた事業者に対しては、ある程度検査を軽減しても、放射線障害防止上問題となることはないと考えられます。
このような重点指向は検査を行う側の負担軽減にもつながるものと考えられ、現在のような許可内容による検査対象の基準は設けるとしても、検査の結果(事業者の実態)が、その後の検査内容、頻度等に反映されるような柔軟性のある検査のしくみを法令に盛り込んでいただきたいと思います。
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (5)「密封線源のセキュリティ確保の取組み」
1.修正を求める箇所
第3章 2.(3)新たな検査対象範囲
IAEAの放射線源の安全管理、セキュリティ確保の取組が、・・適当である
2.修正・追記を求める内容
本文中に「IAEAの放射線源の安全管理、セキュリティ確保の取組が、このカテゴリ−分けを基準に実施されることから、我が国の検査対象の設定の際もこれを参考にすることが適当である。」ことは賛成です。なお、「万が一遮へいが失われる場合に対しての我が国における想定と、医療機関における線源利用の状況などを検討して」の追加を要望します。
3.その理由・根拠
新たな検査対象の密封線源は、大半が医療機関で放射線診療の目的で使用している線源です。そして、諸外国では、これらの医療機関で使用している線源の遮へいが失われて深刻な放射線障害が発生しています。我が国においてもこれらの教訓や、放射線テロへの不安軽減のためにも、数量の大きい密封線源に対しては、セキュリティ確保の取組みが必要です。しかし、我が国における治安や教育の普及と放射線安全規制の整備などの環境整備が重要であり、その際には、とくに医療機関の特殊性を十分に考慮すべきだと考えます。
弘前大学アイソトープ総合実験室 佐山   洋 【定期検査制度に関して】
(意見)
定期検査時に書類の検査も行うことに関しては異論はない。その際は検査基準をしっかりと確立し、公表した上で行ってもらいたい。また、新しい検査制度を発足させるに当たり、これを行うことが検査料金に反映されて値上げが行われるようなことはないようにしてもらいたい。
(理由)
検査基準をしっかりと確立し、公表した上で行うことにより公正な検査が実施できる。指摘をするにしても、書類そのものが無い等の重大な瑕疵があるのであれば当然と思うが、見解の相違のような些細な事項を指摘事項とされると、現場の管理が杜撰であるような印象を事業所内外に与えることとなり放射線取扱主任者の責任問題に発展する危険性もある。少々の書類の様式の手直しですむものに関しては指導を行い、その結果を報告することとするなりの弾力的運用が必要と考える。また、検査の基準が見直しされる場合には必ず公表し周知させることとし、ある一定の期間においては指導にとどめる等の配慮が必要と考える。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
2.   放射線障害防止法に基づく検査
定期検査の内容に行為の基準の追加をしたことは、立入検査の頻度が著しく低い現状を考慮すると妥当な判断と言える。
但し、施設検査および定期検査において検査に費やす時間、内容等を考慮すると検査に支払う経費が、社会常識に照らし合わせて異常に高額である点は改める必要がある。
また、立入検査において判断基準が明確になっていないために検査官ごとに指導内容異なることがしばしば管理の現場から強い批判がある。行為の基準は判断基準が曖昧になりがちである。行為の基準の検査を委任される指定法人に対して検査担当者による判断基準に差が生じないように基準を明確にするとともに基準を公開するように規制当局に指導監督を義務つけるべきである。次項も参照。


国以外の機関が実施する業務に関すること(4件)
所属 氏名 意見
理化学研究所
神戸研究所
研究推進部
飯塚   裕久 規制対象範囲が広がる事に対して、新たに規制代行業務(簡易な届出などを処理)を考えているが、指定検査機関と同様の措置と思われる。本来、国自らが責任を持って行うことにより、国民の信頼(安心感)を得ている許認可業務までを代行させても良いのだろうか?
東亜非破壊検査(株) 橘高   忠信 国以外の機関が実施する業務について(第3章   3.(2))
「簡易な届出」とは何を想定しているのか。「一時的変更届」については、法文に具体性がない部分があり、担当官の理解度によって指導内容等が変わるため、担当官の変更の度に過去の経緯、通知、指導等について説明してきた。
国以外の機関が代行するとしても、十分な知識のある方にお願いしたい。
(株)日本RI実験支援機構 長浜   知佐子 【新法体系維持に関し効率的な体制づくり】
現在でも、行政の対応がスムーズに、効率的に行われているとは思えない。許認可行政の中でも、非常に効率が悪い。今回のような大幅な改正、法の網の拡大があれば、それなりの体制が必須ではないかと思う、理想論は結構であるが、実務面でのフォローが大丈夫かと危惧するものである。そのために別途指定機関として、下記のような機関の設置を求める。勿論、現在の原子力安全技術センターや日本アイソトープ協会などのように、一機関ではなく、いづれも複数の組織とすべきである。
・審査・認定などを行う機関の設置(現在の原子力安全技術センター等に更に業務を拡大したもの)
・放射性同位元素などの流通等に関し、新しい組織を設置
・主任者業務を行う指定機関(協会)の設置
・放射線管理サービスを行う登録機関(協会)の設置
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
3.   国以外の機関が実施する業務
指定法人が業務を行う場合は、国は指定法人が、委任された業務を社会の要請に答えるように実施しているか監督、指導するべきである。
例えば、放射線取扱主任者試験合格者に対する講習は、開催頻度と時期が合格者の希望と一致していない。例年11月に試験合格者発表が行われる。多くの合格者は、3月までに講習を受講することを望んでいる。理由は、学生であれば、第1種放射線取扱主任者免状を有している場合は、直ちに主任者に選任できることから就職に有利となり、また、3月は年度末で人事異動の時期に当り免状を有している者が多い程人事が容易となるからである。しかしながら、実態は1年以上受講を待機させられる者もいる。社会の要請に指定法人が答えていないのが現状である。国は、このような実情を的確に把握し、問題を解決するように計るべきである。
今回、新たに2つの業務を国以外の機関に委任する案となっているが、同様な問題を生じないように、あらかじめ配慮しておく必要がある。
中間報告において、現状に対する改善案と今後に対する予防策についても、触れておく必要がある。



移動使用の規制に関すること(3件)
所属 氏名 意見
東亜非破壊検査(株) 橘高   忠信 移動使用について(第3章   4.(1))
   ・現状の一時的変更で動いている、非破壊検査装置等を含めて、「専ら移動使用に用いることを明示的に認める」「移動使用を業とする事業者に対する合理的な規制」「新しい移動使用の使用目的の取り入れ」ということを検討してほしい。
(社)日本非破壊検査工業会
放射線安全管理委員会   委員長
鈴木   力雄
日本工業検査(株)
1. 放射線源の移動使用(第3章   4.)
現在、同じ目的で許可使用者が3.7GBq以下の線源を移動使用して使用する場合には許可変更が必要であるが、「届出使用者」は「届出」であることの相違を解消する。移動使用を2つのカテゴリーに区分し、1つは現在の届出使用数量から新免除レベルの範囲の線源について、もう1つは非破壊検査に利用する線源レベルにし、各々についての使用手続き、方法を定める。
(1)   3.7MBq〜核種別新免除レベルの線源量を含めた従来の届出使用量
(最大3.7GBq)までについての幅広い使用目的の取り入れと簡便な手続きを要件設定し、使用の方法が記述文言にとらわれ目的が達せらないことがないようにし、広範な利用を可能にする。
(2)   非破壊検査での使用は、あらゆるプラント等の産業設備の安全保全に必要欠かざる利用であるが、この形態が法律的に不明朗さがあり、時として使用に支障が生じている。利用形態については、個々の安全係数の重ね合わせではなく、非破壊検査のための利用実態全体としての安全担保を構築する。非破壊検査に使用する線源収納容器については、「非破壊検査装置」の名称を明示して装置の構造基準を定める。例えば、電離放射線障害防止規則のガンマ線照射装置構造規格あるいはJISZ4560の装置として安全担保を図る。また、使用条件としての、使用場所周辺に対しての線量評価、設定(解除)管理区域の意味づけ等を整備し、利用の有益性から現在の混沌とした状況を解決し、合理的な使用形態とする。放射線移動使用時の管理の基本となる管理区域の設定と公衆に対しての配慮については、放射線審議会基本部会報告にもある『管理区域境界の外側では、いかなる者も年間5mSvを超えることはなく、また、実際の被ばく線量は管理区域境界からの距離による線量率の減少及び滞在時間を考慮すれば、特別の管理をすることなしに1mSv以下とすることが多くの場合可能となる』ことで、相応の対処は行われているとすべきで、この上に規制対応を考慮することは部会報告を軽ろんじることになる。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
4.   移動使用の規制
専ら移動使用する場合を明示的に認めること、移動使用の合理的規制の在り方を検討する等の、使用の実態にあった規制方法を検討する方向性は、確実な安全管理と利用の促進を計る上で、適切である。


医療分野における規制に関すること   (12件)
所属 氏名 意見
(社)日本放射線技術学会   会長 藤田   透 2.医療分野における規制について
修正・追記を求める内容
中間報告書(案)の「今後の方針」に示されているように、現在、医療分野における放射線利用に対しては、放射線障害防止法と医療法(医療法施行規則)により規制されており、一部は二重規制となっております。そのため、「許認可手続き等を合理化する趣旨から、医療法で必要な措置を講じた上で、医療法に一元化することを可及的速やかに行うべきである。」との追記を要望いたします。
その理由・根拠
現行の放射線安全管理上の問題点は、医療分野における二重規制であり、そのために様々な面で煩雑な事務処理がなされていることは否定できません。一例を上げれば、放射線発生装置等は、放射線障害防止法の規制対象となるため許可申請が必要であり、かつ、医療法上でのあらかじめの届出も必要です。そのために、放射線障害防止法に基づく放射線検査官による立入検査と医療法に基づく医療監視が実施されているのが現状です。これらの実情を踏まえ、医療分野においては、その使用目的を鑑み、医療法で一元化するような放射線管理体制を構築することが今後必要であると思われます。また、医療法での規制となった場合には、行政における医療監視員(立入検査官)が第1種放射線取扱主任者レベルの知識や技術を持つよう、資質を向上させることが重要であることと思います。
北里大学獣医畜産学部獣医学科
獣医放射線学講座   教授
伊藤   伸彦 “国際免除レベルの法令への取り入れの基本的考え方について−中間報告書−”第3章国際免除レベル取り入れに関連する事項
5.医療分野における規制(1)現状(放射性医薬品)において、以下の通りに記述されている。
薬事法に規定する医薬品については、放射線障害防止法の施行令で適用除外されており、放射性医薬品については医療法及び薬事法により規制管理されている。一方、治験薬や臨床研究に用いる薬剤は薬事法で定める医薬品ではないため、放射線障害防止法で規制、管理されている。このため、同じ医療機関で同じ放射性薬剤を投与した場合であっても、治験・臨床研究である場合には放射線障害防止法に基づく規制が適用となり、廃棄物についても同様である。

