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著作権分科会 私的録音録画小委員会(第12回)議事録・配付資料

1. 日時
平成19年9月13日(木曜日)14時〜16時

2. 場所
都市センターホテル オリオン

3. 出席者
(委員)
石井、井田、大寺、大渕、華頂、亀井、河村、河野、椎名、津田、筒井、土肥、苗村、中山、野原、野村、生野、松田、森田の各委員
(文化庁)
高塩文化庁次長、吉田審議官、山下著作権課長、亀岡国際課長、川瀬著作物流通推進室長ほか
(オブザーバー出席者)
野方(日本音楽作家団体協議会顧問)

4. 議事次第
(1) 中間整理(案)について
(2) その他

5. 資料
資料1   私的録音録画小委員会中間整理 目次(案)
資料2 私的録音録画小委員会中間整理(案)(第8章 検討結果の部分)

6. 議事内容
【中山主査】
 それでは時間でございますので、ただいまから文化審議会著作権分科会「私的録音録画小委員会」の第12回を開催いたします。本日は御多忙中、御出席賜りましてありがとうございます。
 議事に入ります前に、本日の会議の公開につきまして、予定されている議事内容を参酌いたしますと、特段、非公開にするには及ばないと思慮されますので、傍聴者の方々には既に御入場頂いておりますが、これでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】
 ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開にいたしまして、傍聴者の方々にはそのまま傍聴お願いいたします。
 なお、本日は小六委員が御欠席されておられますが、小六委員の申し出によりまして、日本音楽作家団体協議会顧問、野方英樹様がオブザーバーとして出席されております。
 それでは議事に入ります。まず事務局から配付資料の説明をお願いいたします。

【木村課長補佐】
 恐れ入りますが、本日の配付資料の確認をお願いいたします。議事次第1枚物ですが、この下のほうに本日の資料を示させてもらっております。資料が2点ほどございます。資料1でございますが、私的録音録画小委員会中間整理の目次(案)、1枚物でございます。そして資料2でございますが、私的録音録画小委員会中間整理(案)の「第8章 検討結果」の部分でございます。両面刷りで49ページほどの資料でございます。配付漏れ等はございませんか。ありがとうございます。

【中山主査】
 それでは、議論に入りたいと思います。本日は、私的録音録画小委員会中間整理(案)についての御意見を頂戴したいと思います。これは中間整理案の1ページに書いてございます1〜5までの内容がございますが、その順番に御意見を頂戴していきたいと思います。可能でしたら、今日で一応の議論を終えて、次回、また今日の議論を整理した案を出してもらうことにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それではまず最初に「私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点について」につきましては御意見を頂戴したいと……。はい、どうぞ。

【川瀬室長】
 その前に私のほうから御説明を。

【中山主査】
 そうですね。失礼しました。大事な点を忘れていました。では、説明をお願いいたします。

【川瀬室長】
 それでは、簡単に御説明をさせて頂きます。まず資料1を御覧頂けますか。次回の26日に全体的なものを御提出したいと思いますが、その目次の案でございます。この資料1の表と、それから裏にもございますが、第1章「はじめに」、第2章「私的録音録画問題に関する今までの経緯等について」、それから、「録音録画の現状について」が第3章でございます。第4章が「制度の現状について」ということで、5章が「著作権保護技術の現象と当該技術を活用したビジネスの現状について」、それから第6章が「違法サイト等からの私的録音録画の現状について」、第7章が「外国における私的複製の取扱いと補償金制度の現状について」ということで、まことに申し訳ないのですが、第1節の「国際機関等にける検討について」とありますが、これは「お」が抜けておりまして、「における検討」でございます。それから第8章は、今回お諮りする「検討結果」になります。
 資料2を御覧頂けますでしょうか。過去2回、私どものほうで今までの議論を整理しまして整理メモを提出させて頂きまして、それに寄せられました御意見等を踏まえて、また読みやすいように前後に色々な情報を追加等したりしまして、できたものがこの整理案でございます。変更点について簡単に御説明をさせて頂きます。
 まず2ページをお開き頂けますでしょうか。1の「私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点について」というところです。これは整理案と中身は変わっておりません。少し説明を加えまして、文章的には多くなっておりますが。
 4ページを開いて頂けますでしょうか。4ページの一番上の部分につきましては、整理メモでは、私的録音録画は原則として尊重と書いておりましたが、この趣旨がわかりにくいという御意見もありましたので、その辺も明らかにした上で、この一番上のアの部分について少し書き直させて頂いております。
 それから5ページの2「著作権法30条の適用範囲の見直しについて」でございます。これは全面的に構成を変更させて頂きました。まず新しい書き方でございますが、まず(1)「利用形態ごとの私的録音録画や契約の実態」ということで、これは実態について、その評価を抜きにして淡々と書くということで、実態のみに特化して記述をさせて頂きました。
 それから、8ページを御覧頂けますでしょうか。8ページは(2)として「第30条の適用から除外するのが適当と考えられる利用形態」といたしまして、その1「権利者に著しい経済的不利益を生じさせ、著作物等の通常の利用を妨げる利用形態」と。それから11ページをお開き頂けますでしょうか。この下のところに2がありますが、「音楽・映像等のビジネスモデルの現状から契約により私的録音録画の対価が既に徴収されている又はその可能性がある利用形態」という2つに分けさせて頂きまして、その12について、それぞれAとしまして基本的な考え方を整理した上で、それを踏まえた上で、Bとして検討結果を書くという構成に改めさせて頂きました。
 それでは具体的にですが、5ページに戻って頂きますでしょうか。5ページは、録音録画や利用形態の実態でございまして、基本的には変わっておりません。
 8ページを見て頂きますと、各論といいますか、30条の適用範囲から除外するのが適当と考える利用形態の中でも、「権利者に著しい経済的不利益を生じさせ、著作物等の通常の利用を妨げる利用形態」でございます。まずAについては、基本的な考え方でございまして、その下からまるの2つ目ですが、「複製技術の開発・普及に伴い、立法当初想定していなかった複製の実態が生じた場合は、第30条の適用範囲も見直しの対象になるのは当然のことと考えられる。」ということで、時代の進展とともに、30条の見直しも必要だとし、9ページのBの「検討結果」で、違法録音録画物、違法サイトからの私的録音録画については30条の適用から除外するというトーンでございます。中身については、これは整理メモと同じでございます。
 また11ページの2でございますが、前々回、御議論がございましたので、それを踏まえて大きく手直しをさせて頂いております。まずAで、これが基本的な考え方ですが、整理メモでは、適法配信を30条から外す理由の1つとして、このような記述がされていたのですが、それをまず一般論として展開しております。中身については大きくは変わってはおりません。要するに技術の発展によって、利用者のプライバシーを損なうことなく、権利者の利益を確保できるようになってきたということ。ただ、その場合においても、直接、利用者と権利者が契約するのが難しいので、現状においては権利者が著作物を提供者と契約し、その契約に基づいて当該利用者と契約を結ぶことによって、利用者の録音録画を管理することができるということから、それを踏まえると、仮に30条から適用除外をしたとしても、そういうような場合については、利用秩序に混乱を生じないと考えられるということです。これは整理メモの流れと大体同じです。
 その2番目のまるの「なお」書きについては新しく入れさせて頂きました。将来において、様々な保護技術の普及とか、ビジネスモデルの進展によって、更に権利者の選択肢の拡大等によりまして状況が変化すれば、改めて30条の適用範囲を見直すことが必要だということでございます。また、「なお」書き以下につきましては、これはいわゆるオーバライドの契約の有効性と二重取りの疑念でございますが、これについては、「なお」書きとして附記事項にし、13ページですが、一番最初のまるですが、最後のところで「このような懸念を解消する意味もあることに留意すべきである。」ということで、附記事項にさせて頂きました。
 それから14ページをあけて頂きますと、これは「レンタル店から借りた音楽CDからの私的録音、適法放送のうち有料放送からの私的録画」ですが、これは30条からの適用から外すことについては慎重な意見が多かったという結論は変わりませんが、「なお」書きとして新しく、「ビジネスモデルの現状から、関係者は認識していないかもしれないが、現実には当該対価が事実上徴収されているのではないかという意見があった。」と新規に加えさせて頂きました。
 それから15ページの「補償の必要性について」は、一応、(1)の次に12とあるわけでございますが、この項目は新しくわかりやすくするために付けさせて頂きました。
 それから16ページでございますが、その一番上のまるですが、今までの補償の必要性、経済的不利益の関係について議論の内容が明らかになっていないという御指摘もございましたので、その経済的不利益があるという委員については、第10小委員会の見解に意見が集約されていますので特に説明はしておりませんが、それに疑念を持つ委員からの意見をまとめさせて頂いております。1番目のなかぐろは、私的録音録画と商品の売上減の因果関係が明らかになっていないということ。権利者は複製禁止も求めていないということ。また私的録音録画からの利益もあると考えられるという点。それから2番目のなかぐろが、いわゆる購入した音楽CD等からのプレスイシフト放送番組のタイムシフトについて不利益があるかどうか、疑問であるという御指摘がありましたので、その旨を書かせて頂きました。
 それから、次の法的整理については基本的には変わっておりませんが、17ページの上から3つ目のまるの文章がわかりにくいということでしたので、その3つ目のまるの中ほどですが、「多少の経済的不利益があったものの、それは権利者の受忍限度内であり、補償の必要性が問題にならなかっただけであり、」という文章に修正をさせて頂きました。
 それから18ページにつきましては、これも123と進みますが、これは事務局のほうでわかりやすくするために項目分けをさせて頂きました。
 また19ページの3つ目のまるの点については、少しわかりにくかったという御指摘もありましたので、わかりやすく書き直しております。
 それから20ページでございますが、少し文章としては多くなっておりますが、内容は変わっておりません。イの最初のまるの点につきましても幾つかの御指摘がございましたので、表現についてはある程度書き改めておりますが、趣旨としては変わっておりません。
 それから21ページでございますが、この論点の2つ、著作権保護技術の評価の点ですが、これも基本的には変わっておりません。ただ、その終わりのほうなのですが、整理メモですと、著作権保護技術の見解について書いた上で、この項目ですと仮にイ−1の一番上の見解に従っても、配信の補償金制度が必要ないという場合の事務局提案といいますか、提案の3つの視点が書いてあったわけですが、そこがすごくわかりにくいとか、位置づけがおかしいという御意見もございましたので、その部分については、25ページですが、(4)として「著作権保護技術により補償の必要性がなくなる場合の試案」ということで、独立させて頂いて、最後に付けさせて頂きました。かつ、その一部の表現につきましては、表現を指摘の点に従って直した上で残しております。それが21ページの一番下の「ただし、」というところでございまして、イ−1の見解に立ちまして、補償の必要性があると判断できるとしても、「著作権保護技術は権利者を含む関係者の要望等を踏まえ、機器の製造業者等が開発していることも事実であり、その開発過程に権利者がどのように関与していたか等の評価の問題はあるものの、著作権保護技術の内容や当該技術と契約の組み合わせ方法などのあり方次第では、補償が不要になる場合があることに大きな反対はないところである。」という文章を、修正の上、前半部分については残させて頂きました。
 それから、補償の必要性についても少し構成を変えておりまして、まず冒頭のところに、「著作権保護技術が施されている場合には補償の必要性がないという意見があることは、(2)の3イ−2のとおりである。」ということで、整理案では、「なお」書きで後ろにあったものを最初にまず出すことにしました。それから、「ただし」ということで、イ−1の見解に立った上で整理すると次のとおりということにしております。
 それで、次の「経済的不利益に対する利用形態ごとの評価」以下ですが、ここは構成を変えました。整理メモでは、アとイの2つに分けて記述していたのですが、ダブっているような表現があるとか、論旨が飛んでわかりにくいという御意見もございましたので、それを1つにして、項目を付けて再整理をしております。中身については基本的には変わっておりませんが、まず1番目のまるで、購入したCDからのプレスイシフト、放送番組からのタイムシフトの録画についての評価をしております。それから、次のまるの「また」以下ですが、これは他人から借りた音楽CDからの私的録音についての評価ということで整理をしております。それから23ページの最初のまるですが、これは録画についての、タイムシフト録画以外の保存目的等の録画についての評価について書いております。それらを踏まえて、Bとして「経済的不利益に対する全体的な評価」ということで、まとめて評価をしているわけでございまして、結論については整理メモと変わっておりません。
 それから24ページですが、最初のまるの「なお」書きですが、これは経済的不利益に対する疑念といいますか、その意見もありましたわけでして、それに対する意見ということで、権利者が私的録音録画により利益を得られているという意見もあるところですが、私的録音録画はもともと録音録画の禁止によって解決しようとするものではないということ。それから、私的録音録画は権利制限により行われるものでありますから、そこで得られる利益があるとしても、一般にそれは権利者が意図して求めたものではないこと。仮に利益があるとしても、一方で、例えば販促効果ということも出ておりましたが、視聴さえできれば、販促効果があるのではないかとし、録音録画まで必要はないという反論等もあるので、その評価は事実上難しいのではないかということなどから、私的録音録画からの利益は否定できないかもしれないが、権利者が被る経済的不利益を上回るものではないという意見が多かったとしております。
 それから、Cとして「権利者の受忍限度と補償の必要性」ということで、権利者が被る経済的不利益があるとしても、それが権利者の受忍限度を超えていなければ補償の必要性がないわけですが、その旨について記述しております。これは結論的には、平成4年当時の私的録音録画の量と比較する必要があるのではないかということが書いてあるわけでございます。
 それから25ページの、先ほど後ろに持ってきました「著作権保護技術により補償の必要がなくなる場合の試案」ですが、これは中身についてはほとんど変えておりません。27ページを見て頂くと、真ん中のまるの「なお」書き以下ですが、これは整理メモでは、イの「なお」書きにしておりましたが、全体にわたることもあるのではないかということなので、1、2、3の「なお」書きということにしております。
 それから「補償措置の方法について」の28ページでございます。これも基本的には変わっておりません。アの2番目のまるですが、責任の一端について正確に書いて欲しいという意見がございましたので、その旨については修正しております。
 それから、35ページを開いて頂けますでしょうか。35ページは、対象機器、記録媒体の範囲についての議論の「見直しの要点」という2ですが、そこの「基本的な考え方」の2つ目のまるですが、「なお」ということで、「補償の必要性について」で整理した幾つかの論点について、そこで合意された内容次第では対象機器等の範囲のあり方に影響するのは言うまでもないということで、ここの整理とは別に、まだ合意されていませんが、その内容次第では対象機器が例えば対象機器から外れることもあるということを書き表しております。
 それから36ページですが、その一番上のイのところですが、そのまま踏襲すべきであるというのが整理メモでしたが、御意見を頂きまして、原則として維持すべきであるということで、基本的には原則という言葉を入れさせて頂きました。
 その下のBのところですが、「なお」書きについては、これは一応、例示としてパソコンとか、携帯電話というように、読んだ人にわかりやすいように機器の類型ごとに整理しておりますが、必ずしもパソコンであれば全部、対象でないことはないのではないかという御意見もございましたので、その「なお」書きとして、「録音録画機能を有する機器等は多種多様であり、以下の整理は代表的な機器等を念頭において整理化して検討を加えたものであり、個別の機器等についてはこれらの考え方を踏まえて、更に詳細な検討の上、判断されるべきである。」という注釈を加えました。「また、著作権保護技術の内容によっては対象にならならないものもあるとする意見があった。」としております。
 それから同じ36ページの一番下のまるですが、「ただし」書きの点について、上2行、「30条の適用範囲から除外された利用形態のみに使用される機器等は対象範囲から除外されるべきこと」というものを追加しました。更にその次の対象外になる場合も少し表現を改めております。
 それから40ページでございます。40ページは、政令指定方式の見直しについての記述でございますが、一番下のまるですが、その2行目の「なお」書きですが、「なお、この点については、基本的な方向性は了承するものの、具体的な制度設計を見た上で、制度の可否を判断したいという意見があった。」と附記しております。
 それから、その下の囲みですが、ここは「文化庁が定める」を「文化庁長官が定める」と直しただけでございまして、次の説明のところについて、整理メモでは1、2、3という点に分けて書いていましたが、その最初のなかぐろと最後のなかぐろを1つにして、その上のなかぐろを作っております。一定の具体的基準を定めることとし、通常は当該基準に従えば対象機器等が一義的に決まることになるけれども、対象になるかどうか、紛らわしいものにつきましては、評価機関での議論において、機器等の仕組み、利用実態等を考慮して判断するという仕組みとすることが望ましいという意見があったと書き改めさせて頂いております。
 それから43ページですが、これは支払義務者をどうするかですが、最初のまるの法律的な整理ですが、アの下から2行目のところに「事実上の」を入れさせて頂きました。それから、イの下から2行目に「法律上の」と入れさせて頂きました。それからウの下から3行目以下ですが、ここも表現がわかりにくいことがございましたので、「製造業者等に支払義務を課している国においても、最終的には利用者が補償金を負担することになることを否定しているわけではない。」とわかりやすく書かせて頂きました。
 それから次の44ページでございますが、これらの法的整理を踏まえて様々な意見交換があったわけですが、最初のまるについて追加させて頂きました。「このような法律上の整理については、特にエに関して、民生用録音録画機器等が業務用等に利用される場合があること、実際に私的録音録画に使用しない利用者もいることなどから、消費者の返還請求権を奪うのは問題であり、返還制度をより利用しやすくする観点からの検討も必要ではないかという意見があった。」ということでございます。
 それから44ページの一番下の補償金額の決定方法については、説明を膨らませてはおりますが、基本的な方向性については変えてはおりません。45ページにかけてですが。ただ、その45ページの一番下のまるの最後の3行ですが、「補償金額の決定にあたっては、著作権保護技術も考慮に入れながら、対象機器等の特定やその利用実態とも関連するので、(2)2で提案された「評価機関」で審議すべきであるとの意見があった。」と加えさせて頂いております。
 それから46ページですが、46ページは、補償金管理協会の見直しですが、最後のまる、これは全く新たな記述で追加でございます。ただ、中身については、非常に法技術的なことでございますので、特に問題になるとは事務局としては考えておりません。
 以上でございます。

