著作権分科会 私的録音録画小委員会(第17回)議事録・配付資料

1.日時

平成20年1月23日(水曜日)10時〜12時

2.場所

フロラシオン青山 2階 「芙蓉」

3.出席者

(委員)

石井、井田、大寺、華頂、亀井、河村、小泉、河野、小六、椎名、津田、筒井、土肥、苗村、中山、野原、生野、松田、森田の各委員

(文化庁)

吉田文化庁審議官、山下著作権課長、亀岡国際課長、川瀬著作物流通推進室長ほか

4.議事次第

私的録音録画小委員会の審議の経過について

5.資料

資料
  私的録音録画小委員会の審議の経過について(案)

6.議事内容

【中山主査】

 雪のせいか、まだ若干の委員の方お見えでないようですけれども、時間でございますので、ただいまから文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の第17回を開催いたします。
 いつものことでございますけれども、議事に入ります前に、本日の会議の公開につきましては、あらかじめ予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開にするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々には入場していただいておるところでございますけれども、このような処置でよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】

 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事は公開ということにいたしまして、傍聴者の方々はそのまま傍聴をお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 まず、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【木村課長補佐】

 本日の配付資料の確認をお願いいたします。本日の配付資料は1点のみでございます。「私的録音録画小委員会の審議の経過について(案)」でございます。1枚物で両面刷りのものでございます。漏れ等ございませんでしょうか。

【中山主査】

 本日の議題は、私的録音録画小委員会の審議の経過について、でございます。1月30日に開催が予定されております文化審議会著作権分科会から、私が私的録音録画小委員会の審議経過を報告したいと思いますので、その案につきまして、今日は議論をお願いしたいと思います。
 まず初めに、事務局から資料につきまして説明を頂戴して、その後意見交換を行いたいと思います。
 それでは、説明をお願いいたします。

【川瀬室長】

 それでは、お手元の資料をごらんいただけますでしょうか。
 まず、資料の中身をご説明する前に、今までの審議経過について、皆様ご承知のことと思いますけれども、改めて経過をたどって見てみたいと思います。
 ご承知のとおり、平成18年1月に文化審議会著作権分科会の報告書が公表されまして、その中で、私的録音録画問題については補償金制度の抜本的な見直しをするべきだというご提言をいただいたわけでございます。それを踏まえまして、2年を目処に報告書をまとめるということで、その年に本小委員会が発足したわけでございます。その間、関係の委員の皆様のご努力により審議が進みまして、さまざまな問題について問題点が整理され、その課題について解決策が検討されましたが、例えば、違法複製物や違法配信からの私的録音録画の問題のように、反対意見はございましたけれども、第30条の適用範囲から除外することが適当であるとする意見が大勢であったということで、一つの方向性というものが見えたものもございますけれども、例えば、補償金制度の中で著作権保護技術と補償の必要性の問題、その他大きな課題もございますけれども、こういった大きな問題について意見の隔たりがあるなど、意見の一致を見なかった課題も多かったわけでございます。
 そこで、従来、この著作権分科会では一定の方向性を含めた課題の整理をして、中間まとめという形で公表しておりましたけれども、意見の隔たりが大きかったので、中間整理という形式で、一つの方向性が見えたものはその旨を記述し、見えないものについては課題の整理をしたものを10月に公表し、関係者や国民の皆様にご意見をいただいたところでございます。
 この中間整理に対しては、8,720通という、本小委員会といいますか、著作権分科会の小委員会のまとめの中では異例な数の意見をいただいたわけでございます。そういうことで、世の中の関心が非常に高いということが改めて実感されるわけです。その後何回か検討を重ねましたけれども、残念ながら報告書の取りまとめには至らなかったということでございます。
 しかしながら、12月18日、1月17日の2回にわたりまして、事務局でさまざまな関係者の意見を踏まえながら、事務局提案というものを提出させていただきまして、この場で検討したわけでございます。その結果として、関係者間でこの事務局案を検討していただけるということになりまして、報告書をまとめられる可能性が出てきたということでございまして、これが本日までの現状ということでございます。
 今回の審議経過の案につきましては、これらの現状を踏まえまして、先ほど主査からご説明がありましたように、1月30日の文化審議会著作権分科会で主査の方から検討状況をご報告していただくための文案づくりということでございます。なお、本小委員会の検討状況につきましては、中間整理までの検討状況を既に分科会にご報告済みでございますので、形としては中間整理以後の検討状況の報告という形をとっております。
 それでは、資料をごらんいただけますでしょうか。審議経過の案につきまして、私の方から読み上げさせていただきます。
 私的録音録画小委員会では、昨年10月12日に本分科会で中間整理を報告した後、同中間整理につきまして、10月16日から11月15日までの間意見募集を行いまして、8,720通、団体から110通、個人から8,610通のご意見が寄せられました。意見募集の結果につきましては、11月28日の小委員会において、その概要を紹介しまして意見交換を行いました。
 また、12月18日の小委員会においては、同意見募集において、違法複製物及び違法配信からの録音録画の取り扱いに関する意見の割合が約7割に上ったということを踏まえまして、改正の必要性、利用者保護のための措置、キャッシュ等の取り扱い等につきまして、改めて集中的に検討を行ったところでございます。
 また、同日、これまでの議論を踏まえまして、将来、著作権保護技術の発達・普及を前提にしまして、娯楽目的の私的録音録画については、著作権法第30条の私的使用のための複製に関する複製権の制限の対象外として、契約による解決に委ねることを内容とする事務局案について、検討を行ったところでございます。
 さらに、本年1月17日に、制度の基本的な枠組みについて、機器等のメーカーに一定の負担を強いることは関係者の理解を得られなくなってきており、現行の補償金制度による解決は今後縮小し、他の方法による解決に移行すること、音楽CDからの録音と無料デジタル放送からの録画については、当面補償金制度での対応を検討する必要があること、他の利用形態で権利者への補償の必要性が否定されない分野については、契約モデルによる解決に委ねることとし、利用者に大きな不利益を与えないことを前提として、可能な分野、例えば適法配信から第30条の適用範囲を段階的に縮小していくことを骨子とする事務局提案について検討を行ったところでございます。
 これらの事務局提案につきましては、現在、関係団体において検討されているという状況でございます。したがいまして、今期の小委員会において報告書の取りまとめはできなかったものの、関係団体における検討が進展することを期待しつつ、来期も継続して検討する必要があるというふうに考えているということでございます。
 なお、小委員会の検討の継続については、基本的に分科会の権限でございますので、最後にこのような表現にしております。
 以上でございます。

