平成18年6月27日(火曜日) 13時30分~15時45分
経済産業省 別館 944号会議室(9階)
小佐古座長、河田座長代理、阿部委員、大越委員、長見委員、日下部委員、草間委員、近藤委員、田中委員、反保委員、中村委員、東委員、山口委員、山本幸佳委員、山本英明委員、米原委員
(科学技術・学術政策局) 下村次長・原子力安全監、梶田放射線規制室長、桐生放射線安全企画官、松室放射線規制室長補佐、岩田放射線検査専門官 他
【事務局】
どのような物がクリアランスの対象となるのか決める必要がある。また、クリアランスを行うことによるメリットも検討する必要があると考えており、これらに関する情報を本検討会に出して、議論することを考えている。
【小佐古座長】
経済的なメリットについては、事業者側で検討して頂かないとわからないので、それらの情報を検討会に出して頂いて、引き続き検討する。
【事務局】
本来は「制動X線」という表現が適切ではあるが、二次的な反応で(γ、n)や(γ、pn)といった反応形態を記載しており、その反応式の表現との整合ということであえて「制動γ線」という表現を用いている。
【事務局】
今後の課題であるクリアランスに係る加速器の分類を検討する際に、この点についても整理する。
【事務局】
原料の品質管理をすることにより、廃棄物の減量や処理処分の合理化を図るということは重要なことであると考えている。クリアランス制度にどのように反映できるかは、今後相談させて頂く。
【山本幸佳委員】
資料21‐3のP19の放射線発生装置の分類の表で、プラズマ発生装置はないのか。かなりの放射化物が発生すると思われるが。
【事務局】
今回は加速器をメインに検討を進めてきたので、表には記載されていない。最終的なクリアランス制度を決めるときには、プラズマ発生装置も入れる必要があると考えている。
【山本幸佳委員】
減衰保管期間を一律3年と計画されているが、核種によっては1年、2年をいうような分類を行う必要はないのか。
【事務局】
今回検討の対象とした核種を全て減衰保管廃棄するとすれば、減衰保管期間は3年が適切ということを記載しているが、制度化にあたっては個々の核種で減衰保管期間を決めることも減衰保管廃棄を合理的に進める上では必要と考えている。半減期の短い核種でも必ず3年の減衰保管が必要ということではない。
【近藤委員】
色々な短半減期核種を使用しているのが実態であり、それを半減期ごとに減衰保管期間を分けるというよりは、一律3年として減衰保管廃棄した方がベターであると考える。
【阿部委員】
短半減期核種のみを使用している事業者は非常に少なく、有効性があるかどうか今後の検討とされているが、原子炉施設のクリアランスでは、始めから短半減期核種は冷却期間を置くことを前提に考慮されていない。そのあたりのロジックがどのように取り込まれるのか、検討課題の1つとしてあげておく必要が無いか。
【古川委員】
原子炉施設とRI施設では、施設規模が異なるので、原子炉施設と違う考え方があっても然るべきと考える。また、ユーザーのニーズがどの点にあるのか、調査を進めていく必要があると考える。
【梶田室長】
原子炉施設の場合は、原子炉を停止した後に直ちに解体が始まるわけではなく、一定の期間冷却した後に解体が始まるという点から、短半減期核種に対する合理的な判断が可能と考えられる。一方、RI施設では、使用の停止後、直ちに施設を解体する場合もあり、色々はバリエーションがあることから、原子炉施設での考え方を取り入れることは困難かと考えられる。
【小佐古座長】
廃棄物全体の中の位置づけをよく考えて検討を進める必要がある。やりやすい廃棄物から手をつけて検討を進めると、やりにくいものだけが残り、先行している考え方と矛盾が生じる可能性もある。
【河田委員】
障害防止法の下では、短半減期核種のみを使用している事業所は少ないが、医療関係法の下では、逆に短半減期核種のみを使用している事業所がほとんどである。本検討会は、障害防止法における検討ということは承知しているが、国全体としての制度の整合性という点から、他の法律についても配慮する必要があると考える。ここでの議論が先行事例となり、他の法律にも適用される場合があるという視点を忘れないように。また、本検討を進めるにあたり、文部科学省からRI協会に放射性同位元素によって汚染された廃棄物のクリアランス制度に係る検討を行うように依頼され、RI協会として検討した内容を報告書にとりまとめて文部科学省へ提出したが、この中間報告書を見るとあまり記載されていない。