【中山主査】
 どうも大変失礼いたしました。それでは、ただいま説明がございました私的録音録画小委員会中間整理案の2ページの1「私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点について」につきまして御意見を頂戴したいと思います。何か御意見がございましたら、お願いいたします。亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】
 ありがとうございます。3ページの中ほどのエのところでございますが、これは昨年1月の報告書からの引用といいましょうか、サマリーということで載せて頂いているかと思うのですが、「購入者一括払いを採用している現行制度を正当化する根拠が失われつつあるとの指摘」とあるのですが、原本である平成18年のものを見ますと、「機器媒体を購入する全ての消費者が支払うという制度を正当化する」と書かれているのではないかと思います。確かにそれをサマリーして、「購入者一括払い」とされる考え方もあるかもしれませんが、ここはおそらく「全ての消費者が支払う」ということが出ている点が力点ではないかと思いますので、ここのところの表現を変えて頂いてはどうかと考えます。

【中山主査】
 室長、どうぞ。

【川瀬室長】
 主査と御相談しまして、必要に応じて変更したいと思います。

【中山主査】
 「購入者一括払い」を「ユーザー全体」と改めて欲しいという趣旨ですか。

【亀井委員】
 そうです。「機器媒体を購入する全ての消費者が支払う現行制度を正当化する」というような言い方でしょうか。

【中山主査】
 これではそう読めない?

【亀井委員】
 「購入者一括払い」、これは30条2項のそもそもの話としてもあるような気がするのです。これですと104条の4ことを指摘しているのか。そういう点があるのではないでしょうか。

【中山主査】
 わかりました。どうぞ、室長。

【川瀬室長】
 18年の法制問題小委員会の表現が手元に資料がないので、確認してみてできるだけそれに忠実な表現にしたいと思います。

【中山主査】
 他に何かございましたら。どうぞ、河村委員。

【河村委員】
 もう少し意見が出ると思っていましたので、頭がなかなかまとまっておりませんが、先ほど1のところについて、内容は大きく変わっておりませんが、文章が少し増えましたという御説明だったと思うのですが、私は、これを読んで、とても主観的なといいますか、何といいますか、全体的に通して、消費者の立場から見ますと、これを見て、パブリックコメントをかけた場合、ある立場に対しては共感を得られやすく書き、そうではない立場にとっては共感が極めて得られにくい書き方をしているというのが全体を通した印象です。細かくは、今後、何らかの形で、私も技量がある限り申し上げたりしたいとは思いますが、何分、たくさんのスタッフを抱えているわけではございませんので、細かくできませんが、まずは一番最初の1(1)「現行の私的録音録画補償金制度は長い間の議論を経て」というところですね。以前は、これがこんなに長くは、第10小委員会のことですが、書かれていなかったように思いますが、十何年前に、いかに粘り強い話し合いがあったかということが、いつまでも法律の根拠として、何か私から見ると、あまり合理的ではなくて、とても主観的感情的な、例えば最初のまるの真ん中の少し下あたり、「現行の私的録音録画補償金制度はまさにこの合意に基づいて」の「まさに」という言葉のあたりに何か非常に恣意的といいますか、中立的ではない。読む人が、とてもここに最初の印象を持ってしまうという書き方にあまりにもなっているのではないか。基本的視点ということで、ここでどなたが基本的な視点というものを高らかにうたい上げるのかが、よくわからないのですが、この審議会として。ここを元のようにさらっとするぐらいか、もしくは(2)の「平成18年の報告書で示された課題に留意すること」というところこそ、今回の出発点なのではないかと思っているのですが、最初の2ページにある書きぶりは、これを読む人であまり詳しくない者にとっては、ここから出発してしまっては、あまりにも先入観を与える、ある1つの立場に一方的に立った書き方ではないかと思っています。(2)の文化審議会著作権分科会報告書は私は精査していないのですが、その中に、1のような考え方も含まれているのかどうかもわからなかったところです。
 1に関しては、そのようなことなのですが、先ほど亀井委員がおっしゃったことに関連してもう一つ申し上げますと、私も、このエを読んだときに実は意味がわかりませんでした。「購入者一括払い」の意味が。何か私、割販法とかのこともやっているのですが、一括払いとかというと、分割払いと一括払いのことしか考えられませんので、これは私が何か重要なことを知らない無知なだけなのかと思いましたが、亀井委員がおっしゃった「機器媒体を購入する全ての消費者が支払う」という言い方はとても良くわかりますので、わざわざわかりにくい方法で書く必要はないと思います。