放射性同位元素を含む医薬品の有効性及び安全性評価は、放射性同位元素を含まない一般の医薬品とは異なった特性を有しています。すなわち、治験薬の有効性は、主として放射線が有効に機能する診断画像又は放射線治療の有効性が検証できる臨床データの作成であり、また、安全性は、医薬品の物質量が極めて微量であることから、放射線の人体影響が重要な評価因子です。その例は、用法又は用量は成人体重当たりの放射能量(MBq)で規定されていることです。このように、核医学診療における放射性医薬品又は治験薬の使用に伴う放射線管理・防護は、患者等の適用放射能量(又は放射線の量)と密接に関係する問題です。また、放射性医薬品又は治験に供する放射性被験薬であっても放射線の取扱いは同じです。しかしながら、放射性医薬品は厚生労働省関係法令の薬事法、医療法で管理し、治験に供する放射性被験薬は、放射線障害防止法を含めた管理が求められる。このような規制体系は、放射性物質を取り扱う医療機関における従事者等の被ばくを含めた放射線管理が極めて複雑となり、医療現場で混乱を招くことになり、放射線の徹底した管理を難しくする要因にもなっています。放射線管理の徹底を図るためには、放射性医薬品又は被験薬の製造・取扱いから使用、廃棄物に至るまでを薬事法、医療法関係の規制当局の下で一元的に管理ができる体制の確立が必要と考えます。仮に、薬事法で「治験薬」が「医薬品」の範ちゅうに含まれないとする見解であれば、当該薬物の放射線管理の一元化を推進するためには、関係法令の一部改正が必要と考えます。想定される関係法令改正の素案を下記の通り示しましたが、治験にかかる放射線の一元管理は「・・・医療上特にその必要性が高い医薬品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、・・・」注1)を推進する上で極めて重要な問題です。

貴省におかれましては、治験に用いられる放射性同位元素を含む被験薬についても放射性医薬品と同じ対応ができる法的措置を取って頂きますと同時に、薬事法、医療法の規制当局との十分な協議を図って頂いた上で、中間報告書に盛り込まれております医療分野における一元的放射線管理の推進に取り組むためのご尽力を賜ることを強く要望いたします。
注1)薬事法第一条(目的)「この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品の研究開発の推進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。」

関係法令の改正に関する私案
1.放射線障害防止法施行令第1条第2号「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品を、次の何れかに改正する。
(1)第1案「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び同条第9項に規定する治験の対象とされる薬物」または、
(2)第2案「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び第80条の2に規定する治験の対象とされる薬物
2.放射性医薬品の製造及び取扱規則代1条(定義)第1号を以下に改正する。
(1)第1案「放射性医薬品   放射線(原子力基本法(昭和30年法律第1号)第3条第5号に規定する放射線をいう。)を放出する医薬品であって、別表1に掲げるものの及び法第2条第9項に規定する治験の対象とされる薬物」または
(2)第2案「放射性医薬品   放射線(原子力基本法(昭和30年法律第1号)第3条第5号に規定する放射線をいう。)を放出する医薬品であって、別表1に掲げるもの及び法第80条第2項に規定する治験の対象とされる薬物
3.医療法施行規則第24条(法第15条第3項の厚生労働省令で定める場合)
第7号「病院または診療所に、医薬品及び治験に供する被験薬である放射性同位元素で密封されていないもの(以下「診療用放射性同位元素」という。)を備えようとする場合」・・・(パブリックコメントを聴取中)
注)アンダーラインは追加部分を示す
北里大学獣医畜産学部獣医学科
獣医放射線学講座   教授
伊藤   伸彦 いわゆる先進諸国では、動物医療においても核医学が実施されております。これらの国々の多くでは、人間の医療に準じた形で核医学が獣医療で行われておりますが、わが国においては法的な問題から、獣医療では獣医療法に規定して核医学を行うべきであると考えております。日本の獣医療において高度医療が望まれている現況から、動物の診療にも核医学の実施を望む声が高まっておりますので、現在、社団法人日本アイソトープ協会ライフサイエンス部会獣医核医学専門委員会(唐木英明委員長)において、獣医療法を改正するための検討が行われているところであります。
「国際免除レベルの法令への取り入れの基本的考えについて」中間報告書(案)のうち、「5. 医療分野における規制(2) 今後の方針」には、医療分野における放射線利用に対する規制について、文部科学省及び厚生労働省は相互に連携を取りつつ以下の方針で取り組んでいくべきであることが記述されております。
このことに関連し、獣医療における放射線利用に関し、二重規制の発生等が生じないよう文部科学省と農林水産省の間でも連携をとることが必要であるとの記述を加えるべきであると考えますので、この件に関してご検討くださるようお願いいたします。
(社)日本放射線技師会   会長 熊谷   和正 3.医療機関における放射線規制の一元化
医療機関における放射線規制は放射線障害防止法と医療法施行規則により二重規制され、法解釈の違いからさまざまな面で煩雑な事務処理を余儀なくされている。医療法に一元化するには施設や設備のハード面のみの放射線規制ではなく、放射線障害防止法の放射線管理組織や手法などのソフト面を十分考慮し、導入する必要がある。現在の医療機関における放射線管理組織は診療との独立性に乏しく、形骸化もみられる。医療機関における放射線事故防止の観点から、医療機関における放射線規制は医療法に一元化することを可及的速やかに行うべきである。
埼玉県立がんセンター
放射線技術部
諸澄   邦彦 2.医療分野における規制について
中間報告書(案)の「今後の方針」に示されているように、現在、医療分野における放射線利用に関する規制の一部は二重規制となっております。そのため、「許認可手続き等を合理化する趣旨から、医療法で必要な措置を講じた上で、医療法に一元化することを可及的速やかに行うべきである。」との追記を要望いたします。
その理由・根拠
現行の放射線安全管理上の問題点は、医療分野における一部は二重規制となっており、そのために様々な面で煩雑な事務処理がなされていることは否定できません。一例を上げますと、放射線発生装置等は、放射線障害防止法の規制対象となるため許可申請が必要であり、かつ、医療法上でのあらかじめの届出も必要です。そのために、放射線障害防止法に基づく放射線検査官による立入検査と医療法に基づく医療監視が実施されているのが現状です。これらの実情を踏まえ、医療分野においては、その使用目的を鑑み、医療法で一元化するような放射線管理体制を構築することが今後必要であると思われます。また、医療法での規制となった場合には、行政における医療監視員(立入検査官)が第1種放射線取扱主任者レベルの知識や技術を持つよう、資質を向上させることが必要であると思います。
群馬大学医学部核医学教室   教授 遠藤   啓吾 21ページの第3章   5.医療分野における規制
(放射性医薬品)について;「薬事法に規定する医薬品については、放射線障害防止法の施行令で適用除外されており、放射性医薬品については医療法及び薬事法により規制管理されている。一方、治験薬や臨床研究に用いる薬剤は薬事法で定める医薬品ではないため、放射線障害防止法で規制、管理されている。このため、同じ医療機関で同じ放射性の薬剤を投与した場合だあっても、治験・臨床研究である場合には放射線障害防止法に基づく規制が適用となり、廃棄物についても同様である。」と記述されている。このままでは、我が国では患者に研究・開発中の放射性薬剤などの臨床治験薬を患者に投与することができません。病院では放射線障害防止法の認可は得ていません。従って患者に新しい薬を投与できなくなります。国の方針として新しい薬の開発を目指しているにもかかわらず、新しい放射性医薬品の開発を行うことができません。また外国から貿易摩擦として非難されることでしょう。すでに一部の病院ではそのようなことが起きています。そこで、「治験薬」も「放射性医薬品」と同様に、厚生労働省の責任のもとに医療法(及び薬事法)での一元的な管理を要望します。

臨床治験は、薬事法施行規則第66条の3(薬物に係る治験計画の届出)第1項第7号において医療機関ごとに治験責任医師を定め、第8号に「治験に係る責任体制」を確立すると規定されています。また、臨床治験を実施する医療機関の倫理委員会での承認が求められると思われます。このように臨床治験は、薬事法下で医療機関の組織的に確立した管理体制の下で実施されています。
また、薬事法第1条(目的)に「医療上特にその必要性が高い医薬品及び医療用具の研究開発の推進のために必要な処置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする」と記述されております。
貴省におかれまして、放射性治験薬についても放射線医薬品と同じ対応ができる法的処置を取って頂きますと同時に、薬事法、医療法の規制当局との十分な協議を図って頂いた上で、中間報告書に盛り込まれております医療分野における一元的放射線管理の推進に取り組むためのご尽力を賜ることを強く要望致します。
仮に、薬事法で「治験薬」が「医薬品」の範疇に含まれないとする見解であれば、臨床治験にかかる放射線管理も厚生労働省関係法令で一元的に対応できる規制体系を確立することを要望致します。

