資料2

私的録音録画小委員会中間整理に関する意見募集の結果について

1.総論

2.第1章 私的録音録画問題に関する今までの経緯等について

3.第2章 私的録音録画の現状について

4.第3章 私的録音録画補償金制度の現状について

5.第4章 著作権保護技術の現状と当該技術を活用したビジネスの現状

6.第5章 違法サイトからの私的録音録画の現状について

7.第7章第2節 著作権法第30条の適用範囲の見直しについて

(1)私的録音録画の実態から権利者に著しい経済的不利益を与えているのではないか等との指摘があった利用形態

a 違法録音録画物や違法サイトからの私的録音録画

  • 拡大する音楽コンテンツの違法な流通を防止し、音楽産業の健全な発展を図るためには、違法音楽配信サイトからのダウンロードを著作権法第30条の適用範囲から除外し違法とするとともに、民間レベルでの広報・啓発活動及び学校における著作権教育を一層充実させ、ネットワーク環境に適合したITモラルの涵養を図ることが必要。
    (日本レコード協会)(同旨 レコード会社)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    違法録音録画物や違法サイトからの私的録音録画を放置することは、ベルヌ条約のいわゆるスリーステップテストにある通常の流通を妨げる利用形態であり、また、著作者の利益を不当に害するものであることは明らか。一部にはダウンロードまで違法とするのは行き過ぎとの意見もあるが、明らかな違法複製物からの録音録画物からの録音録画に限定するなどの条件を付すことで利用者保護は十分可能である。
    (音楽出版社協会)(同旨 個人複数)
  • 違法サイト等からの私的録音録画を第30条から外すこと、またその際一定の条件を付すことは、合理的であり賛成。
    (音楽制作者連盟)
  • 違法な録音録画源から録音・録画した複製物が適法となるとは考えられないことから、そのことが法律上明らかになることについては賛成。
    ただし、当該利用行為が著作権法第30条の適用外となった後における違法複製を把握するための方法や、その撲滅・防止の具体的な方法については、今後の議論において十分な配慮を願う。
    (日本音楽著作権協会)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    違法複製物かどうかが分かるような仕組みや、社会的啓発・教育等、利用者保護の観点からの手当を行いつつ、違法な録音録画物や違法サイトからの私的録音録画を30条から除外し、権利者が権利を主張できるよう法律上の措置を講ずるべき。
    (日本経済団体連合会知的財産委員会企画部会)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    違法複製物はすでにウェブ上に蔓延しており、正規の携帯電話向け音楽配信などに甚大な被害をもたらしている。違法な行為を違法と言えるようになるのは、違法サイト対策としても大きな意味がある。また、条件を付すことによって利用者保護は十分可能である。
    (音楽出版社)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    違法録音録画物や違法サイトからの私的録音録画を第30条の適用範囲にとどめた場合は補償金で対応することになるが、実態調査等で明らかな被害実態に照らせば、極めて莫大な補償金を想定しなければならず、現実的ではない。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • コンテンツを盗む行為は、物を盗む行為と同じであることを明確にするため、違法サイトからのダウンロードを第30条の対象外にする意見が出たことは評価。ただし、罰則の適用を除外することには反対。また、デジタル複製はDRMにより管理可能であるから第30条を制限する必要もあるため、以上の点から第30条に「著作物の通常の利用を妨げずかつ著作者の利益を害さない範囲」という文言を追加することが必要。
    (日本国際映画著作権協会)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    その上で、違法行為助長に対する抑止力として、早急に罰則規定を法定すべきである。
    (日本俳優連合)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    正直なユーザーが損をしないようなシステムの一環として至極当然だと思う。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    有害なコンテンツがインターネット上に蔓延しているのは周知の事実であり、違法なものをダウンロードすることを「適法」とするのは社会正義に反し、教育上にも問題があるので、速やかに違法とすべき。
    (個人)
  • 中間報告の記述のみでは広汎な分野に負の影響を及ぼすおそれがなお払拭されていないと考えられるため、リスク評価を含めた議論の継続が望ましい。
    (日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合)
  • 著作権法第30条の適用範囲の見直しにあたっては、第30条の立法趣旨に立ち返り、また憲法が保障する表現の自由との調整が不可欠であるという観点から慎重に検討していただきたい。改正後の影響があまりに広範囲に及ぶうえに、影響の度合いも深刻であるため、拙速な結論を導くことには反対。
    (ポータルサイト提供事業者)
  • 次のような理由から第30条からの適用除外に反対。
    1.  ダウンロードしたファイルが違法なものであるかどうかは、ダウンロードした後でなければ厳密には分からない。
    2.  ダウンロードした後であっても、それが違法なものであるかどうかを区別するのは難しい場合がある。
    3.  ユーザーがダウンロードした時点で違法サイトと承知していたかどうかを判定するのは難しい。
    4.  管理されたサイトにのみ適法マークを与え、それ以外をすべて違法であるかのように扱うのはあまりに乱暴である。
    5.  曖昧な違法性の定義によって、一般のユーザーは常に「犯罪を犯す」リスクにさらされることになる。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に反対
    1.  現在のインターネットは、適法・違法の区別も難しい多様な情報が流通しているので、違法サイトへのアクセスへの減少を起こすばかりか、適法サイトへのアクセスをも減少させてしまう可能性がある。適法サイトへのアクセスも減少してしまいかねない本案は、明らかに著作権法の目的と反している。
    2.  本案の有効性が問題。そもそも、どのように「情を知って」行為を行ったことを知るのか分からない上、あるユーザがどのサイトにアクセスしたかという情報は、「通信の秘密の保護」により守られており、知るすべがなく、解釈の仕方によってはどのようにも解釈でき、日本国民全員が犯罪者となってしまう危険性をはらんでいる。また、違法ダウンロード者の発見などという行為は、国家による情報統制・監視を助長するものであり、危惧を覚える。
    3.  技術的側面について問題。現在のWeb技術は、あるページを閲覧すると同時に、クライアントにデータが保存されるようになっており、Webを用いてストリーミングを行うと言うことは、ダウンロードしながら再生しているに過ぎず、ダウンロードのみを対象とするという本案は現実に即していないと言わざるをえない。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    現行法で取り締まれることを行わず、いたずらに法改正で縛ることは、利用者の立場として看過できない。
