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資料4の2ページの下から4行目の「本ミッション」は、他の「本ミッション研究」と同じなのか、それとも違うのか。
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倫理的な調査研究については公募型とも関連するので、公募型でもミッション型でもない中立的なものとして考えており、全体としてこの研究プログラムの一環である。
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ミッション研究の中にそういう組織を作るのか。
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「脳科学と社会研究センター」の中に作ることになる。
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研究体制のところで研究統括のリーダーシップの下に多分野の研究者を有機的に組織し、関係機関との協力のもとに研究を進めるとあるが、具体的には誰がどのようにして決めるのか。
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ミッション研究の研究統括についてはJSTとして定められた手続に従って決定する。
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コホート調査を実施するにあたって、大学医学部、大学病院、大規模病院を介して調査を実施することを企画されているが、こういう所が容易に調査を了解してくれるものなのか。
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いきなり、こういう研究を実施して欲しいと言っても難しいと思うが、コホート調査に熱心な先生方がいるのであらかじめ話はしている。そういった先生方を中心に実施してもらうことを予定している。
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今述べたように、サンプリングの際に気心の知れた研究者のいる地域のみから選ばれるとすると、正確なサンプリングができるのか不安である。
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小児神経の医者は普段からかなり検診を行っている。そこの何人かの先生方と話をし、大体、五万人規模の都市もしくは区において、五百人規模の子供を集められる地域ということで何ヶ所か選抜した。
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それでは対象者にバイアスがかかっていて、特定のグループの方々だけを対象としており、必ずしも日本社会を代表していない可能性があるのではないか。
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全国を5ヶ所程度のブロックに分けており大体1つのブロックの中で更に2つの地域を選んで頂くということになっている。郊外と都市部に分けるといった形で出来るだけ偏りのない様に選ぶように考えている。かなり難しいことは事実ではあるが、現段階では許される範囲で概ね平均であると考えている。1年目の予備調査の状況を踏まえてパイロットスタディの段階で検討しようと考えている。
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今指摘の点については、統計疫学の専門家の方にも入って頂いて、可能な範囲で地域についてもサイエンティフィックに検討してもらいたいと考えている。
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これはやはり大変なオペレーションだという感じがする。一度走り出したらすぐに止めることは出来ない。
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今回特に倫理面についてかなり配慮していると認識している。昨年、ゲノム・遺伝子情報の分野で、ユネスコにおいて、ヒト遺伝子情報に関する国際宣言が出ている。その中では、こういうコホート的な研究を行う際は、一般的な方針を決める際に「社会的な合意」といったものも何らかの形で求めるべきではないかと謳われている。どういうプロセスがうまくできるのかということは、私共も検討しており、直ちに具体的な答えがある訳ではないが、対外的な説明やオープンな場での議論、特に今回、ある特定の地域となると、その地域全体の合意といった問題も出てくるので、その点についての検討も願いたい。
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指摘どおり透明性を重視しているが、全てを開示すれば良いかというと必ずしもそうではない。コホート群に対してバイアスがかからないように、どこまで基本的に透明性を確保するかということを、倫理の準備の中で検討している。また、遺伝子は当面取り扱わないことにしており、今回は非常に慎重な形で進めたいと考えている。透明性という点については、こういうことをやっているということをきちんと倫理審査委員会で許可を取った上で、外へ、出来るだけ広く出させてもらい理解を得るということを現在検討している。
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資料3の(3)中に、「上記の対象者全てを対象に以下の調査等を行う」とある3つ目の・に「行動発達検査(ビデオ記録による定量的解析を含む。)」とある。ソーシャルスキルということになると子供の集団をビデオで記録するのか、親子関係に限定するのか。集団ということになると、どういう形の中で集団を作ってビデオで記録するのか。
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時間的な問題があり、親子と医者あるいは親子だけのところを撮らせてもらおうと考えている。
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先程の説明の中で、期間と研究者の誰にお願いするのかということは分かってきたが、幼児を相手にした場合、非侵襲性といっても、その場合、親はすんなりこの研究に賛成するのかどうか。またその為には説明が必要だが、その場合に資料3の5の(1) ( )の「心理的過程を抽出しその神経基盤を成人において解析する。」とあるがこの意味がわからない。これをもって親に説明する時にどのように説明するのか。更に、疫学研究とあるが疫学の「疫」は“病だれ”だが、こういう研究は“病だれ”で良いのか。
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いわゆる非侵襲的な脳機能計測を全員に実施するわけではない。最初に親には通常の検診より少し複雑な検査を行うと説明する。これはおそらくケースコントロールスタディという形になると思うが、もう少し積極的に研究に協力しても良いという方がおられたら、そういう方々には更に詳細な調査、脳機能計測をさせて頂くためにもう一度お話をさせて頂く。それから、2番目の心理的過程を抽出しその神経基盤を成人において解析するという部分の指摘については、ソーシャルスキルをいくつかの課題に分けている。それが脳のどの部分で処理されているかということはまだ大人でも解明されていない部分がある。したがって、まず成人で調査し、ローカリゼーション等を見極めたうえで、それを子供に持っていこうということである。まだ研究途上のことなので結果は分からないが成人においてこういう研究を行うことも成果になるのではないかと考えている。“病だれ”に関しては他に良い言葉があればご教示頂きたい。
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「疫学研究に関する倫理指針」の中に疫学研究の定義があり、「明確に特定された人間集団の中で出現する健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を明らかにする科学研究をいう」とあり、健康に関する様々な事象ということであればこの研究も疫学研究のひとつでないかと考える。
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指摘どおり、「疫学」という言葉は親には使えないのではないかと思うので、検討していきたい。
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最初の段階でもし気になるケースがあった場合は病院を紹介した上でケースコントロールスタディとして協力をお願いすることがあるということは勿論話す。本当にそうなった場合はもう一度話をさせて頂きインフォームドコンセントを取る作業をする。最初の段階で全く言わないという話ではない。