【事務局】
今回は技術的な検討が中心で、クリアランス制度の検討までは十分に議論がされておらず、そのような点で中間報告書としてとりまとめている。今後、クリアランス制度の検討を行う際には、RI協会で検討して頂いた内容を参考にしたいと考えている。
【田中委員】
海外における短半減期核種の減衰保管廃棄についての調査はされているのか。
【事務局】
中間報告書のP61、P62に諸外国における短半減期核種によって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄に係る調査結果を記載している。欧米では、既に短半減期核種によって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄について制度として取り入れられている国もある。今後、制度化にあたっては、諸外国に制度についても参考になるものと考える。
【中村委員】
1.クリアランスについて経済効果ということが言われているが、廃棄物の収集場所が一杯であるということも、クリアランスの制度が必要であるという理由の1つにはならないのか。2.放射化計算のみではなく測定が必要だということは理解できるが、大きな加速器施設は対応可能と考えられるが、小規模施設では難しいのではないかと思われるので、そのような小規模施設についてどのようにするか検討が必要と考える。また、施設の更新や廃止の際に大量のコンクリートが発生すると思われるが、それを廃棄物とするのではなく、遮へい体などとして再利用して資源を有効利用するという観点が活かせるよう検討して頂きたい。3.自己遮へい型のPET用サイクロトロンでは、サイクロトロン自体で遮へいされるため、施設の放射化物は少ないと思われる。
【事務局】
2.及び3.について、今後、あらかじめ加速器を適切にグルーピングし、測定や放射化計算を行わなくても明らかに放射化していないと認められるような範囲を整理しないと、クリアランスとの混乱をまねくと考えている。1.については、経済性だけでなく、当面は廃棄物の処理方法も睨みながら、制度化に向けた検討を進めることを考えている。
【下村次長・原子力安全監】
放射線安全規制とは、放射線障害を防止するということで、事業者における放射性同位元素の使用等を規制しているわけであるが、もちろん、規制が過重ならばそれを取り除き、しかし安全レベルは下げないということで、色々な規制緩和がなされている。廃棄物の処分は事業者が責任をもって行うというのが基本であるが、廃棄物の処分場が決まらないから、また、保管する場所が足りないからクリアランスしか無いというのは、安全規制の観点からは論外な論理である。クリアランスは、経済的なメリットがあり、無駄なことをやらないということに意義があるが、逆にクリアランスを行うことによって、さらに無駄な行為を行わなくてはならないということでは意味が無い。クリアランスの制度化にあたっては、安全規制が適正化され、安全レベルを確保しながら、さらに経済性も上げることができるということが必要になる。例えば、フランスでは極低レベルの処分場を設け、そこへ処分した方がクリアランスの検認の大変さや測定装置の設置などを考えるとメリットがあるということで、クリアランスをやらないという方針が決められた。日本では、原子力施設に対してクリアランス制度が取り入れられたが、施設の解体に伴って発生するコンクリート廃棄物を低減化するという点でわかりやすい。一方、放射線障害防止法での色々な廃棄物に対しては、特に検認方法や経済的な効果について、今後とも検討が必要と考えられる。
【小佐古座長】
既に実行状態に入っている原子炉等規制法におけるクリアランスでは、もう少し丁寧な形の制度設計や評価などが行われている。加速器の方はまだ中間報告書の段階ではあるが、大量の廃棄物が発生するところで測定を主体に検認するとなると二の足を踏むことにもなる。共通化でき、かつ大量の廃棄物が出るような加速器については同じような方法をとり、細かくバリエーションがある加速器は別の方法にすることによって合理化するなど、前段部分での交通整理が必要である。
【大越委員】