    「情を知って」という例えを用いているが、違法サイトと適法サイトを見分ける確実な方法が存在しないため、その判断は非常に曖昧にならざるを得ず、厳密な適用は非常に難しい。
    また、運用上の工夫を施すにしても、違法サイト側に偽装されてしまえば、一般利用者には識別が困難であり、結果として、一般利用者が適法サイト、違法サイトのチェックを行う新たな負担を強いられることとなる。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    利用者に責任を負わせるのは行き過ぎであり、インターネット利用者を萎縮させるだけである。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    ファイル交換ソフトを利用したダウンロード等を「通常の流通を妨げる利用形態」と見なしているが、近い将来において、このファイル交換ソフトによる流通技術が、ローコストな流通形態として市場を確立しうる可能性が高く、この技術を含むネットワーク技術の利用を違法対象とすることに強く反対する。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に反対
    法文にストリーミングは対象外と明記されない限り、映画の保護期間延長問題で文化庁の発言を裁判所がひっくり返したように、個々の裁判官の判断がどうなるか不安である。専門的知識を持たない裁判官に違法と判断される可能性がある。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 違法サイトとは誤解をまねく表現であり、報告書を通じて使用されるべきではない。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • この中間整理では、個人のパソコンまで含めて便宜的に「違法サイト」と呼んでおり、その範囲が膨大で、かつ、基準が明確ではないため、厳密な定義をするべき。
    (個人)
(違法サイトと適法サイトの区別について)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    利用者保護の観点から、適用除外の範囲に一定の条件を課すことにより、知らずに罪を犯すリスクをユーザーに負わすことのない制度設計とすることができる。なお、権利者としても違法サイトと適法サイトを識別するためのマークを制定し、広くユーザーに周知を図る予定。
    (日本レコード協会)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    違法サイトと適法サイトを識別するためのマークが、コンテンツではなくサイトごとに設定されるということを前提としているのであれば、原理的にマークが設定できないサービスが多々存在する。また、当該マークは法制化されないのであれば、勝手に当該マークを設置するサイトを規制することもできず、実質的に利用者の違法ダウンロードの故意が認められないこととなる。
    (インターネット先進ユーザーの会)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    違法サイトと適法サイトを識別するためのマークにより、簡単に設置されそうにない動画投稿サイトのようなユーザー主導のサービスやアマチュア作者のサイト、また、海外のサイトなどが「適法市場」から不当に締め出されることにならないか。
    (個人)(同旨 個人複数)
(技術的論点について)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    ストリーミングとダウンロードは技術的に根本的な違いがあるわけではなく、両者を法律的に大きく意味の異なるものとして取扱うべきではない。
    (インターネット先進ユーザーの会)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    議事ストリーミングでダウンロードされたキャッシュが複製と見なされるか否かについては専門家の間でも争いがあり、一般ユーザーの法的地位は甚だ不安定なものとなる。
    (インターネット先進ユーザーの会)(同旨 個人複数)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    ストリーミングとダウンロードの違いが判り辛く、無自覚で潜在的な違法行為者を増やしかねない。
    (個人)(同旨 個人複数)
(送信可能化権による対応について)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    海外から送信される場合や、送信元が秘匿されるP2Pソフトウェアが利用される場合など、送信可能化又は自動公衆送信の違法性を追求するだけでは十分な対策を取れないことが多々ある。
    (日本映画製作者連盟)(同旨 日本レコード協会)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    権利者の被害は実質的にはダウンロードされることより生じるものであることから、被害実態を勘案した場合、違法サイトからのダウンロードを合法とすることは適当でない。
    (日本レコード協会)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    権利者の利益を大きく損なっていると言えるのは、個々のダウンロード行為ではなくアップロード行為であり、それは既に送信可能化権によって権利行使が可能である。
    (インターネット先進ユーザーの会)
(架空請求の恐れについて)
  • 第30条からの適用除外に賛成。
    利用者保護については中間整理のような条件を付すことで対応可能であり、架空請求の恐れは権利保護を躊躇する理由にはならない。
    (日本映画製作者連盟)
  • 第30条からの適用除外に反対。
    違法サイトと適法サイトとの区別が定かではないサイトからダウンロードした者に対して、第三者が違法ダウンロードであるとの主張により、対価を請求してくる恐れがある。
    (インターネット先進ユーザーの会)(同旨 個人複数)
(第30条の適用除外とする範囲について)
  • 第30条から適用除外に賛成。
    加えて、有料放送のスクランブルを解除する機器(違法チューナー)をインターネットオークションから購入し、有料放送を“ただ見”、録音録画する行為が発生しており、権利者の利益を害している状況があるので、「違法チューナーを経由して有料放送を視聴し録音録画する行為」についても第30条の適用を除外してもらいたい。
    (日本ケーブルテレビ連盟)
  • 録音録画に限定せず、どのような著作物の私的ダウンロードが著作権法第30条から除外することが相応しいかにつき、一から議論すべき。
    (コンピュータソフトウェア著作権協会)(同旨 日本経済団体連合会知的財産委員会企画部会、コンピュータエンターテインメント協会、コンピュータ関連会社)
  • 現在、ファイル交換ソフトを利用した違法なソフトウェアのアップロードおよびダウンロードにより甚大な被害が生じているのは明らか。ダウンローダーが存在するのでアップローダーも存在するという需要と供給の関係があるため、アップロードは違法とされているものの終息する気配がないことから、適用除外の対象を録音録画に限定することは適当とは言えない。また、ソフトウェアの違法複製物のダウンロードは引き続きやっても良いという誤ったメッセージを伝えかねない。違法と知っている場合に限定すること、利用者に十分周知すること、罰則の適用除外とすることの条件付きで、違法なソフトウェアの複製物のダウンロードを30条の適用範囲から除外すべき。
    (ビジネス・ソフトウェア・アライアンス)