【中山主査】
 室長、どうぞ。

【川瀬室長】
 私どもとしては、前回の整理メモで、現行制度は長い間の経緯を経て、国際的な動向も考慮しながら、関係者の合意の上に設けられたものであるというのが基本的視点だとしておりまして、それを長い間の経緯とは何かとか、国際的動向とは何かと。関係者の合意の上とはどういう形で設けられたのかを整理しただけでございまして、事実関係を書いているわけでして、決して恣意的に書いているとは思っておりません。
 現在の見直しの議論といいますのは、最初に始まったときは、我が国は補償金制度が導入されていませんでした。それを新たに導入するということで議論が始まっているわけでして、これは著作権制度の中では異例に長く、様々な議論を経て、最終的に合意を得たことは、私どもとしては非常に重い結論だと思っております。また、今回の見直しは、否応なく現行制度があることを前提にして、それをどう見直していくのかを議論しているわけですから、当然のことながら、今までの経緯、それに基づいた合意、それから現行制度の内容を踏まえないと、制度の問題としては議論できないのではないかなと私どもとしては思っているわけです。したがって、今、御指摘があった「まさに」とか、そういう言葉が不適当であれば訂正はいたしますが、今までの経緯自体は、やはり私どもとしては非常に重いものであるということですから、そのこと自体を全面的に削除することは却って問題なのではないかなと思っております。
 また、「購入者一括払い」がわかりにくいという御指摘がありますので、それは改めさせて頂きますが、実は報告書が出来上がりますと、前のほうに色々な現行制度がどうなっているかを説明しておりますので、また現行制度の購入者一括払いの制度自体もきちんと詳しく説明をしておりますので、そういうものが全般に加われば、わかりやすいとは思います。ただ、いきなりこういう言葉がということでございましたら、そこは亀井委員の意見も踏まえまして直させて頂きたいと思います。

【中山主査】
 何かありますか。はい、どうぞ。

【河村委員】
 もう一度だけ重ねて、今おっしゃったことに対してなのですが、粘り強い話し合いがあったとか、異例の長さであったということは、私は、この際、関係がないと思います。十何年たって、2007年になって見直されるときに、そういう事実があったと。「私どもとしては」とおっしゃいましたが、「私ども」がどう思っていらっしゃるかは良くわかりませんが、やはりこれは例えば何かを伝えたいのであれば、本文の中で、そのとき、どういう考え方が採られたということが淡々と説明されるならいいのですが、粘り強い話し合いがなされたとか、それが十何年も前にですね。西ドイツや先進国のこともどうとかと書いてありますが、それはもっと淡々と内容について、そのとき、どういうことを参考にしたのかということならわかるのですが、これはすごく正当化しようとしている意図があるわりには内容がないといいますか、ものすごく大変だったんだぞと言いたいだけのような感じでですね、内容としては、何行もかけることに「私ども」とおっしゃる方たちの意思だけが反映されていると思います。先ほどの例えば「購入者一括払い」のところを「全ての消費者が」と字が多くなることを、そのように気になさるのであれば、何でここだけ、こんなに何行も高らかに最初の出だしで行数を使って、しかも、内容的には具体的なことが書かれていないことを書くのか、私は納得することはできません。

【中山主査】
 どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】
 この種の中間整理は、基本的に両論併記というか、お互いの意見、食い違っている意見全てを盛り込むような形でまとめて頂いていると思いますので、自分の意見と違うところは自分の神経を苛立たせる部分が確かにそれはお互いにあると思います。そこを一つ一つあげつらって、内容がないようにしていくようなことはすべきではないのではないかと思います。とりわけこの部分については、有識者、権利者、機器等の製造事業者、消費者の代表による粘り強い話し合いがあったことは事実でございますので、そこのところの事実を消す書き方で修正をまとめるのは適当ではないと思います。
 それから、法制問題小委員会の18年1月の課題という意味におきましても、制度の見直しはただ単に二重課金の問題でありますとか、DRMとの関係での問題でありますとか、そういう部分だけではなく、補償金の対象とする機器や媒体によらない補償の実態が増えているとか、そういう意味合いも含めて制度の見直しという趣旨になっていたと思います。その部分が字面上は盛り込まれていないのですが、そういうことを言い出すと切りがなくなってきてしまうと思いますので、河村委員の御指摘は適当ではないのではないかと思います。

【中山主査】
 他に御意見がございましたら。はい、どうぞ。苗村委員。

【苗村委員】
 もう少し小さな話なのですが、今の3ページのウのところで、「消費者の認知度」という言葉があり、エのところで、今議論されていて「購入者一括払い」があって、カのところで「ユーザーにとって利用しづらい」という表現があり、次の4ページの4行目あたりに「利用者のニーズ」という言葉があって、多分、同じ人を表す言葉に4通りがあるので、このあたりはできる限り統一して頂いたほうが素直に読みやすいのではないかと思います。

【中山主査】
 その辺りはまた考え直して適宜修正させて頂きます。ほかに、この1につきまして御意見がございましたら。
 過去の経緯についての詳しくは、今やっているのは第1章なのですが、第2章のほうで書かれるのではないかと思いますが。
 ほかに御意見はよろしいでしょうか。
 主査が言うのもあれなのですが、私が読む限りは、あまり主観的恣意的な文章とも読めないのですが。この小委員会は平成4年の補償金制度を作るという大改正があったのだけれども、その後の技術等の変化によって、どういう修正が必要でしょうかということを議論して欲しいわけですので、そういう観点からすると、このまえがきはそれほどおかしいとも思えないのです。その点について何か他に御意見はございますか。よろしいですか。
 それでは一応、今日は全ての点について議論したいと思いますので、次は5ページの「著作権法第30条の適用範囲の見直しについて」に入りたいと思います。御意見がございましたら、お願いいたします。はい、どうぞ。津田委員。

【津田委員】
 6ページのところのA−aの「正規商品の流通前に音楽や映画が配信され複製される例が紹介されるなど、正規商品等の流通や適法ネット配信等を阻害し、権利者に深刻な被害を与えている実態が明らかになった。」という書き方をされているのですが、これは15ページ、16ページの「補償の必要性について」の議論とも関わってくるので、調べてきたことがあるので言いたいことが、映画やテレビの録画に関してはわからないのですが、音楽に関して言うと、98年にCDが6,000億円売れていたのが、今は3,500億円ぐらいまで減ったときに、その売上がCDを生産金額ベースで見ると減っているのは、それは客観的事実だと思うのですが、それが本当に権利者に深刻な被害を与えているのかなというので、レコード会社を個別に売上を調べてみたら、今、日本のレコード会社のトップシェアのソニーミュージックレコードは、2004年のときの営業利益が42億円だったのが、2005年には162億円になって、2006年には324億円まで、日本の音楽事業に限っては伸びているのですね(注)。非常に違法な流通が増えているにもかかわらず、ソニーミュージックという一つのレコード会社をとってみると、売上は非常に伸びていて、実際、数字だけではわからないところもあるので、レコード会社の社員の人とかにも色々と話を聞くと、確かに今、ソニーミュージックは過去最高益を出しているよというお話を聞いたりもしたので、そうなると、では、「深刻な被害」とはそもそも何なのだろうかと。当然、ソニーミュージック以外のレコード会社さんの中では売上が減っているところもあるでしょうから、それは単に会社ごとのビジネスのうまい下手なのではないかなということがあります。そういう意味では、補償の必要性の議論とも関わってくると思うのですが、「実態が明らかになった」という書き方ではなくて、これに関してはデータとしては、権利者側の人たちから示されたことなので、「権利者に深刻な被害を与えていることが権利者側から示された。」という書き方にして頂いたほうがいいのかなという気がします。

【中山主査】
 その点は室長、いかがですか。

【川瀬室長】
 その「深刻な被害」を与えているかどうかという実態について評価が分かれるのであれば、許諾を得ない大量の複製が行われていることは事実ですので、そこに止めるという書き方はあろうかと思いますが、主査と御相談させて頂いて必要に応じて改めさせて頂きたいと思います。権利者側から指摘があったということではないと思うのですが。被害の実態自体は客観的だと私どもは思っておりますので、そういう表現ということであればあるのではないかなと思います。

【中山主査】
 はい、どうぞ。津田委員。

【津田委員】
 被害というものの捉え方にもよると思うのですが、であれば、今、川瀬室長がおっしゃったように、大量の複製が増えているという事実を書くに止めて頂きたいなと僕の個人的な希望としてはあります。

【中山主査】
 では、生野委員。次に大寺委員、お願いします。

【生野委員】
 この場でも、ネット上の違法な流通の実態は報告させて頂いたのですが、インターネットにおいて正規流通の販売数量よりもファイル交換によってダウンロードされているものが約6倍、モバイルに関しては正規に販売されているものとほぼ同等の数量がダウンロードされているという実態を見て頂いて、被害がないと言えるでしょうか。まさに被害が出ているのではないでしょうか。被害が出ていないのだったら、そもそも海賊版ですとか、ネットの違法流通は何の問題ともならないわけですよね。

【津田委員】
 違法着うたとか、ファイル交換の被害が大きくなっていったと言われているここ二、三年で、ソニーミュージックの営業利益が非常に伸びていることは、それは違法な著作物流通がなければ、そんな2倍、3倍のレベルではなくて、10倍とか20倍まで伸びたと。そういうお考えということですか。

【生野委員】
 営業利益ですか。

【津田委員】
 営業利益です。

【生野委員】
 営業利益は……。ソニー・ミュージックレコーズですか。

【津田委員】
 ソニーミュージックレコード。国内の音楽事業がソニーの決算資料に書いてあって、それは2006年で324億円と。

【生野委員】
 営業利益が324億円といったら、営業利益が売上の10パーセントだとすると、3,000億円ぐらいの売上になるのですが。

【津田委員】
 それは決算資料に書いてありましたが。

【生野委員】
 業界全体の売上は、レコード協会の統計で、オーディオ・パッケージだけだと約3,500億円、昨年の売上で。だから、ソニー・ミュージックレコーズ1社だけで、売上が3,000億円あるとは常識的には考えられないのですが。

【津田委員】
 それは僕は資料を見て客観的な数字を出しているだけで、実際、レコード会社の社員さんに……。

【生野委員】
 多分、売上の話ではないですか。

【津田委員】
 過去最高益と聞きましたが。

【生野委員】
 いや、1社の営業利益が三百数十億というお話だったので、ちょっと考えられない数字なので。それとやはり、1社だけ、どれだけ売上が上がったか云々ではなくて、全体の話ならともかく……。

【津田委員】
 ですから、僕は、それは単に会社ごとの環境に合わせたビジネスのうまい下手なのではないかということを言っているだけで。

【生野委員】
 それぞれ業績がいいところと悪いところ、それは年によっても変わりますし、何とも言えないですよね。

【津田委員】
 僕自身は、売上が減っているという、もちろんネガティブな影響を与えていることは否定はしていないです。でも、それだけではないだろうと言っているだけであって、それ以上でもそれ以下でもないつもりですが。

【中山主査】
 では、大寺委員、どうぞ。

【大寺委員】
 14ページの一番最後のまるなのですが、有料放送について、このような議論はされてなかったのではないかと思います。私は3月から、ここに参加しておりますが、レンタル店からのCDについては、その辺りの議論があったと記憶しておりますが、有料放送については、このような認識が示されたことはないのではないかと思います。
 更に8ページなのですが、有料放送からの録画については、視聴に関する対価、すなわち約款は、総務大臣の認可を受けていることから、複製もそれに入っているというのであれば、視聴の対価しか認めていないこととは論理矛盾もありますし、ここはきちんと書き分けて頂きたいと思っております。

【中山主査】
 8ページは「私的録画の対価が含まれていることは確認できなかった」ということですね。これもまずいのですか。

【大寺委員】
 いえ、8ページは結構です。14ページに、bでは、レンタルCDと有料放送の両方を括って、「なお、現状においては私的録音録画の対価が徴収されていることは確認できなかったが、ビジネスモデルの現状から、関係者は認識していないかもしれないが、事実上対価が徴収されている」とあります。ここの部分について、有料放送についての部分は、こういう文言がありますと矛盾をするのではないかなと思っていますし、実際に録画の対価は、有料放送の場合、取っていないわけです。前から説明していますように、ここの部分についてはきちんと書き分けた表現にして頂きたいなと思っています。