1.放射線障害防止法施行令第1条第2号「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条   第1項に規定する医薬品」を、次の何れかに改正する。
(1) 第1案   「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び同条第7項に規定する治験の対象とされる薬物」   または、
(2)第2案「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び第80条の2に規定する治験の対象とされる薬物」
2.放射性医薬品の製造及び取扱規則第1条(定義)第1号を以下に改正する。
(1)第2案   「放射性医薬品   放射線(原子力基本法(昭和30年法律第186号)第2条第5号に規定する放射線をいう。)を放出する医薬品であって、別表1に掲げるもの及び法第2条第7項に規定する治験の対象とされる薬物」または、
(2)第2案   「放射性医薬品   放射線(原子力基本法(昭和30年法律第186号)
第3条第5号に規定する放射線をいう。)を放出する医薬品であって、別表1に掲げるもの及び法第80条の2に規定する治験の対象とされる薬物」
なお医療法施行規則第24条7号の改正については、厚生労働省医薬安全対策課より、現在意見募集中です。
(社)日本画像医療システム工業会   法規・経済部会   部会長早川登志雄 (社)日本画像医療システム工業会   事務局(担当・梅田尚志) 17P 新たな検査対象範囲
1) 密封線源について、「国際免除レベル取り入れ後、これらの装置を設置している、又は新たに設置する事業所に対し、施設検査及び定期検査を実施することとする。」とあるが、医療機関においては、開設時に「使用前検査」があり、また、治療用装置については、「その放射線量を6月を超えない期間ごとに1回以上放射線測定器で測定し」と規定されている。本規定との二重の規制は負荷となるため、整合を図っていただきたい。
2)資料12において、密封線源取扱事業所への検査制度が提示されているが、医療機器については、平成15年3月31日付けの厚生労働省の「医療機器産業ビジョン」において、継続して使用される医療機器については、定期的な維持管理が必要であると指摘されている。医療機関における線源及び医療機器については、本内容との整合を図っていただきたい。
(社)日本画像医療システム工業会   法規・経済部会   部会長早川登志雄 (社)日本画像医療システム工業会   事務局(担当・梅田尚志) 21P 医療分野における規制
医療法、薬事法、放射線障害防止法の整合については、積極的に取組んでいただきたい。放射線障害防止法上での規定を医療法、薬事法での規定と整合させ、立入り検査の一本化、届出業務の簡素化などを検討していただきたい。
日本メジフィジックス株式会社
総合計画推進室(薬事)
塩足   春隆 ”国際免除レベルの法令への取り入れの基本的考え方について−中間報告書−”の第3章国際免除レベル取り入れに関連する事項の5.医療分野における規制(1)現状(放射性医薬品)の項においては、以下のとおりに記述されています。
薬事法に規定する医薬品については、放射線障害防止法の施行令で適用除外されており、放射性医薬品については医療法及び薬事法により規制管理されている。一方、治験薬や臨床研究に用いる薬剤は薬事法で定める医薬品ではないため、放射線障害防止法で規制、管理されている。このため、同じ医療機関で同じ放射性薬剤を投与した場合だあっても、治験・臨床研究である場合には放射線障害防止法に基づく規制が適用となり、廃棄物についても同様である。

治験は、薬事法施行規則第66条の3(薬物に係る治験の計画の届出)第1項第7号において、医療機関ごとに治験に係る業務を統括する治験責任医師を定めることが規定されています。また、治験を実施する医療機関の倫理委員会での承認が求められると思われます。このように、治験は、薬事法下で医療機関の組織的に確立した管理体制の下で実施されています。一方、放射性同位元素を含む医薬品の有効性及び安全性の評価は、放射性同位元素を含まない一般の医薬品とは異なっています。すなわち、治験薬の有効性は、主として放射線が有効に機能する画像又は放射線治療の有効性を示す臨床データから検証されます。また、安全性は、医薬品の物質量は極めて微量であることから、放射線の人体影響が重要な評価因子となっています。一例として、用法又は用量は成人体重当たりの放射能量(MBq)で規定されます。このように、核医学診療における放射性医薬品又は治験薬の使用に伴う放射線管理・防護は、患者等の適用放射能量(又は放射線の量)が基盤となる特徴があります。また、放射性医薬品又は治験に供する放射性被験薬のどちらも放射線の取扱いは同じです。

しかしながら、放射性医薬品は厚生労働省関係法令の薬事法、医療法で管理し、治験に供する放射性被験薬は、放射線障害防止法を含めた管理が求められる。このような規制体系は、放射性物質を取り扱う医療機関における従事者等の被ばくを含めて放射線管理が複雑となり、混乱を招く要因ともなっています。放射線管理の徹底を図るためには、放射性医薬品又は被験薬の製造及び取扱いから使用、廃棄物に至るまでを厚生労働省関係法令下で一元的に管理ができる規制体系の確立が必要と考えます。仮に、薬事法で「治験薬」が「医薬品」の範ちゅうに含まれないとする見解であれば、下記のように改正し、治験にかかる放射線管理も厚生労働省関係法令で一元的に対応できる規制体系を確立することを要望致します。
1.放射線障害防止法施行令第1条第2号「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条   第1項に規定する医薬品」を、次の何れかに改正する。
(1) 第1案   「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び同条第9項に規定する治験の対象とされる薬物」又は、
(2) 第2案「薬事法(昭和35年法律第145号)第2条第1項に規定する医薬品及び第80条の2に規定する治験の対象とされる薬物
なお,厚生労働省からも,本件と関連あると考えられますパブリックコメント「医療法施行規則第24条第7号の改正に関するご意見募集について」(平成15年5月23日)が求められておりますので,以下の内容の意見を提出する予定です。
1.放射性医薬品の製造及び取扱規則第1条(定義)第1号を次の何れかに改正する。
(1) 第1案   「放射性医薬品   放射線(原子力基本法(昭和30年法律第186号)第3条第5号に規定する放射線をいう。)を放出する医薬品であって、別表1に掲げるもの及び法第2条第9項に規定する治験の対象とされる薬物」又は、
(2) 第2案   「放射性医薬品   放射線(原子力基本法(昭和30年法律第186号)第3条第5号に規定する放射線をいう。)を放出する医薬品であって、別表1に掲げるもの及び法第80条の2に規定する治験の対象とされる薬物
2.医療法施行規則第24条(法第15条第3項の厚生労働省令で定める場合)の第7号を次のように改正する。
第7号「病院又は診療所に、医薬品及び治験に供する被験薬である放射性同位元素で密封されていないもの(以下「診療用放射性同位元素」という。)を備えようとする場合」
注釈)太字アンダーラインは、追加部分を示す。
日本核医学会 会長   久保敦司
理事長   利波紀久
第3章   国際免除レベル取り入れに関する事項
5.医療分野における規制(1)現状(放射性医薬品)において、以下の通りに記述されている。薬事法に規定する医薬品については、放射性障害防止法の施行令で適用除外されており、放射性医薬品については医療法および薬事法により規制管理されている。一方、治験薬や臨床研究に用いる薬剤は薬事法で定める医薬品ではないため、放射線障害防止法で規制、管理されている。このため、同じ医療機関で同じ放射性薬剤を投与した場合であっても、治験・臨床研究である場合には放射線障害防止法に基づく規制が適用となり、廃棄物についても同様である。
近年、医学における放射線の利用は急速に発展し、普及しております。医療において放射性医薬品を利用する上で、厚生労働省の薬事法、医療法に基づいた放射性医薬品の規制を受けるとともに、治験時においては、放射線障害防止法により規制され、放射線管理上の混乱を招いております。この二重規制は、医療における研究開発の推進においても大きな妨げとなり、わが国の放射線を利用する先端医療は、大きく出遅れております。規制体系の一元的管理に向けて薬事法、医療法の規制当局と十分ご協議の上、一刻も早く解決して頂きますよう、強く要望いたします。
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (6)「医療分野の二重規制の改善」
1.   修正を求める箇所
第3章   5   (2)今後の方針
2.修正・追記を求める内容
今後の方針として、「二重規制の改善等に取り組む」ことは賛成です。なお具体的な取り組みとして、許認可手続きの迅速化・簡素化などを目指した「申請負担軽減対策」を参考に、医療法で必要な措置を講じた上で医療法に一元化することを速やかに検討する旨の追記を要望します。
3.その理由・根拠
医療機関で使用いている放射性同位元素および高エネルギー発生装置などを規制する二重規制に関しては、昭和52年12月の閣議決定の「行政改革の推進について」において、「放射線障害防止法施行令第1条第3号の規定に基づき、医療用具の一部又は全部を指定することによって、当該医療用具を使用する者、業として販売する者を許可又は届出の規制から外す」旨の指摘が行われています。また、臨時行政改革推進審議会(公的規制の在り方委員会)も昭和63年12月に、「医療機関の放射性物質診療機器は放射線障害防止法と医療法による二重規制にあり、重複事項が多いことから、放射線障害防止法による規制と同等の安全性が確保されたものについては、放射線障害防止法の規制の対象から除外すべきである」と指摘しています。この指摘は、規制緩和5カ年計画(平成7年3月)の要旨にも引用され、総務庁が編集した「規制緩和白書」は、病院又は診療所で使用される放射性物質診療用器具のうち医療法等により現行の放射線障害防止法による規制と同等の安全性が確保されることが確認されたものについては放射線障害防止法の対象から除外し規制を一元化するなどの、迅速な検討が求められております。なお、当協議会からも平成11年に、当時の科学技術庁長官に一元化の推進について要望しています。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
5.    医療分野における規制
「医療分野における放射線利用に対する規制について、文部科学省と厚生労働省は相互に連携を取りつつ、二重規制の改善、短半減期核種の個体廃棄物の取扱、を可能性の高い部分から取り組むべき」としている。本提言は、現在の我国の放射線規制の長年に渡って指摘され続けてきた根本的問題点に迫るものであり、賛同する。
短半減期核種の個体廃棄物の問題は、障害防止法の規制を受ける個体廃棄物にあっても事情は同じである。この点についても言及するべきである。


