研究炉等安全規制検討会(第14回) 議事要旨

1.日時

平成16年 8月 5日(木曜日)10時~12時

2.場所

三菱ビル B1階 M1会議室

3.議題

  1. 研究炉等に対する安全規制のあり方について
  2. クリアランス制度の整備について
  3. 解体・廃止に係る制度の整備について
  4. 物質防護対策の強化について
  5. 自然放射性物質・少量核燃料物質の安全管理の考え方について
  6. その他

4.配付資料

  • 資料14‐1 第13回研究炉等安全規制検討会の概要(案)
  • 資料14‐2 研究炉等安全規制検討会の当面の進め方について
  • 資料14‐3 試験研究用原子炉施設等におけるクリアランスレベル制度の検討について
  • 資料14‐4 原子力施設の解体、廃止措置に対する安全規制について
  • 資料14‐5 核物質防護対策の現状と今後の対応
  • 資料14‐6 自然放射性物質を含む物質及び少量核燃料物質の規制について

5.出席者

委員

代谷座長、瓜生委員、桜井委員、高橋委員、丹沢委員、土屋委員、蜂谷委員、林委員、前田委員、

文部科学省

小田原子力安全監、青山原子力安全課長、青木原子力規制室長、黒村企画官、吉田運転管理・検査管理官他

6.議事趣旨

(1) 代谷座長から開会の挨拶、吉田運転管理・検査管理官より赴任の挨拶。

(2) 前回(第13回)検討会の議事の確認
資料14‐1に基づき、事務局より説明。
訂正等を求める意見はなく、了承された。

(3) 研究炉等安全規制検討会の当面の進め方について

資料14‐2に基づき、事務局より4つの議題について12月を目途に検討を行いたい旨の説明の後、次のとおり委員から意見、質疑があった。(→は事務局からの回答。以下同じ。)

○ 林委員 原子力安全委員会におけるクリアランスレベルの検討に、本検討会における検討結果が反映されるとの理解でよいか。
→ 原子力安全委員会と重複した内容について検討は行わない。当省所管の原子力施設について考えた場合考慮すべき事項について検討していただき、原子力安全委員会に提案したい。

(4) クリアランス制度の整備について

資料14‐3に基づき、事務局より説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 瓜生委員 資料によれば、クリアランスレベルの検認は、第1段階においては事業者が策定する「対象物の測定・判断方法」の妥当性確認(認可)、第2段階においては認可を受けた方法に基づいて測定した記録の確認となっているが、第2段階は結果である記録の確認のみでよいのか。
→ 保安院における小委員会の報告によれば、基本的には記録に基づく確認とし、場合によっては抜き取りによる実施状況確認を行うことを考えていると解釈できる。また、認可された対象物の測定・判断方法が高い信頼性を持って機能するための品質保証体制の確立を求めており、あわせて確認するのではないか。

○ 土屋委員 第1段階において品質保証体制の確認を行えば、その後は事業者がその品質保証体制に基づき実施することで問題ないというシステムなのか。
→ そう考えていいかと思う。

○ 代谷座長 実際は、保安検査やその他の検査等で品質保証体制に基づき実施していることを確認するであろう。

○ 前田委員 検認の第1段階における事業者と国との関わり合いがわかりにくい。
→ 検認の第1段階における事業者と国との関わり合いについては、保安院のエネルギー調査会でまとめられた報告書を参考として別途配付する。

○ 高橋委員 検認の方法等の制度そのものについては、従来と変更する必要はないと考える。本検討会では、試験・研究炉及び使用施設を考慮した場合、足りない核種があればそれを補うと行ったような検討を行えばいいのではないか。

○ 丹沢委員 核種について言えば、試験研究炉の場合、燃料さえ搬出すれば軽水炉において対象となっているCs等はあまり重要核種に当たらないと考える。Al系についてはほとんど数年でなくなってしまう。ユーロピウム等については不純物としてある程度のレベルに達する可能性があり、不純物について考慮することは重要であると考える。
 また、クリアランスレベル制度は、早めに導入する必要があると考えている。
 国が測定・判断方法を認可し、その測定結果についても確認するということは絶対必要であると考えるが、問題は具体的な運用方法である。

○ 代谷座長 やり方、判断方法等の具体的な部分については本検討会の議題ではないと考えており、それについては別の組織で検討いただきたい。

 当検討会においては、規制の仕組み等を議題として、規制側が出す案について検討を行う形で進めたい。その方が非常に議論しやすい。
→ これまで実用炉等において考えられた制度を仮に導入した場合、機能するのか、現在の制度で良いのか、違う点があるならば何を考慮しなくてはいけないのかという観点から御意見をいただき、制度設計に反映させたい。

○ 桜井委員 資料において、検討課題として原子炉格納建家等の建築物の再利用があげられているが、本議題の検討課題とするのか。また、どういった方向で検討しようとしているのか。
→ 原子炉建家をそのまま他に転用する事例をいくつか聞いており、その場合のシナリオについて検討すべきであると考えるが、原子力安全委員会において検討されるかわからないので本検討会で検討したい。
 また、クリアランスレベルの話については、規制値といった形で国が何らかの形を示さねばならないと考える。確認方法等については事業者判断であるが、少量の放射性物質に対し時間と労力をかける方法での実施は難しいため、実際に担保出来る方法を考えなければならない。
 本検討会の委員の方々は事業者である方もおられるので、ご提案いただきたい。