b 他人から借りた音楽CDからの私的録音

  • 他人から借りた音楽CDからの私的録音の取扱いについては、私的録音の実態の推移や権利者への影響等を見ながら、今後も継続して検討すべき。
    (日本レコード協会)

8.第7章第2節 著作権法第30条の適用範囲の見直しについて

(2)利用形態の実態から私的録音録画の対価が既に徴収されているのではないかと指摘のあった利用形態

a 適法配信事業から入手した著作物等の録音物・録画物からの私的録音録画

  • 権利者が著作物の提供者(配信事業者等)と契約し、この契約の内容に基づき、当該提供者と消費者が契約を結ぶことにより、消費者の録音録画を管理することが可能であるため、第30条の適用除外としてもよい。
    (日本音楽事業者協会)
  • 慎重な検討が必要。
    • 当協会の許諾は、消費者の受信端末へのデータの複製までであり、二重徴収との指摘は事実に反する。
    • 権利者が配信事業者との契約により利用者の録音録画を管理するためには配信事業者の協力が必須であるにもかかわらず、配信事業者の管理責任が法律上明確ではないため、仮に事業者が協力を拒否した場合には、十分な管理が行えない可能性がある。
    (日本音楽著作権協会)
  • 趣旨は理解できるが、権利者が自由な意思に基づいて私的録音録画も含めた許諾を行いその対価を徴収するという前提を成り立たせるだけの状況(対価額の明確化や、権利者に十分な選択肢が与えられているか否か等)についての議論等が十分に尽くされないまま導入することは避けるべき。
    (音楽制作者連盟)(同旨 日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター、個人)
  • 権利者が市場の動向等から配信後の私的複製を制限しないビジネスモデルを選択せざるを得ないような場合は、配信後の複製の許容範囲やその対価に関する権利者の裁量権が事実上市場の動向や配信事業者に委ねられることから、「配信後の私的複製を制限しない場合」については、著作権法第30条の範囲から除外するべきでない。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • 現行法下で俳優の隣接権が及ぶ範囲が一部不透明な部分もあり、技術的コントロールも全面的に解決されていない現状では、慎重に取り扱って見直しを進めていただきたい。
    (日本俳優連合)
  • 権利行使が事実上できないことに鑑みて第30条が制定されていることに照らせば、技術やビジネスモデルの活用によって権利行使が可能となる場合には私的自治が優先されるべきである。
    ただし、どのような態様の録音録画行為を除外すべきかについての整理は不適当。
    • 有料放送のように著作権保護技術が利用されている場合、それを回避して行う複製は著作権侵害を構成するから、著作権者等によって予め決められた範囲の複製は、著作権者等により許諾された複製であると考えられ、著作権保護技術が利用されている場合の録音録画は、30条の適用を除外すべきである。著作権保護技術が利用されていることを著作権の権利行使と同視すべきと考えれば、その範囲内の複製に対して私的録音録画補償金をかけることは二重の利得を著作権者等に与えることとなる。
    • CDレンタルにおいても、複製量によって複数の契約を用意することは可能なはずであり、管理可能性という点では、適法配信や有料放送と異なるところはなく、ユーザーのプライバシー等を侵害することなくそれに相応した対価の徴収が可能という点でも何ら適法配信と異なるところはない。相違点は著作権保護技術が利用されていない点だけであるが、判例理論において技術的支配が管理支配性の判断の要素となっているわけではなく、第30条の適用範囲の検討に当たり「管理可能性」を技術的管理に限定すべきでない。
    (電子情報技術産業協会)
  • 放送と通信の融合がすでに始まっている時代において両者を峻別する制度を設けることは、時代に逆行するばかりでなく、今後の技術やビジネス・サービスの発展に対して悪影響を及ぼしかねないため、「配信事業者等の音楽・映像ビジネスの新たな展開などとの関係を十分考慮」する必要がある。
    (ポータルサイト提供事業者)
  • 第30条の適用除外に反対。
    著作権法第30条についてオーバーライド契約を許すという発想が、消費者にとって危険である。
    (個人)

b レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音・適法配信のうち有料放送からの私的録画

  • 私的録音実態の推移や権利者への影響等を見ながら、今後も継続して検討すべき。
    (日本レコード協会)
  • 「利用者の録音録画を想定した対価を取得し得る、契約等の他の手段があるかどうか」という基準によって判断すべき。権利者、提供事業者、エンドユーザーをつなぐ契約等の手段があるのであれば、補償金制度のような間接的なシステムに頼る必要はない。
    実質的にはレンタルからの録音および有料放送からの録画の料金には家庭内での複製見合い分が含まれていると考えられるので、現実に行われているビジネスやユーザーの慣行に影響を与えることなく、私的録音録画の範囲からそれらを除外出来る。
    なお、有料放送は伝送方式が放送であるだけで、著作権保護技術を用いてユーザーの利用をコントロールしながら有料でコンテンツを配信するという点で適法配信と全く同様であり、これらを区別することは、今後の成長が期待されるネット配信事業者を不利な立場に置くことになり不適切である。
    (日本記録メディア工業会)
  • 有料放送からの私的録音録画にかかる第30条からの適用除外は、ビジネスモデルや契約の大きな変更を生じることになり、関係者にとって有益でないので、中間整理に賛成。
    (日本民間放送連盟)
  • レンタル店から借りたCDからの私的録音、有料放送からの私的録画は、契約時に私的録音録画の対価は支払われておらず第30条の適用除外とすべきでない。
    (日本音楽事業者協会)
  • 第30条の適用除外を見送る方針は妥当である。
    (日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合)

9.補償の必要性について

(1)権利者が被る経済的不利益について

  • 補償金は権利制限の代償であるため、私的録音録画のために権利者に許諾を得る必要があるとすればそこで支払われたであろう使用料相当分を経済的不利益とすることが妥当である。
    (日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター)(同旨 日本レコード協会、音楽制作者連盟、音楽出版社協会)
  • 「映画」のビジネスは映画製作者が「完成原版」を主体的にコピーコントロールしながらマルチユースすることで成り立っているため、第三者の複製は映画ビジネスの根幹を揺るがす行為であると認識している。
    (日本映画製作者連盟)
  • 技術の発達により私的録音録画の実態が拡大した一方、補償金制度が十分に機能していない現状において、権利者が被っている経済的不利益は、制度導入時の受忍限度を大きく超えている。
    (日本音楽著作権協会)(同旨 個人複数)
  • 第30条により著作物が広く流通されれば、権利者の保護及びユーザーの利便性にも繋がると考えられるが、如何に私的使用目的であろうと私的複製による権利者への被害を皆無とすることはできない。
    (日本音楽家ユニオン)
  • WIPOベルヌ条約逐条解説およびWTO TRIPs協定第13条に関するWTO紛争パネル報告では、個別の具体的状況を吟味した上での“逸失利益”等の具体的不利益の可能性の有無が補償の要否の判断基準とされており、中間整理の「経済的不利益の評価についての法律的な視点」のアの立場とは明らかに矛盾する。条約の3ステップテストの利益衡量を敢えてより保護に厚く傾斜させるべきではない。
    (電子情報技術産業協会)

