研究炉等安全規制検討会(第25回) 議事要旨

1.日時

平成20年7月2日(水曜日)13時30分~16時

2.場所

文部科学省 13階2会議室

3.議題

  1. 高経年化対策に関する評価の実施状況について
  2. 自然起源の放射性物質を含む物の利用に関するガイドラインについて
  3. 核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に係る国際原子力事象評価尺度(INES)の運用について
  4. その他

4.出席者

委員

代谷座長、寺井座長代理、瓜生委員、神田委員、小佐古委員、
桜井委員、 丹沢委員、土屋委員、蜂谷委員、林委員、前田委員、山中委員

文部科学省

川原田原子力安全監、野家原子力安全課長、
小原原子力規制室長、 吉田保安管理企画官、
南山運転管理・検査管理官、天野安全審査調整官、
戸ヶ崎原子力規制室長補佐 他

5.報告事項

・核物質防護の強化に係る法令改正後の対応状況について

・核燃料物質使用施設における放射性廃棄物の管理状況の報告について

・既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性の評価の実施計画書等について

・火災防護審査指針の改訂への対応状況について

・京都大学原子炉実験所(KUR)の低濃縮化について

・日本原子力研究開発機構(JRR‐3)におけるクリアランス認可の状況について

・平成19年度に発生した事故・故障事例について

・事故・故障事例のINES正式値の確定について

6. 配布資料

資料25‐1 第24回研究炉等安全規制検討会議事概要(案)

資料25‐2 文部科学省所管の原子炉施設の高経年化対策に関する評価の実施状況について

資料25‐3 「自然起源の放射性物質を含む物の利用時の被ばく線量測定及び措置に関するガイドライン」について(案)

資料25‐4 核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に係る国際原子力事象評価尺度(INES)の運用について(案)

資料25‐5 核物質防護の強化に係る法令改正後の対応状況について

資料25‐6 核燃料物質の使用等に関する規則の改正について(放射性廃棄物管理状況報告)

資料25‐7 既設試験研究用原子炉施設の耐震安全性の評価の実施計画書等について

資料25‐8 「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針」の改訂及び文部科学省所管の原子力施設における対応状況について

資料25‐9 国立大学法人京都大学原子炉実験所(研究用原子炉)の原子炉設置変更(燃料の低濃縮化)に係る承認について

資料25‐10 日本原子力研究開発機構におけるクリアランス認可申請について

資料25‐11 平成19年度に発生した事故・故障事例について

資料25‐12 INES正式値の確定について(平成19年度上期)


参考資料1 研究炉等安全規制検討会構成員(平成20年6月1日現在)

7.議事要旨

(1)はじめに
 昨年7月に着任された川原田原子力安全監より挨拶があり、その中で「本検討会をもう少し頻繁に開いた方がいい」、「もう少し情報を提供してもらいたい」というような意見を委員から忌憚なくいただきたいという考えを述べた。
 また、事務局側にも異動があり、小原原子力規制室長より紹介があった。

(2) 前回(第24回)検討会の議事概要の確認
 資料25‐1に基づき、事務局より説明後、了承された。

(3) 高経年化対策に関する評価の実施状況について
 資料25‐2に基づき、事務局より説明があり、以下のとおり意見等があった。

・ JRR‐4の溶接部の割れは経年に伴うものか。また、常陽の漏水トラブルのようなものはこの評価の対象になっているか。(小佐古委員)
→JRR‐4については、設計上で新たな知見として、黒鉛が照射によって縦方向に伸びたという事象が明らかになり、今詳細なデータをとっているところである。(事務局)

・ 高経年化対策の対象ではないという判断で整理されたものと理解した。(代谷座長)

・ しかるべき時期に調査結果を出していただき、委員に確認していただくことが必要かもしれない。(寺井座長代理)
→常陽についても高経年化対策の対象ではなく、マニュアルや日常の点検の類の中で今後改善を図るべきという結論である。(事務局)

・ この評価自体は評価した結果を踏まえ、10年後の評価の指示に反映させようという目的でやっているので、一巡した結果を踏まえ、もう一回考えをまとめる予定である。(事務局)

(4) 自然起源の放射性物質を含む物の利用に関するガイドラインについて
資料25‐3に基づき、事務局より説明があり、以下のとおり意見があった。

・ 放射性物質を扱っているという意識のなかった方に、放射性物質を扱っていることを急に言った場合、混乱するおそれがある。(代谷座長)

・ 自然界にあるものを緩いコントロールの下に入れる場合、相手が自然のものなので、IDを付けて取り締まるということはできない。大きな問題になるところをあらかた片づけるという方法論しかない。(小佐古委員)

・ NORMについては系統的なガイドラインを持っているのは日本が最初でベストを尽くしてきたが、引き続き広報活動が必要である。(小佐古委員)

・ 自然界のものであるから法律で規制するという形ではなく、業界を中心にガイドラインを用意し、混乱を回避する。(小佐古委員)

