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ドイツ |
フランス |
オランダ |
オーストリア |
スペイン |
アメリカ |
カナダ |
1.許諾を得ずに私的複製が許容される範囲 |
営利を目的とせず、明らかに違法に作成された原本が用いられない場合、私的使用を目的とした著作物の少量の複製を行うことができる。 |
私的使用を目的とし、集団的使用が意図されていない場合、著作物の複製を行うことができる。ただし、著作物の通常の利用を妨げる、または、著作者の正当な利益を不当に害するものであってはならない。 |
商業目的でなく、家庭内で、個人での使用や研究のみを目的として著作物の少量の複製を行う場合は、著作権の侵害とみなされない(プログラムとデータベースについてはより厳しい制限がある。)。
なお、作成された複製物は、法務若しくは行政上の手続きに用いられる場合を除き、第三者に譲渡することはできない。 |
私的使用を目的とする場合、複製を行うことができる。 |
私的使用を目的とする場合、複製を行うことができる。 |
複製一般について、フェアユースの要件を満たす限りにおいて複製を行うことができる。
また、録音については、消費者が非商業的目的で音楽を録音することは著作権侵害として訴訟を提起できない。 |
複製一般について、調査や私的研究を目的とした複製を行うことができる。
また、録音については、私的使用のために、音楽の著作物、実演、レコードを複製する行為は著作権の侵害にならない。 |
2.導入時期及び対象行為 |
1965年
録音及び録画 |
1985年
録音及び録画 |
1991年
録音及び録画 |
1980年
録音及び録画 |
1987年
録音及び録画 |
1992年
録音 |
1998年
録音 |
3.補償金制度の趣旨 |
私的使用のために供される録音・録画用の機器・記録媒体を提供する製造業者等は、著作権侵害に寄与するものであり、その侵害につき連帯責任を負うべきものと考えられた。 |
音の分野における私的複製は、権利者がコントロールできない著作物の新しい利用方法であって、著作物の通常の利用を妨げ、かつ、著作者の正当な利益を不当に害している行為といえるため、著作者はこのような行為について補償を与えられなければならないと考えられた。 |
私的利用、研究、練習を目的とした利用に関して、著作権者に公正な支払(fair payment)がなされるべきと考えられた。 |
私的複製により著作者が経済的に受ける不利益を補償するためのもの。私的複製により恩恵を受けるのは消費者であるが、消費者から補償金を徴収するのは困難なため、製造業者等が補償金を支払うとされている。 |
私的複製により本来権利者が受け取るべき使用料を補償するという性格を有すると考えられている。ただし、消費者から補償金を徴収するのは困難なため、製造業者等が補償金を支払うとされている。 |
本来、消費者が自ら使用した著作物の対価は自ら支払うべきと考えるものの、市場が機能しないため、権利者への報酬を確保できるよう補償金制度が存在する。消費者から補償金を徴収するのは困難なため、製造業者等が補償金を支払うとされている。 |
家庭内で行われる私的録音に対して権利者がコントロールを及ぼすことができないため、私的録音を許す代わりに報酬を受けることができることとした。 |
4.対象機器・記録媒体の範囲 |
デジタル・アナログの録音・録画機器(一体型含む)及び記録媒体
※パソコンについて協議中。 |
デジタル・アナログの記録媒体(一体型機器に内蔵されたフラッシュメモリ又はハードディスクを含む)
※外付けのメモリーカード、外付けのハードディスクとUSBキーについて検討中。 |
デジタル・アナログの記録媒体
※一体型オーディオ機器について検討中(2006年後半に結論)。ハードディスク内蔵のDVDレコーダーやパソコン、フラッシュメモリについても交渉中。 |
デジタル・アナログの記録媒体(一体型機器に内蔵されたハードディスクを含む)
※最高裁において、パソコンのハードディスクは補償金の対象とならないとされた。 |