(2)著作権保護技術と権利者が被る経済的不利益について

  • ダビング10のもとでは録画後の保存・視聴が頻発することが明らかであり、映画製作者として容認できる範囲をはるかに超えるものであるため、金銭的な補償が必要不可欠。(日本映画製作者連盟)
  • ダビング10は、放送番組の不正な利用は抑止しつつ、視聴者にとって著作権法上許される範囲での私的録画の機会を出来る限り確保するためのものであり、引き続き補償金の対象とする必要がある。
    (日本放送協会)
  • イ-1の意見に賛成。著作権保護技術の全てがコンテンツ提供者や関係権利者の意思により選択されたものとは認めがたい状況の下では、補償を不要とすることとを直ちに結び付けることは不可能である。
    (日本映像ソフト協会)
  • 「放送時点で広告収入により投資回収は完了していること」から経済的不利益に疑義を示す意見があるが、広告収入は、著作隣接権者である放送事業者の収入であり、著作権者の収入ではなく、放送時点での広告収入の存否と著作権者の投資回収とは無関係である。
    (日本映像ソフト協会)
  • 放送番組の二次利用は進んでいないので経済的不利益はないとの意見があるが、タイムシフトをフェアユースとした米国著作権法でも、「潜在的市場への影響」もフェアユースの成否の判断要素としている(米国連邦著作権法107条)のであり、二次利用が進んでいないことをもって経済的不利益がないという判断が是認されるものではない。
    (日本映像ソフト協会)
  • 技術的保護手段による複製制限の範囲内で行われる複製が予見可能であるということと、そこで権利者の経済的不利益が生じるか生じないかということは何の因果関係もなく、「著作権保護技術により複製に一定の制限がある場合、権利者は予見可能であるので補償の必要がない」とするのは完全な論理の飛躍である。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)(同旨 日本映像ソフト協会)
  • 著作権保護技術と権利者が被る経済的不利益の関係を見る場合には、暗号化の有無や、複製制限が施されていること自体ではなく、どの程度の複製制限が付されているかが問題である。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • 著作権保護技術と補償の必要性については以下のとおり。
    • 複製禁止の著作権保護技術により現実に複製が行われていない場合、及び著作権保護技術を施しているにも拘わらず複製されているがその複製を著作権法が禁止している場合には、補償は不要。
    • 複製禁止の著作権保護技術が用いられているが、その実効性が充分でなく複製されている事実があり、かつ、その複製を著作権法が許容している場合(当該技術を回避して行われる複製行為(例 CSSを回避して行う複製や無反応機器による複製))は補償の必要性が否定できない。
    • 複製制限の著作権保護技術により現実に複製が制限されている場合であっても、一定範囲の複製が許容されている場合には、当該複製が、別途の補償措置の存在を前提とせず、各コンテンツの関係権利者の明確な意思に基づき選択・許容された複製でない限り、その許容されている範囲については補償が必要。
    (日本映像ソフト協会)
  • 私的録画問題に深い関係を有する著作権者は、私的使用の範囲をより限定すべきとするなど私的録画について常に是正を求め続けており、私的録画を楽しむことについて「社会慣行」が確立したとする記述は不正確であり、根拠のない認定には強く反対。
    (日本映像ソフト協会)
  • 第30条は権利制限であり、免責条件としての補償金をバランスを考慮せず一方的に廃止するのはナンセンスであり、権利者の受忍限度をはるかに超えた現状では補償の必要性があるのは言うまでもない。現状の保護技術の普及は不十分であり、廃止論議は時期尚早である。
    (日本音楽事業者協会)
  • デジタル放送に施している著作権保護技術は、「デジタル録画された高品質の複製物が私的領域外へ流出することを抑制する」ことを目的とするものであり、権利者が積極的に私的録画を許容する意図を持つものではないので複製回数に制限があっても補償は必要である。
    (日本民間放送連盟)(同旨 日本放送協会、日本音楽著作権協会)
  • 補償金制度を導入している国で、制度を縮小、廃止した国はなく、音楽や映像をこれまで通り身近に楽しむ環境を維持する一方で、権利者の被る不利益をこれ以上拡大させないために、一刻も早く、私的録音録画補償金制度を私的録音録画の実態に即した実効性あるものに再構築して維持すべき。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • 著作物等が著作権保護技術を用いて提供される場合、例えば地上デジタル放送に関する私的録画については補償の必要性がないとの意見があるが、総務省のコピーワンスの見直しに関する検討プロセスにおいて明らかなとおり、本件は権利者が補償措置を前提としてユーザーの利便性を最大限に配慮した結果であり、権利者において個々に著作権保護技術の選択ができない現状からして、これを本来の権利者の意思ということはできず、補償措置から除外することは不適当である。
    (日本レコード協会)
  • デジタル録音録画の量は飛躍的に増大しており、権利者の受忍限度を超えている。保護技術の進展及び利用方法により権利者の不利益が補われる可能性は否定しないが、保護技術の選択において、権利者の意向が反映されないものも多く、権利者の「自由な意思」により利用をコントロールするという状況にはなっていない。
    (音楽制作者連盟)
  • 著作権保護技術が施されている場合には補償金は不要である。例えば、有料放送や無料地上デジタル放送は、著作権保護技術によって私的録画が制限されている。これは、放送の受信後の利用を想定したうえで著作物を流通させており、著作権者等の権利行使と同視できると考えられる。
    (電子情報技術産業協会)
  • デジタル放送のように著作権保護技術が適用され、利用者がその著作権保護技術によって定められた利用ルールに従っている実態があるような場合には、権利者の受忍限度内の利用行為と捉えられるべきであり、補償は不要。
    (日本記録メディア工業会)