【中山主査】
 これは、こういう意見があったということですから、当然、前のこととは矛盾することも出てくるだろうと思うのですが。これを切ってしまうと、こういう意見もあったという事実もなくなってしまうのではないかと思うのですが。では、亀井委員。

【亀井委員】
 この14ページの下のところは、「関係者」とは、恐らく放送であれば放送局さんと権利者団体だと思うのですが、利用者の視点から見たときに、立場からすれば、対価が徴収されているという解釈ができるのではないかという意見が確かにあったと思います。それから、レンタルCDについては、その点、利用者の視点という点と、貸与権創設の経緯に照らして、そう解釈されるのが合理的だという御意見もあったと認識をしております。
 それから、関連するところで、その直前のbのところで申し上げれば、ここの音楽CDと放送を一緒にお書きになっているのですが、御面倒でも少し分けてお書き頂いたほうがわかりやすいのではないかと思います。とりわけ事情が違うということが書かれておりまして、レンタルCDの場合は著作権保護技術が施すことができず、私的録音を管理することができないことが、ここで理由として掲げられているようでございますし、有料放送については、そういう点ではなくて、契約に問題があるといいましょうか、問題というと語弊があるかもしれませんが、そこが障害になっていると。技術的法手段であるとかという点は事情は異なると理解しておりますので、ここは分けて書いて頂くのがいいのではないかと考えます。

【中山主査】
 どうぞ、大寺委員。

【大寺委員】
 亀井委員の分けて書いて頂く提案は非常に結構なことだと思うのですが、下の文のほうですが、いやしくもこれは審議会の報告書になります。そうしたときに、きちんとした一定の根拠が示されないで、単なるそういう意見もあったことだけ書かれるのは好ましくないのではないかなと思っています。

【中山主査】
 室長、いかがですか。

【川瀬室長】
 根拠といいますのは、私どもは調べる限り調べて、当事者からお話も聞いて、契約書も見せて頂きました。そこで確認できなかったのは事実でございます。確認できなかったということは、本当にそうかどうかは、世の中に価格があれば、そこに様々なコストが入っていますから、そのコストの内訳まではわからないわけですから、そういう意味で、例えば私どもが保証しますよということではないという意味で、確認できなかったという用語を使用しています。一方、そうではないのではないかという意見があったのは、私どももそういうふうに理解しておりますし、それはレンタルだけではなく、有料放送の場合もそうだという意見があったこと自体は事実だと思いますので、それはそれで意見があったことは間違いないので、こういうような表現にならざるを得ないのではないかと思っております。
 中間整理でございますので、全ての意見について論拠とか、背景にあるものとか、そういうものが、この委員会で全員が皆さん、そうだねということで同意して頂くというものではございませんで、この中で出た意見について大筋で了解されたもの、また少数意見も含めての整理ですから、私どもとしては、できるだけ出た意見については網羅的に書いて、それをまた踏まえた上で意見の集約に努めたいと思って、そういう性格が中間整理でございますので、意見があったことは事実なので、できればこのまま書かせて頂きたいなと思います。前段部分について、分けて書くこと自体は問題がございませんので、そういうふうにさせて頂きたいと思います。

【井田委員】
 別のことでもいいですか。

【中山主査】
 では、先ほどの津田委員の御指摘のところは文章を検討させてもらいたいと思います。それでは別な意見で結構ございますので。

【井田委員】
 別と言いましたが、一つ、今のと絡んだものを申し上げますと、先ほど大寺委員が指摘された14ページの下のところは、こういう意見があったということで、もし書くとすれば、他にも同じような内容で、当事者の意思あるいは契約書の表示等も大事だと思いますが、客観的に見て、法制度として、どういう利益を保護しているかが大事だという御意見もあったと思うのですね。それで、前のときにも、このことはお話しさせてもらったと思うのですが、意見ということで入れるのだったら、こういう意見も入れて頂いたらなと考えています。
 それで、別の質問でよろしいですか。13ページのB−a−2のところに、「著作物等の提供者が利用者の録音録画行為も想定し、一定の管理下においてこれを許容しているような場合であれば、」云々とあるのですが、そちらのほうで、まるの真ん中辺で、「配信事業者が利用者の録音録画行為について一定の管理責任を負っているような事業形態に限定して第30条の適用を除外すべきである。」とあるのですが、この「一定の管理責任を負っている」というのは、これはどのような内容を想定されているのかなということです。読んでいきますと、その次のまるのところで、「要件を決める必要がある。」としてあるのですが、これから具体的な要件を決める必要があるということでありましょうか。その点をお伺いしたいと思います。

【中山主査】
 室長。

【川瀬室長】
 この報告書にも書いていますように、現状では権利者が直接、利用者と契約を結ぶことができませんので、権利者が配信事業者等と契約を結んだ上で、その契約条項に従って、配信事業者等が利用者と契約を結ぶとなるわけでございます。そうすると、利用者と配信事業者の間では契約関係が生じて、複製についても一定の管理下に置くことになるわけです。権利者は配信事業者等から複製についての利用料金を取るしかないわけですから、配信事業者が複製についても一定の責任を負うという形態のものでなければ、配信事業者に例えば使用料を請求したときに、配信事業者は責任がないから、利用者から直接取って欲しいとなるわけですから、もし仮にそういうことが許されるような形態まで、30条から外してしまいますと、結局、配信事業者は自分は責任はないから、利用者から取って欲しいとなって、かつ利用者から現実には取れるすべがないとなると、やはり法秩序としては問題が生じると。したがって、現時点においては、配信事業者等が利用者の複製について一定の責任を負うような形態に限定して外してはどうかという考え方でございます。

【中山主査】
 よろしいでしょうか。

【井田委員】
 今のでは良くわからなかったのですが、要は一定の管理責任の内容について色々と要件はあると思うのですが、その議論はあまりされていないのではないかなと思うのです。これから、そういうものを含めて、例えば、その後の14ページのbのところなんかにも、レンタル店から借りた私的録音とか、有料放送からの私的録画に関して「慎重な意見が多かった」と書いてありますが、それに当たるかどうかはもう少しきちんと検討されるべきだと考えますし、もっと検討すべきものが残っていると前から申し上げています。そういうことですので、結論的にここで「慎重な意見が多かった」とするのではなくて、「これから定める要件でもって改めて検討する必要がある」とかというふうな整理の仕方のほうがいいのではないかなと考えています。少なくとも私どもの意見としては、意見書で、契約等、他の手段があるかどうかの基準で判断すべきという意見書を出させて頂いておりますので、そういう意見があったとだけでも書いて頂けたらと考えます。

【川瀬室長】
 この報告書を読んで頂きますとわかりますように、まずビジネスモデルを分析した上で、現状、どういう契約になっているのか、どういう責任の所在がどうなっているのかを分析した上で、現状を踏まえた上で30条から外せるものは外しましょうという考え方になっているわけです。したがって、そのビジネスモデルをこの委員会で変えていこうという発想はないわけです。ただ、もし変われば、新たに加えさせて頂きましたが、今回の結論で、この部分だけ30条から外していますが、そうではなくて、今後、ビジネスモデルの実態が変われば、外せるものがあれば外していきましょうというのが、この会議のルールというか、一応の整理の流れなのですが、今おっしゃったように、縷々色々な契約、実態を調べてみて、レンタルについては特にレンタル業者と利用者との間で契約関係が、もちろん会員規約みたいなものがありますが、そこで複製をコントロールしているようなこともないし、レンタル業者に言わせると、自分たちでコピーコントロールができるわけでもないので、そうすると30条から外れるような複製まで、自分たちが責任を負わないといけないのかという様々な問題点も言われているわけですから、したがって、今の時点では、そういう状況のもの、今外しても問題がないようなものについては外しましょうということです。多分、この委員会で、今のビジネスモデルを変えて、こういうふうにしましょうということは私は言えないと思うので、したがって、そういったところまで踏み込むわけにはいかないのではないかなと思います。

【井田委員】
 今、ビジネスモデルを変えるということで結論付けることはもちろんないと私も思います。申し上げているのは、先ほど、実態として契約書を調べると、そういうことの事実はありませんでしたということは、それは調べられた事実ですので、それは事実として書いて頂いて結構だと思うのですが、それは今現在できていないということであって、今後、契約という形を採れば、この対象からも外れるという考え方もあると思うのですね。そういう意味で申し上げて、契約等、他の手段があるかどうかという基準で判断すべきという意見があったことを書き入れて頂けたらと申し上げました。

【川瀬室長】
 ちょっと意味が私は良くわからないのですが。契約書にあればということですか。つまり実態がそういうふうになればということではないのですか。契約書に例えば私的複製についても管理しているという条項があればというのは、そういう実態になればということだと思います。ですから、それはこの委員会の流れでも、前回、前々回の御議論の中で、今、30条から外すものについてはこれとこれだが、今後のビジネスモデルの展開によっては、外すべきものがあれば外せばいいではないかということなので、私が申し上げたとおり、構成自体は全面的に改めて、基本的な考え方を書いて、それで今の時点ではこうなのだけれども、これから、仮にそういう状況になれば見直しをしていきましょうというトーンで書き直したつもりなのですが、それでは不十分だということですか。

【井田委員】
 ありがとうございます。後段で申し上げた内容を書き入れて頂いて、ありがたく思っておりますが、それはそのとおりでいいと思うのです。ただ、ここの段で、どちらかというとトーンとして「慎重な意見が多かった」と、ここの段だけ否定的な形で出ていますので、他の後ろのほうは、ずっと両論併記的に書いて頂いているのですが、こういう難しいということと、一方では、契約等の手段があるかどうかの基準で判断すべきという意見もあったと両方一緒に書いて頂けるとありがたいということで申し上げました。

【中山主査】
 どうぞ、苗村委員。

【苗村委員】
 今の14ページの表現に関連して、ちょっと先ほどの話に戻ってしまうのですが、ここは前の議論を受けて検討結果が書かれるべき場所であるわけですが、bの2つのまるの付いているうち、上のほうが、どうも多数意見で、契約上、私的録音録画の対価は徴収されていないと。それで、途中の話はありますが、要するに30条から除外することについては慎重な意見、ネガティブであると書いてあって、その次に少数意見として、実質的には徴収されている。だから、30条から外して良いということを言っているのだろうと思うのですが、文章上、そう書いていないので理解しにくいのです。もしそういうことであれば、多数意見と少数意見を併記する形で、ここを書いて頂ければいいと思うのですが、趣旨はそういうことでしょうか。

【川瀬室長】
 そこまでは踏み込んではおりませんで、これは先ほどから言っていますように、できるだけ委員の御意見を網羅的に書くために、そういう意見があったということを書き留めているということでございまして、そういうものを踏まえて、更に法的問題については整理をするわけでございますが、次の報告書の段階で、どこまでそこを踏み込んで整理できるかという、その前段階という位置付けであると考えております。

