公立文化会館の活性化に関する調査研究協力者会議 (第7回)議事録 |
公立文化会館の活性化に関する調査研究協力者会議(第7回)議事録 日時 平成12年4月27日(月)15:09〜17:00 場所 東海大学校友会館三保の間 出席者 委員:三善座長,加藤委員,神津委員,澤井委員,田村委員,西川委員,西本委員,根木委員,根本委員,山形委員 事務局:韮澤文化部長,甲野地域文化振興課長,その他関係官 その他:社団法人全国公立文化施設協会千葉事務局長 ○ 議事等(○ :委員,△ :事務局等) ○ これから公立文化会館の活性化に関する調査研究協力者会議,きょうが7回目になりますが,始めさせていただきます。 お忙しい中をご出席賜りまして,ありがとうございます。 きょうは,3名の委員が所用のため欠席しております。 それでは,初めに,本日配付されました資料につきましてご説明をお願いします。 △ 資料の確認をさせていただきます。 お手元に,最初に議事次第がございますが,それとともに資料1としまして第6回会議議事録(案)でございます。資料2としまして第6回議事要旨(案)でございます。資料3としまして「地域における多彩で豊かな文化活動拠点の形成を目指して・公立文化会館の活性化とその役割・(仮題)(骨子案)」でございます。資料4といたしまして「報告書の編集方針について(案)」でございます。資料5といたしまして「第6回会議までの主な論点について」でございます。資料6としまして,資料自体に資料番号が振られてございませんが,「公立文化会館の活性化に関する基礎調査(追加版)」ということで別途つけさせていただいております。 以上でございます。 ○ ありがとうございました。 不備はございませんでしょうか。そろっておりますか。 ただいまご確認いただきました資料のうち,毎度同じことを申し上げますが,資料1,2の第6回会議の議事録(案)と議事要旨(案)につきましては,ご意見,ご訂正の必要がございましたら,5月8日,連休明けまでに事務局にご連絡いただきたいと思います。それを踏まえまして,最終的に,議事録,議事要旨を確定いたします。確定した議事録と議事要旨は,ホームページ等を通じて公開いたすことになっておりますので,ご了承いただきたいと思います。 それでは,本日の議題に入る前に,前回同様ですが,「公立文化会館の活性化に関する基礎調査」について社団法人全国公立文化施設協会の事務局の方に経過状況をご説明いただきたいと思います。お願いいたします。 △ お手元に「公立文化会館の活性化に関する基礎調査(追加版)」とございます。前回まで全体的な状況について,速報・概要という形でお知らせしてまいっておりますけれども,ご議論の中で,さらにこういう資料が必要なのではないかという宿題をいただいております。それらにつきまして,きょう用意いたしましたもので説明させていただきます。 開けていただきますと目次がございまして,大きく5項目を報告させていただきます。さらに開けていただきます。最初,全体的な状況でございます。有効回答がございました1045館の全体的な状況について,前回も示しておりますが,この中で作業的に・から・までが数値的に間に合っておりませんでしたので,この部分を追加しているところでございます。「市民参加型自主事業の実施」「アウトリーチ型自主事業の実施」等々でございます。傾向は,ごらんのとおりでございますけれども,前回少し論議をいただきました芸術文化目的,生活文化目的の定義については,注欄に書いてございますように,「芸術文化(振興)目的館とは,条例による設立目的のうちに芸術文化(振興),音楽,演劇,舞踏等(鑑賞)のいずれかが表現されている館をいう」というふうにいたしました。それから,生活文化目的というのは,最終的な報告書にこのまま使うかどうかですけれども,「市民福祉の向上」と公の施設としての意義をそのままストレートに条例上書いているところも多くございまして,これらについてはそれ以外の館としてご理解いただきたいと思っております。 内容につきましては,・から・までの数値を新たに入れましたところでは,芸術文化(振興)目的ととりあえず整理してありますところは,やはり自主事業に対する関心というのが,一般的な生活文化目的といいますか,市民福祉向上とより多くのことを意識しているところに比べると,より密度の高い状況になっているのかということがうかがい知れます。 次に,開いていただきますと,2の「実施事業の傾向」でございます。前回につきましては,過去3年ぐらいの公立文化会館の事業の状況といったものを幾つかの類型に分けてご説明したんですが,これが年次的にどういうふうになっているのかということのご指摘がございました。年次的には,従来,このような調査というのは十分に整理できておりませんでしたので,ご報告できなかったわけですが,対案といたしまして,設置年代別に見てみると状況がわかるのではないかというご示唆をいただきましたので,平成10年度,より細かく統計をとってあるものにつきまして設置年代別で状況を見ていただきたいというふうに書いて掲げてあります。 大きな区分といたしましては,1969年まで,つまり60年代までに設置している館,70年代に設置した館,80年代に設置した館,90年代に設置した館と一応四つの区分で見てみました。これを見ますと,特徴的なことは,1980年あたりで何か境があるような気がいたしました。ごらんになっていただくとおわかりのように,1980年代以降につくられた館は,いわゆる近年公立文化会館をつくるときにかなり目的意識を持ってつくっているという傾向があろうかと思いますが,そのことが極めて明確である。つまり館自らが事業を発信しようというような傾向になっているようでございます。数値で特に申し上げたいところは,自主事業の平均実施数でございますが,1960年代までにつくられた館が,平均いたしますと1館当たり年間6.34回程度,70年代が9.3回程度,これに対しまして80年代からは2桁に乗りまして10.6館,そして90年代につくった館は20.34回,このような形が明らかになってございます。特に制作型のところが顕著でございまして,1960年代までにつくった館については年間1.5回程度,それに対して90年代につくられ館は年間10.4回ですから,1か月に1回近くはそれぞれの館が自主事業を行っている,こんなような傾向が際立っているかと思います。 ただ,それ以前の館がそれでは何もやっていないのかといいますと,全体の平均実施数を見ますと,むしろ80年代以前の館の方が多くなっている。それは貸館中心ではあるけれども,公演数の多さということで,舞台をそれなりに活用して,地域における文化振興といいますか,そういう役割をそれなりに果たしている,こんなような状況がうかがい知れるところでございます。 