・ 法律で規制値を超えたものは厳罰に処すという方法はなじまないため、おおまかな線量区分という形になっている。今後、関係者がガイドラインについてよく理解し、自主基準として上手に回していくことが一番の理想型である。(小佐古委員)

・ NORMに関して事業所によってかなり被ばく線量が違うのではないか。(神田委員)
→今調査しているところで、それを踏まえて問題点の解決に役立てたい。(事務局)

・ ポイントは安全か危険かの境目が随分高いところにあるということである。もう既に低いレベルのリスクマネージメントを行っているので、リスクの大中小というような大づかみな把握が必要である。(小佐古委員)

・ 一般論の調査をやっても仕方ない。これから必要なものは各業界固有の事情全部である。業界の方が現実的かつ有効な方法がいかにあるか、業界別またはフェーズごとに決めることが極めて重要である。現状に合うよう、業界ごと背中を押してあげるという形のものがよい。(小佐古委員)

(今後の予定)
 問題点について整理を続け、ガイドライン等の改訂に向けては事務局レベルで進め、必要に応じてワーキングを開くこととなった。

(5) 核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に係る国際原子力事象評価尺度(INES)の運用について
資料25‐4に基づき、事務局より説明があり、以下のとおり質疑応答があった。

・ 国土交通省もINESの評価ワーキンググループのようなものをもっているか。(代谷座長)
→国土交通省にもあり、必要に応じて連携をとって評価値が一緒になるようにし、文部科学省から報告することとしている。(事務局)
→一緒に議論するということもあり得るということか。(代谷座長)
→そういう可能性もある。(事務局)

(6) 報告事項について

資料25‐5から25‐12に基づき、事務局より8件続けて説明があり、以下の通り質疑応答があった。

【日本原子力研究開発機構(JRR‐3)におけるクリアランス認可の状況について】

・ JAEAではスケーリングファクタ法という比例配分をするような方法を使っているか。(小佐古委員)
→規制対象核種の33核種すべての総和をとり、90%以上の核種を測定する。(事務局)

・ ばらつきについてはどのような理屈で統計処理をして均一性の確認をしているのか。(小佐古委員)
→ホットスポットについては100kgをとり、0.1Bqまで十分測れる検出効率をもったGeで測って、ホットスポットがないことを確認する。(事務局)

・ 廃棄物保管量の減容のために、今閉じてあるふたを開けて取り出して減容をしているという話もあった。(土屋委員)

・ 作業者として施設の中に入っている住民の安全性にも気を配り、そのことを他の住民に伝えていただきたい。(土屋委員)

【事故・故障事例のINES正式値の確定について】

・ INESのワーキンググループは最終報告書が出てから速やかに行うほうが、システムの信頼性を保つことができるのではないか。(小佐古委員)

・ INESについて、報告が随分遅い案件については残念である。何ヶ月以内には再発防止策を考えるように言うべきである。(土屋委員)

・ 模擬訓練の評価に時間をかけていたことについて、本当に実質的な訓練の成果があるのか。(土屋委員)

【核防護施設の強化に係る法令改正後の対応状況について】

・ PDCAは外の意見、第三者の意見をうまく取り入れるべきと思うが、第三者の目を入れられる可能性はあるか。(土屋委員)
→19年度は検査官が現場に行き、事業者の訓練に立会い、問題点について事業者自らが適切に評価をして、それを改善しているかということを評価した。治安機関の方にも協力していただきいろいろなコメントを事業者にいただいた。核物質防護の訓練自体が秘密の扱いであるため、治安機関からいろいろな指摘を受けることが第三者の意見にあたると考えている。(事務局)

【その他】

・ ウラン及びトリウムの扱いの規制免除のレベルがそれぞれ300g、900gということを放置するのはよくない。保安院側の話もあるとは思うが、ぜひ早い時期に見解を聞かせていただきたい。(小佐古委員)
→規制検討会の中で、規制下限値についてウランは1g、トリウムは3gが相当するということで、今後の規制の方向として検討する扱いになっている。いろいろ勉強を含めて、情報収集をしているところである。機械的に採用して良いのか、関係業界がどのくらい影響するのかなどをしっかり見きわめた上で、きっちり制度設計を含めてやらないといけない。規制検討会の中でまとめられていただいているということを踏まえて、検討を進めている。(事務局)

・ 従事者の被ばくの話については申請書に書かれている。(事務局)

・ PDCAについては限られた予算と限られた資源の中でみんなの意識を高くし、ベストなソリューションを探す、オプティマイズされたものを探すというところが落としどころであるかと思う。現場では苦しみながらやっているということを少しでも理解していただけるとありがたい。(小佐古委員)

次回の開催予定については、別途日程調整をした上で案内することとなった。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

担当:塚部、益田
電話番号:03‐5253‐4111(内線3922)

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)