【中山主査】
 どうぞ、河野委員。

【河野委員】
 ありがとうございます。先ほど御説明して頂いたように、せっかくここを書き直して頂いて、表題というのですか、2のところで「ビジネスモデルの現状」と、「又はその可能性がある利用形態」という両方を挙げて、表題として整理して頂いておりますので、この「なお」書きのところの事実上徴収されているのではないかという意見があったということに加えて、ここで整理をして頂いている、「その可能性がある利用形態」、要は契約モデルによる解決の余地があるのではないかという意見があったことを事実として書いて頂ければいいのではないかと思います。
 すみません。あと一つなのですが、委員から出た意見をできるだけ網羅的に書くということであれば、7ページや8ページ、レンタルと有料放送のところで、「当事者の認識として、」とありますが、ここにはレンタル事業者さんとJASRAC(ジャスラック)さんら当事者の認識は書いてあるのですが、レンタル店の方と利用者の当事者意識、要は利用者の側の当事者意識はどうなのかについて、レンタルCDについても、有料放送についても書かれていないのではないかと思います。その点についても、不明であれば、きちんとそれを確認する必要があるというような形で記載して頂ければと思います。

【中山主査】
 その点は室長、いかがですか。

【川瀬室長】
 すみません。良く理解ができないのですが、利用者とレンタル業者、視聴者と有料放送事業者の契約自体については、複製について何も言及をしていないということです。ただ、今おっしゃっているのは、消費者がレンタル業者から借りてきたときに、自分が払った300円については録音録画の対価を払っていると考えているのではないかということですか。

【河野委員】
 そうです。具体的に申し上げれば、7ページ目の一番下のまるのところで2行目ぐらいから、「レンタル業界としては利用者の支払うレンタル料には私的録音の対価は含まれていないとの認識であることが分かった。」と。では、利用者の側としては、どういう認識なのかも書いたほうが良いのではないかと。それが今捉えられていないのであれば、それについて認識を確認する必要があるという意見があったと書いて頂けないかということです。

【川瀬室長】
 当事者の意思解釈の中でも、一方の当事者であるレンタル事業者とか、有料放送事業者については明確に録音・録画の対価は入っていないと言っているわけだし、現に契約書にも、そういう一文は一切ないということです。当事者の意思解釈に委ねるということは、まさしくそういうことなのですが、今の御指摘の点については、一方の当事者であるレンタル事業者ないし有料放送事業者については、そういう意識は全くないということです。現実に契約書にもないということですから、利用者の意識かどうかは調べられないと思います。当事者の意思解釈が明らかにならないというのも私は変だと思うのですが。つまり、例えば映画会社と有料放送事業者で販売の契約をするときに、確かに契約書には放送の対価だと書いているけれども、当事者間の意識としては、利用者がコピーするお金も入っているというのが当事者の意思解釈なので、それについて当たり前のことを当たり前に書いているわけなのです。今おっしゃったようなところについては、一方の当事者は入っていないと言及しているし、それでも入っているということなのでしょうか。さっきから問題になっているところは、事実関係は確認できなかったが、知らず知らずのうちに入っているという意見もあったということなのですが、ここの当事者の意思解釈の話と少し違うような気がするのですが。

【中山主査】
 どうぞ、椎名委員。

【椎名委員】
 話をややこしくしてしまうかもしれないのですが、14ページの「なお」書き以降ですね。「現状において……事実上徴収されているのではないかという意見があった。」ということについて、僕も下打合わせのときに、こういう話はありましたっけ?と伺ったら、そういう意見もオフラインで出てきたので、それも盛り込んでという話で、そのときは納得したのですが、これをよく見ますと、関係者は認識してないと。要するに対価を取っている人は認識していないけれどもとも読めますが、例えばユーザーは認識していないけれども取られているともとられかねないですよね。要するに、私的複製の対価を徴収しませんと言っているのに、事実上徴収しているという意味にもとれるような気がしてきたのですが、こういう書き方はまずくないですかねという質問なのですが。

【中山主査】
 何ページだったでしょうか。

【椎名委員】
 14ページの下、「なお」書き以降です。

【中山主査】
 どうぞ、亀井委員。

【亀井委員】
 今の椎名委員御指摘の点は、先ほど私自身は申し上げたつもりだったのですが、ここは利用者の視点ないしは認識からすれば、現実的に対価が徴収されているのではないかという御意見だったのではないかと思います。それから、レンタルCDに関して言えば、貸与権創設の経緯に照らして入っているのではないかという御意見があったという認識です。これはオフラインではなくて、オンラインで、この場であったという理解をしておりますが。

【椎名委員】
 ちょっといいですか。利用者側から見て事実上取られているという意味ですよね。そうすると、契約にも書いていないし、貸出のときの約束にもないものを事実上徴収されているというのは、要するに利用者側から見て事実上徴収されていると利用者が思うということと、事実上徴収されていることは違うのではないですか。

【亀井委員】
 過去の議事録をまず当たるのが先だろうと気がいたします。どういう御発言があったかを押さえて、こういう趣旨の発言があったことは事実ですし、有料放送に関しても、河野委員と大寺委員の間でのやり取りがあったと記憶しております。

【椎名委員】
 それでは議事録を当たって頂くとして、僕の懸念は、要するに、対価の徴収を標榜していないのに、事実上徴収をしているという読まれ方をすると、それはそれで問題なのではないかということだけ指摘をしておきます。事実関係を当たってください。

【中山主査】
 大寺委員、どうぞ。

【大寺委員】
 この14ページの一番最後のまるなのですが、私はやはりこだわっておりまして、今、椎名委員からは、利用者の立場から、そういう余分なお金を取られているということをおっしゃっていますが、契約約款は、そういうものまで含んでいないので仮に複製までの料金を含んでいるとしますと契約違反だということを利用者に対して言わなくてはいけないですし、更にこの約款は総務省の認可を受けているものです。そうしたものですので、そこら辺はきちんとした整理が必要だろうと思っています。以上です。

【中山主査】
 他に。はい、どうぞ。野方さん。

【野方オブザーバー】
 私も、ここのところは、権利者はもともと権利が制限されているので、基本的には徴収できない立場にあると思いますし、補償金の相当額は補償金管理協会でなければ徴収してはいけないことになっていますので、ここは事実上徴収されているというよりも、そういう誤解が起こるようなことがあったぐらいの話なのではないかなと思います。

【中山主査】
 他にこの点について何かありますか。はい、どうぞ。河村委員。

【河村委員】
 一つ一つのことは何か結論が全くないので何か良くわからないまま進んでいるのですが、先ほど河野委員がおっしゃったところで、河野委員がすごく専門的におっしゃっていることとは違うとは思うのですが、私も実は7ページのところで、ウの下から2行目の「当事者」というところに気になって丸を付けておきました。当事者ということと、貸与使用料ですか。貸与使用料は、恐らくレンタル業界と権利者さんの間のやり取りのことかと思うのですが、結局、レンタル料を払っているのは消費者ですから、お金を払う当事者がどう思っているかも非常に大きな問題、ファクターなのではないかと私は思うのですが、例えばウの下のほうに書かれているのも、「当事者の認識として、私的録音の対価が含まれていると確認できる材料はなかった。」という大変曖昧な弱い。こういうことで良いのであれば、またもう一人の当事者である消費者は、私的録音の対価が含まれていると思っているというようなことも、そんなに説得力がなくても、調査しなくても書くことができる。一般にレンタルしたものを録音してはいけないと思っている人は事実上いないと思うので、このように「確認できる材料はなかった」という書き方ができるのであれば、もう一方のお金を払っている当事者である消費者がどういう意識を持っているかも、ここに入れるべきではないかと思いました。
 それから、随分前に戻ってしまいますが、津田委員がおっしゃったソニーミュージックエンターテインメントですか、そのところが私はとても興味深い指摘だと思って聞いておりましたが、その後の議論で、何か事実関係がぼやけてしまったのですが、確認だけさせてほしいのですが、津田委員がおっしゃったのは、ソニーミュージックエンターテインメントという会社の利益の額のことをおっしゃったのですよね。その利益の中には、どのようなビジネスが入っているのか。その辺が生野委員と行き違っていたような気がするのですが。

【津田委員】
 僕が資料で確認した範囲で言うと、ソニーの国内の音楽事業なので。ソニーミュージックエンターテインメントだと音楽出版ですね。音楽出版とCD販売、または着うたとか、そういったものを含めた、それのトータルの金額だと思います。そこら先の内訳は書かれていなかったので僕もわからないです。ただ、それを一応補強する意味で、レコード会社の人に聞いたら、今、ソニーという会社1社に限定はするけれども、利益は今上がっていることは聞いたということを、事実として、僕の調べられる範囲で確認したということです。

【河村委員】
 CDパッケージの売上は下がっているかもしれないけれども、別の……。

【津田委員】
 音楽出版ですとか、配信とか、いろいろなものを含めてということですね。

【河村委員】
 わかりました。

【中山主査】
 亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】
 先ほどの点は、誤解だというオブザーバーの御意見はそれはオブザーバーの御意見として承るといたしまして、事実として調べて頂いて、整理して頂きたいということでいいのですが、7ページで別のことがございますが、bの「レンタル店から……」のところ、これはヒアリングについてサマリーされているところがあると思いますが、特にイの「貸与使用料引下げの交渉が行われた事実はない」というサマリーがされておりますが、これは私は記憶に非常に明らかに残っておりますので、議事録も確認をいたしましたが、レンタル商組の若松専務の御発言は、使用料の減額交渉をした経緯があって、そのときに理屈として補償金との二重取りと主張したとはっきりとおっしゃって、4月27日まで、そう主張されていたことは明らかでございますので、JASRAC(ジャスラック)が一蹴したという事実もあるようでございますが、「交渉が行われた事実はない」はヒアリングの内容とは異なるのではないかと理解いたします。

【中山主査】
 今の「事実はない」という点については。

【川瀬室長】
 今おっしゃったところは、どういう評価かはあると思いますので、ここはまた表現は改めさせて頂きたいと思います。

【中山主査】
 はい。それで、河村委員がおっしゃったあと一つで、14ページの下の話ですが、確認できる材料はなかったというのは、これはこの文の流れからいくと、やはり権利者と貸レコードとか、有料放送との間の契約からは、そういう材料はなかったといういみでしょうね。だけれども、14ページでは、消費者側から見れば、取られているという認識があるという意見もあったというのは、14ページのここで書いてあるわけですから、全体としては両方書いてあるような気もしますが。

【河村委員】
 私自身は14ページのことは全然言及したつもりはないのですが、14ページは私は良く意味がわからなくてですね。この「関係者は認識していないかもしれないが、」の「関係者」という書き方が誰を指しているのか、私はわからなかったものです。大概、こういう場合、消費者のことを関係者と言わないような気がしたので、私は、これを消費者とは考えませんでした。

【中山主査】
 これは全部入っているのではないですか。消費者以外も。ですから、権利者もそうは思っていないかもしれないけれども、あるいは貸レコード店もそうは思っていないかもしれないけれども、入っているのだと言えないこともないという意見があったと。こういう話だと思うのですが。だから、この「関係者」はユーザーとか、消費者だけではないと。

【河村委員】
 もちろんそうです。入っているわけですか。そういうふうに私は、ちょっと読んだだけでは考えることができなくて、実際、どういうことを厳密に指しているのか、わかりませんでした。

【中山主査】
 他に何かございませんでしょうか。
 それでは色々と出ました御意見も勘案して、事務局のほうでまた整理をして頂きたいと思います。
 何かございますか。

【津田委員】
 まだ2番のところでいいですか。

【中山主査】
 どうぞ。

【津田委員】
 これは事務局に確認したいのですが、この委員会自体は録音と録画について話し合う委員会ではあるのですが、その30条に手を入れることになると、録音録画以外の新聞・雑誌のテキスト、絵画、写真など、他の業界が30条適用の除外を含めてくれと文化庁に要望して出したら、そのときに、事務局なりはどういう対応をされるのかなというのと、あと、そういった影響される範囲が大きいことだと思うので録音録画に直接関係なくても、ある程度方針を出しておく必要があるのではないかなという気がするのですが、その点はどうなっていますか。

