研究炉等安全規制検討会(第10回) 議事要旨

1.日時

平成15年10月29日(木曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 別館10階 第6会議室

3.議題

  1. 試験炉規則及び使用規則の報告徴収に係る改正について
  2. 原子力施設の運転・操作段階における保安活動に対する品質保証の安全規制への取り入れについて
  3. 試験研究炉及び使用施設の「保守管理」及び「定期評価」について
  4. 少量核燃料物質の規制について

4.配付資料

  • 資料10‐1:第9回研究炉等安全規制検討会議事概要(案)
  • 資料10‐2:事故・故障に係る報告徴収の運用の解説について
  • 資料10‐3:保安活動に係る品質保証について
  • 資料10‐4:試験研究炉定期安全レビューの運用方針について(案)
  • 資料10‐5:少量核燃料物質の規制について
  • 参考10‐1:試験研究の用に供する原子炉等の設置、運転等に関する規制の改正について
  • 参考10‐2:核燃料物質の使用等に関する規制の改正について

5.出席者

委員

代谷座長、越塚座長代理、瓜生委員、小佐古委員、神田委員、高橋委員、丹沢委員、桜井委員、蜂谷委員、林委員

文部科学省

小田原子力安全監、青山原子力安全課長、吉田原子力規制室長他

6.議事要旨

(1) 吉田原子力規制室長、代谷座長から開会の挨拶

(2) 事務局から配布資料の確認

(3) 前回(第9回)検討会の議事概要の確認
配布資料10‐1について、11月4日までに確認して頂くこととなった。

(4) 試験炉規則及び使用規則の報告徴収に係る改正について
資料10‐2に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。(→は事務局からの回答。以下同じ。)

○ 林委員 火災の定義は、消防でいう行政的な定義と同じか。
→ 同じである。

○ 高橋委員 運転制限逸脱の運転制限の定義について、具体的にどの様な事か。 → 例えば、起動前点検で点検しているような項目が含まれるのではないかと思うが、詳細は検討中である。また、安全上の観点からも今後整理していく考えである。

○ 高橋委員 (6)1.の管理区域漏えいのところで、簡易な除染とあるが、判りづらいので簡易を削除したらどうか。
→ 適切で無ければ削除する方向で検討する。

○ 代谷座長 本件は、保安規定との兼ね合いで決まることが多く、例示することは難しいと考える。事業者の意見等も参考にしながら個々の除外規定を練り上げてほしい。

(5) 原子力施設の運転・操作段階における保安活動に対する品質保証の安全規制への取り入れについて
資料10‐3に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 桜井委員 品質保証計画も保安検査の対象になるのか。
→ 保安規定の書き方にもよると考える。現在、どういうふうに記述するか記述案の検討をしている。

○ 小佐古委員 1.品質保証体制の位置づけであるが、監査組織は外部組織でなくて良いのか。2.安全確保と品質保証の関連の議論が必要ではないか。3.品質保証体制の位置づけと同様に責任の明確化が必要ではないか。4.品質保証のガイドラインや指針を明示してほしい。

○ 代谷座長 小佐古委員の意見は全般的な話であったが、今までに議論してきたところである。経済産業省所管の原子炉と研究炉ではやはり大きな違いがあり、研究炉においては、現状の状況に於いても安全に動いており、そういった状況の中でどのようにしていくかを考えるのが良いのではないか。

○ 瓜生委員 品質保証取り入れのイメージ図で監査組織の有効性として監査組織自体のPDCAがあるが、監査組織のPDCAは国が見るように見える。これはかなり進んだ話であるが、理想形とも思える。ここまで踏み込まないと有効性、実際が本当に効いているかどうか確認できないのかという感じを持った。そこまで意図しているのか。
→ 将来的には、例えば、評価の中に安全監査だけということも1つの案として考えている。先ほど、小佐古委員から話があった中で、最初の監査組織の件については、内部監査ではどうしてもお手盛り的な問題があるため国が確認する。そうすれば、多少は監査の緊張感がわくのではないかと考えている。

○ 代谷座長 今までの議論の中では監査に対する検査を国がやれば、あとは事業者に任せてもいいのではないかという話が出ており、将来的にはそういう方向に行くのかという部分がある。すぐには難しいが、その方向で議論されている。

○ 越塚委員 保安規定と品質保証計画の関係が明確になっている点、保安検査との関係の点において、非常に踏み込んでいていいという感じがした。保安検査の評価制度に優良事業者とあるが、どの様なイメージか。保安検査で問題ない事業者というより、PDCAが機能している事業者が優良と考えられるので、この様な形で優良事業者の定義付けをするとうまく機能すると考える。
→ 難しい問題であり今後検討が必要である。本委員会等にかけてバランスのいい評価基準等を考えたいと思っている。

○ 代谷座長 越塚委員の意見はかなり重要な部分を含んでいると考える。事なかれ主義でなく、積極的に問題を改善していくアクションをとるというのが非常に重要と考える。上手くいけば、今までなかった取り組みになり、全体の安全にとっては向上する方向にいくと考える。 小佐古委員の4点の意見について、これは差し戻しではないと考えてよろしいか。

○ 小佐古委員 安全確保というのは、やはり安全の観点から保安規定を正確に定め、それを遵守しているかどうかを見ればいいということである。基本的には事業の足元を固めることがベースである。その仕組みを国がきちんと見るというところを、明確にメリハリをつければ、私は今の案でも十分だと考える。