加速器の場合、定常的な運転ではないことやビームロスの評価が難しいということから原子炉施設と同じような放射化計算を主体した評価方法を適用することは困難であるという結果になっているが、加速器用の計算コードの開発も進んでいると聞いており、計算コードの検証や実測値との比較等を行うことによって精度を上げ、原子炉施設に追いつくような評価となるよう今後とも検討が必要であると考える。
【反保委員】
短半減期核種によって汚染された廃棄物の減衰保管廃棄についての説明に補足するが、実際に事業者において3年間の減衰保管というのは難しく、例えば廃棄業者であるRI協会が引き取って、一括して減衰保管するということが現実的ではないかとう話がワーキンググループでの検討ではあった。
【小佐古座長】
制度設計にもよるが、各事業所で減衰保管廃棄すると、輸送との関係で大きなメリットがある。つまり、各事業所で減衰をせずに輸送するとなると、放射性廃棄物として扱う必要があるため、一概にRI協会に集荷するとした制度設計にしない方がよい。
【中村委員】
線源登録に関しては、セキュリティグループA,Bを対象としているのか、それとも全ての線源を対象と考えているのか。
【事務局】
現時点ではどこまでを対象とするかという検討は行っていないが、当面はIAEAが要求している放射能の強い線源を対象にし、今後、例えば非密封線源についてはどうするかなどについても検討を行っていきたい。
【中村委員】
ガイドライン(案)の中にある基本方針の中で、被ばく事故、(放射線源の)紛失などは、放射線障害防止法の中に盛り込まれているので、屋上屋を架すことになるのではないか。
【事務局】
本ガイドライン(案)の中には、安全の観点から既に実施されているものも多く含まれている。セキュリティの観点から抜けている部分について抽出した上で、必要なものを入れていくというような議論を進めていくことが重要である。
【小佐古座長】
線源登録については、IAEAなどで研究されたものをスタディして、国際的な共通事項については用意すべきではないかというのがワーキンググループの意見である。
【東委員】
線源登録について、集約した情報については、セキュリティについても十分検討する必要がある。
【近藤委員】
線源登録については、大部分の放射線源についてはRI協会が情報を把握しているということであるが、(使用者が)直接輸入した放射線源については、放射線規制室が全て把握しているという理解でよいか。
【事務局】
許可がないと放射線源の輸入ができないため、許可をもって使用しているということまでは、把握しているが、線源交換をしたあとの放射線源がどうしたかということまでは、把握できていない。
【小佐古座長】
現行では、同じ放射能の放射線源が2個あった場合、その放射能の線源を2個持っていることはわかるが、その2つを区別することはできないシステムとなっている。
【山本幸佳委員】
大阪であった盗取事件についても内部関係者によるものだが、内部脅威に対するセキュリティも考慮しているのか。
【事務局】
ある特定の者以外が施設に近付けないようにするなど、様々な手段を利用して、そのような脅威に対処していきたい。
【小佐古座長】
核物質管理の方では、内部で働く人のレベルについても細かく議論がなされている。
【阿部委員】
本文及び資料21‐6の“悪意ある使用を減らす”、という言葉に特別な意味があるのか。
【事務局】
既にあるということではなく、悪意ある使用を防止するというような意味である。
【下村次長・安全監】
セキュリティに関しては、新しい要求を行うということであるから、規制が過度にならないように、適正なレベルの規制によって必要なセキュリティを確保するという観点から委員の先生方からご意見を伺いたい。また、IAEAがガイドラインを整備していて、世界的な協調が重要であり、その国独自の文化・伝統に基づいたセキュリティ確保も行わなければならない。
線源登録に関しては、全ての密封線源について行える技術があるのではないかと認識している。
セキュリティを目的にすべきか、事業者のマネージメントを合理化することを重視したものにするのかスタディすべきである。
資料21‐2及び資料21‐5の中間報告書についてコメントがあれば、事務局まで連絡することとなった。
科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室