【川瀬室長】
 これは以前、今後の日程のところで御説明しましたように、この小委員会の任務は、あくまでも私的録音録画ということを前提にしておりますので、録音録画について30条の見直しも考えているということです。ただ、御指摘のとおり、それ以外の複製利用についてもどうするかという問題は当然あるわけでして、それについては今月の21日ですが、法制問題小委員会に、この委員会の方向性について御説明をして、他の複製利用についての御議論をして頂くという段取りになっております。ただ、そうは言いましても、録音録画と他の複製利用については、現状、様々な点で大きな違いがありますので、録音録画について30条の適用除外をしたからといって、それとの並びといいますか、そういう理由で他の複製利用についても適用除外するということではないのではないかと思います。もし仮に適用除外するとしても、それには相当の理由が必要だと思いますので、その辺は法制問題小委員会のほうで十分御議論頂けると思っております。

【中山主査】
 よろしいでしょうか。

【津田委員】
 あともう一個、最後に事務局にお願いというか。私は、録音録画についても30条の適用から外すことは、インターネットの利用者、消費者にとってはかなり影響が大きい問題ではないのかなと思っていて、今までの議論の中でも、それを適用除外したからといって、実効性についてはかなり疑問の意見が出ていたと思うのですが、実効性がない状況でそれを変えてしまって、国民の情報収集ですとか、表現の自由とかを過剰に制約するような可能性を――制約するとは断言しませんが、そういうものにも関わってくる問題という意味で、インターネットを日常的に利用するユーザーがこのことを知ったら、普段から別に著作物をダウンロードしていない人でも反対する人は結構多くいるのではないかなと僕は思っていまして、僕自身もそういう考え方でして、例えば9ページの「検討結果」の最後に「第30条から適用を除外することが適当であることがおおむね了承された。」というこの一文は、僕は多分、最後まで了承できないので、この書き方は変えて頂きたいことと、あともう一つ、中山主査にお願いしたいのは、この問題について、前にも言ったかと思うのですが、委員の多数決を採ってもらえないかなという要望があるのですが。多数決を採って、僕は多分、反対しますと、もし21名の委員の中で、僕しか反対しないというのであれば、書き方を「21名中20名の賛成多数で可決された」みたいな書き方にしてもらえないかと思うのですが、いかがですか。

【中山主査】
 とりあえずは、この整理の段階では、先ほど室長がおっしゃいましたように、色々な意見が出たことを書いて、パブリックコメントを採るわけですが、その後の報告書で一体どう書くかと。これを多数決で1個にまとめるべきか、あるいは両論併記にすべきかという点は、今後の問題として検討させてもらえればと思います。
 よろしいでしょうか。時間も大分過ぎてまいりましたが、それでは15ページの3「補償の必要性について」について御議論を頂戴したいと思います。はい、どうぞ。華頂委員。

【華頂委員】
 この「補償の必要性について」のくだりだけではないのですが、この資料全体に「著作権保護技術」とか、「タイムシフト」とかという言葉がたびたび出てくるのですが、映画製作者の立場で、その2つの定義というか、それを意見として申し上げたいのですが。
 映画における著作権保護技術の定義は、原則は、ユーザーの視聴のみを許容して、その後の私的複製を禁止するものです。DVD等のパッケージ商品も購入後、繰り返し視聴は可能なのですが、複製は禁止です。また、パッケージ流通の代替と言える適法ネット配信においても、視聴のみを許容して、その後の私的複製は不可能となっています。ですから、映画製作者としては、視聴のみならず、私的複製を9回10個まで認める今般の総務省の第4次中間答申に盛り込まれた地上波デジタル放送の複製回数を制限する技術がありますが、それは著作権保護技術ではないと考えています。放送番組の録画における真の著作権保護技術はタイムシフト視聴のみを担保するものだと思っています。すなわち、ハードディスクドライブ等の記録媒体に放送番組を一時固定した後、1回視聴すると、複製物が消えるという技術こそが放送録画における著作権保護技術であると考えています。これは言い換えれば、タイムシフト視聴の定義でもあると思います。
 資料の24ページのC「権利者の受忍限度と補償の必要性」の2つ目のまるに、「放送番組のタイムシフトのための録音録画については、経済的不利益が相対的に低いということに異論は少なく、これらの点は、補償金の額の設定に当たって考慮事項とすることが考えられる。」と書いてありますが、先ほど申し上げましたが、今般の総務省の第4次中間答申に盛り込まれた地上波デジタル放送における複製制限の折衷案では、9回10個までの複製緩和となりましたので、この事実はもはやタイムシフト視聴のみを想定しているとは言い難い結果と言えると思います。放送番組からの私的録音録画に関しましては、受忍限度を1回2個と主張しました映画製作者の基準をもってするならば、増額はあっても減額はあり得ないと考えています。
 映画の一番厳しいこの制限を基準にするかしないかは色々と様々な御意見があると思いますが、ただ一つ言えるのは、総務省の検討会でも、消費者団体の委員の方が、99.99パーセントの善意のユーザーは、録画した放送番組を無制限にコピーすることはあり得ないと発言されていました。常識的に考えてみると的を射ているなと思うのですが、裏を返せば、無制限に複製するケースは悪意が前提となっているということですので、無制限から10回に絞ったというような、無制限を基準にすることはあり得ないと理解しています。
 それから25ページのアの1つ目のまるに、「放送番組のタイムシフトのための録画に必要とされる回数が一つの目安になると思われる。」とありますが、先ほど申し上げた純粋なタイムシフト視聴の定義であれば、ハードディスクドライブ等の記録媒体に放送番組を一時固定した後、1回視聴すると複製物が消えるということなので、回数としてはカウントできないと思います。何が申し上げたいかといいますと、著作権保護技術を一括りにしても様々あるということと、タイムシフト視聴の定義をきちんと書き込んで頂ければ、ありがたいなということでございます。

【中山主査】
 タイムシフトは1回だけ移すということですか。

【華頂委員】
 私たちが考えるタイムシフト視聴の定義は、一時固定して、後に見られなかったものを見る。その後、それを自ら消すのか、消えるのか。それがタイムシフトだと思います。

【中山主査】
 この点について何か御意見はございますか。

【川瀬室長】
 タイムシフトの概念が不明確であるということであれば、それはタイムシフトという言葉が、ここではたくさん出ていますので、一番最初に出てくるときに脚注を付けるとか、そういうことで概念を整理したいと思います。

【中山主査】
 それはいいのですが、どういう内容で整理するかなのですが。

【川瀬室長】
 私どもの認識では、この小委員会では、アメリカの最高裁の判例の1回視聴して、その視聴が終われば消すのがタイムシフティングだという、共通の認識があるかどうかは別にして、目安としてはそれしかないので、書き方はともかくとして、アメリカの最高裁の判例であれば、こういうものがタイムシフトと言われているとか、諸外国の例を出さざるを得ないと思います。
 報告書では16ページなのですが、最初のまるの2つ目のなかぐろのタイムシフトのところに括弧して「(放送時間とは別の時間に視聴するための録音録画)」と書いていますが、今言ったようなところまでは言及していないので、そこは工夫をさせて頂きたいと思います。

【中山主査】
 野原委員、どうぞ。

【野原委員】
 今の話に関してなのですが、映画業界の人が、そういうふうに主張されることと、ここで私的録音録画の制度をどうするかは切り離さないといけないので、今の意見に沿って資料を直すのは止めて頂きたいと私は思います。その理由は、今日頂いた資料の4ページの頭のほう、今回の検討の基本的な視点の中で、一番最初のほうに書いてありますように、「私的領域において著作物等を録音録画し、音楽や映像等を楽しむことは社会に定着した現象となっている。」と。だから、この「制度設計にあたっては、このような利用者のニーズを尊重し、円滑な利用が妨げられないように配慮すべきである」ということを基本理念としてうたっているわけですから、それと照らして、タイムシフトを1回見たら消すという利用形態をここで定義することが適切なのかどうかをちゃんと議論した上で書くべきだと思います。そういう意味で、映画について、そういうふうに言及されることはもちろん私がどうこう言うことではないのですが、全ての著作物の私的録音録画で検討している範疇のものに対して、そういう定義をすることは間違っていると思います。

【中山主査】
 それはプレイシフトの場合、CDをコピーして、車の中で1回聞いたら消すなんていうことは多分ないとは思うのですが、その点について、華頂委員。

【華頂委員】
 私が申し上げたいのは、要するにタイムシフトの純粋な定義は先ほど申し上げましたが、それは実際に、個人がそんなことをするわけがないですし、それはないと思います。ただ、この資料の、先ほどの25ページに、タイムシフトの回数が言及されているのですが、タイムシフトには回数は、先ほど申し上げたようにカウントできないですよね。タイムシフトの定義というのは、実際にアメリカの判例でも出ていますように、一時的に固定して、後に見た後に消えるということですから、回数としてはカウントできないとか、そういうことが様々あるので、タイムシフトの純粋な定義を記載して頂ければありがたいなということだけなのですが。

【野原委員】
 そんなに違ったことは言ってないのかもと思いますが、先ほどタイムシフトが括弧書きで説明しているところがありましたね。16ページですか。「タイムシフト(放送時間とは別の時間に視聴するための録音録画)」というぐらいのレベルで定義するのであれば賛成ですが、これは何か1回録画して視聴したら消えるということが、仮に例としても挙げることは私は不適切だと思うので、その点は間違いなく御理解頂ければと思います。

【華頂委員】
 先ほど申し上げましたが、総務省で決まりました9回10個という複製制限なのですが、これもタイムシフトですか。

【野原委員】
 それは私が決められることではないので。

【華頂委員】
 では、タイムシフトの定義は何なのですか。それを教えて頂ければ。

【野原委員】
 ここで言っているぐらいでいいのではないですかと言っているのです。それが何回ですということでは……。

【華頂委員】
 何ページですか。

【野原委員】
 16ページです。16ページの中黒の2つ目のところに括弧書きで書いてありますよね。これは何回とも何も書いていないので、そういう目的での録音録画をタイムシフトというと言っていると思うのですが。

【華頂委員】
 後に何回でも見るということですね。そのような意味に解釈してくれということですか。それはちょっと納得できないのですがね。タイムシフトの本来の定義は消えるものだと思っていますから。

【野原委員】
 それはあなたが思っているわけで。

【華頂委員】
 いや、映画業界はみんな、そう思っているわけでして。

【野原委員】
 だから、映画業界だけかもしれないのですよね。日本の人たちがみんな、そう思っていることはないと思います。

【中山主査】
 森田委員、どうぞ。

【森田委員】
 すみません。単純なことなのですが、この文章の中で使われているタイムシフトという意味が、華頂委員の意味で書いてしまうと、内容が変わってきますから、全部書き直さなくてはいけない話になるので、それは難しいと思いますから、ここで言うタイムシフトは、定義した上でここで使うと。一般的にそれを使うべきだとか、それがタイムシフトだという主張は、そこまでは含まずに、ここで言うタイムシフトはこういうものだと定義して使うのだとメンションして、それと違う理解があることを更に厳密に言及して欲しいということであれば、16ページの注にでも、そういうことを付けて、それ以外の広い意味で使っていることを言及すれば疑義は生じない。そこから先、どうするかという話は次の問題なのでしょうが、定義を混乱させてしまうと別の問題が生じますので、1回見たら消えるという定義で書き直すことは、このままの状態では無理ではないかということだけ、私は思います。