その内訳が4ページからになってございます。4ページは貸館事業の実績でございますが,やや特徴的なことは,全体に言えることは集会が多いということなんですけれども,80年代以前の館は,ジャンルとしては集会の次位に来るのがポピュラーでございます。その次がクラシックという傾向になっております。80年代以降に設置した館は,集会の次がクラシックということになっておりまして,80年代以降,クラシックといったものを意識した,かなり目的的なコンサートホールといったものがつくられてきているのかなということが少しうかがえます。 次の5ページにつきましては,買取型の自主事業。ジャンルとしては,映画というジャンルが多く,クラシック,ポピュラーといったジャンルが続いてきているようでございます。これにつきましても,大体80年代を境にして,70年代以前の館は1館当たりにしますと1.1とか2.3とかいうことですが,実施数で少し見ていただきますと,おわかりかと思いますが,映画が一番多いんですが,80年代につくられた館になってまいりますと,映画よりもクラシック事業,クラシック音楽が最上位という傾向が出てきております。 次に,6ページでございます。6ページは買取型とほぼ同じような事情ですが,買取と違いますのは,映画というものは違ってまいりまして,集会というのがクラシック・ポピュラーと並んで実施数の中に入ってきている。今までの資料の上位三つというのはいずれも,映画と集会が重なっておりまして,クラシック,ポピュラーという形だったんですが,制作型自主事業については,1990年代に設置した館は,集会,クラシックの次がポピュラーではなくて現代演劇という数値であることを留意いただければと思っております。 7ページからは会館運営上の課題と意見につきまして,あらかじめ択一,複数選択という形で示したものを数値として明らかにしたものでございます。全体的には,「予算資金が足りない」「設備が古い」「入場者が少ない」となっておりますが,これを先ほどの定義ということを前提に,芸術振興目的の館と生活目的といいますか,市民福祉向上といったものを前面に出している館と比較しますと,芸術目的の方は「予算資金が少ない」というのが最上位なんですけれども,これまでの報告からも明らかなように,事業を自らやるということを課している館が多くあることの反映か,それに対する意識として「入場者が少ない」「企画の専門スタッフが不十分」「住民の芸術文化に対する関心が薄い」。これはあえて踏み込んだ物の言い方をしますと,地域における芸術状況といったものの成熟の上に文化会館が成り立ったというよりも,文化会館がむしろリーディング的に地域の芸術文化といったものの振興を果たさなければならないのではないか,そんなようなことを感じながら館が運営を進めているといったことが,数値的に少しうかがえるのではないかと考えたところでございます。生活目的といいますか,市民福祉向上を前面に出しているところは,明確なクロスをまだ整理しておりませんけれども,設置年代もかなり前のものが多くあることから,設備が古いといったことがかなりの問題意識になっているようでございます。しかし,これらの館も舞台を持つという中で,事業に対する関心も深く,事業をやった際の入場者が少ないといったことも意識している状況でございます。 8ページは,文化庁・公文協への要望でございますが,1枚目の全体状況にありましたように,それぞれみんなある程度の問題意識は持っているんですが,その解決について,どうも具体的なイメージを持つには至っていないというのがこの資料からうかがい知れます。(2)以降は自由意見という形で,択一ではなく記載してもらったものを幾つかの類型に整理しております。そういたしますと,その時点でかなり意識的に意見を持っていないと調査の傾向としても白紙で出してくるといったことがあるわけですので,一番特徴的なことは,意見ありというのが全体で16.7%。したがいまして,意見無し(未回答)というのが83.3%ということで,全体的な状況としては,問題意識はある程度あるんだけれども,それをどのように解決していったらいいのかというところまで進み切れていない,こんなさまがうかがい知れるのではないかと思いました。 次に,専門家の活用でございますが,これも自由意見ということになってございます。ごらんのような数値で,意見がないというのが過半を占めておりますけれども,芸術目的館においては,状況と意見というのを聞いておりますが,企画委員としての参加あるいは制作・プロデュースという形で事業をどのように進めていくか。プロデュースというのは経営まで入るわけですので,何の事業をやるかということより,もう一歩進んだところで,専門家の活用,必要性を意識しているのではないか。数値は少ないのですけれども,そのようなことがあるのではないかと考えました。 次の10ページはネットワークでございます。館相互のネットワークということでございますけれども,これについては,芸術目的のところは意見が多いのですが,それぞれの館が連携をとって同じ事業をするといったところは,状況としてもこれからではないかというふうに考えております。そのような萌芽はいろいろな事例として幾つか収集してございますが,全体としてはそんな状況ではないかということです。 アートマネージメントの資格制度については,さらに細かいクロスをしておりませんけれども,いわゆる美術館,博物館における学芸員と同種のという声もあるわけですけれども,そのような場合と違うのは,経営とか,そういったことまでどうしても意識しなければならないということと,かなり実践的な経験が必要である。つまり通常の美術館の学芸の場合ですと,大学で資格を取得してという形になるんですけれども,公立文化会館の場合は,そのような形ではなかなか進みにくいのではないかといったことが,これまでも紹介してございますけれども,数値的に整理してもそのような傾向が同様に出ているのではないかと思っております。 最後が,広告・営業活動の充実でございます。これらについて,現状はやはり新聞・雑誌・市広報誌への掲載ということですが,パーセント的にはそれほど多くはないのですが,やはり予算不足といったものは昨今の地方財政事情等も反映しているのではないか,そのように考えた次第です。 13ページからは,1事業1シートという形で,実際に行われている事柄をそれぞれ報告してもらったものをまとめた形でございます。表の縦横が変わっておりますが,公立文化会館の芸術家あるいは芸術団体に対する支援という形でございます。我々が調査としてシートで意識しましたのは,あえてプロ・アマと言いますと,プロの芸術家,芸術団体に対してどのような関係を持とうとしているのかということを知りたいということだったんですが,全体的には,プロに対する支援のほかに,アマチュア芸術家に対しての支援という答えがこれだけ多くありました。 