(3)補償の必要性の有無について

  • 補償は必要。
    「タイムシフト」は補償金の額が相対的に低くなる利用形態とはいえるが、録画という著作物の利用形態により新たな著作物の効用を獲得しているので補償の必要性はある。
    (日本映像ソフト協会)
  • 補償は必要。
    放送番組を一度でも録画されれば、放送番組の二次利用を行うにあたり、正規品の購入や再放送の視聴が妨げられるとともに、インターネットでの放送番組配信など将来のビジネスチャンスにまで影響を及ぼす可能性がある。
    (日本民間放送連盟)
  • 補償は必要。
    技術の発達により私的録音録画の実態が拡大した一方、補償金制度が十分に機能していない現状において、権利者が被っている経済的不利益は、制度導入時の受忍限度を大きく超えている。
    (日本音楽著作権協会)(同旨 音楽制作者連盟、個人複数)
  • 権利者の不利益にならないとの意見があるタイムシフトやプレイスシフトは私的録音録画のすべてではなく、第30条の適用範囲で議論された様々な態様の私的録音録画が混然として行われていることから、補償金制度全体のボリュームを検討する際に配慮すべき事項とはなっても、権利者の不利益すべてを否定する根拠とはなり得ない。また、デジタル方式による音楽や映像の複製機能を訴求した製品は、制度導入時に比べて遙かに多岐にわたり、それらの機器を利用した私的複製の利便性は格段に向上し、私的複製全体のボリュームも飛躍的に拡大して、権利者の被る不利益も拡大し受忍限度を遙かに超えていると解される。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • コピーワンスの緩和に係る合意は、利便性の確保と権利と保護のバランスについて、あくまでの私的録音録画補償金制度による補償機能で解決することを前提として成立したものであり、それを覆す発言は極めて遺憾。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)(同旨 日本文藝家協会、日本俳優連合、日本動画協会、個人)
  • 補償措置が不要となるのは、著作権保護技術により私的録音録画がすべて禁止される場合に限られる。また、著作権保護技術が導入されたとしても、一部でも複製が許容されれば総体としてみた複製の量は膨大なものになり、権利者の受忍限度を超え、補償措置が必要。
    (日本音楽著作権協会)
  • 補償は不必要。
    私的複製は利用者に与えられた権利であり、これについて権利者が対価を請求することが間違っているのではないか。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 補償は不必要。
    「経済的不利益」の面ばかりを強調するが、録音録画による複製は「強力な宣伝」にもなりうるのではないか。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 補償の必要な利用形態を判別すべき。
    同一生計に属する範囲の者のための購入CDの複製については、具体的不利益があるとは言えない。なお、購入CDのスペースシフト目的(例 複数のCDを同一機器に複製)の複製も同様である。また、タイムシフト目的での放送の録画についても、複製できなかったからといって当該放送内容と同一内容のDVDを必ず購入するとは考えがたく、損失を観念できない。
    (電子情報技術産業協会)

(4)著作権保護技術により補償の必要性がなくなる場合の試案

  • 試案のイの採用には反対。配信に関連するプラットフォームの全てを独占的に保有する立場の配信事業者があるような場合には、権利者は一律の配信対価や著作権保護技術の採用に同意することを求められ、市場動向等から権利者が同意せざるを得ないような事例も存在しているので、権利者が配信に同意したことをもって、その著作権保護技術の内容について選択権を行使したと拡大解釈された場合は、著作権保護技術に関する権利者の裁量権が、市場の動向や配信事業者のビジネス上の判断に事実上委ねられるような形になる懸念があり、補償の必要性がなくなるとは考えられない。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • アにおいて、「厳しく」との限定を付すのは不適当。著作権者等が、複製の範囲について許容したうえで著作物を流通におき利用に供する以上、複製の範囲や多寡は、補償の要否の問題とならない。
    イにおいて、通常の私人間の契約においても、必ずしも当事者の意向が全て契約で実現できるものではなく、一方の当事者にとって不本意な契約となる場合は多く存在し、そのような場合であっても、いったん契約が成立した後は「合意が形成された」と扱われるのが民法の大原則である。したがって、権利行使したかの判断においては、著作権保護技術の利用を選択する権利を行使したかどうかを問題とすべきであり、選択肢の多寡や自由に選べたかどうかを問うことは、私法の一般原則と矛盾する。
    (電子情報技術産業協会)

