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2.アーカイブへの著作物等の収集・保存と利用の円滑化方策について

(1) 総論
(基本的な考え方)
 新たな創作は過去の文化遺産の土台に依るものであり、文化の発展に寄与する意味でも、アーカイブとして広く収集・保存されることは重要。(実演 椎名氏)
 多くの作品は、発売後1〜2年で、店頭購入が難しくなるし、絶版、廃盤もある。エンドユーザーにとって、多様な著作物の入手のしやすさは重要であり、アーカイブ活動を支援し、アーカイブに手軽に触れられる機会を増やすべき。(エンドユーザー 津田氏)
 コンテンツ事業者が自ら積極的にアーカイブ活動に対して、コンテンツを提供するなど、協力・支援する仕組みを作るべき。(エンドユーザー 津田氏)
 日本レコード協会で、集中管理事業のほか、音源のアーカイブ事業を推進している。このような民間レベルの取組の推進によって、アーカイブ事業の円滑化を進めるべき。(レコード 生野氏)

(保護期間問題との関係)
 アーカイブは、文化の承継・発展のための公益性が認められる利用であり、保護期間延長の問題とは別に、アーカイブ化を容易化する措置を検討すべき。(音楽 川口氏・朝妻氏)
 保護期間延長は、アーカイブの活動を制約することになる。実際、アメリカやEUの書籍電子化計画では、保護期間がプロジェクトの障害として意識されている。(青空文庫 富田氏)
 インターネットの活用やアーカイブは、保護期間内でも、手続を経れば可能であり、保護期間が切れればインターネットの利便性が活かせるとの関係ではないのではないか。(里中委員)
 アーカイブすることを許可する等の意思表示システムとその作品情報のデータベースを作れば、保護期間を延長しても妨げにはならないのではないか。(三田委員)
 ボランティアによる民間のアーカイブ活動は、保護期間が切れて、著作物の取引費用がかからないことに大きく支えられている。(金委員)

(2) アーカイブを行う基準、対象物について
 放送番組などは、日々大量に製作されている。アーカイブするものをどのように選択するのか。また、収集が大変ではないか。(文芸・脚本 寺島氏)
 絶版でも著作権が消滅するわけではない。アーカイブ化されると出版物として世に出る機会は少なくなり、出版文化の衰退につながるため、アーカイブは保護期間が経過したものに限るべきである。(書籍 金原氏)
 複数の出版社や印刷媒体以外でも出版されていることもあり、絶版かどうかは判断が難しい。(書籍 金原氏)
 公共施設でのアーカイブスが音楽配信事業を妨げないよう、収集するコンテンツの制限、利用方法(回線速度、利用回数等)の制限など調整が必要である。(音楽配信 戸叶氏)
 コンテンツだけではなく、そのもとになった脚本そのものにも着目しなければならない。また、コンテンツに付帯する文献的価値を持つ情報も保存すべきであり、このことが、コンテンツの文化的価値を高めることになる。(文芸・シナリオ 西岡氏、実演 椎名氏)

(3) アーカイブを行う上での課題について
 アーカイブ事業は、現行の権利制限規定(図書館の保存や放送番組の保存)と著作権等管理事業法に基づく包括的権利処理の組み合わせによって推進すべき。(レコード 生野氏)
 保存のためのデジタル化が、著作権法第31条第2項の規定の範囲内かは議論が分かれている。(国会図書館 田中氏)
 音楽以外の分野では、管理事業者が管理する著作物等のシェアが高くなく、団体に属していない者の著作物、団体がない分野の著作物を利用する場合の交渉に時間・労力等がかかる。(放送・NHK 梶原氏、教育 酒井氏・佐藤氏)【再掲】
 新聞、雑誌のように1点の出版物に多くの著作物が含まれている場合は、権利者を調査するのが特に困難であり、事実上裁定制度が利用できない状況である。(国会図書館 田中氏)【再掲】
 劣化した資料等の保存、パッケージ系電子出版物の再生方式の変更への対応、インターネット情報のフォーマット等の旧式化への対応のため、マイグレーション等を含むデジタル化による複製、図書館施設内での利用が保障されるような措置が必要である。(国会図書館 田中氏)
 データの保存、再利用の規格が常に変化しており、再デジタル化に伴う圧縮・解凍による同一性保持について柔軟な規定を検討すべき。(博物館 井上氏)

(4) アーカイブされたものの利用方法について
 公共施設でのアーカイブスが音楽配信事業を妨げないよう、収集するコンテンツの制限、利用方法(回線速度、利用回数等)の制限など調整が必要である。(音楽配信 戸叶氏)【再掲】
 多くの作品は、発売後1〜2年で、店頭購入が難しくなるし、絶版、廃盤もある。エンドユーザーにとって、多様な著作物の入手のしやすさは重要であり、アーカイブ活動を支援し、アーカイブに手軽に触れられる機会を増やすべき。(エンドユーザー 津田氏)【再掲】
 アーカイブについては、教育機関に広く公開されるべき。(教育 酒井氏・佐藤氏)
 すべての障害者にとってアクセス可能な形式で、また利用しやすいシステムとしてアーカイブを設計すべき。(障害者 井上氏)

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