まず,プロに対しての支援ですけれども,アーティストの発掘,つまり新人をどのように発掘していくかというのが,公立文化会館18館,約19種類の報告があったところでございます。あわせて,地域文化振興課といったことになりますと,アーティストの大半もかなり地元ということがあるのではないかと思っておりますけれども,明確に地元アーティストに対して支援を行っているということで,新人に限らない形で行っているのが2番目にまとめたところでございまして,次のページにわたりますが,大体13館から14種類の報告がありました。特定芸術団体との提携については,よく知られている「すみだトリフォニー」の新日本フィルのフランチャイズ契約といったことが報告されております。その他,地域に限らない,もう少し幅広いのではないかということですが,既に知られているものとしては秋吉台国際芸術村のアーティストインレジデンスとか,最近行われ始めたと聞いておりますけれども,神奈川県立音楽堂で作曲委嘱の助成プログラムといったものを始めているようでございます。都合大体38事例ぐらいが報告されております。 そのほかに,この枠組みの中で,アマチュア芸術団体に対する支援というのが,ごらんのような形ですけれども,36事例報告がありまして,様々な形でホールを使って,ホールを生かしながら,地域を中心とした芸術文化を担っている人たち,あるいは団体との直接的なかかわりを持とうという事例を報告いたします。 次に,17ページになります。表の見方は同様でございますが,公立文化会館のアウトリーチ。アウトリーチについては,ここに掲げてあるもののほかに,説明つきのコンサートとか,無料コンサートとか,公開リハーサルとか,そういったものもあるのではないか。概念のとり方によってはあるというふうに考えますけれども,報告でありましたのは,大体,講座,ワークショップに限られております。講座という名前で体験的なワークショップっぽいものも結構ありまして,その辺の整理はもう少し深くしてみないとということで,一応分け方としてはジャンルで分けてみました。形態による分け方も考えたんですけれども,とりあえずきょうの段階ではジャンルで分けてまいりました。音楽,演劇・・演劇は種類が少ないようですけれども,委員のお一人の方が所属されております世田谷パブリックシアター,あるいは金沢市民芸術村。ここに掲げたのは一つの事例でございまして,かなり多くの,ありていに言えば2桁の講座・ワークショップを演劇関係では行っているということがあります。伝統芸能というのも,意外と行われているさまがあること,多様なジャンルにわたっているということが,舞踊まで含めてあるようでございます。そのほか,舞台技術といった事柄については,予想以上にといいますか,市民とのかかわりなどもあるのかと思いますが,舞台技術の養成といったものは結構報告があったようでございます。上記以外はごらんのとおりでございます。 以上,これまでご指摘がありました等々の宿題を,アラカルト的ではありますけれども,きょうは追加ということで報告いたします。 ○ ありがとうございました。 ただいまのご説明に,ご質問等ございませんでしょうか。 ○ 幼稚な質問ですけれども,芸術家と芸術団体となっていますが,それはある意味でプロとなって生活してみえる方を言うのか。 △ その辺のところは,最初からの論議で,一つの論議の柱として,最近は公立でなければつくれないような相当すばらしい舞台等もできてきている。そういったものをこの国の芸術文化の発展に使えないだろうか・・使えるといいますか,活用すべきではないか。そういった中で,リーディング的な役割を担うプロの芸術家といいますか,そういった方々との連携というのがどこまで進んでいるんだろうか,そういう問題意識で,それをなおかつ具体的に示してもらえないか,そういうシートを用意したところであります。 それに対するお答えとしては,もちろん各公立文化会館もそういったことは意識しているんですが,地域に密着した施設ですので,地域に密着したプロだけではなくて,アマチュアといいますか,市民の方々の芸術活動,そして市民の方々が吹奏楽団をつくっておられる,あるいはつくるべきではないか,そういったことも含めた形でのご報告がありました。その辺のところをとりあえずプロとアマと分けてみたんですけれども,そのような形がどのようなさまかということをきょうお示ししたということでございます。 ○ ほかに何か,よろしいでしょうか。 ○ アウトリーチ事業についてとあるんですけれども,これを見ると,大半は講座もの,つまりセミナー,カルチャーセンターみたいなもので,それをアウトリーチと言うのか。つまりアウトリーチというのはイギリス語でありまして,劇団とかオーケストラが市民を取り込んで,シェイクスピア劇場ならシェイクスピア劇場に通う人を増やすことを含めて社会教育的にいろんなことをやる。実際に公演もやらせてみる。そういうのがアウトリーチであって,単にカルチャーセンターみたいな,こういうものまでアウトリーチと言うと,非常に紛らわしい。そこら辺は,区別が難しいのはわかりますけれどもね。 △ おっしゃるとおりで,アウトリーチの率直な定義としては,出掛けていってやるとか,そういったことの方が率直な定義だろうと思うんですが,現実に,いろんな使われ方の中で,そういう意味で教育プログラム的なものを含んで理解といったものがされていたようでして・・。 ○ 例えば子供音楽教室とか,オーケストラ入門講座とか,オルガンもそう。みんな結構ですけれども,これは学校みたい,講義みたいなもので,恐らくアウトリーチ的とは到底言えないんじゃないかと思うんです。 △ おっしゃるとおりでして,最終的にまとめるときに,もう少し幅広く教育プログラムと考えるのか,その中で定義的に・・いずれにしろ定義の整理はしなければいけないと思っておりますけれども,広範な意味で,きょうご理解いただければと思いますのは,教育プログラム的な事柄を,舞台を使って,あるいはホールの装備を意識しながらやっている報告があった。そのように,申し訳ございませんが,ちょっとおおらかに理解していただければと思います。 ○ 只今お話のありましたアマとプロの線引きで一番困るのは,助成認定。プロとかプロになる人のためにチャンスを与えるというのが,認可していらっしゃる文化庁とか文部省のご意向なんですけれども,中を割って調べるとセミプロとセミアマしかいなくて,要するに,真ん中のプロともアマともはっきりしないようなものが主体であって,そういうグループの上に,例えば,演奏したり何かする人はプロなのに,オーガナイズする人は完全なアマだとか,要するに,アマとプロというのがはっきり分かれないところが日本の特徴なんじゃないか。