10.補償措置の方法について

11.私的録音録画補償金制度のあり方について

(1)対象機器・記録媒体の範囲

  • 私的録音録画に供される機器・記録媒体は原則としてすべて補償の対象とする制度にすべき。
    (日本音楽著作権協会)(同旨 日本音楽事業者協会、音楽制作者連盟、音楽出版社協会、日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター、日本俳優連合、日本音楽家ユニオン、個人複数)
  • MDなど今ではあまり見かけなくなった物も対象としているのなら、現状を見据え、実態に即したものを対象に取り入れるべき。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 新しいメディアへの移行状況にかんがみ、録画の用に供される専用機器、記録媒体であるブルーレイディスクとHD−DVDを直ちに指定することを要望する。また、ダビング10の下では録画の可能性が増えることから、HDD内蔵型録画機器(iPod等)並びに携帯電話のうち録画の用に供するものや、パソコン等の汎用機でテレビパソコン(テレビチューナーと大容量のハードディスク装置を内蔵し、視聴録画が容易にできるように設けられているもの)のように、私的録音録画の用に供されることが前提となっているものについては対象機器に追加すべき。
    (日本映画製作者連盟)
  • 私的録音録画を主たる用途としている機器である限りは、分離型機器と一体型機器を区別する理由はないので、少なくとも携帯用オーディオレコーダーやHDD録画機器は対象とすべき。
    (日本レコード協会)
  • 新技術を用いた新たな機器・記録媒体が普及するに伴い、対象機器間の不公平が生じ、実質的に補償金制度が空洞化する懸念がある。新たな機器・記録媒体を速やかに補償金の対象とするべき。
    (日本放送協会)(同旨 レコード会社、個人複数)
  • パソコン用のCD−R・RWについては利用実態にかんがみ対象とすべき。
    (音楽制作者連盟)(同旨 日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • 著作権保護技術が使用されている録画源(例えばデジタル放送)を録画する機器及び記録媒体については、対象機器等にはならないとする意見は間違いである。音楽CDについてSCMSという著作権保護技術による複製制限を付与されているにもかかわらず、それを録音する機器、媒体が一貫して補償金の対象となってきた事実と全く整合しない。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • 補償金制度は私的録音録画に用いる専用機器・記録媒体を対象とするからこそ機能できたのであり、汎用的な機能を有する機器・記録媒体については、そもそも補償金制度の考えにはなじまない。
    (電子情報技術産業協会)
  • 対象機器・記録媒体の範囲については、補償の必要性を考慮し、必要とされる部分に限定されるべき。
    (日本記録メディア工業会)
  • 補償金の対象機器等を拡大すると、海賊版対策に必要な技術的保護手段の革新や開発から資源や注意力を奪うことになりかねないことを懸念する。また、消費者は補償金を払うことで著作物に対する権利を購入したと考えてしまう傾向があるように思うので、さらなる検討と議論が必要と考える。
    (コンピュータ関連会社)
  • HDD内蔵型録画機器すべてに補償金を加えるのは、録画等を目的としないユーザーにとって、明らかに不利であり、不当なものと考えざるをえない。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • パソコンがHDDを内蔵していることはいうまでもないが、なにをもって「HDD内蔵型録画機器」と区別するのか。また、「録音録画機能を含めて複数の機能がある」というのなら、「録音録画機能以外に静止画・文書等の記録やゲームのサポート機能等の機能を有している」とあるよう、たとえばアップル社のiPodにも該当する機能が複数ある。
    この認識がありながらなぜ「録音録画機能が附属機能でない機器のうち記録媒体を内蔵した一体型のもの」が「対象にすべきであるとする意見が大勢で」あり、「録音録画機能を含めて複数の機能がある機器でどの機能が主要な機能といえないもの」については「意見の一致に至っていない」のか。
    (個人)(同旨 個人複数)

(2)対象機器・記録媒体の決定方法

  • 「評価機関」に賛成。
    技術の変遷や多機能化に対応でき、かつ迅速に指定が行われるような仕組みが必要。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)(同旨 日本レコード協会、日本音楽著作権協会、音楽制作者連盟、日本音楽家ユニオン)
  • 「公的な評価機関」の検討にあたっては委員構成の公平性、審議過程の透明性、議決方法も明確にすることが必要。
    (日本レコード協会)(同旨 音楽制作者連盟、日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)
  • 「評価機関」に賛成。
    • 当事者の協議から額の決定までの一連のプロセスに期限を設定することによって、制度の実効性を確保するよう法律で措置されることを強く要望。
    • 「評価機関」は、消費者・製造業者・権利者の三者の利益バランスを調整するという制度の目的を踏まえ、フランスの制度(中間整理p.84)を参考に構成人数や人選、議決要件等について最大限の配慮を要望する。
    (日本音楽著作権協会)
  • 現行の政令指定方式は、即時性、柔軟性に欠けるので、その問題点を補う「評価機関」の設置に賛成。審議は商品の流通前に終了することを要望する。
    (日本音楽事業者協会)
  • 政令指定方式の維持に賛成。ただし、「公的な評価機関」について、「法令で定める基準」がいかなる内容であるか、また、「評価機関」の権限や運営方法等をどのようにするかによるが、政令指定方式によるとしながら、それを事実上無意味なものとする制度改訂には反対である。
    (電子情報技術産業協会)
  • 対象機器・記録媒体の決定方法については、恣意的な判断がなされ、関係者間の紛争が生じることのないよう、現行の政令指定方式と同様に明確な基準を法律等で定めるべき。
    (日本記録メディア工業会)
  • 「評価機関」に反対
    「公的な評価機関の審議を経て文化庁長官が定める」とあるが、「柔軟に対応」と称し恣意的に「対象機器」が拡大されるのではないか、本当に「権利者」にとって有益な決定がなされるのではないか等の不安を取り除かないかぎり、本中間整理のような議論しかできない文化庁に任せることはできない。
    (個人)(同旨 個人複数)
  • 「評価機関」の運営方法が良くわからないが、客観的な立場で公正な運営がなされる事を希望する。
    (個人)

