【重要文化財 追加指定の部】
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内外とも洗練された意匠になる木造学校建築 (近代/学校建築)
遺愛(いあい)学院(旧遺愛女学校) 本館,附(つけたり)建設関係文書 4点
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遺愛女学校は,明治15年2月,函館市元町のハリストス正教会の隣地に創立され,明治後期に現在地へ移った。
本館は,重要文化財となっている旧宣教師館と同じく明治41年の竣工で,設計はガーディナーによる。
木造2階建で,正面中央に車寄(くるまよせ)付玄関を設け,翼部と円形突部を加え,変化に富んだ構成になる。特徴的な旧講堂の空間構成など,内外とも意匠的に優れている。
遺愛学院(旧遺愛女学校)本館は,北海道における木造学校建築の代表作のひとつとして高い価値がある。また,設計者を含め建設経緯が明らかで,明治後期学校建築の指標となる遺構としても重要である。
建設関係文書計4点も附指定(つけたりしてい)として保存を図る。
○指定基準=意匠的に優秀なもの
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主屋(おもや)と同時期の土蔵と建設に係る資料 (近世以前/民家)
高橋家住宅(青森県黒石市中町) 米蔵・味噌蔵ほか1棟,附(つけたり)建設関係文書5点
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高橋家は,藩にも出入りした有力な米穀商で,黒石市街に店を構えている。
宝暦から明和年間に建設された主屋は,切妻造,妻入で,前面に「こみせ」を設け,津軽地方における基準的な商家として重要文化財に指定されている。
宅地奥に並んで建つ米蔵・味噌蔵と文庫蔵は,主屋と同じく江戸後期に建てられた。米蔵・味噌蔵は平屋建,切妻造,文庫蔵は2階建,切妻造,ともに土蔵造,平入で,前面に板壁で囲った庇を付けている。
これらは,主屋と一体となって屋敷構えを形成しており,商家の構成を知る上で貴重である。主屋や土蔵の建設を示す文書計5点も附指定(つけたりしてい)として保存を図る。
○指定基準=流派的又は地方的特色において顕著なもの
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本堂等の建設に係る貴重な資料 (近世以前/寺院建築)
長谷寺(はせでら) 附棟札(つけたりむなふだ) 1枚,平瓦(ひらがわら) 1枚,建設関係資料 3点
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長谷寺は真言宗豊山派の総本山で,西国三十三ヶ所観音霊場の第八番札所である。
本堂は,慶安3年(1650)の竣工で,繋廊(つなぎろう),鐘楼(しょうろう)なども本堂と同時期に建設されたものが残る。
近年,本堂屋根修理に伴って行われた各種調査で,本堂完成のときの棟札,慶安元年(1648)の銘がある平瓦,さらに帳簿や図面などの資料が確認,整理された。
これらは,長谷寺の諸建築の建立年代や,建設の経緯を示す貴重な資料であり,附指定(つけたりしてい)として保存を図る。
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