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各国の状況について
第二部 −私的録音及び著作権法制度・運用全般について−
1 ドイツ(同一国内での2箇所の訪問先での重複聴取事項は削除)
その1−法務省
1. |
私的録音録画補償金制度について |
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( ) |
私的複製と私的録音録画補償金との関係 |
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1965年の法律制定時、私的複製は禁止し得ないので仮に法律を作っても違反されることが明らかであることから、私的複製は例外として認める代わりに権利者に対する補償を行う、という考えを採用した。
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( ) |
私的録音録画補償金の対象品目等について
額・料率の変更や私的録音録画補償金対象品目の決定方法 |
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現行制度では、対象となる機器や媒体それに補償金の支払い義務については、54条に規定されているが、補償金の料率については、1985年に当事者間で協議し合意できたものが、54d条の別表に掲載されている。
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( ) |
共通目的事業について |
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共通目的事業のための支出については、著作権管理法の第8条に規定されている。法律上で率を規定してはいないが、補償金管理団体は徴収するだけが義務ではなく、代表するメンバーのために団結を促進し、創作物の創造を保護することが義務とされており、これら団体は、国が負わなければならないような社会的負担も担っている。
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( ) |
支払義務者について |
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支払義務者は製造業者や輸入業者である。 |
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(2) |
著作権法改正第二次包括草案(second basket)と私的複製について |
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新しい草案のポイントは以下のとおり。
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どの機器、媒体がどの程度私的複製のために使われるかに応じて料金を決めることにする方法を提案。 |
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媒体の性質、性能に応じて額を決定。 |
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現在製造業者や輸入業者が補償金を負担しているので、彼らの負担が不当に重すぎることにならないようにすること。 |
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なお、最終的にこの法案は来年の初めに成立する見通しである。 |
その2−GEMA
(1) |
私的録音録画補償金制度について |
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( ) |
私的録音録画補償金の対象製品について |
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表1 ドイツの補償金管理団体ZPÜの徴収額 |
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(単位:ユーロ) |
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種類(例) |
補償金単価 |
単位 |
2002年度 |
2003年度 |
2004年度 |
Jukebox |
1.28or2.56 |
10GBまで |
4,038,699 |
6,154,737 |
9,762,147 |
9.21or18.42 |
10GB超 |
MP3プレイヤー |
1.28or2.56 |
256MB |
HiFiテープレコーダー |
1.28 |
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CD writer(内蔵) |
7.5 |
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6,242,494 |
7,502,533 |
3,422,000 |
CD recorder(外付) |
1.28 |
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カセットテープ |
0.0614 |
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4,398,600 |
3,492,919 |
1,831,986 |
録音用CD-R/RW |
0.08 |
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Minidisc |
0.08 |
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Memory cards |
0.25 |
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DATA CD-R/RW |
0.0288 |
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14,227,821 |
19,949,080 |
20,845,552 |
録音補償金合計 |
28,907,614 |
37,543,031 |
37,863,812 |
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2004年度録音補償金合計額を円に換算すると55億2,811万円(1ユーロ146円、2006年6月30日現在)となり、同年度のSARAHの出荷ベースによる収入額20億4,088万円対比270.87パーセントである。
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( ) |
私的録音録画補償金の分配について |
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ZPÜは複数の管理団体による民間のジョイントベンチャーである。従って、ZPÜは直接権利者に分配するのではなく、ZPÜのメンバーである管理団体に分配する。それらはGEMA、VG VORT(文芸)、GVL(著作隣接権)、VG Bildkunst(ヴィジュアルアート)、Film rihgts societies(AV Works)等全部で8団体である。
そして各管理団体がどれだけ分配を受けるかは団体間の交渉によって決められている。
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( ) |
共通目的事業について |
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共通目的基金については、社会的、文化的目的に使用している。
ZPÜはすべての徴収額を傘下の管理団体宛分配しており、分配を受けた管理団体が共通目的事業を行っている。
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( ) |
返還請求権制度について |
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返還制度については、ドイツ著作権法54条cに該当する証明があれば、製造業者、輸入業者に対して返還する。
ただし、消費者から機器、記録媒体を購入したが私的複製に使用していない、と主張を受けても返還はしないし、そのような法的義務も負っていない。 |
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(2) |
DRMと私的録音・録画補償金の関係 |
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2001年のEC理事会指令において、技術的保護手段が適用されている程度を考慮して報酬の額を決めなければならないこととされているが、現在効果的な技術的保護手段はない。このような状況で技術的保護手段が適用されるからと言って補償金がなくなるという主張をするのは正当ではない。
また、音楽配信の分野で必ず主張されるのが二重払いの問題である。配信事業者側は、消費者は1回目のダウンロードするときと、もう1回の記録媒体を購入するときの2回補償金を支払わされていると主張する。
しかしこの主張は全く間違っている。
GEMAは音楽配信事業者に、ダウンロードの許諾はしているが、それはイニシャルダウンロード(ダウンロード時に行われる1つの複製)だけを許諾しているのであって、消費者はその対価を払っているだけである。つまり、最初にダウンロードしたものからさらに行われているコピーについては全くカバーしていない。その後の複製は補償金制度でカバーしなければならない。 |
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