独立行政法人国立青少年教育振興機構の評価等に関する有識者会合(第1回) 議事要旨

1.日時

令和3年7月27日(火曜日)13時30分~16時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 座長の選任について
  2. 令和2年度における業務の実績に関する評価について
  3. 第3期中期目標期間における業務の実績に関する評価について

4.出席者

委員

菊川委員(座長)、稲垣委員、片岡委員、神﨑委員、中西委員

5.議事要旨

 文部科学省所管の独立行政法人の評価に関する基準(平成27年6月30日文部科学大臣決定)に基づき、法人ヒアリング及び大臣評価の検討を行った。主な意見は以下のとおり。

 

【自立する青少年の育成の推進】
○ 青少年教育に関する地域力向上等のためのモデル的事業の開発に取り組まれているが、さらに普及させるためには、公立施設や他の施設のモデル的取組も併せて紹介するなど、汎用性の高い取組となるよう検討していただきたい。

○ 総合的・継続的取組と新たな取組がバランスよく工夫・改善されている。一方、複数年度に渡るコロナ禍において、青少年の体験活動の自粛は、公私立の青少年教育施設も含め今後も影響を与えることが予想されるため、機構は歴史と実績を持つナショナルセンターとして、青少年の体験活動促進のため重点的な取組を進めていただきたい。出前事業や学校等の集団宿泊受入れ、家族対象事業、課題を抱える青少年の支援等は特に重要である。

○ コロナ禍における安全安心な事業運営として、参加者2,000人規模の行動履歴を管理した事業は、体験活動の機会創出のために重要な取組である。こうした感染防止対策についても、文字で伝えるだけでなく、動画で示すことにより説得力が増すものと考える。

【青少年教育指導者等の養成及び資質の向上】
○ 絵本専門士の育成等の指導者養成事業について、指導者等を養成した先の展望を見据えて事業内容の改善等を図っていただきたい。

○ 官民共同で創設した自然体験活動指導者養成事業や需要の高い絵本専門士の養成、各施設の横断的なボランティアキャンプ等、効果的な事業が実施されている。教科等と関連付けた体験活動プログラムの開発や感染症に対応するガイドラインの充実等、活動のための環境整備を図り、教員や青少年指導者の実践の場をさらに充実させる取組を期待したい。

【青少年、青少年教育指導者等を対象とする研修に対する支援】
○ 新型コロナウイルス感染症の影響により施設利用ができなかった団体への対応として、青少年の体験活動の機会損失によるマイナス影響を補完する取組等、子供たちの欠損体験を増やさないよう、ポストコロナを見据えた取組を進めていただきたい。今後、これまで機構が体験活動を推進する取組を行ってきた成果が問われる時であり、国立青少年教育施設の役割を踏まえ、選ばれる組織、施設として、積極的かつ柔軟に受入れることができる体制を構築していただきたい。

○ 機構施設利用で、どの程度新型コロナウイルス感染症の感染があったのか、数値と状況の分析を行い、団体への安心感を与える情報発信を検討していただきたい。

【青少年教育に関する調査研究】
○ 国立青少年教育施設における小・中学校の集団宿泊的行事に関する調査において、行事を実施する上での不安や課題等、明らかになった結果を、機構各施設が行っている安全管理対策も含め、利用者回復に向けた広報活動に活用されたい。また、これら時宜に即した調査と継続的・間断的に実施してきた基本的調査を結び付け、結果を分かりやすく国民に問題提起していくことにより、機構の施設利用者増につなげていただきたい。

○ 子供の感受性の差を踏まえた自然体験活動の効果に関する調査研究等、機構の調査研究における大学等との連携を明示するとともに、大学等が研究成果をアピールする支援を行うことで、これまで以上に機構の調査研究が社会に影響を及ぼすことにつながることが考えられるため、調査研究結果の普及方策として検討していただきたい。

○ 調査研究結果の成果普及によって得られるアウトカムの把握について、例えば、青少年をはじめとする人たちの行動変容を促すことを目指すなど検討していただきたい。

【青少年教育団体が行う活動に対する助成】
○ 助成金の応募団体を増やすため、体験活動を提供する団体向けに、機構における調査研究結果やモデル事業、子どもゆめ基金の活動事例を紹介するイベントを開催してはどうか。イベントでは、助成活動自体の質を高める観点から、活動実施を考えている団体に対する助言の機会とするなど、一層の青少年教育の振興に資する取組を実施していただきたい。

【共通的事項】
○ 機構ホームページのアクセス数増の成果が窺えるが、今後、ターゲットごとにアクセス分析を行い、それぞれに必要な情報を掲載できるようになると良い。特に、寄附や連携に関わるページについて、企業向けにどのような連携ができるのかなど、ページの充実を図られたい。

○ SNSやYouTubeを活用した広報活動等が以前に比べて充実しているが、まだオーソドックスな取組であるため、例えば、各施設の個性的な職員が施設紹介を行い、話題となることで、自然と当該施設のPRになるような形など、工夫のある広報に取り組んでいただきたい。

【効果的・効率的な施設運営】
○ 宿泊室稼働率が前中期目標期間から減少傾向にあるが、若年層を中心とする人口減少率をカバーする経営努力が国民目線からは求められるため、施設別・月別等の比較分析と具体的・抜本的な改善策に取り組んでいただきたい。

○ コロナ禍によって、社会は閉塞感が蔓延する中で、SDGsや環境に対する取組が後退することも危惧されるため、機構各施設の運営や主催事業等においてもモデル的な取組を行い、国民に訴えることが必要である。この分野での提言や教育、指導者養成は今後も重要であり、機構がモデルとなることを期待する。

○ 「新しい公共」型の運営協議会について、ポストコロナにおける青少年の体験活動の機会創出を踏まえ、地域のリソースを最大限活用するために連携を強化し、施設利用の促進を図っていただきたい。

【予算(人件費の見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画】
○ 寄附金等の受領や運用について、その仕組みと実態が外部からは判り難いため、HPや広報資料等で積極的にアピールし、さらなる拡大に向けて取り組んでいただきたい。

【施設・設備に関する事項】
○ 施設・設備に関して、施設整備5ヶ年計画が策定されているが、インフラ長寿命化計画の観点からも、施設の維持・保全に留まらず、将来的には老朽化施設の更新投資の判断が求められる。施設の維持・管理については組織運営の根幹であるため、施設別行政コスト、利用状況を加味した利用者一人当たり行政コスト等の算出と活用等も踏まえ、長期的なグランドデザインを策定していただきたい。

○ 国土強靭化対策の観点から、災害時における避難施設としての機能充実のため、通信に関するインフラ整備についても検討していただきたい。

【人事に関する計画】
○ 職員研修をさらに充実させることにより、新たな事業実施が可能となるよう人財育成に取り組み、広報や業務改善に資するICTの推進や女性管理職の登用、若い職員への権限移譲等を進め、他法人との連携による相乗効果も考慮の上、組織変革につなげていただきたい。

○ 人事に関する計画について、組織内で役員・幹部職員となったプロパー職員数を集計するなど、青少年教育を振興する組織として、働く職員が意欲的かつ主体的に成長しようとする働きかけができると良い。


以上
 

お問合せ先

総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室

(総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室)