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資料5

権利者不明の場合の裁定制度と権利制限型の制度等との比較

  •  権利者不明の場合について、なんらかの制度的な対応を行うこととする場合には、どのような要素を盛り込んだ制度設計とするか。例えば、
    • 1事前救済型(侵害でないこととする)か、事後調整型(事後に権利者が権利追及はできるがその際に一定の免責を行う)か、
    • 2行政機関等が関与するかどうか、
    • 3使用料相当額の支払いは事前に必要か、権利者が判明した場合のみに支払えばいいこととするか
    の要素に分けて考えた場合、それぞれどちらとすることが適切か。

例:現行の日本の裁定制度

  • 1事前救済か事後調整か⇒事前救済(権利侵害ではない)
  • 2行政機関等が関与するか⇒関与有り(事前の裁定)
  • 3使用料相当額の支払いは事前か⇒事前

例:イギリスの権利制限型の対応

  • 1事前救済か事後調整か⇒事前救済(権利侵害ではない)
  • 2行政機関等が関与するか⇒関与有り(事後に支払額の決定)
  • 3使用料相当額の支払いは事前か⇒権利者判明の際

(その他、参考資料3−3の表を参照)

【参考】各要素のメリット、デメリット

  • 事後調整型は訴訟リスクがあり、事前救済型は訴訟リスクが低い。
  • 行政関与型の場合は、手続に要する時間・費用がかかる。一方、非関与型の場合は、手続の時間・費用の面でメリットがある。
  • なお、同じ事前救済・行政関与型でも、行政の事前関与(裁定制度)の場合は、要件を満たすことが保障され訴訟リスクはないが、事後関与(イギリス)の場合は、要件を満たしているか自ら立証を要するリスクが残る。
  • なお、権利者を捜索する努力の時間、費用等については、13のどの要素にもかかわらず、共通して必要。
  • 事後支払い型では、権利者には回収不能となるリスク、利用者にとって立場が不安定なままとなる一方、事前支払い型は、受け取りにこない可能性もある金銭を支払うための手続を要する。