研究炉等安全規制検討会(第12回) 議事要旨

1.日時

平成16年2月13日(金曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省ビル5階 科学技術・学術政策局会議室

3.議題

  1. 解体中の原子炉の安全規制について
  2. 省令の改正について
  3. 品質保証の取り入れに伴う品質保証計画書の作成について
  4. 第1回INES評価WGの開催結果について

4.配付資料

  • 資料12‐1 第11回研究炉等規制検討会議事概要(案)
  • 資料12‐2 解体中の原子炉の安全規制について
  • 資料12‐3 試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規則及び核燃料物質の使用等に関する規則の改正について
  • 資料12‐4 品質保証の取り入れに伴う品質保証計画書の作成について
  • 資料12‐5 第1回INES評価WGの開催結果について

5.出席者

委員

代谷座長、瓜生委員、桜井委員、高橋委員、丹沢委員、土屋委員、蜂谷委員、林委員、前田委員、山中委員

文部科学省

青木原子力規制室長、恒吉運転管理・検査管理官他 

6.議事要旨

(1)  代谷座長から開会の挨拶、青木室長から赴任の挨拶

(2)  事務局から配布資料の確認

(3)  前回(第11回)検討会の議事概要の確認

訂正などを求める意見はなく、了承された。

(4)  解体中の原子炉の安全規制について

資料12‐2に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。(→は事務局からの回答。以下同じ。)

○ 丹沢委員 原子炉の設置、解体、事業の廃止という一連の流れに係る法律的な体系をもう一度整理することが必要である。また、今回示された個別の方針は、現行の法律の枠内の話になっているが、原子炉等規制法上の観点からそれぞれの規制の要否について検討することが重要である。さらに、廃棄物の引取先がないという現状を踏まえつつ、クリアランスレベルなどの廃棄物の取り扱いについても、並行して検討すべきである。

○ 代谷座長 これまでは、現行法令の枠組みの中で議論されてきたが、解体中の研究炉が増えてきていることもあり、抜本的な議論を進める必要がある。
→  頂いた意見を踏まえ、検討を進めたい。

○ 丹沢委員 検討はステップ・バイ・ステップで積み重ねていくことが重要である。クリアランスの話についても今から検討を開始すべきである。

○ 代谷座長 特に研究炉については、解体届が多く出されてきている現状を踏まえ、解体炉の規制については、文部科学省が中心になって検討を進めるべきである。

○ 瓜生委員 全体のタイムスケジュールや個別の検討、当面やるべき検討の時期について示されたい。
→  全体のスケジュールについてはまだ未確定であるが、例えば、解体炉の重要度分類を行ったうえで施設定期検査を合理化すること等は今からでも着手できると考えている。

○ 代谷座長 法改正が必要な部分は時間がかかると思われるが、その部分を示されたい。
→  主任者の要否の変更や保安検査の廃止については、法令改正を要する。定期検査の合理化や保安検査の合理化については、今の法令の中で検討することができる。また、解体に伴う廃棄物の取り扱いについては、原子力安全保安院との調整が必要である。ただし、規則の改正で済むものについては、保安院の考え方に干渉しない範囲で、文科省単独で検討できる。

○ 高橋委員 定期検査については、3.7TBq以上の場合には検査項目自体を不要とするとしているが、保安規定について定めるべき項目のうち、いくつかの項目については不要とするという理解でよいか。
→  保安規定については、現状においても、保安上該当する項目がなくなれば、保安規定の該当条文は削除されている。

○ 丹沢委員 3.7TBqというのは総量か。濃度で考える必要はないか。
→  政令16条の2対象の使用施設については、3.7TBq以上の使用済み燃料が対象となっている。施設検査や保安検査を要するか否かもこれで決まるため、総量としての放射能量を考えた。

○ 代谷座長 炉規法上、最初から最後まで炉施設であれば炉施設、使用施設であれば使用施設の枠内での規制となっているが、例えば、炉施設を廃棄施設に変更するといったこともあり得るのではないかという議論が過去にあった。例えば、「原子炉とは」という条件を満たしていないものは原子炉ではないので、原子炉として扱う必要はないと考えられる。そういった観点でも検討を進めてもらいたい。次回は、本日の意見を踏まえ、タイムスケジュールを含めて提示して頂きたい。  

(5)  省令の改正について

資料12‐3に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 代谷座長 後ろについている参考資料についても説明願いたい。
→  これは、一般向けに、今回の制度の改正を多少分かりやすくしたものである。例えば、品質保証のPDCA(計画、実行、評価、改善)の仕組みなど、制度を新しく改訂したことによって何が変わったかということを説明している。本日は規則の改正の説明であったため、条文を中心に説明させて頂いた。

○ 高橋委員 配付資料のうち「報告基準の明確化」の中で、線量限度以外の報告については通常の作業で想定されるような場合の5ミリシーベルトということではないということを明確にしておいたほうが良い。
→  了解した。  

(6)  品質保証の取り入れに伴う品質保証計画書の作成について

資料12‐4に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 高橋委員 品質保証計画書自体は国の認可の範囲外という理解で良いか。
→  範囲外である。

