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「今後の舞台芸術創造活動の支援方策について(提言)」要旨




文化審議会文化政策部会
「今後の舞台芸術創造活動の支援方策について(提言)」要旨
〜21世紀の日本の心を育むために〜



はじめに
          国による舞台芸術創造活動への支援がより一層、我が国の文化芸術の振興に資するものとなるよう、今後の支援方策やその評価の在り方について提言。


1.舞台芸術創造活動への支援の意義について
          音楽、舞踊、演劇といった舞台芸術は、他者と同じ時空間を共有することにより、人と人とのつながりを深め、コミュニティの共通の基盤形成に寄与するとともに、社会の活性化にも貢献。

     これまで我が国はこの分野で海外から多くの影響を受けてきたが、今後は独自性の発揮による国際貢献も必要。

     文化芸術活動は経済活動と二極を成して社会を構成しており、文化芸術立国を目指す今後の我が国の在り方として、支援の一層の充実が必要。


2.現状の舞台芸術振興施策
    1.    創造活動への支援
    ・芸 術団体重点支援事業
・・・芸術団体が実施する年間の自主公演を支援。本年度は86団体に支援。
  ・国 際芸術交流支援事業
・・・二国間交流、海外との共同制作等を支援。本年度は113事業に支援。
  ・芸 術拠点形成事業
・・・文化会館等が実施する自主企画・製作等を支援。本年度は18施設に支援。
  ・本 物の舞台芸術体験事業
・・・子どもたちに舞台芸術に触れる機会等を提供。本年度は520公演に支援。

  2.    基盤形成への支援
    ・芸 術団体人材育成支援事業
・・・芸術団体が実施する芸術家の育成事業等を支援。本年度は80事業に支援。
  ・新 進芸術家国内・海外留学制度
・・・様々な分野の芸術家に研修の機会を提供。本年度は229名に支援。

  3.    芸術文化振興基金
        ・・・(独)日本芸術文化振興会による舞台芸術創造活動の支援。


3.我が国の今後の舞台芸術創造活動への支援の在り方
    1.    舞台芸術創造活動への支援の基本的在り方
   各支援事業の目的を明確にし、重点的に支援するとともに、幅広く多様な支援を全体としてバランスよく、メリハリをつけて実施。

   我が国の文化芸術の将来的な発展という中長期的な観点に立った支援が必要。

   文化の東京一極集中を改善し、地域における優れた舞台芸術創造活動が活性化するような地域重視の視点が必要。

   舞台芸術創造活動の将来的な発展を支えるため、人材の養成・研修をはじめとする基盤の形成に対する支援の充実が必要。

   国の支援は、先駆的・実験的な舞台芸術創造活動に積極的に行うとともに、鑑賞者の動向にも配慮し、享受者の広がりを導く取組を促進する観点も重視。

   舞台芸術の鑑賞・表現活動を通じて子どもたちはいのちの大切さ、他者の価値観の尊重やコミュニケーションの重要性等を体験。学校教育においても子どもたちの表現活動への一層積極的な取組を期待。

  2.    舞台芸術創造活動への具体的支援策の方向性
(1)    創造活動への支援
   芸術団体重点支援事業について、対象分野、支援内容が多様になった現状を踏まえ、支援目的や支援対象事業をより明確化し、拡充を図る。

   支援対象事業、経費について、舞台芸術創造活動の実態に則して弾力化を図るとともに、領域横断や新たな芸術挑戦への支援にも考慮。

   音楽、舞踊、演劇など、舞台芸術各分野一律でなく、特性に応じた支援に留意。

   国際芸術交流支援事業等の採択決定のより早期化を図るとともに、融資制度の可能性も含め、資金の早期交付について検討。

   芸術拠点形成事業の一層の充実など、地域の文化力の活性化に配慮した支援を実施。また、支援に当たっては、各地域の芸術拠点と文化芸術団体等との提携関係(フランチャイズ制、レジデンシーなど)の促進に配慮。

(2)    基盤形成への支援
   新進芸術家をはじめ、舞台関係者、指導者などの人材育成事業への支援を充実。国として文化芸術団体と連携して表彰・顕彰を充実。

   地域の文化力の全国への発信のため、評論家等の交流機会の提供や地域の文化情報の流通促進等を検討。マスメディアの一層の協力も期待。

   支援事業の効果を高めるため、文化芸術団体のマネージメント機能充実を推進。

   国、地域や民間の三者による支援の有機的連携を図るとともに、民間企業等の取組を積極的に顕彰。各文化施設のネットワークの構築も必要。

  3.    新たな評価システムの確立
   文化芸術団体による自己評価と情報公開の一層の充実を期待。

   国の支援は、各分野ごとの専門家による審査(事前評価)を充実するとともに、事後評価の結果をその後の支援事業に適切に反映する仕組みを検討。

   評価の透明性を高めるため、審査体制、審査結果等は可能な限り公表。




今後の舞台芸術創造活動への支援方策について(提言)〜21世紀の日本の心を育むために〜 (PDF:10.8KB)



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