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第1章 法制問題小委員会

第4節 司法救済ワーキングチーム

1  検討の概況

   司法救済ワーキングチームでは、いわゆる「間接侵害」について検討を行った。
 検討にあたっては、従来の裁判例からのアプローチ、外国法からのアプローチ、民法からのアプローチ、特許法等からのアプローチのそれぞれについて、基礎的な研究を深め、検討を行った(検討内容の詳細は『文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 司法救済ワーキングチーム検討結果報告』(平成18年7月 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 司法救済ワーキングチーム)参照)。

2  検討結果

   裁判例としては、カラオケ法理(クラブ・キャッツアイ法理)に基づき侵害主体性を肯定した一連の裁判例があるが、他方、侵害行為の幇助者に対する差止請求については、これを肯定する裁判例と否定する裁判例との間で鋭い解釈論上の対立が存する。また、比較法としては、ドイツ法、フランス法、アメリカ法、イギリス法の主要4法制につき検討を行った。これらの法制の検討に当たっては、もちろん法律(制定法)と判例の双方を対象としたが、著作権法ないし知的財産法のみならず、各国における民事法一般等も視野に入れた総合的な比較法研究を心掛けるようにした。特許法の間接侵害規定(特許法第101条)との対比においては,現行法(昭和34年法)の当初から存する同条第1号・第3号と、平成14年改正で付加された同条第2号・第4号の双方を検討の対象とした。
 本件の検討事項は、著作権法において、差止請求をいかなる範囲で肯定すべきかの問題にほかならず、差止請求権と損害賠償請求権との関係や刑事法との関係といった、一般法上の論点も本格的に視野に入れる必要のある複雑困難な論点であるが、本格的な先行研究は必ずしも豊富とはいえない状況にある。このような中で、前記の4つのアプローチを軸として、検討作業を進め、特に本年の作業により、主要国の比較法研究についても大幅な前進を見ることができた。
 以上のような現時点までの検討状況を踏まえた上で、特許法第101条第1号・第3号に対応するような間接侵害を何らかの形で著作権法上も認めるという基本的方向性については特に異論はなかったが、それを超えるような間接侵害の考え方については、前述のような比較法研究を含めた徹底的な総合的研究を踏まえた上で、今後も更に検討を継続すべきものとされた。

 なお、司法救済に関するもう一つの検討項目である損害賠償・不当利得等についても、「間接侵害」についての検討と並行して、今後、検討することとされた。

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