二重規制に関すること(医療分野を除く)(9件)
所属 氏名 意見
中国電力(株)
電源事業本部
熊谷   哲之 「P.30(5)今後の対応(今後検討すべき事項)1他法令との関係」において、「放射性同位元素を含む放射性廃棄物に関して・・・、これらの安全かつ合理的な規制のためには、二重規制などによる手続きの煩雑化を避けることが重要である。このため、必要な法整備のあり方(各法律間の規制内容の整合化、適用除外、新たな法令など)を検討する必要がある。」とあるが、是非とも検討願いたい。
また、放射性廃棄物に関してのみならず、放射線安全規制全般(放射線障害防止法、原子炉等規制法、労働安全衛生法(電離則))についても、手続き、管理の煩雑化をさけるため、必要な法整備のあり方(各法律間の規制内容の整合化、適用除外、新たな法令など)を、是非とも放射線安全規制検討会において検討願いたい。
東京電力(株)
原子力管理部
菅井   研自 報告書の「7.放射性固体廃棄物の埋設処分(5)今後の対応」において、今後検討すべき事項のひとつとして、二重規制による手続きの煩雑化を避けるための法整備の必要性について記載されていますが、原子力発電所など原子力施設内でのRIの使用に関し、原子力施設に係る関係法令のもと、主たる法令での規制のみとなるよう規制の合理化を図っていただきたい。
1RI使用許可の申請、及び各施設の基準における適用の除外
RIの使用許可の申請においては、申請者への記載及びその添付書類として、事業所や管理区域や各施設等に係る図面に他、しゃへいに係る計算書、排気施設及び排水設備の性能(濃度限度以下になること)を示す書類等の提出が規定されている。これらは、原子炉施設に係る法令においても、ほぼ同様の内容(技術基準、原子炉施設設置にかかわる許可申請など)が規定されており、RIが原子力施設内で取り扱われる場合は、管理上の要求事項は十分満たされるものと考えられることから、重複する内容については適用を除外していただきたい。
障防法及び規則の該当箇所と、原子炉施設の関係法令での規定とで内容が重複するものの例を示します。
○事業者や各施設にかかわる図面等の提出(障防法3条、規則2条等)
・原子炉施設の設置にあたっては施設の位置、構成される各施設の構造、能力などを記した設置許可申請書により、許可を得ることが規定されている。これらには、原子炉本体に係るものの他、放射性廃棄物(気体、液体、固体)の廃棄施設の構造や処理能力、放射線管理施設の構造・設備、被ばく管理に係る説明書等についても記載することが規定されている。(原子炉等規制法23条、実用炉規則2条)

<施設の基準への適合関連>(障防法6条、規則14条の6、14条の9、14条の11等)
○しゃへい(常時立入場所)
・原子炉施設の使用前検査における技術基準のひとつとして、施設中の常時立入場所その他必要場所における線量当量率及び空気中の放射性物質濃度が、設置許可申請に係る書類に記載された値以下であることが規定されている。(実用炉規則3条の6)
・しゃへいを設ける等で、常時立入り場所における線量を1mSv/週以下にすることが規定されている。(電離則3条の2)
○しゃへい(事業所境界)
・管理区域周辺に周辺監視区域を設け、その外側では1mSv/年を超えないことが規定されている。(実用炉規則1条、技術基準省例1条)
○作業室の構造等
・施設内の壁、床等汚染のおそれがある部分で人が触れるおそれのある部分の表面は、除染しやすいものとすることが規定されている(技術基準省令29条)
○汚染検査室の設置
・原子炉施設では保安規定を定め、同規定においては汚染物の表面密度の監視、除去に関することを規定することが規定されている。(実用炉規則16条)
・作業室の出口に汚染検査所を設けることが規定されている。(電離則31条)
○管理区域境界
・みだりに立ち入らないよう、壁、さく等を設け、かつ管理区域である旨を表示することが規定されている。(技術基準省令7条、実用炉規則8条)
○貯蔵施設の標識、閉鎖のための設備
・貯蔵施設の外側に標識を設けること、貯蔵施設は外部と区画された構造で、鍵等の閉鎖設備を設けることが規定されている。(電離則33条)
○排気施設の常時立入場所の空気中RI濃度
・従事者の呼吸する空気中の放射性物資の濃度が濃度限度を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則9条)
・濃度限度を超えた空気を吸入するおそれのある作業者については、呼吸用保護具を使用させることが規定されている。(電離則38条)
○排気施設の能力
・周辺監視区域外の空気中濃度が、濃度限度以下となるような処理能力を有するものとすること、ろ過装置は除染、取替えが容易なものとすることが規定されている。(技術基準省令30条)
・排気施設で、できるだけ濃度を低下させ、排気口や排気監視設備で濃度を監視し、周辺監視区域外での濃度が濃度限度を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則15条)
○排気設備、排気設備の構造、材料
・漏えいし難い構造であり、著しく腐食するおそれのないものであることが規定されている。(技術基準省令30条)(電離則34条)
・流体上の放射性廃棄物の処理設備では、床面は傾斜、溝等で排液受けに導かれる構造であり、かつ設備周辺に漏えい拡大防止の堰が設けられていること等が規定されている。(技術基準省令30条)
○汚染空気の拡大防止装置
・原子炉格納施設からの気体の漏洩に対し、濃度を低減する装置を施設しなければならないことが規定されている。(技術基準省令32条)
・障害防止上必要な換気設備を備えることが規定されている。(技術基準省令28条)
○排水施設の能力
・周辺監視区域境界の水中濃度が、濃度限度以下となるような処理能力を有するものとすることが規定されている。(技術基準省令30条)
・排水施設で、できるだけ濃度を低下させ、排水口又は排水監視設備で濃度を監視し、周辺監視区域境界の濃度が濃度限度を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則15条)

○焼却炉の設置、構造等
・廃棄物を焼却する場合は、障害防止の効果をもった焼却設備において焼却することが規定されている。(実用炉規則15条)
・放射性物質又は汚染物を焼却するときは、気体が漏れず、灰が飛散しない構造の焼却炉で行うことが規定されている。(電離則35条
○固形化処理設備
・障害防止の効果を持った固形化処理設備で行うことが規定されている。(実用炉規則15条)
○保管廃棄施設の構造等
・障害防止の効果をもった保管廃棄設備に保管廃棄すること、容器に封入して行う場合の容器の基準(水が浸透しにくい、腐食に耐える、標識等)、目のつきやすい場所に注意事項を掲示すること等が規定されている。(実用炉規則15条)
・外部と区画された構造で、扉等閉鎖の設備等を設けること、容器の基準(腐食しにくい、漏れにくい、標識等)を満足するものとすることが規定されている。(電離則36条、37条)
※「技術基準省令」=「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」

2使用・保管・廃棄の規順位おける適用の除外
RIを使用、保管、廃棄するにあたり、技術上の基準に従って障害防止の為の措置を講じなければならないことが規定されていますが、原子炉施設に係る法令においても、障害防止上必要なものとしてほぼ同様の内容が規定されており、RIが原子力施設内で取り扱われる場合は、管理上の要求事項は十分満たされてるものと考えられることから、重複する内容については適用を除外していただきたい。
障防法及び規則の該当個所と、原子炉施設の関係法令での規定とで内容が重複するものの例を以下に示します。
(障防法15条、17条、19条、規則15条、17条、19条等)
○従事者の線量
・従事者の線量が線量限度を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則9条、電離則4〜6条)
○常時立入場所の空気中濃度
・従事者の呼吸する空気中の放射性物質濃度が濃度線量を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則9条、電離則4〜6条)
・濃度限度を超える空気を吸入するおそれがある場合は、有効な呼吸用保護具を使用させることが規定されている。(電離則38条)
○飲食、喫煙
・放射性物質を径口摂取するおそれのある場所での飲食、喫煙の禁止が規定されている(実用炉規則8条、電離則41条の2)
○表面汚染密度
・人の触れるおそれのあるものの表面が表面汚染密度限度を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則8条)
・汚染が生じたときは、表面汚染密度限度以下になるまで、除汚しなければならないことが規定されている。(電離則28条)
○人体・着用物等の汚染検査、管理区域からの持ち出し
・管理区域から人や退域、物を持ち出す場合は、表面密度限度の1/10を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則8条、電離則31条、32条)
○障害防止上必要な注意事項の掲示
・放射線測定器装着に関する注意事項、放射性物質の取扱に係る注意事項等を管理区域内に掲示することが規定されている。(電離則3条)
○管理区域の立入制限、標識
・管理区域は区画し、標識を設け、立入制限等を行うことが規定されている。これらを保安規定に規定することも規定されている。(実用炉規則8条、16条)

○RI保管(貯蔵)方法
・放射性物質又は汚染物を貯蔵するときは貯蔵施設において行うことが規定されている。(電離則33条)
・放射性物質を保管、貯蔵するときは、容器を用いることが規定されている。(電離則37条)
○気体状RIの排気施設での廃棄
・気体状の廃棄物は排気施設で排出するか、廃棄槽に保管廃棄することが規定されている。(実用炉規則15条)
・希釈等でできるだけ低下させ、排気口又は排気監視設備で濃度を監視することで、周辺監視区域外で濃度限度を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則15条)
○液体状のRIの廃棄
・液体状の廃棄物は、排水施設で排水する、廃液槽に保管廃棄する、固形化し保管廃棄する、焼却設備で焼却する、固形化設備で固形化する、のいずれかで廃棄することが規定されている。(実用炉規則15条)
・希釈等でできるだけ低下させ、排水口又は排水監視設備で濃度を監視することで、周辺監視区域の外側境界の水中濃度が濃度限度を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則15条)
○液体状のRIを容器に封入又は固形化する場合の容器
・液体状の廃棄物を容器に封入、又は固形化する場合の容器は、浸透しにくく、腐食に耐え、漏れにくい、き裂又は破損が生じるおそれがない、蓋が容易にはずれないものとすることが規定されている。(実用炉規則15条)
○液体状RIの容器封入又は固形化の場合の汚染拡大、飛散等防止
・封入された廃棄物の全部を吸収できる材料で容器を包む、受皿の設置など汚染拡大防止措置を講じることが規定されている。(実用炉規則15条)
○固形化は廃棄作業室で行う
・障害防止効果を持った固形化設備で固形化することが規定されている。(実用炉規則15条)
○固体状RIの廃棄
・固体上の廃棄物は、焼却設備で焼却する、容器に封入又は一体的に固形化し保管廃棄する等が規定されている。(実用炉規則15条)