(3)補償金の支払義務者

  • 補償金制度を導入している国のうち、我が国を除くすべての国が製造業者、輸入業者を支払義務者と定めていることや、権利者の権利が制限されることにより可能になる私的複製の手段を提供することにより利益をあげていること、返還制度等現行制度の問題点を解決するためにも、製造業者等を支払義務者とするべき。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)(同旨 日本レコード協会、日本音楽著作権協会、日本音楽事業者協会、音楽制作者連盟、音楽出版社協会、日本俳優連合、日本音楽家ユニオン、音楽出版社、個人複数)
  • 製造業者が協力義務を負担するに至ったのは、機器・記録媒体の販売によって利益をあげているからではなく、他に適当な請求・徴収をする手段が無かったからに過ぎず、また、支払義務と協力義務は異なる性格のものであること等から、製造業者に支払義務を負担させることの正当化根拠は存在しない。
    (電子情報技術産業協会)
  • 支払義務者を製造業者等とし、返還制度を無くした場合、そもそも私的録音録画を行わない法人の財産権をどう考えるのか、また「補償金支払済み機器等」となるのは支払義務者が利用者(購入者)である場合も同じであることなどの問題が残る。
    (電子情報技術産業協会)
  • 支払義務者を製造業者等とすることは、複製を行う者がその責任を負うとする著作権法の大前提を合理的な理由なく覆す行為であり強く反対する。返還制度の廃止のために支払義務者を変更することは反対。
    (日本記録メディア工業会)
  • 私的録画以外の目的で対象機器を購入した者から取った補償金は協会の不当利得になるわけだから、「申請費用・返金費用・検証費用・検証責任」を全て協会が負う形にすべき。
    (個人)
  • 高画質・高音質録音録画を可能とする機器等を販売しながら、録音録画の責任は消費者に委ねるという製造業者等の主張は無責任ではないか。
    (個人)(同旨 音楽出版社、個人複数)

(4)補償金額の決定方法

  • 「評価機関」を補償金額の決定にも関与させるべき。
    (日本音楽著作権協会)(同旨 日本レコード協会、音楽制作者連盟)
  • 補償金額は、実態調査等に基づく私的録音録画への関与割合、利用態様、著作権保護技術の影響等を加味して決定されるべき。また、補償金額は、現行の「定率制」ではなく「定額制」に改めるべき。
    (日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)(音楽制作者連盟)
  • パソコンなどの汎用機器については、実態調査による私的録音録画の関与割合に応じて補償金を按分するなどの配慮が必要。
    (音楽制作者連盟)(日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター
  • 補償金の額の決定プロセスに期限を設定するための立法的対応を強く要望。
    (音楽著作権協会)
  • 「著作権保護技術の影響度を補償金に反映できるようにすべきであることに異論はなかった」「プレイスシフト、タイムシフトなどの要素は補償金額の決定にあたって反映させるべきであるとすることについておおむね異論はなかった」との記述があるが、用語の定義についての十分な検討が行われておらず、現時点で減額ありきのように記述されるのは問題。
    (日本音楽著作権協会)
  • 補償金額は、記録媒体および一体型機器については録音録画可能容量に応じた補償金とする等、当該機器の価格に影響されない金額とすべき。
    (日本レコード協会)
  • 利用実態に応じた補償金が必要。著作権技術の影響度の考慮、プレイスシフト等の要素の反映には賛成。認可申請前の関係者の協議は継続すべき。
    (日本音楽事業者団体協議会)

(5)私的録音録画補償金管理協会

  • 近年、補償金の対象となる機器・媒体が、録音、録画の区分が明確に区分できない等のケースが増えてきていることから、一括して取扱う方が適当ではないか。
    (日本音楽事業者協会)(同旨 音楽制作者連盟、日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)

(6)共通目的事業のあり方

  • 共通目的事業に賛成。
    事業の透明性をより確保する意味から、事業内容の公開などを義務づけるなどの措置は必要。
    (音楽制作者連盟)
  • 共通目的事業は今後も継続すべきである。
    私的録音録画補償金を100パーセント正確に分配することはその性格上困難であり、すべての権利者に対し間接的に分配するという措置は引き続き有用である。
    (音楽著作権協会)
  • 共通目的事業に賛成。
    現行の補償金総額の2割以内は適切である。
    (日本音楽事業者協会)
  • 共通目的事業は有効に使われている。
    (日本音楽家ユニオン)
  • 用途のあやふやなことにお金を使うより、著作者に還元するべき。
    (個人)(同旨 複数)

(7)補償金制度の広報のあり方

  • 法的な義務づけは問題あり。他の優先支出案件あり。消費者・製造業者等・権利者の三者がそれぞれ、あるいは連名で、自発的に広報活動を行うべき。
    (日本音楽著作権協会)