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2 解   説
     
【重要有形民俗文化財の指定】
     
   北上山地川井村の
            山村生産用具コレクション

                                         (1,345点)
(1) 所有者             川井村
(2) 所有者住所             岩手県下閉伊郡(しもへいぐん)川井村
(3) 内訳            
生産用具       1,345点
(4) 文化財の概要  
 
1 文化財の特色
   我が国有数の畑作卓越地帯である北上山地の生産用具のコレクションで、自然の素材を巧みに利用した用具や、稗作を中心とした多彩な生業形態に特色を示す。
2 文化財の説明
   この資料は、岩手県の東半分を占める北上山地のほぼ中央に位置する川井村内で収集された、伝統的な生産用具のコレクションである。
   川井村は北上山地を南北に分けて東流する閉伊川(へいがわ)と、支流の小国川(おぐにがわ)に沿って集落が点在する典型的な山村である。この資料は、昭和30年代後半から行われた民俗調査の成果に基づいて収集された約5千点の資料の中から、川井村北上山地民俗資料館の活動を中心に整理されたものである。
   資料は、自然物採集・加工用具、農耕用具、山樵(さんしょう)用具、炭焼き用具、狩猟・漁撈用具、畜産用具、養蚕用具、製糸・機織用具、諸職用具の9分野に分けられており、それぞれ作業工程順に整理されている。
   この地域の生産用具の特色としては、自然木を巧みに利用したものや、素材に樹木や蔓(つる)類、樹皮等が多く用いられていることなどが注目される。また、個々の用具では、農耕用具の中の南部型踏み鋤や稗の直播(じかま)き用具、養蚕用具の中の蚕座(さんざ)、山樵用具の中の枕木(まくらぎ)の製作用具、諸職用具の中の漆掻き用具や柾板(まさいた)製作用具などが地域的な特色を示すものとして注目される。
 

2   会津只見の生産用具と
              仕事着コレクション

                                        (2,333点)
(1) 所有者             只見町
(2) 所有者住所             福島県南会津郡只見町
(3) 内訳            
生産用具    1,917点
仕事着 416点
(4) 文化財の概要  
 
1 文化財の特色
   新潟と福島の双方の文化要素を伝える生産用具と仕事着のコレクションで、豪雪と河川の影響を色濃く受けた伝統的な地域文化を色濃く示す。
2

文化財の説明
   この資料は、福島県の南西部、新潟県に接する只見町内で収集された伝統的な生産用具と仕事着のコレクションである。
   只見町は政治的には会津圏にありながら、人的・経済的には八十里越(はちじゅうりごえ)、 六十里越(ろくじゅうりごえ)の峠道を経て越後地方と密接につながっていた。また、山間地にありながらも只見川、伊南川(いながわ)の流域には早くから稲作栽培が行われているなど、冬季の多雪と河川の影響を受けつつ特色ある生活文化を伝えている。
   資料のうち生産用具は、自然物採集用具、農耕用具、狩猟用具、漁撈用具、山樵用具、製糸用具、蔓細工(つるさいく)用具、屋根葺き用具に分けられ、それぞれ作業工程順に整理されている。仕事着は男女別に山用、里用に分けられ、上着から履き物、雨具に至るまで一式が収集されている。
   この地域の生産用具の特色としては、自然物採集用具の中のゼンマイ採りの用具や、農耕用具の中の湿田用具、焼畑用具などの中には越後地方からの影響を強く受けた用具が見られる。また、狩猟用具、屋根葺き用具の中には技術の系譜関係や儀礼の作法を記した巻物類が多く見られ、さらに、仕事着では貴重な木綿布を上手に使うための技法や刺し子の手法などの工夫が見られることなどに、この地方の特色が示されている。

     

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