映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会ワーキング・グループ
2000/08/22 議事録
映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会ワーキング・グループ(実演家の権利の在り方検討グループ)(第7回議事要旨) |
「映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会ワーキング・グループ」(実演家の権利の在り方検討グループ)(第7回)議事要旨 平成12年8月22日(火) 10:30〜13:00 東海大学校友会館「朝日の間」 ・出席者 協力者:半田座長ほか,秋田,安念,岡田、児玉,高橋,棚野,田原、福田,古川,三山の各氏 橘淹洌舗F森次外務省経済局国際機関第一課課長補佐 仲村郵政省放送行政局放送政策課課長補佐 事務局:林審議官,吉田著作権課長,石野国際著作権課長,その他の担当官 1.開会 2.議事 事務局より配付資料に基づき説明が行われた後、WIPOにおける視聴覚的実演に関する条約の草案の概要について概ね以下のような意見交換が行われた。 (○:協力者,△:事務局) ![]() ○ B案は、WIPO実演・レコード条約と関係を有しない趣旨のものか。 △ 音の実演と視聴覚的実演を区別し、別個の独立した条約として扱うものである。 ○ A案の場合、今後WPPTと併せてひとつの条約になる可能性はあるのか。 △ ひとつの条約にするという議論は今のところない。 ○ どのような背景から名称を異にする案が出てきたのか。 △ 96年の外交会議において、WPPTの実演に視聴覚的実演も含めることを主張していた国は「議定書」という名称を、音の実演のみでよいと主張していた国は独立した条約を考えている。ただ、どちらの名称でも法的効果は基本的に変わらないと考えている ![]() ○ 「公衆への伝達」にインタラクティブ送信は含まれないとあるが、インタラクティブ送信とはインターネットにおける何に相当するのか。また、ネット上の映像は対象外として扱われるのか。 △ WPPTにおいては、放送及び公衆への伝達について商業用レコードを使用した場合は報酬請求権が、送信可能化の部分については許諾権が働くという別の権利構造になっており、今回も同様である。インタラクティブ送信については、日本としては基本的にサーバーを介するかどうかで判断していると解している。 ○ 今回の条約草案は、権利の保護対象は音を伴っているか否かに拘わらず、固定された視聴覚的実演を視聴覚的固定物の定義としているが、音を伴ったものも権利の保護対象になるとすれば、WPPTとの切り分けをどう考えたらよいのか。 △ レコードに最初に固定された実演はWPPTの対象となり、視聴覚固定物に最初に固定された映像を伴う音の実演は今回の視聴覚的実演に関する条約の対象となる。例えば、最初にレコードに固定された実演をさらに視聴覚固定物に含めた場合には、WPPTの対象となるように重複しないように整理されている。 ![]() 特になし ![]() ○ 第5条(1)(i)の「やむを得ない場合を除き」というのは範囲が狭いので、通常の利用によって求められる省略もできるというように広くとらえて訳すべきではないのか。また(ii)においてベルヌ条約に規定されている「名誉」が書かれていないのは何故か。 △ 第5条(1)(i)はWPPTの参考訳と同様に訳したものであり、公定訳を作る際には、そのような解釈ができるかどうか検討したい。(ii)だが、WPPT同様reputationのみ規定してあり、条約草案の注釈においても侵害かどうかは客観的に判断すべきとされているため、reputationという用語のみを使用していると考えている。 ○ 同一性保持権に関して、WPPTにはない「通常の利用と矛盾しない改変は権利の侵害とならない」という内容の規定が追加されている理由は何か。 △ 映像を利用する場合、様々な新しい技術を用いることが想定され、それが人格権を侵害しないことを明確にするために規定するものである。 ○ 通常の利用と矛盾しない改変とは具体的にどのようなものか。また、それは必ずしも新しい技術に伴う改変には限定されないのではないか。 △ 通常の利用と矛盾しない改変の内容については実務者に聞いてみる必要がある。少なくとも、議長草案作成の際には新しい技術に伴う利用を想定している。 ○ 通常の利用とは、例えばトリミングのように、複数の俳優が出演している実演をテレビサイズに縮めた時に枠からはみでてしまう人が出てしまうようなケースであろう。 ![]() ○ 第12条の権利の移転について、草案のE、F、G、Hは強いて言えば、どの国の提案に該当するのか。 △ E案はアメリカ提案、F案が日本、ラテンアメリカ、インド提案、G案がアフリカ提案、H案がEU提案を基に作成していると思われる。 ○ 第12条の権利の移転規定は、報酬請求権に影響しないという規定がないがどう考えるべきか。 △ 第12条は排他的許諾権にのみ関する規定であるため、影響はない。 ○ 日本提案第10条のような報酬請求権を置くことは、今回の議長案において考慮されていないのか。 △ 明示的に規定していないが、各国国内法で定めることは可能であり、内国民待遇についてC案のベルヌ型を採れば、報酬請求権について内国民待遇も可能である ○ 譲渡権の消尽についてどのような議論がなされたのか。 △ WPPT及びWCTの議論において、消尽については各国国内法で定めるというルールが形成されており、今回の視聴覚的実演についても、同様の定め方をしていると理解をしている。 ![]() ![]() ![]() 特になし ![]() ○ 第8条のRightofDistributionの訳は「譲渡権」でよいのか。 △ WCTにおいてもRightofDistributionは公定訳が「譲渡権」となっており、国内法でも「譲渡権」という用語を用いているため、今回も同様に訳している。 ○ 12月の外交会議にむけて、引き続き日本政府案を主張していくことは可能か。 △ 映像懇における議論に従って進めて参りたい。各団体からの意見を集約した上で条約草案について我が国としてどのような対応で望むべきかの議論をして頂きたいと考えている。 3.閉会 事務局より次回の日程についての連絡後、閉会となった。 |