3事業所等における運搬の基準における適用の除外
RI等の事業所等での運搬に係る規定は、原子炉施設に係る法令においても、障害防止上必要なものとして同様の内容が規定されており、重複する内容については適用を除外していただきたい。
障防法及び規則の該当個所と、原子炉施設の関係法令での規定とでの内容の重複個所を以下に示します。
(障防法18条、規則18条)
○運搬時の容器への封入
○容器の基準
○線量、汚染の基準
○車両等への積付け時の措置
○危険物の混載禁止
○車両への立入制限等
○知識を有する者、経験者の同行による監督
○標識の取り付け
→同条に定められる上記に係る規定事項については、実用炉規則において、同一の内容が規定されている。(実用炉規則13条)

4放射線等の測定における適用の除外
RI等の使用に係る各施設における放射線量等の測定及び従事者の線量測定については、原子炉施設に係る法令における規定と重複する部分が多く、RIが原子力施設内で取り扱われる場合は、管理上の要求事項は十分満たされるものと考えられることから重複する内容について適用を除外していただきたい。
障防法及び規則の該当個所と、原子炉施設の関係法令での規定とでの内容の重複個所を以下に示します。
【障防法20条、規則20条関連】
○1cm線量当量(率)での測定
・外部放射線に係る線量当量(率)は、1cm線量当量(率)とすることが規定されている。(実用炉規則に基づく線量限度等告示11条)
○線量、汚染の測定場所、測定頻度
・保安規定での規定事項として、線量、線量当量、放射性物質の濃度、汚染物の表面汚染密度の監視及び除去に係ることを規定することが規定されている。保安規定に基づき、管理区域内の各場所の測定が実施されている。(実用炉規則16条)
・原子炉本体、使用済燃料貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設等の放射線しゃへい物の側壁の線量当量率、管理区域内の一週間の線量当量、空気中の一週間の平均濃度、汚染された物の表面汚染密度について測定し記録することが規定されている。(実用炉規則7条)

○外部被ばくの測定
・外部被ばくによる実効線量は1cm線量当量とすること、皮膚の等価線量は70μm線量当量とすること、眼の水晶体の等価線量は1cmまたは70μm線量当量とすることが規定されている。(実用炉規則に基づく線量限度等告示11条)
○内部被ばくの測定
・内部被ばくの線量測定は、1回/3月以内ごと(1.7mSv/月を越えるおそれのある女性は1回/月以外ごと)に行うこと、その他誤って摂取したときは摂取後速やかにおこなうことが規定されている。(電離則8条)
・保安規定に、1回/3月以内(女子は1回/1月以内)毎の実施が規定。
○立入者等の汚染状況の測定
・管理区域から人や退域、物を持ち出す場合は、表面密度限度の1/10を超えないようにすることが規定されている。(実用炉規則8条、電離則31条、32条)
○記録の作成、保存
・原子炉本体、使用済燃料貯蔵施設、放射性廃棄物の廃棄施設等の放射線しゃへい物の側壁の線量当量率、管理区域内の一週間の線量当量、空気中の一週間の平均濃度、汚染物の表面汚染密度の記録の10年間保存が規定されている。(実用炉規則7条)
・被ばくの測定結果については、従事者でなくなった場合は又は5年保存後において、指定機関に引き渡すまでの保存することが規定されている。(実用炉規則7条)
・20mSv/年を超えた従事者については5年間の線量を記録することが規定されている。(実用炉規則7条)
○記録の交付
・被ばく線量の記録を、従事者に当該業務を離れる時に交付することが規定されている。(実用炉規則7条)

5放射線管理状況報告書での報告内容の一部適用の除外(規則39条関連)
原子炉施設内の管理区域内でRIを使用する場合は、障防法に基づく放射線業務従事者は、原子炉施設関係法令上の従事者でもあり、また受ける線量は主たる線源である原子炉等からのものとなっています。放射線管理状況報告書では、報告内容のひとつとして、放射線業務従事者数及び個人線量の分布が規定されていることから、従事者に係る安全上の基準等は各法令とも同一であるにもかかわらず、障防法に係る従事者を区分した管理、集計が必要となっています。従事者の線量管理状況については、「放射線管理等報告書」(実用炉規則24条)、その他通達等において、同種の内容の報告が義務づけられており、また、従事者に係る安全上の基準は各法令とも同一であることから、原子炉施設内の管理区域内でのRI使用の場合は、主たる法令に基づく報告のみとなるよう適用を除外していただきたい。
(社)日本非破壊検査工業会
放射線安全管理委員会   委員長
鈴木   力雄
日本工業検査(株)
2.   健康診断の省略が検討課題に入っている。(別紙10)
一定条件下での省略は、合理的で望ましいことではある。しかし、過去にも省略があったが、省略条件、方法が電離放射線障害防止規則と微妙に異なるために、省略の有効性が半減した経緯がある。よって電離放射線障害防止法等との整合を考慮する必要がある。障害防止法単独では、検討することが無意味なことである。また、問診等の診断手続きについても、必要事項を診断時に示す等して、診断に対する事前情報の提示もできる方法を取り入れること。 問診項目に数値・データの項目があるが、診断時に示すことができない場合、該当欄が未記入となり、診断書が記入不良の指摘を受けることにもなっている。同一人の放射線業務従事者の健康管理に2通りの取扱規制が生じるとは、はなはだ不合理である。
関西電力株式会社   原子力事業本部   保安管理グループ 野依   哲生 原子炉等規制法との二重規制について整理・検討し、管理の煩雑化が解消できるような法整備を実施していただきたい。
(説明)
報告書案「7.放射性固体廃棄物の埋設処分」において、今後検討すべき事項として、「二重規制などによる手続きの煩雑化を避けることが重要である」とされています。原子力発電所における原子炉等規制法との二重規制については、放射性固体廃棄物の管理だけでなく、管理区域の設定、放射線による線量等の測定、従事者の線量管理等に関して、実際の管理面で煩雑化が生じており、これら
は放射線障害防止の観点からは無用なものである部分も少なくありません。規制の合理化の観点から、これらの二重規制について整理・検討し、放射線障害防止の目的に照らした上で必要な法整備(法律間の規制内容の整合化、適用除外等)を図っていただきたいと思います。
日本原子力発電(株)発電管理室 山川   英昭 二重規制の見直しについて
原子力発電所においては、原子炉起動のための中性子源や放射線計測器類の校正線源として放射性同位元素を使用しているが、使用に際して放射線障害防止法と原子炉等規制法の規制を受けています。(後者は使用場所により原子炉等規制法の規制を受ける。)しかし、現実的には、原子炉等規制法を規制・遵守にすることにより放射線障害防止法の目的で
ある放射線障害の防止は確保されると考えます。 また、報告書P5「国際免除レベル取入れ後の基本的枠組み」に記載されている「放射線の影響の可能性も小さいものは施設規制又は行為規制を適宜合理化する」に従い、規制の合理化に関する一貫性・整合性等の観点から、放射性固体廃棄物以外についても二重規制見直しを法令に取入れるべく下記を提案致します。
1提案
放射線障害防止法と原子炉等規制法で規制されている放射性同位元素の使用等について、二重規制の見直しを行う。
2理由
・原子力発電所においては、原子炉起動のための中性子源や放射線計測器類の校正線源として放射性同位元素を使用している。
・これら放射性同位元素の量及び放出される放射線量は、原子炉内で生成される放射性物質(核分裂生成物や放射化生成物等)及びこれから放出される放射線量(核分裂に伴い放出される放射線を含む)に比べ極めて少ないものである。
・このため、原子炉等規制法を規制・遵守にすることにより、放射線障害防止法の目的である放射線障害の防止は確保される。
・また、二重規制見直しの必要性については、報告書P30「7.放射性固体廃棄物の埋設処分(5)今後の対応」に明記されており、廃棄以外の行為についても二重規制の見直しを行うことは、報告書P5「国際免除レベル取入れ後の基本的枠組み」に記載されている「放射線の影響の可能性も小さいものは施設規制又は行為規制を適宜合理化する」に従い、規制の合理化に関する一貫性・整合性等の観点から必要なことである。
日本原子力発電(株)発電管理室 谷口   和史 第3章5.医療分野における規制
(2)今後の方針
医療分野における放射線利用については、放射線障害防止法と医療法、薬事法により規制され、一部、二重規制となっているものについては、文部科学省と厚生労働省は相互に連携を取りつつ二重規制の改善等に取り組むとされています。文部科学省と厚生労働省に関係する二重規制としてはこれ以外にもあることから、以下のとおり提案致します。
○提   案
放射線障害防止法と電離放射線障害防止規則の間では、女子の線量限度の適用に関する定義や健康診断の実施について条文記載に差がある。これらは労働者保護に関する条項であることから、基本的に電離放射線障害防止規則に整合させる。
○理   由
・事業者は、電離放射線を扱う職場における労働者の安全と健康を確保するために、電離放射線障害防止規則に従い、労働者の線量管理、健康診断等を実施している。一方、放射性同位元素の使用等による放射線障害を防止するために、放射線障害防止法に従い、放射線業務従事者の線量管理、健康診断等を実施している。
・両法令に基づく実施行為について、両法令での表現が異なっている。
・女子の線量限度の適用に関する定義に関して、電離則第6条と放射線障害防止法科学技術庁告示第5号第5条
・健康診断の実施に関して、電離則第56条と放射線障害防止法施行規則第22条
・労働者保護の観点からは、電離放射線障害防止規則に従うべきであることから、放射線障害防止法での当該表現を電離放射線障害防止規則に整合させる。
日本原子力発電(株)発電管理室 谷口   和史 第3章6.放射線発生装置の新たな管理のあり方
(3)放射化物      (今後の対応)具体的な法令整備の内容案   (i)放射化物の定義
原子力発電所では、原子炉起動用の中性子源を使用するに際しては、原子炉等規制法と放射線障害防止法の規制を受けます。原子炉起動用の中性子源は半減期が短く、短期間で減衰消滅してしまいますが、中性子源としての機能が消滅した後も原子炉の運転に伴ってその付属物等が放射化されるため、継続して放射線障害防止法の規制を受けています。規制の合理化の観点から、放射線障害防止法と原子炉等規制法との二重規制に関して下記を提案致します。
○提   案
原子力発電所において、放射線障害防止法の規制を受けるものが原子炉の運転に伴い放射化したものは原子炉等規制法のみにより規制されるものとして規制を合理化する。なお、例示した中性子源のように、半減期が短く、短期間で減衰消滅する放射性同位元素については、減衰補正の適用を認め、規制の合理化、簡素化を進める。
○理   由
・現在、原子力発電所で原子炉内に装荷する放射性同位元素は放射線障害防止法に基づく許可を受けるとともに、原子炉等規制法に基づく使用上の規制を受ける。原子炉起動用の中性子源の放射能量及び運転に伴い放射化される放射能量は、原子炉の運転に伴い原子炉内で生成される放射性物質の量に比べ極僅かなものである。このため、原子炉等規制法の規制を遵守することで放射線障害防止法の目的である放射線障害の防止は、十分に確保できる。
日本原燃(株)安全技術室
伊藤   敦夫 原子炉等規制法との関係について
中間報告書(案)では、
○   放射線障害防止法の規制対象となる医療用具に係る放射線障害防止法及び医療法の二重規制に対する改善等への取組み(p.22)
○   放射性同位元素を含む放射性廃棄物に関し、放射線障害防止法と原子炉等規制法が二重にかかるもの等に対し、二重規制などによる手続きの煩雑化を避けるため、必要な法整備のあり方の検討(p.30)
について記載されていますが、原子炉施設や核燃料サイクル施設等で放射性同位元素を使用する場合について、放射性廃棄物以外にも各法律間の規制内容の整合化、適用除外等の必要な法整備のあり方を検討していただきたい。具体的には、原子炉等規制法で規制される原子炉施設や核燃料サイクル施設等で放射性同位元素等を使用する場合、原子炉施設等における放射線しゃへい設備や排気、排水設備等により、放射性同位元素等の使用に係る外部放射線に係る線量や排気及び排水中の濃度について放射線障害防止法に定められた限度等を満足するよう施設設計、運転管理がなされるので、原子炉施設等で使用する放射性同位元素等については原子炉施設等に係る設置許可、設計及び工事の方法の認可、保安規定等の中に含め、薬事法に定める放射性医薬品と同様、放射線障害防止法の適用除外としていただきたい。
日本保健物理学会ICRP等対応委員会放射線審議会基本部会審議内容対応WG 名古屋大学大学院工学系研究科
主査   飯田孝夫
第3章7(5)「今後の対応」等について
複数の学会員より、当WGに中間報告書に関する以下のような異なる意見が届きました。
・炉規法等との2重規制を整理していただきたい。(例として管理区域の2重設定、従事者の放射線健康診断、教育など)当WGも同様の意見であり、放射性廃棄物に限ることなく、炉規法、医療法、薬事法等との整合化は、無用な管理の煩雑さを軽減するために、現場が望む重要事項となっております。特に、上記の項目については、可能な限り早急な対応をお願いしたく思います。