【中山主査】
 この点、何か他に御意見がございましたら。野方さん、どうぞ。

【野方オブザーバー】
 小さいことかもしれませんが、16ページの定義の「(放送時間とは別の時間に視聴するための録音録画)」だけだと、放送を録音録画すると多分、全部、これに当たってしまいそうな気がするので、少なくともタイムシフトというものが随所に出てきて、不利益が少ないという論拠に使われている以上、きちんとした定義が必要だと思います。

【中山主査】
 どういう定義になりますか。

【野方オブザーバー】
 先ほど、事務局がお考え頂くことになったと思いますが、私はタイムシフトというものは、一度見た後に機械的に消去するとまでは申し上げませんが、一度見た後不要になるということを指すものであって、それ以外に残す目的のものとは違う、という意味にして使わないと整理ができないのではないかと思います。

【中山主査】
 他にこの点について御意見はございますか。

【河野委員】
 すみません。混乱してきてしまったので、質問というか、確認をさせて頂きたいのですが、華頂さんの御意見の中で、日本の映画会社としては、こういう利用ルールの中身でなければ、それは著作権保護技術ではないと御説明頂いた点は理解したつもりです。それと技術的保護手段との関係がわからなくなってきてしまったので、それを確認させて頂きたいのですが、著作権法上の2条の技術的保護手段の定義で、物理的に読めるものであったとしても、同じ保護技術であっても、その利用ルールの中身が認められない場合、要は許容できないと権利者が考えるものについては、著作権者の意思がかからない。そうすると、著作権者の意思によってという要件から外れてしまうので、同じ保護技術であっても、利用ルールの程度によって技術的保護手段に当たったり、当たらなかったりすることがあるということでしょうか。

【華頂委員】
 技術的保護手段については、様々色々と私たちも問題を抱えているので、その言葉については、アクセスコントロールとコピーコントロールの問題もなかなか解決していないところもあるので、技術的保護手段として申し上げているのではなくて、著作権保護技術という言葉が様々と出てくるのですが、一括りにして、それで全てが保護されているという解釈は私たちにはできないということですね。そういうことです。

【中山主査】
 椎名委員。

【椎名委員】
 僕が言うのも変なのですが、話を伺っていて、25ページのアの著作権保護技術の効果により、一定の水準を下回った場合に権利者の不利益も少なくなって、補償の必要性がなくなる場合の例として挙げられているのが、例えば「放送番組のタイムシフトの録画に必要とされる回数が一つの目安になる」と言っている、この回数というのは、コピーナインを指していないよ、ということをおっしゃったのですよね。要するに、例えば映画製作者の考えているのは、1回で視聴した後消すというものであって、ここで言う著作権保護技術、何もこれはコピーナインのことを書いているのではないと僕は思うのですが、「タイムシフトのための録画に必要とされる回数」という書き方がしてあったので、それはコピーナインのことは言っていませんよねということをおっしゃったのではないかと僕は思ったのですが、違いますか。

【華頂委員】
 そのとおりです。

【中山主査】
 どうぞ、室長、何かありますか。

【川瀬室長】
 ここの回数は一つの目安ということですので、例えば仮に1回であれば、0.5回はあり得ないのではないかということではなくて、あくまでも一つの目安という意味です。それと、回数自体は、これは30条ではいろいろな要件が決まっていますから、例えば友達が視聴するためにコピーをすることは、もともと30条の外に話になってしまいますので、結局、家族で別の時間に視聴するということであれば、家族で見るためには1部コピーすればいいということになると思います。そういうことはずばりと書いていませんが、大体その辺の共通の理解は私はあるのではないかと思っているわけです。
 それと、河野委員の御質問ですが、著作権法2条の定義にある技術的保護手段という概念がありますが、著作権保護技術というのは、いわゆるコピーコントロールよりも広くて、アクセスコントロールも含んで、何らかの形でコピーが制限される仕組みということで、この委員会では使っていますが、そのことが今の議論で揺らぐというか、何か変えることではありませんので。

【華頂委員】
 その25ページの「タイムシフトのための録画に必要とされる回数」という言葉なのですが、タイムシフトのための録画に必要とされる回数は1回ですよね。コピーナインは、そこら先、複製が9個、10個できることですから、タイムシフトのための録画に必要な回数は言ってみれば1回だと思うのですが、どうなんでしょうね。ハードディスクドライブを10個並べて、10個録るのですか。それが回数なのですか。どうなのですか。

【亀井委員】
 これは私の理解ですと、総務省のその場にいたわけでもないのですが、家族3人で3回というような計算をされたと思いますが、家族3人というのは、おそらく家庭に1台だけ受信機があるという想定をしているのではなくて、複数受信機が存在していると……。いや、受信機は1個でも、レコーダーが複数あるのですかね。その場合、1つの放送が入ってきたときに、それぞれ家族が、部屋にこもっている子供が、それぞれ録ったときに、1個見て消えるのでは足りないのではないかという発想をあの場ではされていたのではないかというのが私の理解です。

【華頂委員】
 家庭の中にハードディスクドライブが3つあるということですか。例えばお子さんのものと夫婦のものと3つありますよね。要するに、そのハードディスクドライブの使用者は、1回見逃したので予約録画をしていたと。それを見るための複製は1回ですよね。

【亀井委員】
 最初、ハードに落として、そこから先は……。

【華頂委員】
 それはお子さんが持っているハードディスクドライブはそれまた独立したものだから、それもお子さんが見逃した番組を見るための録画は1回ですよね。家庭内で数を数えた合算というのは理解できないのですが。

【亀井委員】
 その辺は、ちょっと良くわからないですね。

【中山主査】
 では、椎名委員、どうぞ。

【椎名委員】
 話がすごいほうに行っていると思うのですが、総務省で話された3人3回というのはタイムシフトのために必要な回数が話されたのではなくて、私的に許される録画の回数のアローワンスは何回だという話であって、今、華頂さんは、タイムシフトのためには1回ではないかという主張をされたのですね。それはそのとおりに採ればいい話であって、総務省のアローワンスの話とは別の話なのだと思うのです。そこを話し出すと、例えばウェアラブルデバイスがあるから、録画にもプレスイシフトがあるみたいな話にまで発展するのですよ。そういう話ではなくて、華頂さんがおっしゃっていたのは、タイムシフトは1回ではないかという話なんだと思うのですね。

【中山主査】
 どうぞ、河野委員。

【河野委員】
 言葉尻を捉えるつもりはないのですが、結果として、そうしてしまって、すみません。総務省で話していた範囲は、あくまでデジタル放送の録画ルールをどうしましょうかという話で、私的複製のアローワンスを話したのではないという認識ですので、そこは共通理解にして頂ければと思います。

【中山主査】
 それでは、もう時間も迫っていますので、なるべく簡略に。

【椎名委員】
 はい。こちらも言葉尻を捉えて悪いのですが、私的複製に関する話を話したのではないのですが、デジタル放送における録画回数のアローワンスについて、私的複製と関係がありますよねという前提を置いて議論した回数であると思っています。

【中山主査】
 大分時間がなくなってきまして、これ以上議論を進める時間がないのですが、今の点について何か御意見がございましたら。よろしいでしょうか。
 それでは今、全体について何か御意見がございましたら。どうぞ、亀井委員。

【亀井委員】
 今日の議論ができなかった、意見を申し上げられなかったところはどのようになるのでしょうか。

【川瀬室長】
 できれば、4と5、それから前の1、2、3でも結構ですが、メール等で御意見があれば是非出して頂きたいと思います。それで、この件についてはもう一度議論する機会がございますので、26日のときに前半といいますか、事実関係の部分も含めた、いわゆる報告書のような形にして出させて頂きますので、そのときにできれば最終確認としたいわけですが、議論を制約するものではございませんので、そのときにも議論して頂いて結構ですが、できる限り事前に御意見を頂ければ、御相談して、基本的には先ほど私が申し上げていますように、今回は中間整理案ですから、できるだけ取り上げられるべき意見は取り上げていきたいと思っております。そういう段取りでお願いをできればと思います。

【中山主査】
 津田委員。

【津田委員】
 さっきの話をちょっと蒸し返すようで恐縮なのですが、さっき中間整理だからということで中山主査に流された感じがしたのですが、僕の要望した多数決で、この議題については決めてもらいたいという要望はどこかで実施されることはあるのかなという疑問があるのですが。今の中間整理のタイミングでやらなければ、どこでやるのかという疑問はどうなるのですかね。

【中山主査】
 室長、どうぞ。

【川瀬室長】
 おおむね了承されたという表現は、メンバーが全員賛成したということではございませんので、大体、意見の大勢としてはそうだったということですし、この違法サイトの問題につきましては、10ページを見て頂きますと、10ページの下の3のアのところは、津田委員の意見を意識して実は書いているところでして、したがって、おおむね了承されたけれども、慎重な意見があるということで、委員の意見については、私どもとしては言及をしていると思います。
 多数決の話ですが、審議会で御審議して頂くのは、様々なお立場の方の意見を踏まえて問題点を整理して、1つの方向性を示して頂くということで、それを法律にどのように反映するかは、法律を立案する者や国会での様々な御審議を踏まえて行われるわけです。したがって、なかなかこういう委員会では、多数決は、全否定はしませんが、あまり例がないというように私どもは認識しております。ですから、こういう意見があるということについては、できるだけ配慮させて頂きたいと思いますし、現実にこの中間整理についても、津田委員の意見については慎重な意見の筆頭に書いているということで、委員の意見を無視しているわけではないと私どもは認識をしております。

【中山主査】
 審議会というのは、最終的な法律を作るところではなくて、法律を作るときにはもちろん多数決でやらざるを得ないのですが、っこは諮問機関です。昔は、強引に1つの意見にまとめた報告書は、文化庁に限らず、ほとんどの審議会であったようですが、最近では、少数意見があれば、それも記載して、立法の参考にするという例が多いようなので、多数決で少数意見を抹殺するのがいいのか、あるいは少数意見も、こういうものがあったことを書くのがいいのかという問題で、今、室長がおっしゃいましたように、私の関係する審議会の限りでも、多数決で1個の意見に集約するのは最近はあまりないような気もしますので、またそれは報告書のときに検討させてください。よろしいですか。

【津田委員】
 当然、僕が少数意見だとは自覚しているのですが、ただ、例えば、この後に行われるパブリックコメントとかの結果も含めて、要するに検討結果の1番目のところに、総論として、こう書かれているのが気になるのですよね。当然、僕の意見も後で出ているとは思うのですが、懸念が表明されているとは書かれてはいるのですが、パブリックコメントの結果がどういうふうになるのかも含めて、今後の整理のところで、委員の中に強力な反対する者がいたということは、ここには書いて頂きたいなというのが僕の要望としてあるので、それは要望として伝えます。

【中山主査】
 ありがとうございます。はい、河村委員。

【河村委員】
 15ページのところから、突然、囲みが出てきまして、私が気になったのは、突然、15ページのところに導入の理由が囲まれて強調されているのですが、それ以降のページを見ていくと一貫性がわからなくて。何に対しては囲むのかが、一貫性がある部分もあるのですが、最後のほうになってくると、よくわからなくてですね。最初の2ページのところでも申し上げましたが、ここは何か読む人に非常にイメージ付けたいという意思は感じられるのですが、何でここで突然、囲まれるのかが良くわかりません。デジタル化の進展によってというのが、その時点で言われたにしても、これは両方の意味に、不利益が増大するともとられますが、適法配信なんかは、そのときには予想できなかった推移で変わっていったという面もあると、他のところには書いてあるわけですから、ここをとりわけ強調なさって読ませようとなさるのはどうしてかなと。それ以降の囲むところの定義といいますか、何を囲んでいるのかがよくわからなかったので指摘させて頂きます。
 あと、今は別に言いませんが、16ページあたりの、恐らく私が申し上げたかもしれないようなところについては、書きぶりについてもう少しメールか何かで申し上げます。

