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映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会ワーキング・グループ

2000/01/27 議事録

映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会ワーキング・グループ(映画の著作者の権利の在り方検討グループ)(第2回議事要旨)


映像分野の著作権等に係る諸問題に関する懇談会ワーキング・グループ(映画の著作者の権利の在り方検討グループ)(第2回)議事要旨

     平成12年1月27日(木)
     10:30〜13:00
     国立教育会館602会議室

・出席者
協力者:半田座長、秋田、安念、石田、岡田、児玉、齊藤、高橋、高村、中山、福田、三山、吉田の各協力者
オブザーバー:森次外務省経済局国際機関第一課課長補佐
事務局:山元審議官、吉田著作権課長、石野国際著作権課長、その他の担当官

1 開会

2 議事(○:協力者△:事務局)
 事務局より、配付資料に基づき説明が行われた後、概ね以下のような意見交換が行われた。

(1)第3回WIPO著作権常設委員会における視聴覚的実演の保護に関する議論の概要について

(2)映画の著作者の権利に関する課題の整理(案)について

○ 配付資料中の「著作権の有無を、制度上も製作費の回収という実態に係らしめる」というのは具体的にはどういう意味なのか。

△ 製作費の回収という実態によって著作権が発生するかどうかが決まるという意味である。

○ 著作権自体は発生するが、行使はできないということではないのか。

△ これまで提案の解釈のしかたを把握しかねていた。表現については修正する。

○ 映画監督に許諾権を認めてほしい理由としては、現行法制定時の審議会メンバーに映画監督協会は外されていたこと、また、旧法で映画監督は映画の著作物の著作権者であったこと、権利の移転は著作権法に示されている方法で行われるべきであり、29条は憲法違反であると考えられること等があげられる。

○ 映画監督と撮影監督は、いずれも監督の範疇に入るのか。

○ 映画監督の中に、撮影監督は含まれない。外国でも同様だが、撮影監督とは映像関連分野の責任者という意味で使われている。現段階では、映画製作に欠くことのできない撮影、照明、録音、美術、編集、スクリプターの6部門をメインスタッフと呼んでいる。

○ 映画監督に許諾権、メインスタッフに報酬請求権を認めることとすることについてはどう考えるか。

○ 映画の著作者が著作権者であるべきであり、29条1項の廃止を提案している。ただ、監督のみが許諾権をもつという国際的な取り決めに合わせるのなら、メインスタッフは報酬請求権だけでもよいと思っている。

○ 現在の映画は、劇場上映用とビデオ化用とで区別されていない。利用形態が変わるたびに、著作権者から許諾を得て報酬を支払うとなると、実務上煩雑である。利用者側からみて、映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属するという規定は、合理性にかなったルールであると思う。

○ 映画の利用形態の多様化については反対しないが、著作者の権利は保護されなくていいのか。

○ 著作者に著作権を帰属させるとした場合、ベルヌ条約14条の2によると、複製・頒布・放送等に反対することはできなくなるが、許諾権が認められたら、実際どのように行使するのか。報酬請求権のようになるのではないか。

○ メインスタッフは報酬請求権でないと難しいだろう。監督は除外してもいいとなっているので、許諾権を認めることについて要求を出している。

○ 一般的にいわれるメインスタッフには、制作担当者、チーフ助監督は概念として入っているが、メインスタッフ協議会がいう6部門からは除外されている。

○ 映画製作の技術的分野における各パートの代表責任者という意味でメインスタッフという位置づけをしているのであり、メインスタッフであることを否定しているわけではない。

○ ドラマ番組をビデオ化する場合、BGMを作曲家に依頼したり、脚本家にドラマの脚本を書いてもらうことは許諾権の行使となる。原作の著作権者は別として、委嘱作曲家・脚本家の権利は報酬請求権にしてはどうか。

○ (1)は著作者に著作権を帰属させるという前提から書かれているが、(2)以下は法定譲渡を前提にしていると考えてよいのか。

△ (1)は29条の映画製作者に法定帰属する前提を見直して、著作者に権利を与えてはどうか、(2)は著作権の帰属をどうするか、そのときに許諾権ではなく報酬請求権という形で著作者に権利を帰属させるとすると、二次利用について許諾権を行使する余地があるのかどうか、(3)は現行の制度を変えることなく業界慣行、団体協定等運用上の解決を図れるのかどうかという観点から整理された対応策である。一定の方向性が得られれば、また違った対応策をたてることも可能だが、まだそこまでは至っていない。

3 閉会
 事務局から次回の日程について連絡があり、その後閉会となった。

(文化庁長官官房著作権課)

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