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各国の状況について
第二部 −私的録音及び著作権法制度・運用全般について−
3 オランダ
(1) |
私的録音補償金制度について |
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( ) |
補償金の対象製品について |
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(ア) |
収総額及びその推移 |
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表1(単位:ユーロ) |
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種類 |
補償金単価 |
単位 |
2002年度 |
2003年度 |
2004年度 |
カセットテープ |
0.23 |
60分 |
2,357,388 |
1,081,613 |
434,368 |
AUDIO CD-R/RW |
0.42 |
80分/700MB |
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487,534 |
MINI DISC |
0.32 |
80分 |
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156,705 |
HI MD |
1.10 |
1GB |
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0 |
DATA CD-R/RW |
0.23 |
80分/700MB |
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12,453,572 |
録音補償金合計 |
2,357,388 |
1,081,613 |
13,375,475 |
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補償金額はアナログのみが対象であった2003年度まで大幅減となっていたが、デジタルの記録媒体からの徴収を開始した2004年度大幅増に転じている。
2004年度録音補償金合計額を円に換算すると19億5,281万円(1ユーロ146円、2006年6月30日現在)となり、同年度のSARAHの出荷ベースによる収入額20億4,088万円対比95.68パーセントである。
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(イ) |
対象品目(機器・記録媒体の種類)の決定方法 |
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補償金の対象とすべき機器、記録媒体及び補償金額は、交渉により定めている。
交渉を行うのはStichting de Thuiskopieと産業界のメンバーにより構成されたSONTと呼ばれる特別な組織である。 |
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( ) |
私的録音補償金の徴収について |
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支払義務者は製造業者、輸入業者であるが、特に輸入業者が大半を占めている。ほどんどの業者らが団体を構成しているため、それら団体と交渉している
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( ) |
私的録音補償金の分配について |
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権利者間の分配比率は、Stichting de Thuiskopieの理事会によって決定されている。そして、Stichting de Thuiskopieからそれぞれの権利者を代表する団体に分配され、当該団体から個々の権利者宛(外国の権利者分は姉妹団体を通じて)分配している。
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( ) |
共通目的事業について |
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法律の制定時、政府から権利者団体に対して共通目的事業のために一定の支出をするよう要請があり、15パーセントを共通目的事業に支出することで合意、法制度化された。
共通目的事業としては、政府への報告義務の下、オランダの音楽や映像文化の促進を目的とした毎年600〜700の事業が実施されている。オーディオ、ビデオ、マルチメディアの各諮問委員会が支援対象事業を審議の上決め、Stichting de Thuiskopieがその報告を受ける。
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( ) |
報酬返還請求制度について |
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オランダの場合支払義務者が製造業者、輸入業者であるので、個々人に返還されることはなく、録音物製作者がブランクのメディアに複製した場合等が返還対象となる。 |
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(2) |
DRMと私的録音補償金の関係 |
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Stichting de Thuiskopieでは、DRMについて大きな誤解があると考えている。 |
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オランダでも例えば以下のようなもの等様々な議論が行われている。
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DRMとは何で、本当は何ができるのか。 |
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実際にどのようなDRMが広がっているのか |
・ |
私的複製から著作物をどのように保護できるのか |
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また、DRMにはコストがかかる。トータルでどのくらいのコストでできるか、消費者が受け入れられるものかどうか、がポイントであろう。 |
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