だから,それを浮き彫りにすることを考えた方がいいんじゃないでしょうか。つまり無理にはっきり,これはアマ,これはプロと割り切れっこないし,音楽関係の人の大半は,ご存じのように先生をして食べているわけで,演奏会で食べている・・食べているのがプロかというのはまた問題がありますけれども,演奏会で生活なさっている方は本当に一握り。そうすると,みんなセミプロといいますか,そういう実態があるかと思うんですけれども。 ○ 確かに輪郭のはっきりしない重曹的な構造があるわけですね。例えば教育プログラムもそれと連動していて,未来の聴衆を増やそうというような観点で講座が行われていると,これはカルチャーセンターというよりも,主体的な意識としてはアウトリーチの方向性を持っているんですね。少し漠然として広いんだけれども。その辺のことを資料操作上はっきりさせておくことは必要だと思いますね。 ○ 結局,調べていただいて,調査が出てきたときに,それをどっちに持っていくかという方向を考えない限り,要するに,文化庁として,そのままでよければ何もしなくてもいいわけですけれども,調べたり何かする以上,活性化というテーマでやっているわけですから,そのためにはプロ・アマをどういうふうに持っていくのかという線が結論のときには出てこないと。決定的な意見じゃなくていいんですけれども,方向性が出てくる必要があるんじゃないですか。 ○ 今のご発言は,きょう以降やっていく議論について,本質的なかかわりがあると思うんです。ちょうど6回までお話しいただいたことはすごく多岐にわたるし,多様で,しかも僕たちがここで会議をしている間ですら現場はいろいろな変化をしているわけなので,それをまとめるについても,文化庁と我々とが立場が違うんじゃなくて,お互いに現場の当事者だという意識で,ある意味では期待を込めた展望といったようなものもきちんと出しておきたいなと思っています。 ただいまの基礎調査(追加版)について,ほかに何か。 また後ほどこれに触れていただいてよろしいと思いますので,議題に入りますが,きょうを含めて3回の会議を予定していらっしゃると伺っていますけれども,きょうから報告書についての検討を始めさせていただきたいと思います。資料3が骨子案であり,資料4がその編集方針なのです。事務局の方からこの資料3と4についてご説明ください。 △ (事務局より資料3及び4の説明があった) ○ どうもありがとうございました。 編集方針と「骨子案」についてのご説明をいただいたわけですが,スケジュールを見ますと,あと2回ということになりますので,きょうは編集方針から入って,「骨子案」についても柱の観点といった大づかみのところのご指摘をまずいただいて,次回までに細かいところのご指摘もお考えいただく。もちろん,きょうそういうことがあればよろしいわけですけれども,まず編集方針につきまして,4点挙げてありますが,いかがでございましょうか。 特に,編集方針に限らず,「骨子案」を含めてご発言いただいた方がよいかもしれませんので,そのように変更させていただきます。 ○ 確認をさせてもらうんですけれども,活性化とその役割,こちらの内容にも入ってよろしいですか。 4ページの「活動に対する評価」のことで確認したいというか,どういうねらいがあるのか,少し聞かせてほしいと思うのですけれども,例えば会館の運営に対して,会館事務局の努力に対する評価というのはいいのかなと思うわけですけれども,各芸術団体とか市民何々団体がどういう援助をしている,支援をしているといった,そういうところの評価まで踏み込んでいく評価なのか。私は,ある意味では文化というのはむだの効用で,余り損だ,得だ,どうだとか言ってしまうと育たないのではないのか。もう少し長い目で見ること・・ここら辺はどういうふうに振り分けをして,活動の評価をするということに対して考えがあるなら聞かせてほしいと思います。 △ 前回でしたか,前々回でしたか,評価について大変ご議論があったわけでございますが,そこでの私どもの理解としては,数字,何人入ったかとか,あるいは収支がどうだったかということだけでは,なかなか評価ということはできないのではないかというご意見が大勢だったのではないかと思うわけでございます。もちろんそれも重要ですけれども,それ以外の部分がありますので,いずれにいたしましても,評価といった場合には,単に数字だけで出てくるものではない,いろいろなものもあわせて,これは具体的な内容にわたるわけですけれども,評価の観点とか,そうしたことも評価に入れなければいけないのではないかというような内容は,この報告書の中には入ってくるのかなという感じを持っております。 ○ 東京のような成熟した都市では,文化活動がいろいろあると思います。それに対しては,評価とか,いろいろとあって,やはりきちんとしていかないと。大きな都市ですから。しかし、地方の都市に行きますと,評価と言っても狭い範囲になってしまうと思うんです。そこで活動の評価を云々すると,そこで頑張っているプロの人もおれば,そうでない素人の方々も頑張っている・・この評価に入ってきますと,大都市と地方都市のところは違ってくるのかなという感じがしないでもない。ここでは情報公開をして,こうやって育っていくんだと,きれいごとに入っていますけれども,かえって芽をつぶすような評価になってしまうことの心配もないではないじゃないのかなという気がするので,ちょっと聞いたみたんですけれどもね。 △ 事務局は余りあれなのかもしれないのですけれども,単純な図式でもって,こういうような資源を使ってこれだけの成果が得られたという形だけでやりますと,そうした懸念もあるのではないかと思いますが,大都市圏ではなくて,それぞれの地域におきまして,芸術鑑賞機会あるいは活動する機会が会館によって与えられたということ自体が,恐らく大きなことかと思います。採算とか,そういうことを考えますと,取れないという面があるかもしれませんけれども,そういうようなところも非常に大きな評価にも入ってきますので,そうしたもろもろの,非常に大きな目で見た評価という形になるのかなという感じはしております。いずれにしましても,先生がご懸念になっておられますような,芽をつぶすようなことにはならないような評価といったらおかしいのですけれども・・。 ○ それには,評価の中身とか定義をやはり報告書でもきちんとしておいた方がいいと思いますね。というのは,これは私の経験ですけれども,新国立劇場で理事会がありますときに,過去にやった演目の報告が,お客さんが何%入った,これは成績がよかったという報告なんです。それ以外にないんです。私は,お客さんが何%入ったかということが,よかったということではないとまず言いたいんですね。かと言って,その公演の芸術的な出来とか,レベルがよかったとか,だめだったとかいうのは,お客さんが1000人いれば千人千様に違うわけで,それを一つの評価の形でもって表現するということは絶対にできないし,すべきではないと思うんですよ。 