○ 桜井委員 「人的資源」の「力量,認識及び教育・訓練」について「参考としない」とした理由は何か。
→  保安活動に関しては、省令の中で「保安規定に定めること」となっており、「力量,認識及び教育・訓練」は省令に定められている内容が該当するため「参考としない」とした。ただし、事業者の判断で入れることは全く問題ない。

○ 桜井委員 「所長のコミットメント」のところで、「資源が使用できることを確実にする」となっているが、「資源の運用活用」については「‐」になっている理由は何か。
→  「製品の実現」では組織の形態に応じて適用しないということができるが、すべてをトータルに行って初めてシステムとして成り立つものであり、例えば個別事項で「資源」という項目を抜いたら、全体的に「資源」に関する部分は抜け落ちるかというとそうではなく、システムのところで点在している。そのため、6番の「資源の運用管理」というところでは「参考としない」となっているが、5とか4とか、部分的には出てくるところがある。この点については、本来の参考としているJISQ9000と相違の無いようそのままにしている。

○ 桜井委員 実際に適用していく中で事業者が詰めていけばよいということか。
→  そのとおりである。

○ 前田委員 ISO9001の2000年版を参考したとのことであるが、現在検討されている2005年版への反映について何か考えているか。また、「‐」と「参考としない」との違いについて説明されたい。
→  省令ではISO規格を要求しているわけではないので、ISO規格の変更にあわせて品質保証計画書を事業者が変える必要はない。事業者の判断で適宜取り入れれば良いと考える。また、「‐」、「参考としない」等の記載については誤解のないよう見直したい。

○ 瓜生委員 「4.2.1 一般」については省令及び通知に該当し、品質マニュアルを定めることとなっている。一方、「4.2.2 品質マニュアル」は推奨になっており、整合がとれないのではないか。
→  「品質マネジメントシステムについて確立された“文書化された手順"」を要求してしまうと、必ずマネジメントレビューや内部監査、是正・予防処置等の手順書をつくらなくてはいけないということになってしまうが、文書化自体を省令の中で求めているわけではないので、ここでは外している。

○ 丹沢委員 品質保証の用語とこれまで原子力規制で使われてきた用語にはギャップがあるため、今後、品質保証計画書案を見直すにあたっては、行政庁と事業者間での定義の統一や取り入れやすい用語に改めるなど工夫をしてほしい。

○ 瓜生委員 言葉の定義については、事業者自身が定義するものと考える。
→  もともとISOをJISに日本語訳するときにも少し言葉が変わってしまって、さらにJIACで変わってしまっているが、今回は、JIACのものをそのまま使った。事業者の理解を考えれば、例えば用語集のようなものを作ることも一案と考えている。

○ 丹沢委員 用語については組織が決めることだということは全くそのとおりであるが、特に大きな組織については、全体の統一性が求められるため、十分に意思疎通を図ることが重要。

○ 代谷座長 用語集というものは、場合によっては却って導入の弊害になるため、作る必要はないと考える。例示集のようなもので良いのではないか。

○ 高橋委員 「製品」という用語について、保安活動を含むものと定義するとしているがわかりにくい。事業者の判断で、「製品」という用語を用いないで、保安活動や安全といった用語を用いれば良いという理解でよいか。
→  ご指摘の点について、「製品」「品質目標」といった言葉の意味や、事業者自身が言葉を定義しても良いのだということを明確にしたいと考えている。

○ 土屋委員 今回事業者に提示された品質保証計画書の位置づけが分かりにくい。また、マネジメントの研究をしている人たちは経営者のコミットメントの重要性を指摘しているが、提示された内容ではどの程度コミットすべきかが不明確ではないか。
→  今回要求しているところは、「★」印の、省令で求めている部分である。

○ 土屋委員 「★」はシステムをつくることの要点であって、それを効果的に動かすために「●」のところも考えるということだと理解したが、今後のシステムの運用を考えると品質保証といったことを事業者と十分に意思疎通しておくことが重要である。特に、説明を適切にしておかないと誤解を招くため本来の目的に焦点を当てて話を進めることが重要である。
→  品質保証計画書の参考文書は、今回の省令改正の中で、事業者が迅速に対応できるよう、文部科学省が例示として示したものである。見直しについては、今後、必要に応じて進めていきたい。

○ 高橋委員 事業者は当面法令上要求されている最低限のものをまず作っておいて、逐次改訂すれば良いという考えか。
→  そのとおりである。

○ 代谷座長 品質保証の取り入れについては、今後、事業者と十分に話合いながら改善されたい。また、規制そのものの品質保証も計画されたい。  

(7)  第1回INES評価WGの開催結果について

 資料12‐5に基づき、山中委員からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 代谷座長 暫定値が示されているが、その妥当性については、WGで評価していただくものだろうと考えている。

(8)  次回の予定について
→  次回の検討課題としては、解体炉の安全規制等であるが、法制度上の話も含めて検討する必要があるため、次回開催は年度明けになると考えている。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

担当:杉山、岡村
電話番号:03‐5253‐4111(内線3915)(内線3922)
ファクシミリ番号:03‐6734‐4037

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)