デジタル・アナログの録音・録画機器及び記録媒体
※一体型オーディオ機器について協議中。 |
DAT、DCC、MDの録音機器・記録媒体 |
アナログ・デジタルの記録媒体
※カナダ連邦控訴裁判所において、メモリー内蔵型デジタルオーディオレコーダーは対象とならないとされたが、現在、著作権委員会にて再度検討中。 |
5.対象機器・記録媒体の特定手続き |
法律の別表で定められているが、改訂は行われておらず、実際には、徴収団体と製造業者との交渉で決定。 |
権利者代表、製造業者・輸入業者代表、消費者代表、議長(国の代表)によって構成される委員会で決定。 |
法務大臣により指名された私的複製協会及び製造業者からなる組織(SONT)で決定。 |
法律は技術的に中立な規定となっており、個別に特定はしていない。実際には、管理団体と製造業者との交渉で決定。 |
アナログについては対象機器・記録媒体を法律上に明記。
デジタルの機器・記録媒体については、製造業者等と徴収団体との交渉を経てスペイン文化省と産業観光商務省が承認。
※従来はアナログとデジタルとで決定方法を区別せず、対象・金額ともに法律上明記していたところ、06年改正により、デジタルのみ対象・金額を交渉で決定する方式を採用。 |
法律で規定
※制度の制定以降、対象は追加されていない。 |
独立行政審判所であるカナダ著作権委員会が決定。 |
6.補償金額の決定手続き |
特約がない限り、法律の別表に定める額が適用されることになっている。アナログ機器・媒体は別表の規定によるが、デジタル機器・媒体は別表に存在しないため、製造業者との交渉で決定している。
※補償金の額を全て交渉で決める制度に変更予定。改正案では、以下の要因を考慮すべきことを規定する予定。
- どの程度私的複製に使われるか。
- 媒体の性質・性能
- 製造業者や輸入業者の負担
|
上記の委員会で決定。
額は、
1時間当たりの料率、
保護著作物の複製率、
記録時間
を乗じて算定される。 |
法務大臣により指名された私的複製協会及び製造業者からなる組織(SONT)で決定。 |
管理団体が額を決めて、産業界の代表と協議し決定。不調の場合は特別仲裁手続きあり。 |
アナログの場合、一定額を法律上に明記。
デジタルの録音録画機器・記録媒体の場合には、製造業者等と徴収団体との交渉を経てスペイン文化省と産業観光商務省が承認。決定の際には、
- 権利者が実際に被る損害
- 機器・記録媒体の使用程度
- 機器・記録媒体の容量
- 複製の品質
- 技術的保護手段の利用可能性、応用程度、効果
- 複製の保存期間
- 機器に適用される補償金相当額は一般的平均市場価格と経済的に釣り合うこと
を考慮に入れて補償金を決定する旨を規定している。 |
法律で規定 |
徴収団体であるCPCCの提案に基づきカナダ著作権委員会が決定。 |
7.補償金の単価の例(2006年) |
録音・デジタル・機器 |
2.56ユーロ
403.66円 |
対象外 |
対象外 |
対象外 |
0.6ユーロ
94.60円 |
移転価格の2パーセント |
対象外 |
録音・デジタル・媒体 |
MD1枚あたり0.08ユーロ
12.61円 |
1時間あたり0.4373ユーロ
68.95円 |
1時間あたり0.42ユーロ
66.22円 |
1時間あたり0.18ユーロ
28.38円 |
0.36ユーロ
56.76円 |
移転価格の3パーセント |
700MB(メガバイト)あたり0.77加ドル
79.02円 |
録画・デジタル・機器 |
18.42ユーロ
2.904.46円 |
対象外 |
対象外 |
対象外 |
6.61ユーロ
1042.26円 |
対象外 |
対象外 |
録画・デジタル・媒体 |
4.7GB(ギガバイト)あたり0.174ユーロ
27.43円 |
1時間あたり1.2577ユーロ
198,31円 |
4.7GB(ギガバイト)あたり0.60ユーロ
94.60円 |
1時間あたり0.18ユーロ
28.38円 |
4.7GB(ギガバイト)あたり1.4ユーロ
220.75円 |
対象外 |
対象外 |
8.徴収額 |
約231億3,900万円
