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資料3−4

試験研究用原子炉施設等におけるクリアランスレベル検認に係る技術的要件に関するこれまでの論点整理

平成17年4月13日
文部科学省
原子力安全課

1. はじめに
   試験研究用原子炉施設等のクリアランスレベル検認方法の技術的要件については、これまで第1回、第2回技術ワーキンググループにおいて議論が行われてきており、試験研究用原子炉施設等における特徴(例えば、積算出力が低いために放射化生成物の生成量が少ない)や、未整備のデータ(例えば、スケーリングファクターに関するデータ)等について検討課題が抽出された。
 今回、日本原子力研究所のJRR−2の解体廃棄物におけるクリアランスレベル検認に関するケーススタディが議論されることを踏まえ、これまで検討された事項に関し、留意すべき事項に関する論点の現状を以下のように整理した。

2. 検討項目毎の留意点
  1 クリアランスレベル検認の対象物
   
既に解体が行われ、貯蔵したものに対してクリアランスレベルの検認をどのように行うべきか。
すでに解体し、保管したものについては、現行の品質保証が必ずしもなされていない(発生場所、除染の有無等)。

  2 クリアランスレベル検認の基準等
   
2−1   評価対象放射性核種
放射性核種を評価するための対象物については、どの範囲まで検討すべきか。
個別の機器、配管等ごとに事前評価が行われる場合、審査に当たり留意すべき点、必要な情報はどういったものか。
  例;材質のバックグランドの元素濃度、炉心からの距離・炉停止後の時間、パルス運転と連続運転での評価の違い等
  事前評価においては、解体中の炉については、中性子測定等が不可能であるため、放射化計算等においても留意が必要。
JRR−2のように、9核種すべてが必要ということではなく、コバルト-60、トリチウムのみが放射能を支配する場合、残りの7核種の評価方法に留意が必要。
相対比率計算法の考え方に留意が必要。
  コンクリートの放射化影響がない場合、原子炉停止後の時間が長く、運転廃棄物について評価された核種について排除できることが明らかである場合、燃料破損の履歴が無く、当該事象を想定した核種が想定し得ない場合、構造材が評価対象の物と異なる場合等

2−2   放射性核種濃度の評価単位
重量が少ない場合に考慮すべき点
偏在、均質性に対する評価の方法
評価厚さの考え方

  3 放射性核種濃度の決定の方法
   
3−1   放射性核種濃度の決定に係る汚染形態の分類
放射化の影響及び二次汚染の影響がないとの担保に関する考え方

3−2   放射性核種濃度の決定の方法
使用履歴から、測定対象とならない重要放射性核種の妥当性について判断するための措置が必要。
  計算による評価は可能
  代表点を仮定しても、主要測定核種以外の核種の濃度が測定できないため、計算結果の妥当性を評価できない場合が想定される
主要測定放射性核種以外の核種の濃度は検出下限値であることが明らかであるが、その場合、計算値を記すことが妥当であるか、検出下限値を記すことが妥当であるか。
スケーリングファクターを得るためには、クリアランス対象とならない高い放射能濃度を持つ低レベル放射性廃棄物において、事前に核種濃度比を測定しておくことが想定される。ただし、コバルトとの濃度比が大きい場合、スケーリングファクターを得るためには放射能レベルがかなり高い部分での試料が必要。このため、試験研究用原子炉では試料が得られない場合がある。また、炉心からの距離、材質の違い等、スケーリングファクターを得るための技術的要件の整理が必要。

3−3   放射線測定装置の選定及び測定条件の設定、測定点の選定
民間基準等の導入の可否

  4 保管・管理
   
原子炉設置者等が判断したものは、国による確認までの間、管理区域内に保管する場合は、二次汚染の防止措置、管理区域外に保管する場合は別途管理区域と同等のエリア区分が必要。
確認後は管理区域外に保管するため、施錠などの隔離の方法に関する検討が必要。

  5 記録
   
測定値(実測値)、評価値(計算値、検出下限値、濃度比等)、測定誤差、検出器、校正等の記録も含め、必要なものを抽出
廃止措置に必要な記録
  除染の記録等、施設の廃止措置計画に必要な記録は適宜作成

  6 品質保証活動
   
保安規定での書き方に準拠
核燃料使用施設については、場合により保安規定の策定が義務づけられていない施設もあるため、そのような施設については、申請書における記載が必要

6−1   クリアランスレベル検認責任者
クリアランスレベル検認責任者に必要な要件等
  組織の責任者であること(責任の所在)、クリアランス制度に関する知識を有すること、現場の施設を熟知していること、放射線管理・放射能濃度測定等の知識を有すること、廃棄物処理法脚注1を含む関係法令に関する知識を有すること

6−2   教育・訓練
解体業者・事業者等に必要な資格要件または周知すべきと考えられる事項、教育・訓練の事項
  放射線管理・放射能濃度測定等の知識を有すること
  放射性廃棄物、産業廃棄物処分に関する知識を有すること

6−3   放射線測定装置の点検・構成、誤差の取扱い
民間基準の導入の可否。

  7 放射性廃棄物でない廃棄物の判断
   
核燃料使用施設(炉規法脚注2施行令第16条の2非該当施設)における放射性廃棄物でない廃棄物の判断に係る規制のあり方
  研究炉、核燃料使用施設(施行令第16条の2該当施設)は、保安規定に基づき実施することが可能であるが、核燃料使用施設(施行令第16条の2非該当施設)は、保安規定がない。

 
脚注
1): 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
2): 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

    以上


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