放射線発生装置の新たな管理のあり方に関すること(4件)
所属 氏名 意見
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (7)「放射線発生装置の新たな管理のあり方」
1.修正の箇所
第3章   6   (2)   
2.修正・追記を求める内容
管理区域の一時的な設定、解除については、賛成します。また、放射線発生装置の調整運転時を開始する前の放射線障害予防規定と放射線取扱主任者の選任の届出を法令に規定することの必要性にも賛成します。なお、これらの届出を含め諸手続きについては、その標準事務処理期間を明示することを要望します。
3.その理由・根拠
医療機関の診療用高エネルギー発生装置は、患者の悪性腫瘍を数ヶ月間継続的に治療する必要があります。しかし、変更許可手続きにおいては、場合によっては半年以上の長い期間を要し、諸手続きを待つ間に患者の生命に重大な危険がおよびことが懸念されます。安全規制に基づく申請手続き業務は、安全行政の重要な役割を担っています。しかし、申請手続き期間中に多くの患者が放射線治療を断念することは、放射線安全規制が人の健康を守ることを主眼に制定されていることを鑑みれば、医療機関の放射線管理の質が近年向上しており、さらに、導入後の放射線安全確認技術が向上していることから、特に装置の変更時においては、政府の許可等の手続きの迅速化・簡素化などによる申請負担軽減対策の促進を期待します。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
6.   放射線発生装置の新たな管理のあり方
   管理区域の一時的な設定と解除、放射化物の取扱等に対する考え方は、概ね、本学会の主張に沿ったものであり、妥当である。
日本原子力発電(株)発電管理室 谷口   和史 第3章6.放射線発生装置の新たな管理のあり方
(1)管理区域の一時的な設定、解除
放射線発生装置は、電源を切った状態では、基本的に放射線が発生しないので、条件によって管理区域の一時的な解除を可能とすることが適切と記載されています。放射性同位元素を装備した装置に関しても電源を切ることで放射線が照射されれない状態が維持できるものもあることから、規制の合理化に関する一貫性・整合性等の観点から下記を提案します。
○提   案
放射線発生装置だけでなく電源駆動による放射線照射装置に関しても、電源を切った状態で放射線が照射されない状況を維持することが可能であることから、放射線発生装置と同様に誤操作により電源の入る可能性のないこと等が確認できれば、管理区域の一時的解除を可能とする。
○理   由
・放射性同位元素を装備した装置には、電源駆動により放射性同位元素を貯蔵容器から移動させて放射線を照射する装置がある。放射性同位元素が貯蔵容器に確実に貯蔵された状態で電源が切られれば放射線が照射されることはない。
・放射線発生装置を設置する管理区域と同様に、放射線の照射のあり得ない状況の中で、点検、工事などの作業者が管理区域に入る際にも、放射線業務従事者と同等の手続きが義務付けられている。
・放射線照射装置についても、電源を切った状態で、放射化による影響がほとんどないこと、誤操作により電源が入る可能性がないことなどが信頼性を持って確認できる場合は、一時的に管理区域を解除してもなんら安全上の問題はない。
日本原燃(株)安全技術室
伊藤   敦夫 管理区域の一時的な設定、解除について
中間報告書(案)では、放射線発生装置の新たな管理のあり方として、管理区域の一時的な設定、解除について記載されているが(p.23)、放射性同位元素を装備した照射装置等についても、
○   線源を格納位置に収納した状態で外部放射線に係る線量が管理区域に係る線量を下回ること
○   誤操作により線源が照射位置に移動してしまう可能性がないこと
などが信頼性を持って確認できる場合は、放射線発生装置と同様、一時的な管理区域の解除、再設定を可能とできるよう検討していただきたい。