(6) 試験研究炉及び使用施設の「保守管理」及び「定期評価」について 資料10‐4に基づき、事務局からの説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 高橋委員 最新の技術知見の反映状況に関する評価で最新の技術知見に照らし合わせると、10年、20年経つと新材料等技術開発によって改善の余地がでてくると考えられる、この点についてどう考えているか。
→ 本当に改善が必要であればやった方が良いが、現状のままでも特に問題なしと評価上判断されれば、現場対応等まで実施する必要はないと考える。また、その判断は事業者側と考える。

○ 代谷座長 必要なものを見過ごしてはいけないということである。

○ 小佐古委員 安全レビューの間隔(10年)や運用の区分(500kW)の数字の意味をもう少し説明したほうが良いと考える。また、安全レビューの間隔は時間経過も考慮し、10年、5年等考える必要があるのではないか。
→ 10年は目安である。また、運用区分は、水冷却型試験研究用原子炉施設に関する安全設計指針を参考に設定している。

○ 丹沢委員 設計指針で区分するというのは一つのベースであり、これはポイントだと考える。指針では3つのクラスに分けられているが、ここでは、出力区分を2つに分け、低出力炉と臨界実験装置を同じ区分にしている。概ね適切であると考えるが、原子炉の特徴を踏まえた計画が重要と考える。

○ 代谷座長 指針で3つのクラスに分けられているものを2つに分けた理由は単純に定常出力の観点からだけで良いか。NSRRは瞬間出力と定常出力に差があり、検討を要するのではないか。

(7) パブリックコメント(案)の説明
パブリックコメント(案)について事務局より説明の後、以下の点について意見があった。

○ 越塚委員 何回か出た意見ではあるが、自治体との関係について、パブリックコメントにおいては、当然、自治体も見るのでもう少し考えるということは今回しないのか。
→ パブリックということで自治体の方々も含めた形でということであるが、具体的に例えば報告聴取に当たっては、先行している経済産業省と文部科学省と報告の具体的な解説で解釈が異なることは避けてくれというコメントを頂いている。必要に応じて通常連絡している関係機関には、説明していきたいと思う。

○ 小佐古委員 これは行政庁の判断ということなので、希望であるが、自治体や利害関係者と意見交換が必要ではないか。また、最低限パブリックコメントを求めている旨関係ホームページ等で知らせることは必要ではないか。

○ 代谷座長 できるだけそのような形でお願いしたい。

(8) 少量核燃料物質の規制について
資料10‐5に基づき事務局より説明の後、以下の点について意見があった。

○ 小佐古委員 1.原子炉等規制法で国際規制物資は数量(グラム)で規定している。一方、BSSではベクレル(Bq)等で規定しており、放射線安全性の観点等を考え、どちらで規定するのか慎重に議論してほしい。2.現行の炉規法は数量の大きなところの規制であり、少量の規制とは性格が異なるそのことを認知した上で今後議論してほしい。3.少量核燃料物質については、安全の観点からの教育がされていないので、是非お願いしたい。4.輸送の規則との関係があり、規制レベルの数値は慎重に決める必要がある。

○ 代谷座長 かなり重要なポイントを言われたと思う。初めは安全の方から議論されてきて、国際規制物資、核燃料、核原料等が混然一体となって走って、今は原子炉等規制法の下でどうかという議論になっている。この様な形でいいのかという議論が必要になる。本来、これは天然の物質なので、検討する必要はあると思う。

○ 高橋委員 核燃料物質の使用等に関する規則第3条のただし書きの技術基準の適用除外をしたことはあるか。
→ 前例はない。

○ 林委員 濃度規制に関しては考慮しないのか。
→ 現行法令に入っていないので考えていない。

○ 神田委員 リスク&ベネフィットを考え国際基本安全基準(以下、BSSという)取り入れが事業者に受け入れられるよう、定量的に説明する必要があるがあるのではないか。

○ 小佐古委員 規制側にベネフィットは無いと考える。使用者側には明確な基準を明示し、合理的な説明が必要である。また、国際的な動きの中での問題もあり、ベネフィットだけでは決められない面もあると考える。

○ 神田委員 リスク&ベネフィットについて、リスクはどれだけ規制をかけることによって社会的負荷が生じるかということ。それに対してベネフィットは、社会的なこと以外にも使用者、ひいては国民の健康の確保だと思うので、その辺がある程度定量的に出てきたほうが、この規制の必要性が理解しやすいと思っている。

○ 小佐古委員 BSSは保守性を持ったシナリオに基づいて計算されたものであり、低いレベルの線量の担保というのはできているということになる。また、利用の実態等を調査し、合理的な管理を目指すべきだと考えるが、専門家の理解が進んでいない。専門家の教育と情報提供もきちんとやるべきではないかと思う。
→ 事務局より核燃料物質の定義の中に濃度の基準はないと説明したが、一応、濃度の概念はある。

○ 小佐古委員 例えば、1回生成されてウランを取り出すということになると、これは核原料ではなく、核燃料物質ということに間違いなくなってしまう。そういうものを再度薄めて使っているケースが幾つかあるので、ウランガラス、溶接棒などの一般消費財も含めて考える必要がある。
→ 定義上からは原子炉の燃料として使えない限りは、核燃料物質ではなく、核原料物質の範疇に入るものと認識したほうがいいのではないかと考えている。現在の核燃料物質は原子炉の燃料ということで放射線障害の防止という観点より、臨界や核燃料として使えるという視点でとらえているという向きがある。今回、基準レベルの引き下げるという点で全体の法体系の点でも検討を加える必要があると考える。

○ 代谷座長 今日のコメントを含め、調査等今後さらに検討を進められたい。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

担当:杉山、長谷川
電話番号:03‐5253‐4111(内線7165)(内線7178)
ファクシミリ番号:03‐5253‐4037

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)