ただ,その公演の地域における意味は何だったのかとか,したがって,今後はこういうような方向も開拓してほしいとか,そういう運営にかかわっていくような提言は,ある意味で・・単に集客率だけ言っているようなことではだめで,やはり地域文化における公演の意味とか,そういうものについて,それを評価という形で言うのならば,私はそれはいいと思うんですね。 ○ 先ほどパンチ力のあるという表現をしたんだけれども,説明を聞いて,おしまいまでいっても,失礼だけれども,これでどこにパンチ力があるのだろうかと思ったんです。というのは,およそ案というのは何か実現するための案ですよね。だとすると,時間の概念,いつまでにこの問題はこうしていくという時間が入ってないことが一つ,もう一つは,今の日本の状況からいえば直ちには不可能ですけれども,お金がどれだけかかるのか,つまり資金の話が出てこない。 ですから,今の現実はこうだという場面もあるんですけれども,ドラスティックというか,パンチ力のあるものにしたかったら,今の現実はこうなんだ,今の現実にはこういう問題があるというのをはっきりさせる。それから,理想の文化状況というものがある。その二つの真ん中に,文化国家としてスタートするための条件という近未来的な構想,そういうふうになっている。すぐできなくたっていいんです。つまり20年,30年先を視野に置いて理想がある。それから,現実の今の問題がある。その真ん中の近未来に,文化立国するために取りかかるべき問題,あるいは文化立国を可能にする条件みたいなもの。少なくとも3段階に整理すれば時間的な概念が出てきますし,わかりやすいんじゃないかと思います。約束ではなくて,いつの段階でこうする,その次の段階というのがないと,非常に漠然としてしまうのではないか。殊に時間というのは必要だと思うんです。それから,お金も,理想的に言えばこれほどかかるんだけれども,日本の経済,いろいろな現状から考えて,近未来の段階ではせめてここまでというような,実現するかどうかは別にして提案ですから,そういうあれがはっきりうたわれる。 最後には,グローバリゼーション,世界にある地方の市民会館とか地方の文化会館はどういうことをやっているのか。つまり世界の文化会館みたいなものに置いたときに,日本の姿はどこにシチュエートされるのか,どこに位置するのかというのがあると,普通の人でもわかりいいと思うんですね。じゃこのままではいけないんだということになりますし。それは何も外国のとおりにするとか,そういうことではなくて,日本としては,さっき言った時間的経過を考えて,こういうことが近未来的には可能で,将来的にはこうなると。 今のあれから言うと,なかなか難しいのはわかっていますけれども,例えばフランスみたいなのは,文化大国とか何とか言っていますけれども,考えてみると,今の構造ができるのに30〜40年しか,かかっていないんです。あれがいい悪いは別です。さっき言ったように,あのままあれをまねしろとか,そういうことではないので,つまり時間的に,30年先にどういう状況を想定するのか。よかれ悪しかれ,マルローが文化大臣になったのは1959年ですから。そうすると半世紀たってない。そして中央集権的な欠陥を含みながら,今のスタイルができたわけですね。だけれども,地方も非常にお金を使っています。だから,そのくらいのスタンスで考えて,それから近未来,現実はこうなんだ,何かそういうふうにできないんでしょうかね。 ○ ありがとうございました。 時間を配分させていただきたいので,申し訳ございません。もちろん今のお話も踏まえながら何か意見ございませんでしょうか。 ○ 只今のお話ですけれども,相当難しい話だなという感じがするんです。といいますのが,2000の文化会館,千差万別の館をどうくくればいいかということになりますと,近未来的なあるべき姿というのが,個別具体的にはなかなか出てこないのではなかろうかなという感じがしますね。理念論として頭にくっつけるということであれば,それはそれで非常に意味があるとは思いますけれども,それをいざ実務的にどう落とし込んでいくか,それに対しての金をどうするかということになりますと,なかなか技術的に表現が難しいかなという感じがしないでもない。したがって,何らかの格好で,頭にそういった表現を入れるということでどうかなという感じはいたしております。 もう一つ,先ほどの評価の話ですけれども,やはり地域の特性,施設の特性,それに基づいての運営の方針なり目標が基本的な物差しになるのではなかろうか。それに照らしての評価の観点がどうあるべきかということは,自ずから何らかの格好で出てくるのではなかろうかという感じがしておりまして,これは技術的に全く不可能ではないだろう。 それから,その中での芸術活動そのもの,あるいは文化活動そのものの評価というのは捨象するということで,あくまで会館の運営ということに関しての評価ということに絞り込めば,かなり具体的なものが何らかの格好で書けるのではなかろうかなという感じがしておりますし,また,評価そのものはやらざるを得ないことでしょうし,その結果を一般へ公表するということは,情報開示という側面から今後は絶対的に必要だろうという感じがいたしておりますので,これはぜひとも導入すべきではなかろうか,とりあえずはそんな感じがしております。 もう一つ細かい話ですけれども,先ほどざっと読ませていただきましたが,5ページ目の(4)「専門性の強化」というのは,おさまりとして「対応2」のところがよろしいのかどうか,それとも1の方がいいのか,3の方がいいのか。いずれにしても1か2か,どっちかに位置づけた方が,おさまりとしていいような感じがしておりまして,この点もひとつご検討いただければという感じがいたしております。 以上でございます。 ○ ありがとうございました。 ○ この前,何かとぶつかって伺えなかったものですから,よくわからないのですけれども,今,豊田の市長さんがおっしゃったことは僕はわりあいに重要なことだと思っていて,やはりどういうサイズの館だということである程度のことを考えなければしようがないということが一つと,その館がどういうところにあるか,近くに大きな町があるかとか,人口の集中度がどうだとかというようなことを考えて,館をある程度分類したらいいと思うんです。そうすれば,どういう方向でもってその館が運営されるべきかというような・・それをどうやって落とし込んで,きちんと分類することができるのかというのは,知恵を出していただかないとしようがないと思いますけれども,中くらいのエリアというか,域で考える。