参考資料3-3 独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所の応用試験棟における漏水に係る独立行政法人日本原子力研究開発機構からの最終報告及び文部科学省の対応について

平成21年11月26日
文部科学省科学技術・学術政策局
原子力安全課原子力規制室

1.経緯

 平成21年9月17日16時5分頃、独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所の応用試験棟の2階会議室(非管理区域)において、3階試験室2(管理区域)からの漏水が発見された。

 なお、本事象による従業員の被ばくや事業所外への影響はない。

 平成21年11月25日、原子力機構から原因及び対策について最終報告があった。

2.最終報告の概要

(1)原因調査

1 漏水箇所

 応用試験棟3階試験室2の排水配管接続部の塩化ビニル継手に亀裂を確認した。

2 漏水経路

 塩化ビニル継手の亀裂部からの漏水が、鋳鉄製継手と排水配管の外面を伝い、コンクリート床から剥がれた塩化ビニルシートと排水配管との隙間に浸入し、排水配管貫通部に充填したモルタルと3階コンクリート床との接合部及びコンクリート床のひびを通して、2階会議室(非管理区域)の床に至ったことを確認した。

3 漏水時期

 平成19年2月の点検においては、2階会議室吊天井内に漏水の痕跡等の異常はなかったことから、それ以降と推定した。

(2)原因

1 塩化ビニル継手の亀裂の発生原因

 塩化ビニル継手の外観観察の結果、当該亀裂箇所の肉厚に偏りが見られたことから、当該流しの設置工事で実施した当該塩化ビニル継手の加熱加工により偏りが生じ、機械的強度が低下していた可能性がある。このような状況で、平成15年に実施した補修工事により、当該塩化ビニル継手に機械的応力がかかり、亀裂が発生したものと考えられる。

2 コンクリート床面と塩化ビニルシートの隙間の発生原因

 排水配管の周囲と塩化ビニルシートの間に防水加工が行われていなかった。このことから、亀裂部からの漏水が排水配管の周囲と塩化ビニルシートの間から塩化ビニルシートとコンクリート床との接合面に染み込み、接合部が劣化したことが原因であると考えられる。

3 これまでの点検で亀裂等を発見できなかった原因

 当該排水配管接続部が床板を取り外さないと目視点検できない構造などのため、これまでの点検では、亀裂等を見落としていたと考えられる。

(3)対策

1 当該塩化ビニル継手の亀裂等への対策について

 当該塩化ビニル継手の交換、当該塩化ビニルシートの張替え、当該排水配管のコンクリート床への貫通部周囲と当該塩化ビニルシートの間の防水加工等を行う。

2再発防止対策 (応用試験棟内)

ⅰ)塩化ビニル継手の亀裂発生の防止対策

・  排水配管に係る工事の際には、必要な情報を的確に業者に伝えることを徹底する。

・  排水配管に係る工事後に検査を行う旨、点検マニュアルに記載する。

・  管理区域から階下の非管理区域へ貫通する排水配管を有する流しにある塩化ビニル継手の健全性を確認する。

ⅱ)コンクリート床面と塩化ビニルシートの隙間発生の防止対策

・  管理区域から階下の非管理区域へ貫通する排水配管の周囲と塩化ビニルシートとの間が防水加工されていない場合は防水加工を施す。

・  管理区域から階下の非管理区域へ貫通する排水配管を有する流しの床材の健全性を確認する。

ⅲ)これまでの点検で亀裂等を発見できなかったことへの対策

・  床板下の排水配管接続部及び床貫通部周囲の防水加工が容易に目視点検できるようにするとともに、注意表示を行う。

・  従業員に対して、排水配管系統及び本漏水事象に関する教育を行う。

・  排水配管の点検対象部位を点検マニュアルに定める。

(4)水平展開

 今回の漏水に係る対策を踏まえ、原子力機構内へ上記再発防止対策の水平展開を実施し、同種事象の再発防止を図る。

3.文部科学省の対応

 当省としては、原子力機構から提出された報告書の内容を検討した結果、その原因及び対策は妥当なものと判断する。

 今後、原子力機構内の対策及び水平展開の実施状況について、当省が実施する保安検査により確認する。

 他の許可事業者についても、同種事象が起きないよう、通知文書を発出し、注意喚起するとともに、必要な対応を求める。

 

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科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)