【中山主査】
 では、室長。

【川瀬室長】
 15ページのは、特に私どもも何か意図しているものではございませんので、囲みが悪ければ鍵括弧でも結構なのですが、これは別のところでまとめた文章なので、この審議会の記述と別のところで検討された報告書の中身を仕分けするために囲みにしたところです。
 それから、次のところ以降については、これは様々な意見が分かれているところについて、まず主題を書いて説明を書くということですし、それもアとイと分かれて、積極的な意見、慎重な意見と、これも平等に鍵括弧で括っておりますので、それについては特に問題はないのではないかなと思っております。

【中山主査】
 では、時間ももう過ぎてきましたので、とりあえず延長させて頂いて、4「補償措置の方法について」で何か御意見がございましたら。28ページです。

【井田委員】
 まだ続けられるのですね。

【中山主査】
 なるべく簡略にお願いいたします。

【井田委員】
 それであれば、3のところでもう一点だけ、よろしいですか。すみません。
 20ページのところで、イの下のまるの中で、中ほどに「デジタル録音録画された高品質の複製物が私的領域外へ流出するのを制限するという意味が強い」ということで書かれているのですが、単純にここは外に流出するのを制限するだけではなくて、やはり私的領域内での複製をコントロールする側面もあることも、両方一緒に書いて頂けたらという要望でございます。以上です。

【中山主査】
 この点、室長、いかがですか。

【川瀬室長】
 書き方に関しては、また主査と御相談させて頂きたいと思います。

【中山主査】
 それでは先ほど言いましたように、4の「補償措置の方法について」、28ページ以降につきまして御意見があればお伺いをしたいと思います。どうぞ、亀井委員。

【亀井委員】
 恐らく前回だったか、前々回だったか、29ページの(2)でまとめられている「契約による対応」について意見を言わせて頂いた結果、こうまとめて頂いたのかなと思いながら拝見をしたのですが、30ページのまるで始まる、契約でやる方法は幾つか問題があって、それに委ねることで全面的に解決できるかについて課題が多いとして並んでいる中に、ちょっと理解に苦しむものがございます。わからないのが私だけであれば、後で指摘頂ければと思うのですが。
 アとかイは、これは音楽配信ビジネスはどう考えたらいいのか。インセンティブがないのにやっているのかということがありますし、補償金請求権があるから、あれができているのかということは、ちょっと違うのではないかと。(2)として「契約による対応」ということでまとめられた以上は、補償金請求権がここで出てくるのは何か奇妙な感じがいたします。これは私の理解が悪いのかもしれませんが。更にウやエになりますと、これはますます実はよくわからなくなってしまいます。ただ、申し訳ありませんが、どこをどう直したらいいかは申し上げられないような状況なのです。これはどういう位置付けで整理をされたものかということですが。

【中山主査】
 室長、お願いします。

【川瀬室長】
 アにつきましては、趣旨としては、著作権保護技術の範囲内で行う利用者の録音録画行為は30条の範囲内か、範囲外かというのは、これはビジネスモデルにもよりますが、基本的にはそのようになっていないわけです。しかし、配信事業については、利用者と契約の上、それとは関係なしに、個人の利用目的であれば許諾するというビジネスモデルを実施していることもあるのですが、この報告書にも書いていますが、その他の業界については、これは明確にそのようなビジネスモデルにすることについては否定されている。その理由の一つとしては、30条の範囲内の複製と30条の範囲外の複製があって、著作権保護技術の範囲内のものについては、それをひっくるめて許諾しなければならないことを理由に挙げられておりまして、そういう意味で関係者の話を総合して、インセンティブに欠けるという表現を使っております。
 それからイは、これは当然のことですが、契約に任せるといっても、ビジネス上の交渉で決まるわけですから、権利者のほうから私的録音録画の部分についても使用料の支払を求めても、私的録音録画が無許諾無報酬の昭和45年の状況になっていれば、「はい、わかりました」といって応じるとは考えられないわけですから、記述としてはこのとおりだと私どもは理解をしております。

【亀井委員】
 室長、申し訳ございませんが、28ページの(1)は「補償金制度による対応」で、その中で「録音源・録画源の提供に着目した制度設計」があって、(2)では、それ以前に契約でどうかを議論しているように読めるのですが、そこでどうしてまた補償金制度が出てくるのかが、すみませんが、よく理解できなかったのですが。普通であれば、契約に委ねれば、可能性の問題としても、インセンティブに欠けるかどうかは契約する当事者が決めることではないかという気もいたします。だからこそ、音楽配信もできているのではないかと思うのですが。

【川瀬室長】
 ここで書いているのは、この私的録音録画小委員会は政策提言をする場でございますから、いわゆる何らかの法的な措置を伴わなくて契約に委ねることは、それは世の中、色々な契約類型がありますから、それはそれで問題はないのですが、私的録音録画補償金についての問題が一方で生じているとして、その解決手段として、そのようなオプションを採るのかをここで記述しているわけです。したがって、法的な支援といいますか、例えば権利者の補償金請求権を認めることがなくて、民間の契約に任せたとしても、そこはうまくいかないのではないでしょうかというのがこの記述なわけです。その理由として、アイウエがあるわけですから、これはだから、先ほど言いましたように、もしそれを乗り越えて、契約をして契約によって利益が確保されるのであれば、その前の30条から外すところに代えて、もしそういうモデルが定着すれば、今度は30条そのものが必要かどうかという議論にもなってくるわけですから、もし必要なら、そちらで外せばいいということだと思います。それをここの場で書いているわけです。だから、インセンティブに欠けるとか、権利者の実現にどうかは、どちらの方向に振れるかは、この場ではわからないわけですから、わからないままに30条を改正して、45年の状態に戻すのはなかなか難しい。そのための課題は多いですというのが、ここの記述の趣旨なのです。

【中山主査】
 これは全部、30条外にして全面的に契約に任せることはどうかと。そういう問題の立て方ですから、インセンティブも必ずなくなるのではなくて、欠ける場合もあると。全面的に契約に任せると、こういうことも起こり得ると。そういう文章ではないかと思うのですね。したがって、現在、それはうまくいっているビジネスもあるかもしれないけれども、うまくいかないビジネスもあるかもしれませんねということが、ここで書いてあるのではないかと思うのですが。結果的に、これはうまくいくかどうか、よくわかりませんねと。そういうことではないかと思うのですが。

【亀井委員】
 ということであれば、29ページの頭のところは、「仮に30条が廃止するとして、すべてを契約に委ねる場合には」というような書き出しになると理解すればよろしいでしょうか。「仮に補償の必要性があるとして、考えられる補償措置の方法として」という4の書き出しとの関係で理解できないのかもしれません。すみません。後でまたよく教えて下さい。

【中山主査】
 そうですね。(2)はもう少し文章的に練ることにいたします。
 他に。はい、どうぞ。華頂委員。

【華頂委員】
 これも質問なのですが、38ページ……。38ページはまだですか。

【中山主査】
 はい、この次にお願いします。

【華頂委員】
 はい。では止めます。

【中山主査】
 では、31ページまでに何か問題がございましたら。よろしいでしょうか。
 それでは、32ページ以降の5の「私的録音録画補償金制度のあり方について」、ここで華頂委員、お願いいたします。

【華頂委員】
 すみません。38ページなのですが、ここにパソコンにおける録音録画やその他の機能が、ソフトウェアによって実現されているため、その全てにおいて、製造業者側が責任を負うのはおかしいとあるのですが、これは深読みすると、録音録画に供するソフトウェアも補償金の対象にしたほうがいいという意見も含んでいるのでしょうか。質問です。

【中山主査】
 それは室長、どうでしょうか。

【川瀬室長】
 この部分には、先ほどからの議論のとおり、その先のことについては、別に現時点においては議論をしているわけではないので、結論は何もないのですが、ただ、この会議でそういう意見があって、かつ事務局の受け止め方としても、法律的な問題を整理する上では大きなファクターであるとは理解しておりますので、その旨を書いたところですので、その先については、まだこの委員会でも全然議論していないことですから、特に方向性とか何とかがあるわけではございません。

【中山主査】
 亀井委員、どうぞ。

【亀井委員】
 今の部分でございますが、これは対象をどうするかという議論の中で、今まさに華頂委員の御指摘があった部分は「製造業者側が責任を負うのはおかしいのではないか」と書かれているのですが、ここは対象の議論だということからいたしますと、パソコンについては「録音録画機能を初めとして文書作成機器能、メール機能、インターネット機能など、全ての機能はソフトウェアにより実現しているが、録音録画機能は発売時点でインストール」云々と言って、そのパソコンのどの部分を対象として考えるのが適当なのか、議論が必要である、という意見があったとするのが適切なまとめではないかという気がいたしますが。

【中山主査】
 わかりました。それも検討させて頂きます。他に御意見はございますか。はい、どうぞ。石井委員。

【石井委員】
 40ページの「政令指定方式の見直し」の41ページの2つ目のなかぐろで、例の公的評価機関の問題でございます。これは私は今まで意見を申し上げていなくて、今ここで最後の段階で申し上げるのは心苦しいのですが、あえて申し上げさせて頂きますと、ここでは関係者が評価機関に加わるということですが、今までの例を見ていますと、あるいはここでの議論を見ていますと、関係者がこれだけ集まりますと、なかなか結論が出ない可能性があります。そこで私としては、公的評価機関は学識経験者で構成され、そこに関係者として権利者、製造業者、消費者のヒアリングを得て決定していくと、これは補償金の額についても同じでございますが、そういうことも考慮されていいのではないかなと思います。ちょっと遅くなって申し訳ございませんが、意見を申し上げさせて頂きました。

【中山主査】
 その点、室長、いかがですか。

【川瀬室長】
 御意見御指摘があったということであれば、主査と相談しまして、必要に応じて表現は訂正させて頂きます。

【中山主査】
 他に何か御意見はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 最後、かなり急がせてしまいまして申し訳ございません。御意見がございましたら、是非事務局のほうにメール等で御連絡を頂ければと思います。
 それでは、かなり時間を超過して申し訳ございません。本日の討議はこのぐらいにしたいと思います。次回の小委員会の内容も含めまして、事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。

【川瀬室長】
 ありがとうございました。今日の議論を踏まえまして、また別に頂きました御意見も踏まえまして、この中間整理案を更に直したものについて、もちろん事前に送らせて頂きますが、それに先ほど言いましたように、事実関係の部分について加えたものを26日に提出をさせて頂きたいと。そこでもう一度御議論をお願いしたいと思っております。なお、次回の小委員会は9月26日水曜日ですが、10時から12時まで、アルカディア市ヶ谷にて開催を予定しております。

【中山主査】
 また次回は場所が変わりますので、お間違いのないようにお願いいたします。
 それでは、本日はこれで文化審議会著作権分科会の第12回私的録音録画小委員会を終了させて頂きます。本日はありがとうございました。

注) 津田委員の発言中「ソニーミュージックの営業利益」としてあげられている数字は、正確にはソニー株式会社が公表している有価証券報告書の連結財務上の区分のうち「その他」セグメントの営業利益の数字であり、ソニー株式会社の「音楽事業部門」の一部である株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント単体の数字とは異なる旨株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントから訂正依頼がありましたので、ここに掲載いたします。

―了―

(文化庁長官官房著作権課著作物流通推進室)


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