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資料11

「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」検討課題に関する意見

社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)

1. 意見を表明するにあたって
 ACCSは、コンピュータソフトウェアをはじめとしたデジタル著作物の著作権者の権利を保護すると共に、著作権の普及活動を行い、コンピュータ社会における文化の発展に寄与することを目的としています。そのため、会員社にはビジネスソフトウェア、ゲームソフトウェア等のプログラムの著作物の権利者のみならず、デジタル化された書籍、映像等の著作物の権利者もおります。
 この度のヒアリングに向け、ACCSでは会員各社にアンケートを行い、その結果を以て、ACCSの意見としてまとめております。以下の意見では、主としてビジネスソフトウェア、ゲームソフトウェアの会員社の意見を中心に説明をし、特記すべき点があれば他の会員社の意見も付しております。
  有効回答数
ビジネスソフト 61
ゲームソフト 29
映像 13
書籍 12
その他 17

2. 過去の著作物の利用の円滑化方策について
 アンケートの結果、裁定制度を利用したことのある会員社は1社もなく、現時点で裁定制度に関するACCSとしての意見はありません。また、過去の著作物の利用について現時点で問題としている意見は以下の通り。
  【具体的な意見】
M&A等により、著作物を活用できないオーナーが所有した場合、資産が凍結してしまう。また譲受けようにも価値の算定が難しい
著作者の特定と許諾者との関係が不明
問い合わせをすべき権利者は確認されているが、連絡がつかない場合があり、この場合利用を断念せざるを得ないのが問題
著作権継承者を確定したり、連絡を取ったりすることが困難なケースがある
海外の権利者の場合、時間がかかりすぎる点

3. 保護期間の延長について
 アンケートの結果、積極的な賛成・反対意見は全体としてほぼ同数であり、ほぼ4分の3に当たる回答が法人としての態度を保留しているため、保護期間を70年に延長することについては判断を保留します。

  <ビジネスソフトウェア>
 積極的な賛成意見と反対意見は同数です(賛成4、反対4)。
 保留する多くの意見が、コンピュータソフトウェアが現行のまま50年、70年も使用されることが想定できないことを理由としています。(保留53)
  【具体的な意見】
賛成 著作者・著作物の権利がより保護される方向に進むのは望ましいと考えるため
著作者の死後50年経過後に著作権が無くなった場合、乱用などによって混乱が生じる
反対 コンピュータプログラムの場合、長く保護しても陳腐化するだけなので意味が無いと考える
文化の進展に寄与するところがない
保留 50年後も使用しているコンピュータプログラムが現状では考えられず、保護期間延長によるメリットもないと思われるため
コンピュータプログラムは、短命(著作物としては)であり、50年でも長いくらいです
コンピュータプログラムは、通常バージョンアップを重ねて行くものであり、最初版が50年を超えて利用され続けることは想定出来ない。したがって、「50」を延長する現実的な必要性には乏しいし、一方、それに反対する必要性も乏しいと判断される
自社が所有するものに関しては、延長する事に賛成だが、他社所有のものを使用する側としては好ましくない。
長期にわたって同じ著作物がコンピュータプログラムでは使用できる物ではないため
保護期間の延長による著作権保持企業側のメリットは多いと思われるが、著作物をパブリックドメインにすることによる文化の発展のメリットも企業としては過小評価できないため

<ゲームソフトウェア>
 積極的な賛成意見が反対意見を上回っています。(賛成8、反対3)
 ほぼ3分の2が態度を保留しており、多くは権利者であると同時に利用者でもあることを理由としてあげています。(保留18)
  【具体的な意見】
賛成 著作物の場合、創作して時間が経過してから良い評価を受ける場合もあって少しでも保護期間は長い方が良いと考えられる
ハードウェア等の技術革新に伴い、昔のコンテンツを再利用することができる場が増え、従来より長い期間にわたって著作物を有効活用できる可能性が高まっている現状、著作権保護期間の延長を希望します
欧米諸国の保護期間に揃えたほうがいい。
著作権者の権利は、基本的に保護されるべきものであるから
海外でも広くビジネスを行なっているため、米国との法令と異なることは、ビジネスが複雑化し、また、著作権管理上も好ましくないと考えています
反対 保護期間が長くなることにより「文化の発展に寄与」するとの目的から外れるのではないでしょうか
過度の保護期間は本来のコンテンツ利用を阻害する要因となる
保留 メリット、ディメリットがあり、判断できない
権利者としての立場と利用者としての立場があり、また、文化的所産の公正な利用に留意しつつ著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与する、との法目的を考慮すると、保護期間の延長には慎重にならざるを得ない。
第三者の著作物を使用することも考えられますが、その点だけをみると、権利保護期間は短いことが好ましいですが、当社は著作物を創作する側でもあり、その点をみると権利保護期期間の延長は好ましい、という2つの相反する状況があり、一朝一夕に結論が出ないためです
著作権を保護する立場になることもあれば、利用する立場になることもあるため、一概に賛成・反対を言うのは難しい
権利者であり、同時に利用者でもあるので、メリット、デメリットを慎重に検討する必要があるため

<他の会員社>
  賛成 反対 保留
映像 5 1 6
書籍 0 1 11
その他 2 5 10
  【具体的な意見】
賛成 法人や人間の寿命を考慮すれば、著作物製作のために投じられた資金・労力の償却及び再生産のためにも相応の保護期間延長が認められなければならない。但し、著作物公表後のある時期を境に、著作権使用料値下げや使用規制の緩和が段階的に行われ、最終的に著作権消滅に至ることが理想であると考える。個人的な理想を云えば、保護期間は約1世紀(イコール90〜99年)が妥当と思う
先進国の多くが著作者の死後70年に延長しており、国際協調の上からも延長が望ましく、延長によるコンテンツの資産価値の向上も同時に見込まれるから。また、著作権と同時に著作隣接権の保護期間の延長もぜひ実現化したいと考えます
反対 50年間も、他の人たちに利用されてきた著作物は、50年を越えたら全人類の共有の財産として考えたい。70年は長すぎる
保留 権利者と利用者の両側面を併せ持っており、現状では賛成しかねる。しかし、著作権者の強い要望と国際的な整合性を考慮すると反対もしにくいのが実情。戦時加算の事も含めて60年に延長という選択肢もあろうかと思われます。
現在のように改変や複製が簡単にでき、著作物の発表が誰でも出来る環境では、保護期間後に、それを利用したサービスが容易に出来ます。別途、保護期間を過ぎたコンテンツの扱いに関する検討が必要ではないかと思います

以上


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