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被験者にとってメリットなのかデメリットなのかという点だが、実は通常の検診よりもう少し詳しく検査するというところが基本となっているので、受ける側からするとよりしっかりと診てもらえるというメリットがある。おそらく実際にやると、そのメリットを被験者の方が感じられるケースがあると思う。必ずしも親にとってマイナス面だけではない。しかし、そうするとそれがバイアスになり得るので、その辺りを十分考慮して疫学者と連携を取ってデザインしなくてはいけない。
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実際に調査データを取得するのはどういう方なのか。またその方に対して法的な守秘義務はかかっているのか。
研究結果の開示については、ゲノム指針その他からいっても今こういう考え方が主流になっていると思われるので、そのこと自体については結構だと思うが、例えば、個人の資質に対する評価に関係する様な事項など、カウンセリング的なことまで配慮しなくてはいけないことになるのか。
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インフォームドコンセントを取得したり、親から色々なことを聞いたりすることは保健士が行う予定だが、出来れば医者が立ち会う。これを基本としたいと考えているが、それが困難な場合には心理の先生あるいは学生、この場合は事前に十分な研修を行うこととなっており、一定の技術を習得している者と契約することで守秘義務を課す形になる。カウンセリングの結果の開示については、個人データの開示なので当然話はするし、障害が発生、あるいはその可能性のある子供の場合も話をさせてもらう。この場合には、話をさせてもらった段階でコホート本体からは離れていってもらうが、ケースコントロールのグループとしてお付き合い頂ければと考えている。我々小児神経医はそういう事を常に行っているので別途カウンセラーが必要とは考えていない。
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そうなると開示請求があって、開示をする時にはまず神経医の先生が開示結果について、必要があれば説明して頂くという事か。
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それが基本となると考えている。
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問題があると離していくということだが、それだと集団としてのひずみが出てこないか。逆に離さなければならない理由とは何か。
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手続に従って地域の病院に紹介させてもらうケースもある。そのケースだとどうしても介入が入ってくるので、その際はケースコントロールのグループに入って頂くということになる。
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全体としては統計的な追跡調査をするということではいけないのか。
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ケースコントロールだが、その方はどうなったかということは何年か追跡し全体としてその中でフォローしていく。
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フォローとかそういう言葉の意味は統計的な追跡調査の中に入れていくという認識でよろしいか。
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今までよく行われている方法として、例えば何か問題が起きた時にその問題が起きた子供を今度は遡って調べる(いわゆるフォローアップスタディ)という方法があるが、そうすると何か起こった子供について調べるので非常に大きなバイアスがかかる。今回はバイアスがかかっていない状態でかなり大きな集団で前方位的に見ていくという意味で非常にサイエンティフィックなアプローチが出来る。
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介入の結果を検討するものではないという意味で申し上げた。
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先程高度発達検査については主に親子関係の行動を観察するとおっしゃったが例えば5歳から観察を始めた場合にはその子供が学校に行く年齢に達した場合、学校における行動も全く無視できないのではないか。
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学校に行ってそういう検査は行わず5歳以上の子供にも検査の場に来てもらう。
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だが、学校における行動の発達は、かなり重要なモーメントだと思うのだがそれは考えなくても良いのか。
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学校の先生からもそういう情報を集めるという意味であればそういうことも考えている。アンケート用紙はこれから作成していくがビデオ撮影とは少し違う。アンケート調査に関しては当然学校の先生方にお願いしても構わないと考えている。
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この計画だとトータルで五千人規模は少し多いような気がする。零歳、五歳に十歳もサンプルに含めて三千人位にするという方法もある。五千人規模を採ることに何か根拠はあるのか。
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逆に、五千人規模では少ないという指摘は当然あるものだと考えていた。当初我々が考えていた自閉症あるいはADHDの発生の頻度から考えると五千人規模でも一万人規模でも足りない。我々の主だった仮説だけで十個位挙げているのだが、そうすると本当は一万人位の規模が必要なのだが、現実にどの程度の数が集まってくるのか分からないので目安としてそれ位にさせてもらっている。
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私は少ないと思う。それは五千人規模であれば大丈夫だと思うが、人によって置かれている条件は様々なので、細分化していくと各セルの中はどんどん少なくなる。
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今の指摘どおりである。疫学的な発生の頻度を考慮して検討した結果この数字とした。米国は十万人規模でスタートしようとしている。米国の様に最初から大規模に実施するのではなくてコストパフォーマンスの高いコホートスタディができるように研究を進めていきたい。
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最終的には全国十ヶ所程度で行われる予定だが実施する全国の研究者に対する意思統一について十分に配慮頂きたい。これは形式的になると初期の目的を達成することができない。
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このデータの開示について対象者と御両親が請求した時の事は書いてあるが、最終的に何年、何十年と経た後でナショナルデータとして一般の研究者のアクセスがどの程度出来るのか、一般的な共有が出来るのかということについて御教示頂きたい。
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連結不可能ということにして、開示することは可能であると考えている。基本的にはそういうやり方をとりたい。
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成果については論文やマスメディアで公開すると思うが、匿名性を確保した上で、データを他の研究者がそれを研究に活用できるという余地はあるのか。
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問題点をよく検討し、匿名化の部分については厳守せねばならないと考えている。そこが崩れないようにセキュリティシステムを確立した上で実施することは可能と考えている。
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あまりにカタカナ語が多い。特に大規模な社会的調査を行う場合には、その点に配慮願いたい。
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指摘どおり、その辺りはよく検討していく。
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