(04年) |
244億6,000万円
(05年) |
約42億2,600万円
(05年) |
約27億7,900万円
(05年) |
約92億5,500万円
(05年) |
約2億8,900万円
(05年) |
約35億9,900万円
(05年) |
9.著作権保護技術の反映方法 |
特になし。
※改正案では、額の決定にあたりDRMの程度を考慮すべきとしている。 |
額の決定にあたりDRMを考慮することとされている(311の4条3項)。 |
法律の覚書にて、額の決定にあたりDRMの影響を考慮しなければならないとされている。 |
DRMが適用されている場合は権利者との合意ができているとみなされ、証拠として契約書を提示すれば補償金が返還される(実績はなく、運用は不明確)。 |
額の決定にあたり、DRMの利用可能性、応用程度、効果を考慮することとされている。 |
なし |
なし |
10.著作権保護技術の実装に関する規制 |
実装に関する規制はないが、私的複製等の権利制限規定に従い著作物が利用される場合、著作権保護技術を用いている権利者は、必要と認められる限度において、当該利用をし得るために不可欠な手段を提供する義務を負うとされている。 |
技術的措置規制機関が、私的複製等の例外措置を受益者から奪うことのないよう監視、必要な場合は調停等を行う(331の8条)。 |
なし |
なし |
なし |
VOD、有料放送、DVD等からの複製を除き、家庭内の複製を制限する技術の使用を禁止。 |
なし |
11.支払義務者 |
製造業者・輸入業者、販売業者(半年以内に録音時間で600時間を越えるブランクテープや100台を超える機器を売ったときに限る) |
製造業者・輸入業者(311の4条1項) |
製造業者・輸入業者、販売業者
(私的複製協会の請求があった場合に、製造業者等の支払があったことを証明できない場合に限る) |
製造業者・輸入業者
(卸売・小売業者は、半年間に5,000時間以下の録音及び10,000時間以下の録画の媒体を扱う者を除き、保証人及び支払人としての責任を負う) |
製造業者・輸入業者
流通業者や卸売・小売業者は連帯責任を負うとされている。 |
製造業者・輸入業者 |
製造業者・輸入業者 |
12.返還・免除制度 |
輸出される機器・媒体について返還される(第54条C) |
以下のいずれかの者によってその自己の使用又は製作のための取得される場合は返還される(311の8条)。
放送事業者
レコード製作者又はビデオグラム製作者並びにこれらの製作者のためにレコード又はビデオグラムの複製を確保する者
視聴覚障害者に対する援助を目的として記録媒体を使用する法人又は団体であって文化担当大臣によって指定される者 |
記録媒体が専門的な使用のためのものである場合には、私的複製協会と契約することにより支払いが免除される。 |
輸出される場合又は権利者とライセンス契約がある場合は返還される。 |
パソコンのハードディスクは、音楽や映画を複製しないということを前提に、パソコンのハードディスクにかかる補償金の支払いを免除する旨の規定が設けられている。
※パソコンは補償金の対象外だが、この規定により、パソコンのハードディスク装置は、製造業者と徴収団体で協議している補償金の対象品目から無条件で除外されることになる。 |
なし |
製造業者・輸入業者が、知覚障害者を代表する団体に対して記録媒体を販売する際には、補償金は免除される。 |
13.共通目的事業 |
法律上の義務付けはない。ただし、分配を受けた管理団体が構成員の同意を得て報酬の一部を共通目的に使用することは自由であり、GEMAにその例がみられる。 |
補償金の25パーセントは創作援助活動、生の興行の普及及び実演家の育成活動に使用すべきとされている(321の9条1項1号) |
私的複製協会の決定により、補償金の15パーセントを文化的事業に支出することが決められている。 |
管理団体の決定により、50パーセントを共通目的事業に支出している。 |
補償金のうち最低20パーセントは共通目的事業に使用することが義務付けられている。 |
なし |
なし |