県単位というほどではなくて,大きな町の近くにあるとか,周りにはほとんどそういう町がない,そして散らばっている,そういう考え方,視点を入れないと,館のあるべき形というのがよくわからないのではないかという気がするんです。 もう一つは,何をやるかということで,これは理想論になるから余り言っても仕方のないことかもしれませんけれども,やはり日本的に特色があるものがなければしようがないと思うんです。まねばかりしていてもしようがないので,それじゃただ伝統芸能をやっていればいいかというと,そういうわけでもないんですよね。そうではなくて,新しい現代と何かかかわりがあって,かつ日本的であって,そんなことができれば話は簡単だけれども,外から見ても・・外からというのは,日本以外のところから見ても,なるほど,これは面白いと思われるようなものができるということが最終的な目的で,それ以外ではあり得ない。まねなんかしたってしようがないわけですからね。 ですから,そういうことを二つ考えて,文化会館の格付け・・格ではないですね。種類ですね。種類をどういうふうに考えていくかということを少しおやりにならないと,一般的に文化会館はどうだ,その中に大きい館も小さい館もあってというようなことばかり言っても,結局は非常に抽象的な表現だけになってしまうという気がする。 時間のことが話にでましたけれども,僕は,現代にぴったり合わせて,まず,日本全体で文化会館がどれだけあって,その分布がどうで,その分布のぐあいがほかのいろいろな諸条件と・・島だとか,山だとか,平野だとか,いろいろあるわけでしょうから,それでもって決めていかなければ,論議が煮詰まらないというのが僕の意見です。 ○ ありがとうございます。 ただいまのご意見は,1ページの「地域文化の役割」の中で,地域文化とは何か,(2)で「地域独自の主体的な文化への取り組み」というような文言になっているわけですけれども,先ほどの公文協の資料のように,いろいろな施設そのものの在り方,構造が違ってくるし,また地域との関係の仕方が違ってくる。その中で,さらに今先生がご発言のような文化表現の方向性みたいなものも,テクスチュアズとしては含んでないといけないということだと思いますね。 ○ そんな気がしますけれどもね。 ○ ありがとうございます。 ○ 私,子どもの立場,教育の立場からお話し申し上げたいんですが,2002年(平成14年)から完全学校5日制ということで,学校においても,これからの教育の在り方については,今先生からお話がございましたように,みんなが一律ではなくて,地域とか,子どもとか,実態,これからの子どもはどうあるべきかということを考えながら,移行措置に入ったんですね。そうしますと,平成14年は間もなく来るんですが,これから子どもが地域で活動するという場面が非常に増えてくるわけです。地域で生かして,大人が子どもをどう育てていくかというところが今すごくクローズアップされていると思うんですが,そのときにおいて,私も授業をするときにいつもつっかかるのが,活動したいときにいろいろとトラブルのもとになるのが,使えないという場面がたくさんあるんです,使いづらいというか。文化会館についてもいろいろネックがあるわけですね。 ○ 施設の活用について何か。 ○ 施設を活用したいんだけれども,実際に事業を興してやりたいときに,今も一つぶつかっているんですが,一番ネックになるのは,だれだれの判こがなければいけないとか,横浜で言うと教育長さんの何がなければだめだとか。私は,きょうも,地域に活動しろしろと言いながら,活動しやすい場面をつくらなければいけないんじゃないかと委員会に申し入れをしてきたんですけれども,やはり国としても地域に活動しろしろと言うのだったらば,しやすいような状況というのをどこかで提案しなければいけないのかなという気がします。多分,いろいろな館では,してあげたいという気持ちがあるんだけれども,それを具体的にどんな形でしたらいいのかというところの連携・・ここにも載っていましたけれども,委員会だとか,教員だとか,学校だとか,現場ともう少し密にした方がいいのかな,そんな提言ができたらすばらしいなというふうに思っております。 ○ 施設の運営の方法に関して,ここにもそういう項があるわけですし,ほかにも,私は制度に関連する問題が随分あるのではないかというぐあいに思っているんですよ。 ○ あります。もっと開放してほしい。 ○ そうですね。 ○ 遅れて参りまして,失礼いたしました。 皆様が異口同音におっしゃるのは,公立文化施設の使いづらさということで,芸術家側の方もおっしゃいますし,NPOというか,ボランティア活動としてなさっている方もおっしゃることが多いんでございますね。ですから,そこはどうやったらいいかということは,やはり一番考えなくてはいけないかなと常々思っております。 もう一つ,これをきちんと読ませていただいていないので,大変申し訳ないんですが,民間のホールとか,そういうものでない,外国だったらもしかしたら大学がその場になっているのかもしれないんですが,日本では,残念ながら大学はだれでもが文化に気軽に触れることのできる場になっていないんでございますね。大部分の大学はホールも持っておりませんし。それでしたら,もしかしたら,これだけできた公立文化施設がその役を果たせるのではないかと思いますので,それが簡単にできるような制度にぜひなってほしいなという,その部分は欲しいと思いますですね。 ○ 施設側の意識と住民,あるいは周囲の意識,つまり両方について触れているわけだけれども,それのそごというか,すれ違ってしまっている現状についての指摘もとても大事かなと思いますね。 それから,文化会館が,大学が持っているようないわばトータルな文化性みたいなものを持ち得るのかどうか。それが生活文化型の文化会館と芸術文化発信型の文化会館との違いではどうなるかといった観点も,やはり盛り込んでおかないといけないと思うんですね。 ○ 3点ほどありますが,一つは,編集方針の「会館や設置者の自主的な取組を奨励するトーンで記述」というのはよろしいと思うんですけれども,この関係と,例えばきょうの骨子の7ページに「設置者の役割」というところがあって,設置理念の明確化,設置者の役割と関係部局との連携・・これ自体がどうこうということではないんですが,書き方,文章にするときにお気をつけいただきたいのは,これだけ見ますと,自治体の設置者にこうしなさいというようなトーンが聞こえるんです。会館,公の施設というのは,まさに地方自治体の自治事務といいますか,自由,多様な考え方でそのままやれるんですが,文化庁から,お国からのこうしなさいというトーンがちょっとにおうんで,これは表現に気をつけていただきたい。