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2 解   説
     
【重要有形民俗文化財の指定】
     
   北海道二風谷(にぶたに)及び周辺地域の
                  アイヌ生活用具コレクション

                                         (1,121点)
(1) 所有者             平取町(びらとりちょう)
萱野   茂(かやのしげる)
(2) 所有者住所             北海道沙流郡(さるぐん)平取町本町
北海道沙流郡平取町二風谷
(3) 内訳             生活用具                           1,121点
(4) 文化財の概要  
     北海道の中でも二風谷及び沙流川流域はアイヌの生活文化を濃厚に保有している地域として知られている。この資料は、二風谷に在住するアイヌ文化研究者の萱野茂氏が収集・整理した、二風谷及び沙流川流域のアイヌ生活用具のコレクションであり、現在、平取町立二風谷アイヌ博物館と萱野茂二風谷アイヌ資料館に分かれて展示・収蔵されている。
   この資料は、衣生活、食生活、住生活、生産・生業、交通・運搬、社会生活、信仰、民俗知識、芸能・遊戯、人の一生の10分野に分けられており、うち信仰関係の用具が最も多く、全体の約35パーセントを占める。
   このコレクションは、アイヌの生活全般に関わる用具について、伝統的な生活用具とその変遷過程を示す用具を多数含んでおり、この地域のアイヌの生活文化の実態とその変遷を示すものとなっている。
   加えて、個々の資料には、製作地や製作法、使用地や使用法などの伝承記録が完備しており、沙流川流域のアイヌ文化の特徴を示す指標的資料として、今後のアイヌの生活文化の比較研究の上でも貴重な資料となっている。
 

2阿波人形師(天狗屋)の
         製作用具及び製品
            附   販売関係資料

                         (1,107点   (つけたり)   51点)
(1) 所有者             徳島市
(2) 所有者住所             徳島市幸町2−5
(3) 内訳            
製作用具及び製品    1,107点
(つけたり)   販売関係資料    51点
(4) 文化財の概要  
     この資料は、徳島市国府町(こくふちょう)和田(わだ)で天狗屋の看板を掲げ、明治・大正・昭和の三時代にわたり人形師として活躍した、吉岡久吉(ひさよし)(かなめ)(おさむ)天狗久(てんぐひさ)三代が使用した人形の製作用具及び製品と、看板や注文帳、控帳などの販売関係資料を整理、とりまとめたものである。
   製作用具は、木彫による木偶(でこ)製作用の人形製作用具と、和紙の張り抜き用の張り型に分けられ、さらに両者に共通するものとして仕上げ用具と、製作見本や習作などのその他に分けられており、人形製作用具はさらに作業工程順に細分されている。製品も、木偶と張り抜き人形に分けられる。木偶の大部分は修理用または新作見本として持ち込まれたものと考えられ、張り抜き人形の大半は、外題人形と呼ばれる歌舞伎の演目などをもとにした人形である。
   阿波の人形師は木偶の製作だけでなくさまざまな細工品を製作しており、この資料はそうした人形師の営業の実態を示すものとなっている。
   この資料は、全国各地の民俗芸能系の人形芝居に大きな影響を与えた、阿波人形の製作・修理技術の実態と、この地の人形師の多彩な営業の実態を示す貴重な資料である。
     

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