研究炉等安全規制検討会(第11回) 議事要旨

1.日時

平成15年12月22日(月曜日) 14時~16時

2.場所

文部科学省 別館9階 幹部室3

3.議題

  1. 省令改正に係るパブリックコメントの結果について
  2. 原子力施設の運転・操作段階における品質保証の取り入れについて
  3. 解体中の原子炉施設に対する安全規制について
  4. 原子力施設等の事故・故障に係る事象の国際評価尺度(INES)の運用について
  5. 放射線審議会基本部会報告書「自然放射性物質の規制免除について」の概要について

4.配付資料

  • 資料11‐1:第10回研究炉等規制検討会議事概要(案)
  • 資料11‐2:原子力施設の運転・操作段階における品質保証の取入れについて
  • 資料11‐3:解体中の原子炉の安全規制について
  • 資料11‐4:原子力施設等の事業の国際評価尺度(INES)の運用について(案)
  • 資料11‐5:放射線審議会基本部会報告書「自然放射性物質の規制免除について」の概要について
  • 資料11‐6:自然放射性物質の規制免除について

5.出席者

委員

代谷座長、越塚座長代理、瓜生委員、神田委員、丹沢委員、 桜井委員、土屋委員、蜂谷委員、林委員、前田委員

文部科学省

小田原子力安全監、青山原子力安全課長、吉田原子力規制室長他 

6.議事要旨

(1) 吉田原子力規制室長、代谷座長から開会の挨拶

(2) 事務局から配布資料の確認

(3) 前回(第10回)検討会の議事概要の確認
意見なく、了承された。

(4) 省令改正に係るパブリックコメントの結果について
口頭にて、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。(→は事務局からの回答。以下同じ。)

○ 代谷委員 省令案の段階で事業者に説明する予定はあるか。また、11月の事業者連絡会では、何か意見は出たか。
→ 省令について、通知や説明会を通じて理解を得たいと考えている。また、前回の事業者連絡会では特段の意見はなかったが、次回の連絡会では、より具体的な運用まで説明したいと考えている。

○ 代谷委員 省令については、事業者が細かいところまで確認できなかったということも考えられるので、省令が実のある運用となるよう、事業者との十分な意思疎通を図られたい。

(5) 原子力施設の運転・操作段階における品質保証の取り入れについて
資料11‐2に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 前田委員 保安活動そのものに物作りは無いが、製品実現という観点では、製品ととらえて良いのではないか。また、品質保証の要求事項のうち、インフラストラクチャーと作業環境については、事業者の判断に任せているが、品質保証の観点からは一番大事な部分ではないか。
→ 「製品」の表現のしかたについては、今後有識者の意見を聞いて検討したい。また、要求事項については小さな事業者でも対応できるようなイメージで考えており、事業者の判断にゆだねる方向としたい。

○ 林委員 要求事項のうち、品質目標を削除しているが、むしろ重要なのではないか。
→ 品質目標では、例えば「原子力安全の達成」といったタイトルとなるため、具体的な実現方針を示した品質方針の方に力を入れたいと考えている。有識者に相談したいと考えている。

○ 桜井委員 安全規制の上で、品質保証の保安活動の対象範囲には、保安規定に含まれる保安活動以外の保安活動も含むのか。
→ 安全規制上は、品質保証の保安活動の対象範囲は、保安規定に含まれる保安活動のみということになる。

○ 越塚委員 前回検討会の資料では、文科省では施設に多様性があるため、独自性にゆだねるという文章になっていたが、もっと要求事項が増えるということか。
→ 品質保証計画書については、保安規定の外にあるものなので、保安規定の認可の対象にはならないが、記載内容に差異が生じないよう、ガイドラインとして標準品質保証計画書の案を文科省が作り、事業者説明会で例示しようと考えている。

○ 丹沢委員 品質保証活動とは保安規定の遵守と理解しているが、品質保証計画にどの程度まで盛り込むかを事業者が考えるのは大きな負担。そういう意味で、品質保証計画書について事業者と意見交換する予定はあるか。
→ 品質保証計画書での要求事項については、標準的なものを用意したいと考えている。それをもって事業者説明会で提示したい。

○ 越塚委員 標準的なものという意味では、「事業者によってはこの規定は不要」といったものを含む手本が望ましい。
→ 品質保証計画書の標準書では、必須事項、オプション事項、記述が不要なところといった3つ程度のグループ分けで示したいと考えている。

○ 前田委員 資料11‐2の5ページの別図2のPDCAのD(実施)にある「保安活動実施計画に則った実施」というのが保安規定に対する活動と理解して良いか。
→ 良い。