○ 代谷座長 建築物を転用する場合、なぜクリアランスレベル制度に係るのか違和感がある。解体や撤去等の建築物が形を変える場合に係るのではないか。
 例えば、原子炉建家をそのままRI施設として利用するのであれば、管理基準を満たせば使用できると考える。実際に、試験研究炉においてはそのような再利用が多いのでは。
→ 例えば原子炉本体を撤去しその部屋を再利用する場合、本体撤去の時にどこまでをクリアランスレベルの対象として扱うかについて検討すべきかと考える。低レベル等の放射性物質として取り扱う部分とクリアランスレベル以下として取り扱う部分の仕分けにおいて、クリアランスレベルの意味合いが出てくると思われる。ここでの再利用とは、物理的に撤去する物を対象としており、原子炉建家をRI施設に転用という場合は、クリアランスレベルの話ではないと考えている。

○ 丹沢委員 そういった内容であれば、廃止措置の内容であると思う。
→ 放射性廃棄物でない廃棄物として取り扱った事例が過去にいくつかあるので、建家の再利用について検討する際は、その考え方と組み合わせて検討を行う必要があると考える。

(5) 解体・廃止に係る制度の整備について

資料14‐4に基づき、事務局より説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 高橋委員 原子炉の解体届と廃止届の関係をもう一度説明してほしい。
→ 現在の法規制においては、通常の場合、まず炉規法第38条に基づき解体届を提出し、その後第65条に基づき廃止届を提出することとなっており、廃止届を提出するまでの間、定期検査、保安検査、炉主任選任の規制を受ける。
 一方、設置許可が取り消された場合、第66条に基づき廃止の措置報告を行い、第38条に基づき解体届を提出することとなる。また、原子炉設置者でなくなるため、原子炉設置者に課せられる定期検査、保安検査、炉主任選任の規制が係らないという解釈になる。
 現状においてはこのような事例が発生していないので実務上問題ないが、論理上の整合性を図ると共に、廃止段階における規制について検討を行う必要があると考えている。従来通り廃止段階における規制が運転段階と同じ規制では、過剰になっている部分があるのではないか。
 また、事業所に複数の施設がある場合についても結論が出ていないため、今までの経験を考慮し、具体的な制度に展開していきたい。
 必要な場合は法律等の改正も考えている。

 ○ 丹沢委員 今後の検討課題として2,3提案したい。
 原子炉施設の廃止措置においては、原子炉の運転の停止措置をとることから始まるが、法律上は解体届という形となる。従来から気になっていたが、原子炉施設の廃止に当たって解体届という言葉が適切か。「解体」は廃止措置の一つのオプションであり、一部であると認識している。まず、原子炉の運転の停止手続きを行った後、廃止措置の計画を進める。
 次に、解体届が対象とする範囲は、原子炉本体か原子炉施設かという話があるが、設置許可申請上は原子炉施設であり、その中に原子炉本体が含まれる。これらについても整理をした上で検討していただきたい。
 また、災害の蓋然性の考慮についてであるが、設置許可の4要件の1つとして、最も重要である災害防止がある一方、解体炉に対し設置許可当初の災害防止の要件をそのまま適用するかについては、現在の法規制においては必ずしも明確ではない。
 原子炉の設計運転段階においては、安全審査により災害防止の要件を満たしているかを審査し、運転段階では保安規定を定め災害防止に取り組んでいるが、廃止段階においては、災害の蓋然性がなくなることから、災害防止の要件が必ずしも必要かどうか考える必要がある。むしろ、放射線障害防止を要件とする方がよいように思われる。この点についても検討していただきたい。
 最後に、主任技術者の位置付け、定期検査及び保安規定、保安検査については、これまでの規制検討会において結論がある程度出ていると受け止めているが、その結論を考慮し検討を組み立てていただければと思う。
→ 災害の蓋然性を考慮することは、廃止段階、解体段階をいつの時点と定義するかという問題に依存するものであり、各段階における危険度について検討し合理的に制度設計したい。

○ 林委員 資料の中に、使用施設の解体、廃止措置も含めて検討とあるが、例えば解体届のような制度化も念頭にあるということか。
→ 解体届とは違うものとしたい方向にあり、ご指摘の通り、まず廃止措置から始まると考えている。
 また、16条の2に該当する使用施設の場合は保安規定並びに施設検査及び保安検査の規制対象、非該当の使用施設の場合は規制対象外であるが、廃止段階に一律に大きな規制をかけるのも問題であることが考えられる。逆にプル燃のような使用施設を解体する場合、現在行っている使用施設の廃止の処置報告のみでよいのかという疑問もあり、使用の内容に応じた規制をかけるべきと考える。

○ 土屋委員 原子炉設置許可の取り消しを受けた者に対する規制が体系立ってないとの説明であったが、放射性物質を取り扱う施設の管理者としての規制はないのか。
→ 炉規法第66条が該当する。廃止の措置報告において一応担保されているが、それで十分なのかという議論はまた別にあると考える。

○ 代谷座長 許可の取り消しを受けた者及び廃止をしようとする原子炉設置者への規制については整理をする必要がある。また、解体と廃止についても整理すべき。先に解体があって廃止となっているが、解体も廃止措置の中で考えるべき話であると考える。

(6) 核物質防護対策の強化について

資料14‐5に基づき、事務局より説明のあと、次のとおり委員から意見、質疑があった。

○ 土屋委員 説明の内容は、検討すべき事項なのか、それともこれまでの背景なのか。

○ 代谷座長 今日は問題点についての説明であり、具体的な内容については今後の検討会で示されると認識している。
 今後、資料作成においては、報告と議題を明確にわけて示していただけるとありがたい。現在の資料ではわかりにくい。

(7) 自然放射性物質・少量核燃料物質の安全管理の考え方について

資料14‐6に基づき事務局より説明。特に委員から意見、質疑はなし。

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担当:小川、荒川
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