ここからサイトの主なメニューです

私的録音録画補償金制度に関する意見

文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会 御中

2007年6月26日
主婦連合会
河村 真紀子

 この制度は何に対して補償しているかを、消費者に示すことができない現状のまま、議論を先に進めることは賛成できません。
 「補償」という以上、それを負担する消費者に対し、損失がどのようなものであるかをはっきり示すことは必要不可欠です。しかしながら、この損失に関する説明は、消費者からの質問の角度によって変化しています。
 更に、仮にある程度の損害があるとしても、あるいは、それが実害、逸失利益ではなく損害概念の存在であると説明できたとしても、それが、補償が必要である程に大きなものであるか、という検討に進まなくてはならないでしょう。
 また、損害に対する補償という制度であるはずが、権利者側の委員の主張は、メーカーに利益があるから、消費者に利益があるからという理由にもシフトしていきます。ある立場に利益があることが即座に、損失の定義を抜きに別の者の補償の対象になるということは、理解することができません。
 薄く広く、消費者全体から徴収するシステムには、それを負担する者に対する説明責任と透明性、公平性の確保が強く求められます。これぐらいの額なら、知らないうちにとられてもたいしたことないではないか、また、ある程度の不公平が消費者の利用の形態によって存在してもかまわないではないか、という考え方は許されるものではありません。

 以上の観点から、制度の細かい論点への意見を申し上げるという段階にはないというのが消費者としての現状認識ですが、一点のみ、はっきりと意見表明するとすれば、それは、このような議論不足、支払い者である消費者への説得力ある説明不足の状態で、対象機器の拡大等により、補償金額を上げようとすることには、はまったく賛成できないということです。
 消費者から見ると、今回の委員会の設置目的は制度の存続を前提に、更に補償金額を上げることにあり、方法、理由付けは、その目的さえ達成できたらどのようなものでもかまわないというように見受けられます。

 最後に、消費者の願いを述べておきます。技術の進歩により、消費者にとっても、クリエイターの方々にとっても、かつてはなかった様々な選択肢が用意されています。著作権者の方々には、豊かなコンテンツビジネスの展開によって、より確かな方法で、より豊かな報酬を得て、新たな創造へのインセンティブを高めていただきたいと思っています。

以上


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