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資料9

「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」 意見資料

社団法人 日本美術家連盟
常任理事 福王寺 一彦

1. 保護期間の延長について
コンテンツが瞬時にして世界中を飛び回る今日のデジタルネットワーク化の時代にあって、著作権はもはや一国で守ることは不可能であり、国際的な協調の枠組みの中で保護する必要がある。そういう意味で、日本美術家連盟は早急に「死後50年」から欧米並みの「死後70年」に延長を主張する。日本美術家連盟では海外のいくつかの著作権管理協会と双務協定を結んで相互に著作権を管理し合っている。
例えば、表現主義絵画の先駆者であるエドワルド・ムンクや抽象画家の巨匠パウル・クレーの著作権は欧米ではまだ保護の対象になっていながら、日本では保護期間が消滅して無断で自由に使えることになっている。

海外ではまだ著作権が生きている作品を、日本では自由に使えるからと言って、そうした状況を手放しで喜べることだろうか。
保護期間を欧米とハーモナイズさせることは、相手の国の文化を尊敬することであり、そのことは相手の国の人々を敬愛することに通じる。
言うまでもなくCulture(文化)の本義は「耕すこと」である。創作の土壌の耕し手である創作者と、その創作者が血の滲む思いで生み出した作品を国同士で尊重し合えるためにも保護期間の延長を主張する。
保護期間の延長問題はとかく「利害」の関係、「経済」の関係で語られがちであるが、そうした文化的視点からも論じられるべきではないか。

昨年は安井曽太郎先生の著作権保護期間が切れた。今年は高村光太郎、来年は小林古径、川合玉堂両先生の、2009年には横山大観先生の著作権がPDになる。財団法人横山大観記念館では、遺族から寄贈を受けた大観先生の作品や習作、スケッチ帳、画稿等を展示して公開している。同記念館は、著作権使用料の一部をその運営に充てており、大観先生の著作権がPDになれば運営自体が困難になりかねない。そうなれば国の文化的財産の損失である。

2. 戦時加算について
戦時加算のような我が国のようなのみに課せられた不平等条約は、官民が協力して早急に廃止すべきである。
戦後すでに60年を経過しているにもかかわらず「戦時加算」という言葉が使われ、効力を持っていること自体、異常といわざるを得ない。


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