放射性固体廃棄物の埋設処分に関すること(クリアランスを含む)(7件)
所属 氏名 意見
(社)日本放射線技術学会   会長 藤田   透 3.放射性廃棄物について
修正・追記を求める内容
医療機関から排出される固体状の放射性廃棄物は、現在一定の半減期を過ぎたとしても非放射性廃棄物としては認められず、放射性廃棄物として扱われております。しかし、医療機関で使用される非密封放射性同位元素は半減期が短く、また、比較的長半減期の娘核種を持つ核種においても、全体としてそのリスクが必ずしも大きくないため諸外国においては、減衰待ち保管(Decay-in-storage)が導入されつつあります。このため、ある一定範囲で決まった数量内の放射性核種を扱う医療機関については、その条件を整備した上で、中間報告書(案)にもありますようにクリアランスレベルを導入することが適当であると思われます。
さらに、放射性廃棄物等の浅地中埋設処分の計画にあたっては、中間報告書(案)にもあるように原子炉等規制法における埋設の規定に準じた安全性を確保するとともにそれが合理的に実施されるような法体系の整備を図ることが必要であると考えます。一方、浅地中埋設処分の実施については、その処理・処分コストの問題、処分候補地における立地条件の調査等を十分に検討するとともに、わが国の特性を考え、その代替手法とを比較検討し、必要があれば、より環境保全に資する再循環型社会を構築するために資源リサイクル法等の関係の調整を含めた整合性の取れた法整備についても検討することが重要であると考えます。
その理由・根拠
現在、放射性廃棄物に関しては、放射線障害防止法、原子炉等規制法、医療法、薬事法に係るものなど関連施設毎にそれぞれ単独または複数の規制がかけられていますが、中間報告書(案)にもありますように手続きの上でも煩雑にならないよう規制内容の整合性を図るとともに実態に即し、国民に過剰な負担とならないような法整備が早急になされることを望みます。
日本原子力発電(株)発電管理室 谷口   和史 第3章7.放射性固体廃棄物の埋設処分
(1)現状の規制      (廃棄の基準)
放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染されたもので廃棄しようとするものが放射性固体廃棄物と定義されています。しかし、「汚染されたもの」の具体的な数値定義がないため、管理区域で発生する廃棄物は放射性固体廃棄物として管理しています。管理区域で発生するものであっても、明らかに汚染されていないもの、汚染があっても極微量で人への影響は無視できるものが存在します。後者については、クリアランスレベルの検討が進められるべく期待する旨が記載されていますが、前者についても、規制の合理化に関する一貫性の観点から具体的に検討を進めるよう下記を提案致します。
○提   案
放射性固体廃棄物の定義として、「放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染されたもの」の定義を明確にすべく検討を進める。
○理   由
・管理区域内にあったものでも、その経歴から放射性同位元素によって汚染する可能性がまったくないものもある。汚染の可能性のまったくないものを放射性固体廃棄物として廃棄するのは合理的な管理とは言えない。
・クリアランスレベルの導入を検討するに際して、クリアランスレベルに該当するものと、まったく汚染のないものを区分することは、より合理的な考え方である。
・非密封線源を扱う施設だけの問題ではなく、放射線発生装置の使用に伴う放射化物についても「有意の放射能が認められる」(p24)レベルについて、規制の統一性の観点から検討すべきである。
医療放射線防護連絡協議会   会長 古賀   佑彦 (8)「放射性固体廃棄物の埋設処分」
1.修正を求める箇所
第3章 7   (5)(3)
2.修正・追記を求める内容
クリアランスレベルの導入に関する検討の推進に賛成します。一方、核種の種類が明確な放射性固体廃棄物の対応には、放射性同位元素の物理的特徴である半減期の考え方が放射線防護上有効です。このため、医療機関で用いる放射性医薬品は半減期の20半減期の減衰待ち保管の導入の検討を追記することを要望します。
3.その理由・根拠
放射性固体廃棄物に関しては、減衰待ち保管の処分が認められていないため、20半減期の減衰期間後には、対象核種が百万分の1に減衰し、その濃度・数量が自然界の一般物質に含まれる放射能レベルを遙かに下回る程度に達し、国民へのリスクの大きさの視点からも十分無視できる放射能量です。しかし、固体状の放射性廃棄物は無視できる放射能レベルに減衰しても、放射性廃棄物としての管理が必要とされています。そのため、明らかに20半減期まで保管した物は、非放射性廃棄物として処分することで、処分経費削減や資源の再利用の促進に資することができます。
日本保健物理学会ICRP等対応委員会放射線審議会基本部会審議内容対応WG 名古屋大学大学院工学系研究科
主査   飯田孝夫
第3章7(2)「放射性固体廃棄物」について
複数の学会員より、当WGに中間報告書に関する以下のような異なる意見が届きました。
・RI廃棄物に減衰の概念を入れ、規制免除レベル以下になればRI廃棄物としての管理を不要とすることにしていただきたい
当WGも同様の意見です。すわわち
・短半減期核種を放射線廃棄物から除外する考え方を加速器の領域ではすでに導入していること
・減衰の概念をとり入れた管理の概念は一般国民にも十分理解できる考え方であると考えられること
・減衰の概念をとりいれた管理を短半減期核種にのみ適用することに根拠はみあたらず、一般的に導入しても、放射線管理上あるいは放射線防護上なにも不都合はないと考えられること等により、この概念を全てのRI廃棄物に対して発展的に適用することを提案いたします。
(社)日本放射線技師会   会長 熊谷   和正 5.クリアランスレベルを導入した放射線管理
医療機関で使用する放射性医薬品は短半減期核種が多く、患者に直接投与できるほど安全性が確保されている。90%以上は患者とともに施設外に持ち出されている現状を考えると、残りの放射性廃棄物を永久的に管理する現在の法体系は不合理である。医療機関における欧米の放射線管理法規を参考にして、クリアランスレベルを導入した自主的な管理方法を検討すべきである。
関西電力(株)
地域共生・広報室
西村   健 「第2章国際免除レベル取り入れ後の規制」他
クリアランスレベルとの整合をはかり、(クリアランスレベル以上)免除レベル未満の線源の扱いを明確にして欲しい。(密封、非密封関係なく)
(理由)
現在、検討が進められているクリアランスレベルが導入されると、今回の免除レベルと併せて2種類の基準が制定されることになり、施設で(or社会で)クリアランスレベルと免除レベルの間に線源が存在することが考えられる。クリアランスレベル以上ということは、社会の常識として何らかの規制がなされることが予想されるので、免除レベル超過の線源に対する規制だけでなくそれ以下の線源に対する扱いについても明確にしておくことが望ましいと考えます。また、免除レベルやクリアランスレベルの評価は被ばくシナリオに基づいており、クリアランスレベルでは同じ核種でも施設によって異なる可能性が存在しており、核種によっては、別の施設でクリアランスされたものが、別の施設の基準では、クリアランス以上となり、免除レベル以下のクリアランス線源が存在することが予想される。現在の報告書でも、免除レベル以下の密封線源についてその加算の考え方で、規制対象外とのするような考え方が示されておりますが、クリアランスとの整合も考慮し、密封・非密封に係わらない放射性物質の規制の考え方を明確に示すことが国民の理解を得るために重要なことと思います。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
7.   放射性個体廃棄物の埋設処分
この問題に関する基本的な現状分析は適切に行われており、今後の対応においては、障害防止法の整備の必要性を指摘しており妥当なものであると思われるが、本章の1〜6項と比較して今後の対応については、具体生に欠けており、切り込み方が不足している感を否めない。
技術的検討等においては、法整備の基礎をなす技術的な研究の必要性を強調すべきであり、一般社会を納得させることができる、我が国独自の放射性廃棄物処分の論理あるいは技術基準を確立し、社会へ向けて発信する必要性を指摘すべきである。


新規制の遡及と国民への広報に関すること(13件)
所属 氏名 意見
放射光利用研究促進機構・財団法人高輝度光科学研究センター(SPring-8/JASRI)・安全管理室 多田   順一郎 改正法の遡及適用に反対します。
理由:
法を遡及適用すると、国民を不当に罪する懼れがあるとともに、いわゆる"湧き出し線源"事件を多発させて、社会に無用な不安を与える懼れがあります。
法令の適用を受けない密封された放射性同位元素は、法令の適用がない故に必ずしも厳重に管理しているとは限りません。したがって、所有者の移動や退職に伴い、そうした線源が戸棚や抽斗の奥に取り残されている可能性は、無視できません。中間報告書には法令改訂の周知活動を徹底することが謳われていますが、その存在すら気付かれない線源を"洗い出す"ことは、原理的に不可能であると言わざるを得ません。こうした"洗い出し"が決して徹底できないことは、放射線障害防止法施行前に輸入されたラジウム線源のうち1 Ci余りが、長期にわたる再三の"広範な"周知活動にも拘わらず、今なお"洗い出されて"いないことからも明らかです。
周知期間の終了後、戸棚や抽斗の奥から偶然"届出"に該当するようになった線源が発見され、法令違反を構成する状況が発生しても、憲法第39条の精神に則り"善意の発見者"の法的責任を問い得ないものと考えますが、そうした事例が明らかになると、いわゆる"湧き出し線源事件"として社会に無用の不安を与え、善意の発見者が社会的に大きな不利益を蒙る可能性も少なくありません。
(社)日本放射線技術学会   会長 藤田   透 (社)日本放射線技術学会の会員の多くが診療放射線技師免許を保有した医療技術者であり、医療機関の中で診療用放射線の取扱い業務に従事しております。
当然のことながら、これらの会員は、放射線障害防止法、医療法、労働安全衛生法等を遵守しながら放射線施設の安全管理と日常の放射線診療業務に従事しております。
本学会内の常設委員会であります学術交流委員会放射線関係法令等検討小委員会を中心に検討しました結果、「国際免除レベル法令への取り入れの基本的考え方について」中間報告書(案)を支持するものでありますが、診療用放射線を直接取り扱う立場からの意見として、放射線障害防止法の改正にあたっては、下記事項について御配慮いただきます様要望いたします。
また、国際免除レベルの取り入れにより、規制対象の範囲が大幅に変わることから、移行期間を十分に取り、法律改正の趣旨や内容を周知徹底するため、関連学団体への説明会の充実も併せて要望いたします。
財団法人放射線計測協会   専務理事 山本 克宗 <新規制の遡及と国民への広報>に関して
5.1遡及適用
・遡及適用については、原則としては賛成する。
財団法人放射線計測協会   専務理事 山本 克宗 5.2国民の理解増進のための広報活動への遡及について
・現在、放射性同位元素の安全取扱や各種放射線の性質などに関する体験学習を通して、身の回りの放射線についての知識普及活動や、放射線利用について国民の理解を 増進するための広報活動が行われており、有益かつ着実な効果をあげていると思われる。遡及適用によってこれらの活動が停滞しないような措置が講ぜられることを希望する。
特に、学校での学習や、一般の施設での教師等を対象としたセミナーなどで、密封線源を使用する放射線測定実習が困難とならないことを希望する。
財団法人放射線計測協会   専務理事 山本 克宗 5.3広報活動及び教育の目的で使用する線源に対する具体的措置の提案
・校正用線源に準じて、密封3.7MBq以下を設計承認対象品目とする。
・使用者(所有者)は、使用環境、主たる保管場所等について事前に届出を行う。
・貯蔵能力への加算はしない。
・定期的な数量の確認及び記帳を義務化する。
・不用線源の廃棄・回収については、制度化する。
財団法人放射線計測協会   専務理事 山本 克宗 5.4広報活動及び教育の目的で使用する線源の移動に関する具体的措置の提案
・具体的な使用場所の届出は不要とする。
・線源所有者は、線源の使用状況を記録する。
関西電力(株)
地域共生・広報室
西村   健 第3章   8.新規制の遡及と国民への広報
今後の検討では、広報活動の進め方についても十分な検討をすることを希望します。
(理由)
今回の国際免除レベルの取り入れや先に検討されていたクリアランス関係基準の検討で、人の被ばく線量を基準にして各種シナリオから濃度基準が算定されております。この考え方は、関係者(もしくは有識者)にとっては至極合理的な考え方であると理解できます。しかし、一般の人々にとっては2種類の基準があることについては理解しがたいことであり、法令改正に伴う準備期間に一般の人々に理解できるよう徹底した広報活動を行うことを希望します。
(最終報告書には、どのような観点からまたはどのようなスケジュールで広報を進めるかなどを盛り込んで欲しい。)
従来は、入口側での規制で放射性物質の数量が規定されているだけで、出口側の規定については具体的な基準値は規定されていなかったため一般の人々にとっては規制対象か否かの一種類であったと思いますが、今後は、クリアランスレベルが導入され、更に今回の免除レベルや規制除外の考え方が規制に導入されると複数の基準レベルが存在することが予想されます。このような場合、最近相次いで報告されているような所属不明の線源(または、放射性物質による汚染)が発見された際に、どの基準で判断するのか一般の人々にとって不明であり、いらぬ混乱を招く可能性が非常に大きいと考えます。
日本原子力発電(株)発電管理室 谷口   和史 第2章1.国際免除レベル取り入れ後の密封線源の規制
(4)届出の規制
放射線知識普及のために市販されている教育用或いはPA用グッズ(鉱物試料、線源キット)等について、その目的から大きな使用規制がかかることのないよう以下を提案します。
○提   案
教育用或いはPA用グッズ(鉱物試料、線源キット)等は、型式承認対象とする、或いは、設計承認対象とする場合でも、使用者の届出手段を簡素化するなど使用者に大きな負担が生じない様、配慮する。
○理   由
・教育用或いはPA用として提供される器具は、一般に広く使われることを目的としている。
・これらに使われる放射性同位元素は、極微量であって、人への影響はほとんどないと考えられる。
・これらの使用目的から、製造者と国が、安全上の責任を負うことで、使用者の負担を排除すべきである。
日本原燃(株)安全技術室
伊藤   敦夫 新規制の遡及適用の進め方について
中間報告書(案)では、国際免除レベル取り入れ後、規制対象の範囲が大幅に変わることから、当初は相当の混乱も予想されるため、移行期間を十分にとり、その間に届出や許可申請を促すことが必要であるとありますが(p.31)、新規に新届出対象線源等の届出を行う必要のある使用者が少なからずあり、限られた移行期間の中で混乱を最小限にし必要な届出や許可申請が完了するよう、改正法令の施行に際しては、以下についても配慮していただきたい。
○   申請方法、申請書内容への指導、助言について、新たに国以外の機関を活用する(中間報告書(案)p.19)に当たり、指導、助言の一貫性及び継続性が図られるよう、これまでの審査案件等の事例、解釈集を整備していただきたい。
○   しゃへい能力の計算に広く用いられている(財)原子力安全技術センターの「放射線施設のしゃへい計算実務マニュアル2000」におけるしゃへい計算例や透過率データ等を拡充(掲載している核種、しゃへい材)するなど、しゃへい能力の計算に関するマニュアルやデータ集を整備していただきたい。
シオノギ製薬(株)診断薬部 大河原   賢一 規制免除レベル以下のI−125標識RIAキットの講習会、展示等での使用を出来るようにして欲しい。
日本保健物理学会ICRP等対応委員会放射線審議会基本部会審議内容対応WG 名古屋大学大学院工学系研究科
主査   飯田孝夫
第3章8(1)「遡及的適用の進め方」について
複数の学会員より、当WGに中間報告書に関する以下のような異なる意見が届きました。
・法令適用に当たっては十分な移行期間が必要で、本文に記載されていることに十分配慮していただきたい。2001年のICRP90年勧告法令取入れから2年しか経過していないこと、大幅な改定になること、また、遡及適用を考えるのであれば十分な移行期間が必要。また、書類、手続きの簡略化などにも併せて十分配慮されたい。当WGも同様の意見であり、法令の取り入れ、運用にあたっては、本最終報告書に記載された事項を十分に反映し、煩雑な手続き、過剰な管理が要求されないようお願いしたく思います。
日本放射線安全管理学会