○ 土屋委員 方針と目標については、変わらない方針と日々改善する目標とするのが一般的ではないか。また、一般人にとっては、整った作業環境がアウトプットとしての品質保証につながるという意識があるのでその点を考慮されたい。また、要求事項について、適用、適用外という範疇のほかに、入れることが望ましいという意味で、推奨という項目を入れた方が良いのではないか。

○ 林委員 文章化された手順を要求することは良いと思われる。また、内部監査の手順については、内部監査の状況を保安検査で確認する観点から要求事項として入れるべきと考える。

○ 代谷座長 現段階でこれ以上の詳細な検討は難しいと思われる。今後、標準品質保証計画の例を示してもらった上で再度議論したい。
→ 品質保証の専門家としての立場、事業者としての立場、一般人としての立場でそれぞれ意見が違うため、それらをうまくまとめ、次回、標準品質保証計画書案という形で例示したい。

(6) 解体中の原子炉施設に対する安全規制について
資料11‐3に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 代谷座長 今の説明は、原子炉の要件を定義すると、解体中の原子炉で一定の機能が失われたものは、原子炉とは見なさないことにするという説明であったと理解した。
→ 原子炉等規制法は分野別に規制をしており、原子炉が解体され原子炉でなくなったとしても、その規制を外すことはできないが、合理化することはできると考える。

○ 丹沢委員 解体炉の安全規制の検討においては、原子炉主任技術者の法的位置づけをどうするかということと、残留放射能の定義を全放射能量とするかBq/tとするかということについても検討する必要がある
→ 炉主任については、解体炉の定義をしっかり結論づけてからその必要性を検討したい。残留放射能については、廃棄物のように濃度が薄いものがたくさんあるものの規制が厳しくなるのはおかしいので、密度・濃度が重要になると思われる。

○ 桜井委員 解体中の原子力施設では、原子炉でも使用施設でも、ただ放射性物質を閉じこめておくとか、機能を隔離して保存しておくということなどは共通であり、例えば、解体中の原子炉施設といったカテゴリーもあっても良いのではないか。

○ 代谷座長 炉施設と使用施設の2つで話が済むのであれば新たにもうける必要もないかもしれないので、そこも含めて検討すべき。

○ 越塚委員 解体炉の話は、核燃料の使用済燃料の行方とも絡むため、その点にも留意すべき。核燃料を引き取ってくれるところがないのに、解体だけを議論しても意味がない。
→ 頂いた意見を踏まえ、検討したい。

(7) 原子力施設等の事故・故障に係る事象の国際評価尺度(INES)の運用について
資料11‐4に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 代谷座長 規制検討会のもとにINESワーキング・グループを設置することは認めるが、本検討会はあくまでも情報を頂くだけという形とし、ワーキング・グループは独立して運営されたい。

○ 前田委員 この検討によって、プレス発表が遅れるおそれはないか。
→ 事故が発生した場合には、文科省が暫定値を直ちに報告することになるので、プレス発表が遅れることはない。ワーキング・グループでは、文科省が決めた暫定値が適切かどうか検討していただきたいと考えている。

(8) 放射線審議会基本部会報告書「自然放射性物質の規制免除について」の概要について
資料11‐5に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 越塚委員 これまで、原子力施設や使用施設などごく限られた範囲が対象だった原子力の規制が、今後一般のものにも広がることになるが、どのように考えているか。
→ 本報告書をまとめるにあたっては、各事業者や消費者団体にも説明をしてきているが、これまで規制をしていなかったところに規制をすること、実際には毎日自然に放射線を浴びていること等あるため、丁寧に対応していきたい。

○ 蜂谷委員 BSS(国際基本安全基準)では10μSvとなるが、現在は1mSVを使っているという点について、今後いかに説明していくかが重要である。

○ 代谷座長 例えば、飛行機でのニューヨークの往復では、14μSv程度の放射線を浴びるがそちらは問題ないのか。また、医療関係では、少量核燃料物質を電子顕微鏡の試料作成時に用いている例もあり、十分な検討をする必要がある。

○ 土屋委員 消費財の中に含まれている放射性物質の取り扱いが一番難しい。また、一般の方の放射線に対する知識は全く違うところにあるため、慎重に進めることが重要である。

○ 神田委員 一般の方は量的なことよりも、被ばくしたかしないかを気にする。医療被ばくではベネフィットがあるかないかも問題にする。消費財に関しても寝具で気持ちよく寝られたら、多少のリスクよりもベネフィットが上のケースがあるかもしれない。規制することで新たなストレスをかける可能性もある。
→ 本日の議論を踏まえ、品質保証計画書や少量の核燃料物質に対する規制などをもっと詰めていきたいと考えている。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

担当:杉山、岡村
電話番号:03‐5253‐4111(内線7165)(内線7178)
ファクシミリ番号:03‐5253‐4037

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)