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参考資料2

第1回過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(平成20年3月14日)において出された意見の概要

  •  著作隣接権の裁定制度について、どの程度ニーズがあるのか不明である。
  •  10年以上古いドラマ番組の場合には、およそ1割が不明者になっており、所属事務所や権利者団体で調べてもらっても分からない実演家が存在する。
  •  二次利用を想定せずに作成された古いコンテンツで権利者情報が分からないものと、これから権利情報を集約しながら製作するものを明確に分けるべきで、前者に対する手当が必要な場合に、恒久的な裁定制度は必要ないと考える。また、権利者不明といっても、実演家ではなく単なる一般人の写り込みの場合が混ざっていると思われるため、定量的な分析や具体的な事例を挙げながら検討していく必要がある。
  •  コンテンツホルダーによる権利情報の集約の途上にある中で、より楽な制度ができてしまうと、そういうシステムができていかなくなる。権利情報の集約についての努力の結果を検証せずに、いたずらに必要な手続きを省略するための制度としてはいけない。
  •  現行の裁定制度は基本的に権利者を守ることを前提に、なるべく利用者が使いにくいようにするとのコンセプトで作られている。今後は、利用の円滑化というコンセプトで検討するのであるから抜本的に考え方を変える必要がある。例えば、申込みの料金はゼロでもいいし、供託金も事後に権利者が現れてから払えばいいというシステムは非常に使いやすい形であると思う。
  •  英米のように事後に支払うような制度の場合、利用した業者が倒産するとかで支払い能力が無くなった場合などにトラブルが起きるのではないか。
  •  日本経団連の枠組みでは、最終的にリスクがゼロになるわけではない。ゼロが無理でも、リスクはなるべく小さくしたい。裁定制度でなくても、例えば、何らかの権利者を捜す努力をしていれば差し止めの可否や刑事罰のところで免責されるようなことは考えられないか。
  •  裁定制度は、不明の場合も協議不調の場合もあるが、権利者の意思にかかわらず権利を制限するという意味では、やはり大きな例外。ただ、実演を加えるのか、視聴覚実演だけに限るのか、また、その主体を誰でも認めるのか、放送事業者に限るのか、さらに、利用行為一般が含まれるのか、インターネット配信は許さずに再放送に限定するのか等々、きめ細かく設定して制度を作ることも可能で、それによっては各種の条約の適合性も担保され得るのではないか。
  •  裁定制度を使いやすくするとザルのようになってしまうのではないかという不安があるが、もっと使いやすい裁定制度をという声があるのも事実だと思う。法改正だけではなく、制度的な運用や民間での取組への提言も含めて検討したい。
     米国で保護期間の最後の20年は図書館等の一定の利用行為について権利制限されているが、このように図書館制度と組み合わせるなど複合的な策を講じていかないと、単純に裁定制度を簡便化するのでは危険。また、第三者機関の設置による強制許諾の可能性も考えているが、分野を狭めて考えないと汎用的な機関であれば危険である。
  •  音楽配信では、何百万曲というコンテンツを利用したビジネスが始まっており、一つのコンテンツの中に細分化されて権利がある場合、一部の著作者が後から判明するときがどうしてもあるなど、何らかのセーフティネットがないと実務が難しくなっている。裁定制度はもちろん、その他の仕組みも含めて、一方がリスクを負う形ではなく、著作権と著作物流通の調和の中でみなが使いやすく、また何かあったときのリスクが巨大化しすぎないようなセーフティネットをつくっていく必要がある。
  •  日本経団連の「映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会」であった議論とも連携しながら、何が問題になっているかを具体的にイメージできるような形で検討を進めるべき。
  •  日本経団連での議論は、文化庁での議論がなかなか進まない中で、実務上はどんどん進めないと、コンテンツの流通を早く進めなければならないということで、民−民でお互い妥協ができる部分は妥協し、リスクがあってもやろうという話で、報告したもの。
  •  日本経団連での議論についても、ひとつの意見として重視すべきではあり、煮詰められた議論は参考になるが、法制度はもっと小さな分野にも及んでいくものであり、まずは一意見として扱うべき。
  •  免責事項があればいいというのも具体的なもの。まず裁定制度を導入するということを決めるのではなく、そういった具体的な事例に基づいた検討が必要。
  •  裁定制度の運用主体について具体的に検討する必要がある。供託金を受け取る者がおらず、国庫に入ってしまうのはおかしい。例えば供託金をプールしておいて、それが累積するようであれば、供託金を値下げするとか、一部をクレーム処理費等に当てるとかを考えてはどうか。官で行うと弾力的にできないというのであれば、第三者機関や既にある団体が代行することも考えられるのではないか。
  • 以上は事務局において発言の要旨をまとめたものである。