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参考資料3-1

2007年6月15日

日本国文化庁長官
青木 保 閣下

 世界115国、219の著作権団体を連合する著作権協会国際連合CISACの事務局長としてお便りいたします。

 CISACは、去る2007年6月1日にブリュッセル(ベルギー)で開催した年次総会において、サンフランシスコ平和条約15条(c)の規定に基づき、連合国国民の一定の著作物の著作権に対し、日本国のみが課せられている著作権保護期間の戦時加算義務について、CISAC加盟団体が会員に戦時加算の権利を行使しないよう働きかけることを要請する、添付の決議を全会一致で採択いたしました。

 この決議は、貴国の著作権管理団体で、いずれもわが組織の有力な加盟団体であるJASRAC(ジャスラック)(日本音楽著作権協会)、APG‐Japan(日本美術著作権機構)、WGJ(日本脚本家連盟)からの要請に応えて採択されたものですが、長年にわたり日本国において課題となっている戦時加算問題の解消に向けてこのような国際的な合意が得られたことは、CISACとしても極めて意義深いことと考えております。

 文化庁長官閣下におかれましては、この日本国の戦時加算解消に向けたCISAC決議に対する深いご理解とご支持が得られるのであれば、CISACはこの上なくありがたく存じます。

CISAC事務局長
エリック バチスト

【添付資料】日本における戦時加算に関するCISAC決議


日本における戦時加算に関する決議

状況: 2007年6月1日、ブリュッセルで開催された年次総会において全会一致で採択

期日: 2007年6月1日

 著作権協会国際連合―CISACは、ブリュッセル(ベルギー)で2007年6月1日に開催された総会において、

連合国および日本国の間で締結された平和条約15条(c)の規定に基づき、

  1.   連合国民が戦争開戦前に著作権を取得した場合は、日本国が1941年12月7日から平和条約が効力を生じた日の前日までの期間に相当する日数を通常の保護期間に加算する措置(「戦時加算(注1)」という)を日本国において享受し、かつ
2. 連合国民が戦争中に著作権を取得した場合は、当該取得時から平和条約が効力を生じた日の前日までの期間に相当する日数を通常の保護期間に加算する措置を日本国において享受する

ことに留意しつつ、かつ

日本国が、戦後から今日に至るまでの60年以上にわたり一貫してこの戦時加算義務を果たしてきたこと、及び日本の加盟団体が戦時加算義務の解消を強く希望していることに鑑み、

以下のことを決議する。

  1.   CISACは、加盟団体が会員に対し上述の権利を行使しないよう働きかけることを要請する。
2. 行使しないこととする時期については、日本の著作権保護期間が著作者の生存中および死後70年までに延長される時期等を基準に、当該加盟団体の判断に委ねる。

CISACはこの決議を日本国政府に伝える。

(注1)  戦時加算は日本国のみに課せられている義務。日本国が連合国との間で1952年に締結した「日本国との平和条約」15条(c)の規定に基づき、連合国民が太平洋戦争前又は戦争中に取得した著作権について、通常の保護期間に戦争期間を加算して保護しなければならない。加算する期間は、連合国民が開戦の日の前日時点で有していた著作権については1941年12月7日から平和条約発効の前日までの日数、開戦の日以降に取得した著作権については著作権取得の日から平和条約発効の前日までの日数となる。
 連合国民の中で、戦時中に著作権条約により日本国において保護義務があった15ヶ国(アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、オランダ、ノルウェー、ベルギー、ギリシャ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ブラジル、スリランカ、レバノン、パキスタン)の国民が戦時加算の対象となる。
 各国の平和条約の批准時期によって加算日数は異なるが、その期間は、多くの国では約10年5か月(3,794日)である。


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