今年は特に地方分権元年で,分権一括法も4月から施行された直後ですから,多分,自治体の人もそういう目で見ますので,これはよく議論にもありますように,文化施設の在り方はまさに地域の自由で,多様だという前提で,一つの物差しでこうしなさいというようなトーンはあり得ないという前提で書いていただかないと,変なところでハレーションが出てくるような気がしますので,お気をつけいただきたい。杞憂で終わればよろしいと思いますけれども。 それから,これは後で文章になってきてからの議論かなと思うんですが,言葉というよりも,コンセプトが少し混乱しているようなんですが,アートマネージャーという表現がよく出てきます。我々も確かにアートマネージャーというのはいろいろ使っていたような気もするんですが,アートマネージャーというのは,私は別に専門家ではないんですが,時々,我々も実務的に議論するときがあって,いろんな演出家とか,プロデューサーとか,そういう人たちを総称して言っているケースが非常に多いんです。また,大きな芸術専用施設と一般の小さな会館で言うマネージャーという概念が大分違うんですね。非常に大きな施設になれば,芸術監督もおり,演出家がいて,いろいろな職能というか,機能がありまして,これをみんなひっくるめてアートマネージャーと言ったりしている場合もありますから,アートマネージャーという言葉を使われるときにきちっと使い分けをしてもらった方がいいのではないか。 この前,平田オリザさんという演出家と話したときに,あの方は,アートマネージメントという言葉はあるけれども,私はアートマネージャーという言葉はないと思っていると言い方をしていたんですけれども,アートマネージャーと言ってしまうと,余りにも概念が広くなり過ぎてしまって,概念的にもう少し使い分けをした方がいいかなと。これは判断は専門家の先生方にお任せしますけれども。 この中では,ホールマネージャーというのは定義してあるんですね。これはこれでもう少し実務的な概念なのかなと思うんですが,この辺がちょっと混乱しているようなので,ご専門の先生方にお聞きしながら,概念整理をしていただきたいというお願いでございます。 3番目は,今後の表現のところでもいいんですけれども,後半の方になると,文化庁の政策や公文協の事業のいろいろな方向が出て,文化庁の最初の編集方針にも書いてありますように,これはこれで政策方向を出すということでよろしいと思うんですけれども,そればかりで終わってしまうような感じがないかなと。これも杞憂だと思うんですけれども。 例えば研修なんかの話になりますと,当然,公文協でアートマネージメント研修その他をやっていただくということで結構だと思うんですが,埼玉の芸術劇場の諸井さんのところでは,かなり何年も前から,県内の市町村の文化会館,県内の小さな文化会館の職員を対象に,演劇というか,アートマネージメント研修をずっとやでいるんです。私どもも今それにのっかって,実は全国研修をしておりますけれども。ですから,地域の拠点的な大きな中核的な文化施設は,他の小さな文化施設の職員に対する研修とか,いろんなノウハウ向上のための支援をしているわけです。そういった自治体レベル,地域レベルの様々な研修の取り組みとか,支援の取り組みというのもありますし,ちょっと口幅ったいようですが,私どもの財団のような,他の公的な文化団体・・これは私どもだけではなく,小さな団体も含めたたくさんの取り組みがあるので,できるだけそういう幅広い取り組みをつなげていくといいましょうか,ネットワーク化して,みんなで地域の文化向上のために使っていくというような大乗仏教的なお取り組みを表現的にしておいていただくと,より脹らみが出るのではないかという注文でございますけれども,よろしくお願いしたいと思います。 ○ これだけ面倒な基礎調査をずっとおとりになって,それも添付されての報告書になると思いますので,やはり現実的に役立つものになってほしいなという感覚が一番あります。どんなに立派なものが出来上がっても,読み終わって,「あ,そう」という感じでなるべく終わってしまわないように,文化会館の関係者の人,自治体,議会,報道関係者に配るということですから,それぞれの方々のどこかにひっかかってくれるような書き方というか,報告書になるということが,この目的なのではないかなという気がしています。 その上で2点ばかり思ったのは,これはこれからどういう形になるか,わからないんですけれども,先ほど来から何かの先生方がおっしゃっていることなので,あれですけれども,「まえがき」の部分というか,結局,この報告書は何なのかというものをあらわすところに少し力を入れたらいいのではないかなという気がしています。 例えば2000ある文化会館それぞれが,地域によっても随分様子が違うわけですし,芸術志向性の高いところとか,生活文化的なにおいを非常に持っているところとか,種々雑多,それぞればらばらなわけですから,この報告書そのものがすべてのところに当てはまるとか,これが全部に適用されるとか,全部が役に立つというものではないけれども,こういう報告書を読んだ上で,皆さん方の文化会館の周りで,もう一回私たちの文化会館は何なのだろうと考える気持ちを持って,その地域が文化会館を拠点としてもう一回立ち上がると言うと変ですけれども,まとまっていく気持ちを喚起させるというのがとても必要なような気がするんですね。もちろん国側から報告書が出るという形にはなるんですけれども,その中で,読んだ側が,よし,じゃ何か委員会でもつくろうかとか,もうちょっと地元で考えようかというふうに動いていくような・・という言い方は抽象的でわかりにくいですけれども,何か動き出すような感じの「まえがき」の部分があると,単なる報告書では終わらずに,いかにも文化会館のことを考える感じのものになるのではないかなという気持ちがしております。 もう一点は,現実的に役立つものになってほほしいということでいくと,恐らくすぐに具体的な何かを求めてくるところがあると思うんです。例えば合同事業の実施とか,いろいろなことが書いてあります。先進的な取り組みをしている会館への研修派遣とかいうことが出てくると,すぐに公文協さんの方に,どういうのがありますかという問い合わせみたいなものもたくさん来ることになると思うんです。これは公文協さんのお仕事なのかどうかちょっと私はわからないんですけれども,公文協さんとして,あるいは文化庁として,そういうオファーじゃないですけれども,実際にこういうふうにしたいと思うけれども,どういう情報がありますか,すぐにどうしたいと思っているんだけれども,こういうことはというものがだーっと来たときに対応する力というのが,報告書ができたときにどのぐらい出来上がっているかということもとても大切で,実際に動き出そうと思っていろいろ問い合わせてみたけれども,全然話が進まないというと,とてもがっかりしてしまうような気がするんです。少なくともここに出てくることに関しては,公文協さんとか文化庁側の方である程度の対応力をつくっておくということも,私は報告書をつくる上で大切なことなのではないかなというふうに感じています。 ○ ありがとうございました。 ○ 行政をあずかってきた者といたしましては,これは当然のことながら,公立の文化会館の活性化ということで,ぜひ視野に入れていただきたいことは,文化会館だけではなくて,ほかに文化施設はたくさんあるわけです。例えば美術館もあるし,コンサートホールもあるし,能楽堂があるところもある。やはり評価にこだわるんですが,例えば文化会館ではないですけれども,そういうこともということをどこかに置いておいていただくとありがたい。 例えばうちの美術館,新しい美術館をつくったわけですけれども,近代美術というのはどこにもあるから,現代美術でいこうということで,近代美術を子どもたちに見せますと,すーっと行ってしまうんですね。だから将来は,近代美術よりも現代美術,そういう文化,世界的なことも含めてちゃんとしていくべきだというふうにしているわけです。 ところが,戦前の方,田舎の方は,もう少しわかりやすく,近代美術にしてくれという要望があるわけです。そういう声が評価に入ってまいりますと低い評価だということになりがちです。今は評価は悪いけれども,将来のためにやっていかなきゃいかんというのが文化振興にはあると思うんです。それがつぶされるようなことは,ぜひどこかで配慮してやっておいてほしいなと。文化会館だけならこれでいいけれども,これが地方へ入れば,このことがきっと全部の文化施設に広がっていくことになろうかと思うんで,ぜひそんなことも全体の文章の中で配慮していただくとありがたい。 ○ 先ほどご指摘があったように,文化の思想的な自由と展望ね。 ○ 今の子どもの視点に置きますと,彼たちが20代,30代になったときに,現代美術がどうなっていくか,きっと今のピカソぐらいになっていると思うんですけれども,かつての人は,わからないもの,壊れた電話を置いて作品だと言ってどうするんだという話になる(笑声)。でも,子どもたちはそういうものをきちんと見ているわけですから,これはやっぱり大事だと思う。そういうものがつぶれないように,ぜひしておいていただきたい。 ○ 一通りご意見を伺いましたたが,まだ時間がありますので,どうぞ自由にご発言ください。 ○ 皆さんのお話を聞いて思ったんだけれども,編集方針の方ですが,最初に「公立文化会館関係者のみならず,自治体の首長や議会関係者,報道関係者」云々とあるんですけれども,なぜ市民がないのか。つまり文化会館を使わないというのは,今の文化会館の現状がレギュレーションじゃないけれども,規則づくめで使えないから使わない。だから関心がない。だから人が来ないということもあるでしょうけれども,使えるなら使いたい,こういうふうに使いたいという市民だっているわけです。だから,そういう人にも読んでもらえるようにすべきじゃないかというのが一つ。 もう一つは,結局,民活型か,国主導型か,決まらないわけですけれども,方針が決まらなければお金の配分から何から将来的にも出てこないわけです。だから,例えば中央の館,つまり文化庁でもいいですけれども,そういうところ,あるいは地方行政の文化の関係者,企業でそういうことをやっている,私どもで言えば福原さんみたいな人でもいいですけれども,それから一般市民で言えば文化会館を活性化して使いたいんだと望んでいる市民だっていると思うんです,現状では寄ってこないけれども。そういう四者が持続的に話し合える機関をつくったらどうでしょう。 その2点です。 ○ ほかにいかがでしょうか。 先ほどおっしゃった総論のところにも,●現代●日本の文化に対する概論というのではないんだけれども,少なくとも物の見方をはっきり打ち出す必要があるんじゃないかと思うんです。 それと,こうやってお話を伺っておりますと,それぞれの方向性は違ったり切り口が違ったりすることはあるにしても,この会合の一つの有機的な思想的な方向というのは何かあると思うんで,そういったものも恐れずにきちっと打ち出さないと,表現力,説得力というか,かえってなくなってしまう。先ほど取捨選択するというのが編集方針にありましたけれども,方向性を一つ整合させれば,それで今度は力が増すというものではないから,むしろ見方の立体性とか,遠近法とか,そういったものを含んだ記述にした方が,奥行きもあり,そしてまたそれぞれ個性のある施設が自分の問題としてひっかかってくるものも出てくると思うんです,さっきのお話でしたけれども。 原案をつくるのは大変ですね。次回はもっと細かいところでたくさん出てくると思うんです。 ○ 次回までには,この「骨子案」をもう少し膨らませたような「骨子案」が出来上がってくるという理解でよろしいんですか。 △ 次回には,たたき台として報告書の原案といいますか,素案を,できればといいますか,時間的な問題もありますので,出してご議論・・。 ○ できればですけれども,たとえ3日前でもいいから,会議の前に送ってください。 ○ 最後は,できる範囲でペーパーででも出してというやり方の方が効率的かもしれませんね。 ○ 未完でもいいんです。3日前の段階のを送っていただいて,それが当日変わっていれば,それはそれで・・。 ○ 3ページの2番のところに,活性化の重要な視点というところがありますね。活性化の視点として「地域や施設の特性を活かした〜地域文化創造・発信」と,地域のことが重要だと書いてあるわけですけれども,地方に行きますと,地域の創造なり地域の文化発掘・発展も結構な話ですけれども,東京の文化も欲しいんですよ。 ○ 世界のも欲しい。 ○ だから,地域もいいんですけれども,地域と地域の文化交流で活性化を図るということも言っておいてもらう。そこだけのものということになると,どうもあれなので,その辺のところは交流しながら活性化を図るということはどうなんだということにしておいていただく。そのことが予算取りの方にも響いていくことになる。交流していくにはお相手もして,向こうの方からいただくなら,こっちもお返しをするということで,予算を取るにも,何につけてもやりやすいことがあるわけです。 ○ 個々の個性があって交流もよくなり,交流が起こると,個性もまた。 ○ そこで比較ができて,自分の町はどうなんだということがわかってくるわけです。 ○ ほかに何か。 きょうの段階でもしよろしければ,次回の少し前に素案を送らせていただくということでお願いいたしますので,きょうはここまでにいたしましょうか。 どうもありがとうございました。 ほかに連絡事項。 △ 次回の日程でございますが,予定上では,5月下旬ということで予定しておりますが,具体的な日程等はまだ決定しておりませんので,後ほどご連絡して調整させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 |