【中山主査】

 ありがとうございました。
 それでは、この案につきまして意見交換をしたいと思います。
 これは、私が1月30日に開催される著作権分科会の方で報告をする案ということでございます。今、室長からお話しがございましたとおり、意見の完全な一致というのは見なかったわけですけれども、こういうスタンスで来期に続ければということだと思います。
 意見がございましたらお願いいたします。
 どうぞ、小泉委員。

【小泉委員】

 2つのアジェンダのうち、例えば30条の点だけは次の年度からほかの委員会に回る可能性はあるか、あるいは、すべてがこの委員会でまた継続されていくのか、現段階で見通しがわかっておりましたら、教えていただきたいんですけれども。

【中山主査】

 室長、どうぞ。

【川瀬室長】

 私どもとしましては、当初の検討課題については全部そのまま継続してご検討いただきたいと思います。なお、これまでも何度も繰り返しておりますけれども、私的録音録画以外の複製、例えば今回の意見募集の中でも、録音録画以外に、例えばコンピュータープログラムのダウンロード、これは録音録画と言いませんので、そういう問題についてぜひ検討をしてほしいというような関係団体からの強い要望が出ておりまして、こういう問題につきましては、法制問題小委員会の方で検討していただくということになろうかと思いますけれども、基本的には当初の課題をそのまま継続審議にしたいと、私どもとしては考えております。

【中山主査】

 よろしいですか。
 ほかにご意見ございましたら。
 どうぞ、野原委員。

【野原委員】

 事務局案ということなので、この委員会の合意とは違うので細かいことを言うつもりはないのですが、できれば1カ所だけ言葉を変えていただけないかというご提案です。表側の一番下の丸のポツが3つある最後のポツですけれども、2行目に「利用者に大きな不利益を与えないことを前提として」と書いてありますが、大きな不利益がなければいいのかというふうに読めるのが残念な気がしますので、例えば、利用者の利便性の確保を前提としてとか、そういった言葉に変えていただけないでしょうか。

【中山主査】

 室長、その点はいかがですか。

【川瀬室長】

 主査とご相談しまして、できるだけ委員の意見に沿うような形で修正をさせていただきたいと思います。

【中山主査】

 そうです。確かに、大きな不利益というと、私も若干疑問に思ったので、それでは、そこは今のご提案を勘案いたしまして、文章を考えてみたいと思います。
 ほかにご意見ございましたら。今日の議事はこれだけなのですが、雪の中をせっかくいらしていただきましたので、何かご意見ございましたら。
 どうぞ、大寺委員。

【大寺委員】

 私は、来期ですが、できればできるだけ早く一定の結論というものを得ていただきたいと考えます。今期の議論は、例えば総務省の方の議論と並行する形で進んできました。今後もいろいろな状況が想定されますが、そういうものとの関連を持たせつつ、ただ、小委員会としてできるだけ早く、部分解でも結構ですけれども、一定の結論を得て、具体化させていただければよいというふうに思っています。