会長
西澤邦秀
8.   新規制の遡及と国民への広報
新規制を遡及適用すべきであるとの、提言には賛意を表する。
遡及に当っては、十分な移行期間を設けることは当然である。遡及に当っては適用を受ける側が適切に対応しなければならないことはもちろんであるが、1.   放射線取扱主任者制度の項において述べたように行政側の対応によって混乱を生じさせないように、報告書において提言をするべきであろう。
戦前から所持しているRa針がいまだに発見される。新届出の対象となった線源が、数年以上を経て発見される場合も十分あり得る。そのような場合には、法令違反として扱わない様な措置も必要である。
日本保健物理学会ICRP等対応委員会放射線審議会基本部会審議内容対応WG 名古屋大学大学院工学系研究科
主査   飯田孝夫
第2章1(4)「届出の規制」等について
複数の学会員より当WGに中間報告書に関する以下のような意見が届きました。
(1)第2章1(4)2に以下の"   "部を挿入し、明示していただきたい。
「・・・校正用線源は、多くの事業所で使用されている有用な線源であり、"また、学校等で放射線教育で使用している線源も、放射線測定実習に必要不可欠なものであり、"プラスチックや金属・・・」
(2)第2章1(4)届出の規制、及び、2(2)国際免除レベル取り入れ後の基本的枠組み等の項に、「国際免除レベルの100倍の線源については、密封、非密封であるかに係わらず、その数量が少ないことにより、線源自身の管理のみで、放射線防護上の要求が充分達成され、特殊な設備や場の管理等を必要とせず使用可能である」などを、追加していただきたい(注;下記参照)。

当WGでは、これらの意見に関する議論の結果、以下の通り提案させていただきます。
(1)について、放射線教育にかかすことのできない小線源(例えば放射線計測協会が実習用として学校等へ貸与しているのはCs−137(740kBqで、合計150個を協会が所持している)も、いわゆる「校正用線源」の一形態と考えられます。したがって、中間報告が示す設計承認のみで使用できるカテゴリーに属するものと考えられますが、状況をより明確にするため、本件も具体的に報告書の中に盛り込み、明文化しておかれたほうがよいと考えます。
(2)について、中間報告書によれば、免除レベルを超えていても、線源が一定の条件を満たしていれば、型式認定または設計承認により、移動使用を前提とした使用が可能になっています。新届出事業所が文字通り簡単な手続きで設置でき、加えてある条件を満たせば管理区域の設定が必要ないなどの例外措置がとられ、低レベル線源を簡単に使用できる状況になれば、それほど大きな混乱を生じることはなく、新しい免除レベルが受け入れられると考えます。本件に該当する小線源のみを使用する第3種主任者事業所の設置は、放射線安全、放射線管理の知識を普及する意味でも有効と考えます。関連して、法令の運用時には無用で煩雑な申請、管理手続きが生じないよう、規制当局にお取り計らいいただきたいと思います。

注)(2)について、学会員からの意見《原文を一部整理》
密封、非密封共に線源の簡易な届出と義務のみによって使用できるレベル(=具体的には、核種、数量等の簡易な届出等のみにより、線源自身の管理や使用上の注意、記録の保存等で、一般区域での使用が可能であり、もちろん、施設規制(貯蔵施設や使用施設の技術的水準等)は要求されないレベル。)を加える(あるいは明記する)。 現案では、基本的に施設の検査を前提とした分類がされている。しかし、免除レベルは、被ばく線量基準を、通常時では年間10マイクロシーベルト、事故時では1ミリシーベルトとして、一定のシナリオで、科学的な根拠に基づき設定されている。つまり、設定根拠が適切であれば、線源の紛失など管理上のトラブルがなければ、免除レベルを少し超えた程度の線源は、事業に伴う放射線防護上の考慮は特段必要ないことを意味している。換言すれば、「事業による」一般公衆への被ばく限度は1mSv/y、管理区域の設定基準は1.3mSv/3ヶ月であり、上記免除レベル設定手法を考慮すれば、通常の使用において、これらを明らかに超えるおそれのない線源が原案では存在していることになる。これらは線源自身の管理、つまり、紛失や盗難などの事故等の防止を義務化するだけで、事業による放射線防護の要求が達成でき、特殊な設備や場の管理等は不要であると考える。また、現在既にRI使用者であれば、新法令導入の際に多少の負荷はあっても、過大な負荷はあり得ないと思われるものの、これまで定義数量以下の線源を使用していて、新法令により新たにRI使用者になるものについては、現案では設備の設置や人材の募集から始めなくてはならないと予想され、負担が大きすぎると懸念される。負担があまりに大きすぎれば、取り扱い自身をやめ、新法令施行前に線源を一般廃棄物として廃棄してしまうものが多発する可能性もあり、新法令導入により、いわゆる湧き出し線源の増加も懸念される。このような状況により、健全なRI利用行為が阻害されることにもつながりかねない。


その他安全規制に関すること(4件)
所属 氏名 意見
理化学研究所   
神戸研究所   
研究推進部
飯塚   裕久 使用事業所に対する廃止措置の報告義務、廃止措置の実地確認、虚偽報告等に対する罰則の強化を行い、国民の安全確保の向上を図るべきと考える。
日本原燃(株)安全技術室
伊藤   敦夫 国際免除レベル取り入れに関連する事項について
今回の検討では、国際免除レベルの法令への取り入れに関してのみではなく、その他これにあわせて法令改正を検討すべき事項として放射化物の扱い等についても取り上げている点について評価いたします。本中間報告書(案)で取り上げている放射化物の扱い、医療分野における規制等以外についても、放射性同位元素等の使用実態を考慮し、また、これまでの規制当局における種々の経験を踏まえ、適宜政省令を見直していただくよう、ぜひ検討願います。
(株)日本RI実験支援機構 長浜   知佐子 【使用数量の合算・管理について】
放射線事業所にあっては、放射線同位元素の管理は、管理区域内のものだけでよいとする。規制免除レベル未満の核種(法定外放射性同位元素)の使用数量の把握については、放射線事業所としては摘みようがない。本来、法的に放射性同位元素と認めていないものを、放射線事業所であるから、把握しなければならないというのは、一般的な立場からみると矛盾する。
日本保健物理学会ICRP等対応委員会放射線審議会基本部会審議内容対応WG 名古屋大学大学院工学系研究科
主査   飯田孝夫
その他「自然放射性物質の扱い」について
複数の学会員より、当WGに中間報告書に関する以下のような異なる意見が届きました。
・NORM(自然起源放射性物質)の規制と原子力発電所との規制との整合を図っていただきたい
当WGでは、以下のように考えております。すなわち、
・放射線物質による被ばくの規制は、放射線防護上は、理想的には線源に係わらず同じであるべきと考えられること
・一方、自然の放射性物質や自然の放射線は、歴史的に一般公衆の生活に密着した利用をされてきたこと
・NORMに関する規制は海外の例を見ると原子力発電所への規制より緩やかなものになっていること等を鑑みて、非常に難しい課題ではありますが、放射線防護上の国際的知見との整合をとりながら、自然放射性物質等の規制を考えていただきたく思います。具体的には、すでに使用されている自然線源についての知識の普及を推進しつつ、一方で厳しすぎる管理を強いられている事業所に対する法令適用時の有益な運用のありかたについて、検討いただきたく思います。


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