【中山主査】

 ありがとうございます。
 ほかにご意見ございませんでしょうか。
 どうぞ、井田委員。

【井田委員】

 特にこの資料への意見とか修正要望ということではございませんけれども、1ページ目の最後の丸の2つ目の点のところに「音楽CDからの録音と無料デジタル放送からの録画については、当面補償金制度での対応を検討する必要があること」というふうにあるんですけれども、これは補償金制度で対応することを前提としているというわけではなくて、その対応の必要性も含めて検討するということだというふうに理解しております。誤解があってはいけませんので、念のため発言させていただきました。
 以上です。

【中山主査】

 室長、どうぞ。

【川瀬室長】

 前回の会議でも私が申しましたように、一応この委員会では持ち帰って検討できるというような案というふうに私どもは理解しておりますので、それは関係者全員の方が同じだと思いますので、持ち帰られて、検討の結果、従来と意見が変わらないということも可能性としてはあり得るんだろうということは事務局としても当然含んでおります。そういうことで、本日の資料の中でも、最後の2行前ですけれども、「関係団体における検討が進展することを期待しつつ」ということで、できるだけ報告書ができるような形で、結論を得られるように、そういう期待を込めてこの2行を書かせていただいたということでございます。

【中山主査】

 よろしいでしょうか。
 これは当面ということも入っておりますので、それでお願いしたいと思います。
 ほかに何かございましたら。よろしいでしょうか。
 どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】

 申し上げたいことは山ほどございますが、一方で、補償金制度に関する議論というのは足かけ4年になります。制度自体が機能不全に陥る中で、いたずらに時間ばかりが経過してきたわけでございますけれども、今回事務局からお示しいただいたアイデアに基づいて、来期の小委員会において具体的な検討を進めるということで、権利者としてはそこでの審議を注視してまいりたいと思っています。
 また、その検討に際しては、大寺委員もおっしゃいましたけれども、「ダビング10」の実施という明確なタイムリミットが存在することを改めて指摘をしておきたいと思います。
 以上です。

【中山主査】

 ありがとうございます。
 外部から見るといたずらに遅れていると見えるかもしれませんけれども、一応内部では一生懸命やっておりまして、何とか来期にということでご了承いただければと思いますけれども、ほかに何かございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、野原委員からございました若干の文章の訂正につきましては、私の方でフォローさせていただきたいと思います。
 その他の点につきましては、これでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】

 それでは、この線に沿って、私の方から分科会の方に報告をするということにしたいと思います。
 それでは、今日の審議はこのくらいといたしまして、本日は今期最後の小委員会でございますので、事務局の方から一言ご挨拶があると伺っておりますので、お願いいたします。

【吉田審議官】

 それでは、今期の私的録音録画小委員会を終えるに当たりまして、一言事務局を代表いたしまして、お礼の言葉を申し上げたいと存じます。
 今期の小委員会におきましては、主に制度の枠組みにつきまして、活発にかつ精力的にご議論いただきました。昨年10月にはそれまでの議論を整理いたしました中間整理を取りまとめていただくこともできました。この点につきまして、改めてお礼を申し上げたいと存じます。先ほど主査からご発言がありましたとおり、これまでの審議経過につきましては、来る1月30日に開催されます著作権分科会において報告をさせていただく予定でございます。
 今期の小委員会は今回が最後ということでございますけれども、先ほど来お話がありましたように、今後につきましては、まだまだ議論が尽きていない部分も多うございますので、来期も引き続きご議論いただきたいと存じます。文化庁としても、全力でこの問題解決に当たってまいりたいと考えておりますので、委員の皆様には引き続きご協力いただきますようにお願い申し上げます。
 改めまして、大変濃密な、17回ということで、大体一月に1回あるいは2回という非常に濃密なスケジュールの中で、委員の皆様にはお忙しいところご参加いただきまして、まことにありがとうございました。改めてお礼を申し上げまして、挨拶とさせていただきます。
 ありがとうございました。

【中山主査】

 どうもありがとうございました。
 先ほど椎名委員からお話しございましたとおり、随分長い間議論をしておりまして、外から見ていると何をしているのかというご意見もあろうかと思いますけれども、この問題は著作権法の本質にかかわる問題だと思います。一見すると、補償金という著作権法の中の一部の問題に見えますけれども、実はデジタル技術、インターネット技術の発展によりもたらされている問題でして、非常に大きな問題であります。したがって、ある程度時間がかかるのもやむを得ないかと思いますけれども、しかし、時代の流れには即応していかなければいけませんので、何とか来期にうまくまとめるようにと私も願っておりますので、よろしくお願いいたします。
 どうも長い間本当にありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして文化審議会著作権分科会の第17回私的録音録画小委員会を終了させていただきます。
 本日はありがとうございました。

(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)